
ブレーキシステムは熱との戦いです。パッドもフルードも耐熱温度が決まっており、それを越えると危険です。
まずブレーキパッド。これは銘柄によって耐熱温度が全然違いますが、概ね
・ストリート用 :400度前後(純正相当)
・スポーツ用 :500度前後(アクレ ライトスポーツ)
・サーキット用:600度~700度(エンドレス MX72/Type-R
・レース用 :700度以上
といったところでしょうか。括弧内は、過去に使った事のある銘柄です。
600度越えると鉄が赤くなる温度ですが(笑)、ロータ自体は常時放熱しているのでそこまで上がる訳ではなく、パッド自体の温度の話です。
次にブレーキフルードの沸点。これは規格で明確に決められています。
・DOT3
ドライ沸点 :205度以上
ウェット沸点:140度以上
・DOT4
ドライ沸点 :230度以上
ウェット沸点:155度以上
・DOT5
ドライ沸点 :260度以上
ウェット沸点:180度以上
因みにドライ沸点とは新品時、ウェット沸点は吸湿時(大体1年~2年使用した段階程度)となります。
いやぁ、1年使ったブレーキフルードって、結構やばいかも?(^_^;)
なお、規格は「~以上」という形ですので、例えば沸点が260度以上のDOT4も有り得る訳です。何でも、最近のDOT4は270度以上が多いらしいです。
さてブレーキシステムが実際の走行でどの程度の温度になるのか?
結構気にはなりますが、確認した方は少ないのではないでしょうか。私も昔から気にはなっていたのですが、ついぞ測定した事はありませんでした。
そんな時、昨年夏に美浜でKawboyさんにブレーキキャリパ温度測定シールを貼って頂きました♪
不可逆性なので、最高温度が色の変化で記録される優れものです。
以来、何かに付けてマメにチェックしており、大体状況が分かってきました。
●ALTやMLM、美浜等
・左側
・右側
昨年7月に測定シール貼り、11月にブレーキパッド交換するまでの状況です。この間、ALTやMLM、美浜、YZを走ってます。左側は183度まで上昇しています。が、何故か右側は149度までしか上がらず、かなりアンバランスな状態です。
思うに、コースは全部時計回りであり、私はコーナ進入時にブレーキ残す事が多いので、ABSの付いた車両だと左右でロック制御をしてくれるため、左側の負担が上がるのでしょう。
これがABS無し車両だと、先にロックする方(右コーナなら右側)に踏力を合わせる必要があるため、ここまで極端な温度変化は起きないと思います。
キャリパ温度が182度ですから、当然フルードもそれ以上の温度になっていると思われますが、まだ大丈夫でしょう。多分。
しかし、この時のパッド交換の理由は
アクレ(ライトスポーツ)炭化が原因なので、ロータ温度は500度を超えていると思われます。
●ALTやMLM、美浜に追加してYZや西浦等
・左側
・右側
昨年12月19日頃の状況です。YZを数度、西浦も走っているせいか、温度域が上がっています。
負荷の高い左側は、レンジが1つ上がって193度。右側は大幅に上昇して、182度となりました。
相変わらず左右アンバランスです。右側の温度域2段UPの原因は、多分西浦の1コーナでしょう。(笑) YZの2コーナも地味に効いていそうです。
●鈴鹿ツインフルコース走行後
・左側
・右側
あかんです...。
左側は温度測定上限手前の241度、負荷の低い右側でさえ232度まで上昇してます。さすがに直線550mは半端ありません。ロガーの記録だと、アオテッツァ君で約155km/h程出てます。
運動エネルギは速度の二乗に比例しますから、速度が上がると如何にブレーキの負担が増えるか良く分かります。因みにスタリオンに乗っていた頃、220km/h程からフルブレーキングした事あるのですが、凄まじいジャダーが発生しました。おそらくディスクプレートが熱で歪んだのが原因だと思います。ブレーキが冷えたら、何事も無くなりました。
キャリパ温度が241度に達していますから、当然フルードもそれに近い(もしくはそれ以上)になっているはず。DOT4のドライ沸点規格は230度以上ですから、もし規格ギリギリのフルードだったら、完全にアウト..。因みに私は、トヨタ純正ブレーキフルードを愛用してます。(笑) 凄いぞ純正!
昨今のDOT4はドライ沸点270度以上らしいと先に書きましたが、どうやら本当の様な気がします。しかし経年による吸湿は著しく沸点を下げてしまいますので、ストレートの長いコースを走るなら、事前にブレーキフルードの交換は必要でしょう。あれは、メーカが売上増大のためだけに言ってる訳でも無さそうです。(笑)
何かとお安い●華製。もしフルードがあったら、例え本当に規格をパスしていたとしても、下限ギリギリかも知れません。(^_^;) こういう部分は、多少の安さより信頼を買いましょう。迷ったら、純正DOT4でもいいと思います。
ロータ温度は分かりませんが、現在使用しているエンドレスMX72の耐熱温度は700度。結果的に15分クーリング無しで全力走行しても、ブレーキにまったく問題は発生しなかったので、大丈夫なのだと思います。無理して貴族様ご用達のパッドを買った甲斐がありました。(笑)
あと、やっぱ連続走行はブレーキに厳しいですね。タイヤを労わるためにも、適度なクーリングは必要だと改めて分かりました。
ブログ一覧 |
考察 | クルマ
Posted at
2016/02/13 20:10:57