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ひでエリのブログ一覧

2017年07月01日 イイね!

日本一周:伊豆一周2日目その2

日本一周:伊豆一周2日目その2いままでのあらすじ
日本一周の途中で伊豆一周。箱根を越え西伊豆の海水浴場で野営中。そこにエリミネーターに乗る女性がやってきた…。
======
「こんばんわ」
涼やかな声とスラッとした容姿にエリミネーターという無骨なアメリカンバイクのコントラスト。夏なのに黒ずくめのライダースタイル。かなりのこだわりを持つ女性ライダーとみた。

「こんばんわ、どちらからですか?」
こういう仕事は仲間内では最もオンナ慣れしているカメの担当だ。
まあ言われずとも勝手にやってるあたりがヤツらしい。

「埼玉の春日部からなんです。ソロツーリングで今晩どうしようかと思っていたのですが、お隣失礼してよろしいですか?」

驚いた。女性のソロツーリング、それも野宿。そんな女性いるのか、って目の前にいる訳だが。

「ど、どうぞどうぞ。何のお構いも出来ないのですが、食べ物ならこの男が作りますので!」

なんちゅー紹介の仕方だよ、オイ!と心の中でツッコミつつ、挨拶した。
「初めまして。今からご飯も炊くので4人分にしますよ、ぜひご一緒に。お酒、ビールですけどもお好きですか?」

マジマジと見る機会を得て、やっとどんな人か分かった。年の頃はほぼ自分たちと同じくらい、つまり20前後。身長は165センチくらいで女性としては長身の部類だ。長い黒髪に大きな目、松嶋菜々子…が近いか。要はかなり美人である。チャーミングな笑顔でお礼を言われた。

「ありがとうございます、実は1人でどうしようかと思っていたんです。ユリと言います、よろしくお願いします。ビール得意です!」

なんと…男3人のムサい野宿団体に美人女性ユリが加わった!頭の中で仲間が増えた時のドラクエファンファーレが鳴る。

(おい、どうすんだよ、こんな展開考えてなかったぞ!俺ら汗臭いまんまじゃねぇか!)
勢い色気付くヤマ。
(じゃあ、シャワーでも浴びてこいよ。帰りにビール買い足してきてくれ)

ユリは5メートルほど離れた場所に1人用テントを設営し、テントの中に入ってもぞもぞしている。

「はぁ、暑かった…」
テントから出てきたユリを見て、カメと俺にイナズマが走る。タンクトップにチョー短い短パンといういでたち。つまり長くてスラッとした脚が否が応でも目に入り、目のやり場に困る。

「先にシャワー浴びてきます。戻る時にビール買ってきますね!行ってきます。」

カメが拾ってきた焚き木を積み上げながら言った。
「楽しくなりそうじゃねぇか、オイ(ニヤニヤ)」

戻ってきたヤマも目を丸くして
「なんだあの人、メッチャきれいな脚だな、え?ユリって言うの?名前。ユリさん青島ビールとか呑むかなぁ…」

なんで選りに選ってこんな時にウケを狙うのだヤマよ…こういう時は鉄板のキリン一番搾りかアサヒスーパードライでいいんだよ…。
とりあえず皆、シャワー浴びてサッパリしたところで、乾杯である。

「カンパーイ!」

とりあえず野宿で日本一周中に自転車で伊豆一周していること、熊本、東京、神奈川からそれぞれ集まって今ここにいることを話した。

「バイク?ああ、なんで無骨なアメリカンにオンナが乗ってるのか?ですか?足つきがいいからです。運転には自信が無いんで、低速時にチャンと足が地面についてないと不安なんです。たまにキャンプするんで、オフロードを走ることもあるんですが、オフロードバイクは足が着かないし、かと言ってレプリカやツアラーだとオフロードが走れなかったり、やっぱり足つきが悪かったりするので、アメリカン、ってことになったのです。
女のコにぴったりのバイクだと思うんですけどね…何でみんな乗らないんだろう…」

ユリのバイク観を聞き、女性には比較的少ないロジカルな感性を感じた。女性がバイクに乗る理由はカッコいい、とか彼氏と一緒に走りたい、とかそういう動機が多いと思われるが、彼女はどうやら自分のスタイルを貫くためにどうするべきか、という思考回路らしい。
美人で美脚な上に賢い野宿好き、文句なし!

そんな下衆な値踏みをしながら、スッカスカの青島ビールを飲んでいた。

「ヤマ!マズいぞ、これっ!」
カメが心の声を全開で世界に叫んでしまった
。ユリがふふふと笑う。餃子とご飯、ビールの夕食にも満足そうだ。

これからどういうルートで走るんですか?と聞くと
「とりあえず、石廊崎まで行ってみようかな、と思っています」
と、ユリ。

「あっ!僕たちと同じですね!」
と、ヤマ。まあでも一緒には走れねぇけどな、こっち自転車だから、とジャブを打っておく。
「何だよ、お前。話膨らまねぇだろ。」
俺は彼女に気を遣わせてしまうのはかわいそうだと思ったのだ。話の流れ的に俺たちと一緒に、などと、なったら流石になんか理由がありそうな女の野宿一人旅の邪魔になるのでは、と。

あはは、と渇いたユリの笑いは、その辺はNGな雰囲気を漂わせているように感じた。
その後は「楽々ズル箱根越え」や西湘バイパス野宿、箱根山頂での高級カツカレーの話などを焚き火を囲んで取り留めもなく話した。
ユリは喜んで聞いてくれた。カメは大喜びで俺やヤマをイジりながら話し続け、ビールも結構な量が空いて夜も更けてきた。

「そろそろ私、寝ようかな!」
とユリ。

「そうですね、結構飲んじゃったし。それじゃおやすみなさい、また明日!僕らもうちょい飲みますんで、あ、静かに飲みます、できるだけ…」

ふふふ、と笑いつつ超ショートパンツのユリはテントに消えていった。

男ども3人はドキドキで、ヒソヒソである。

「なぁ、結局聞けてないけど、何でソロなんだ?あんな美人なのに。それに野宿一人旅っておかしくねぇか?」
「そう思うんだったら何でさっき聞かねぇんだよ。俺だって知りたいよ、それ。」
「じゃ、テント行って聞こうぜ!ジャンケン負けた奴。」
「え〜お前サイテーだな、それは無理だろ、もう寝るっつって、テント行ったんだぞ。迷惑過ぎるだろ。」

酔っ払いは全く何でもありだ。他人の迷惑考えない…。

じゃーんけーん!

「だからやめろっつの!」
軽くキレ気味に俺が制止した。

「ノリの悪いヤツだな、もー」
ニヤニヤしながらカメはビールをグビリと飲んだ。

生ピーマンをかじりつつ、パタリと地面に大の字になり、夜空を見上げる。
広島にいる彼女はどうしているだろうか…何処かで絵葉書でも買って送るか…。
そんなことを考えながら夜は更けていった。
(タイトル写真はwikiの西伊豆写真を拝借)
Posted at 2017/07/01 11:44:37 | コメント(2) | トラックバック(0) | 野宿日本一周
2017年06月06日 イイね!

日本一周:伊豆一周2日目その1

日本一周:伊豆一周2日目その1前回までのあらすじ
日本一周の途中、自転車での伊豆一周をサポートすることになった。難所である箱根越えの前に西湘バイパス下で野宿。焚き火と星とタバコの夜は更けた。
=====
狭いテントの中に男2人がギュウギュウ詰めで寝てればそりゃ暑い。
太陽が昇ってすぐにテント内気温が立ち上がり、寝ていられなくなる。
とはいえ、前の晩は酒が切れて早々に寝るしかなくなり、早寝だったので寝不足ではない。
前室のヤマも起き出しているようで、すでにタープは開いて風に舞っている。
テントから這い出すと爽やかな海風が心地よい。ヤマは砂浜に座ってボーッと海を見ながらタバコを吸っていた。

「おはよう、どうだ蚊に刺されたか?」
「いや、刺されなかったし、羽音で起こされることもなかった。快適だったよ。狭い中ギュウギュウなお前らより良かったかもしれないな。」
ニヤリと笑いながらタバコを差し出す。

覚えたてのタバコを吸っていると、カメもテントから出てきた。
「よう、顔ボコボコだろ?」

違うけどな…。

昨夜の残りご飯に即席みそ汁をかけて、お湯をかける。味噌おじやの出来上がりである。3人でゾゾゾと音を立てながら朝飯を平らげる。
自転車に乗るこいつらはこれじゃカロリー足りないだろうが、それはどっかのコンビニで摂取してもらおう。
今日は箱根アタックである。

できれば涼しいうちに山を登っておきたいという希望でソッコーで用意して出発する。
ビール3本では二日酔いもない。早寝早起きで体調は万全。あっという間に山のふもとまではたどり着いた。

「さてここからだな。実は高校時代、2人で地元の山に毎週のように通っていたんで、山登りには少々自信があるんだ、俺たちは。」
ヤマとカメが自慢げに言う。
古い友達だが、高校は2人と別だったのだ。
地元の山は大きくはないがそれなりの傾斜ではある。ここはお手並み拝見だろう。

登り始めて10分ほど。俺は暇なのである程度登ってはUターンして奴らの後ろについては、また先行してUターンを繰り返していた。息も絶え絶えな自転車たちはココロが折れそうに見えた。そりゃキツイだろう、良く自転車で箱根越えよう、とか思うものだ。

「ちょっと肩貸せ、肩」
ん?と思っていたら、ガッシと右手で左肩をつかまれた。

「やってくれ」
いわゆる「ケンビキ(牽引?)」というやつだ。田舎でヤンキーの原付が自転車の友達を引っ張ってやったりしていたアレだ。

「おおおお〜楽〜!」
後ろから来たカメに追い抜かれたヤマは
「カメ!てめえ、それはズルだろ!俺にもやらせろ!」

何が自信がある、だ。根拠のない自信はコレだったのか。
「いや〜最後もうダメと思ったら頼もうかと(笑)」

にしては降参が早かった。
この後も代わる代わる引いてやって、難所をクリアした彼らは富士山の見えるレストハウスに到着した。

「いや〜助かったよな、ヤマ!楽々で箱根越えができたぜ。ありがとう!」

ちっ!
多少昼飯には早いが、こんなベストシチュエーションで飯を食わない理由もないので、早めのランチとした。

「ん〜、俺たちは運動するから高カロリーが必要だよな、ただのカレーじゃたりねぇ、カツカレーだな!」
標高とともに値段が上がる「標高と物価正比例の法則」は箱根にも健在であり、カツカレーはなんと2000円である。そして、夕ご飯予算1人単価としても倍である。俺はこの先も旅行を続けるのでランチは絶対1000円を越さないのだ、かけうどんで結構。
てゆーか、お前ら途中から運動してねぇだろ!

「ん〜、そんで俺らは自転車だからビールも飲めちゃうもんね〜、お姉さん、瓶ビール1本!すまんね〜」
ぐぬぬぬ…、恩を仇で返すとはこのことだ。
歯ぎしりするほど悔しいが、ここで酒気帯び運転などできない。

「お前ら今日夜、酒切れたら自転車で買いに行けよ!」
「さぁそれはどうかな〜その時はジャンケンじゃね?」
ニヤニヤしながら豪華なランチを食べるヤマとカメを横目に、質素にかけうどんを食べながらこの後のルートを確認していた。

下りは早かった。あっという間に駈け下り、西伊豆の海岸線にでた。山道には慣れている、は嘘ではないようだ。バイクとそう遜色ないスピードだった。
西伊豆の入り組んだ海岸線は故郷国東の海岸線を思わせるものだったが、海はとても美しい。

夕方には土肥に着いた。
今夜の宿は海水浴場の駐車場である。
天気予報では雨の心配はないので、屋根は要らないが、気持ち、高い木の葉陰にテントを張った。
ココがいいと思った1番の理由は酒の自動販売機があること。よって23時までは酒が買えることと、コインシャワーがあることである。
ここは海水浴場の駐車場である。よってシャワーは当たり前。宿営地か川だと流れているのが真水なので夜中に入って身体を洗えるが、海だと上がった後乾いてもベタベタなので、気持ちが悪い。ここは海水浴場なのでシャワーがあって海の家もあり、サイコーである。
夕飯は近くのスーパーで調達するが、酒が切れて困ったら直ぐに調達できるのは助かる。

テント設営はヤマカメに任せ、夕飯の買い出しである。今日は餃子とレトルトミートボールにミックスベジタブル、カメが食いたいというピーマンを買った。
とうしても野菜が不足がちになる気がするので積極的に野菜を買おうとしてみる。しかし取り置けないので食べ切りサイズなどを探すが、田舎のスーパーではそんなものはなく、レタスどーん、キャベツどーんとかになってしまう。色々ちょっとずつは難しいが、冷凍のミックスベジタブルなら食えるかなと。

「マズい」

カメが文句を言う。
ミックスベジタブルがマズいらしい。
自分でも思うが、冷凍品を解凍半ばにフライパンにあけ、塩胡椒だけの味付けだと流石にマズい。
うーん、少し考えてレトルトミートボールを温め、そのソースにミックスベジタブルをぶち込んだ。

「まあ食えるかな」

俺もそう思う。デミグラスソースは偉大である。
という感じでいつも通り、グダグダと夕食の準備をしていると、カワサキのアメリカンバイク、黒のエリミネーター250が1台ソロで入ってきた。

フツーは知らんぷりしておくのだが、そのライダーは我々の野宿スペースの1台隣りに止まった。
珍しいので、じっと見ていたら、そのライダーはバイクを降りて、テクテクとこちらに向かってくる。
フルフェイスの黒いアライのヘルメットを取った顔は驚くべきことに女性だった…。
Posted at 2017/06/25 00:07:05 | コメント(3) | トラックバック(0) | 野宿日本一周
2017年06月05日 イイね!

日本一周:伊豆一周1日目その2

日本一周:伊豆一周1日目その2これまでのあらすじ:下道を走り継いで熊本から東京まで。関東に住む友人たちと自転車とバイクで伊豆一周することに。夜営初日。

「やっぱ焚き火いいだろ!」
自慢げなカメである。しかしもう既に10回は聞いたので、かなり辟易している。

「分かったって、お前、酒そんな弱かったっけ?」
思ったよりも蚊がこない。海風は多少ベタつくものの、夜風は心地よい。
友人たち、ヤマとカメは双方ともにバイクの中免を持っており、カメはアパートに兄からもらった古い本田XL250も持っていたのだが、今回は自転車での出走だ。

「移動だけのためなら乗ってもいいが、フロント23インチとかカッコ悪すぎでしょ!」
カメの野郎はタダでお下がりもらったくせに態度がデカい。

「俺はやっぱ2ストのクオーターが欲しいなぁ、NSRかTZR」
ヤマの好みはレプリカらしい。
この時代のヒーローは平忠彦。やはりTZRだろう。マンガのTo-yでもカッコいいことこの上なかった。
1度NSRに乗せてもらったが、我が愛車である250単気筒28馬力とは、回転の上がり方、馬力の出方、車体の軽さ、乗車姿勢と全てが違い驚いた。

「アレは長距離乗れないぜ、乗車姿勢が半端なくキツイぞ」
一応、乗ったことある体で言ってみるが、ヤマはバイトしてどっちかを買うのだと息巻いている。
実はヤマは数年後に念願の赤白TZRを買い、俺のZX-10とともに高速を使って大分まで里帰りをするのであるが、それはまた別の話。
今はまだバイクを持っていないのだ。

「なあ、ちょっとお前のBAJA乗せてくれよ」
ヤマがねだりに来た。

「全然いいけど、お前酒飲んでんじゃん」

「公道には出ねえさ、砂浜走るだけ。誰もいないし、ノーヘルなら気持ち良さそう。ちょっと貸してくれよ」

半ば強引にBAJAにまたがり、砂浜を走っていった。

「こけなきゃいいけどな。まあ下が砂だから大丈夫か…」

パタタタタ…遠くの単気筒のエンジン音を聞きながら、カメと明日の行程について地図を見ながら話していると、不意にエンジン音が止まった…。

「あっ、あいつやりやがったな!」

音のしていた方に2人で走っていくと、案の定、コケたバイクとひっくり返ったヤマがいた。
「大丈夫かよ、おい」
真っ青な顔をしている。

「や、ヤバかった…お前らそっち行くなよ…あぶねえぞ…」
何が危ないのか、何も見えない。

うわっ!丘に引き揚げてある船と柱の間に紐が張ってあるのだ。よく見えないので顔を引っ掛けた。
「もはや風閂だよ…」

どうやら目の前に紐が現れたので、バイクを転かして難を逃れたらしい。

「死ななくてよかったな、こんなのマトモにいったら首チョンだぜ」
笑い事ではない。飲んだら乗るな乗るなら飲むなである。

スゴスゴと焚き火地点に戻り、3人で明日の行程を検討することにした。
美大生で遊んでいそうなカメが言う。
「西伊豆方面に行こうぜ、泳ぐならあっちの方が海が綺麗なんだ。多分海でなんか採れるから食い物もタダで調達できるかも知れねぇしさ」

綺麗な海は賛成だ。しかしそれは箱根越えを意味する。バイクの俺は全く気にならないが、お前らマジで自転車であの山登るの?スゲえな。
何故かやる気満々の2人はおもむろにタバコを取り出した。

「おい、火、とってくれ」
タバコを吸わない俺はライターを持たない。
「そうじゃねぇ、焚き火の燃えさしくれっつってんの」
なるほど、少し長めの燃えさしをカメに渡すと、焚き木をブンと振り、炎を消した後に目を細めながら、赤々と焼ける木をタバコに押し当て火をつけた。

か、か、カッコいい…
いや、カメがではなく、その火をつける行為そのものが、まるでマルボロのTVCMの様だった。

「おい、俺にもやらせてくれよ」
「いいけど、お前喘息じゃなかったっけ?気管支には良いことねぇぞ」
「もう治ってんだよ、そんなのは。大丈夫だからタバコ一本くれよ」

無理やりカメからタバコを一本奪い取ると、同じようにタバコに燃えさしを押し付けた。

ん?

つかない…。

「あのな、タバコ吸ったことねぇだろ、お前。タバコに火をつけるときは、先っぽに押し付けてる時に吸わなきゃ火はつかないの。バカだね。
そうそう、そんでグワって吸うと絶対むせるから、ちょっと吸うだろ、そんで口から離せ、そう。そんで空気と一緒に吸うんだ。
そんで吐く、ふわぁ〜ってな。そうそうそんな感じよ。」

確かに俺は小児喘息だったため、自分からタバコを吸いたいと思ったことはなかった。
タバコそのものを吸いたかった訳ではなかったので
「もういいや、満足した、返す」
「バカやろ、他人が口つけたタバコなんて吸わないの、全部自分で吸え」
こうして初めてタバコを吸ったのだった。

砂浜にバタンと寝転び、満天の星を見ながら、タバコの煙をふぅわりと吐き出す。
とても満ち足りた気分で夜は過ぎていった。
(写真は拾い物です、すみません)
Posted at 2017/06/05 23:03:03 | コメント(1) | トラックバック(0) | 野宿日本一周
2017年06月04日 イイね!

日本一周:伊豆一周1日目その1

日本一周:伊豆一周1日目その1=ここまでのあらすじ==
九州を発ってはやX日。瀬戸内海、太平洋側をひた走る。広島で彼女と会いそして別れて、浜名湖の裏で豪快にこけたがほぼ無傷、その後都内まで到着した。
===========

長野で快適な旅館での一夜を過ごした後は、トコトコとR20、通称甲州街道を新宿経由で池袋へ向かうことにした。
ココからは都会すぎて道端で泊まったりなどは出来ない。東京に住む友人ヤマちゃんの家に泊めてもらうことになっている。
大分を出て東京で暮らすヤマと会うのは久しぶりだ。更にヤマの家に来るのも初めてである。
しかし今回はヤマの家で遊ぶのが目的ではない。今晩は餃子をたらふく食って翌日は美大に進学したカメと自転車で合流するのだ。

もちろん俺は自転車ではなくバイクである。
彼らの荷物を一部引き受け、彼らが自転車で伊豆一周をするのをバックアップする。
先を急ぐ旅ではない。ゆっくりと楽しむべきだ。
とはいえバイクに載せられるものも限度はあるから、重い工具、着替えは運ぶが、かさばる寝袋やすぐ使う小物は背負って、または自転車にくくりつけて自分たちで運んでもらう。
翌日、橋本のカメの家に行き部屋で酒盛りをし一泊した後、早速出発である。

酒の飲み過ぎで寝坊した我々は、昼近くになってから灼熱の中、出発をした。
バイクでの移動速度に慣れている俺は、彼らの前後を走りつつ、正直かったるいと思いはするものの、彼らも思いの外のスピードで進む。
昔、親父に内緒で自転車でツーリングして、山の中でこけたとき、こいつら真っ先に俺じゃなくて自転車の心配しやがったな…怪我はしても良いけど、自転車が壊れたら帰れなくなるから…って、この野郎ども!
ちなみにその日、頑張って自転車を漕ぎ過ぎ、私も含め5人中4人が熱中症でバテた。当時は熱中症なんて病名は聞いたことがなかったなぁ…そんなことを思いながら走っていると、あっという間に17時頃となった。

自転車のヤマとカメは野宿初心者であるから、突然の雨でも何とかなるところがいいだろう。
近くの大きな川と大きな高架道路を地図で探すと、酒匂川と西湘バイパスが見つかった。

比較的平たい砂浜を探し、雨宿りもできそうな場所をみつけた。
テントの設営の仕方を教えて、買い出しに行くことにした。
「ビールは1人3本まで、おかずとツマミは野菜炒めとソーセージとかでいいか…」
適当なメニューを考えながら、来る途中に見つけておいた地元スーパーから戻ると、ヤマとカメが2人で眉間にシワを寄せている。

「どうした?テント、立派に出来たじゃん。おぉ、なるほど、1.5人テントに3人寝るため前室にタープを使って一人分の寝床を確保したと。やるじゃん。」

「まあな。ところで、この即席の寝床に誰が寝るかっつー問題が残った訳だよ。テントの中は暑いが虫刺されはない。テントの外のタープ下即席寝床は涼しいかもしれないが、露出した肌は虫の餌食だろう。さて…」

3人は顔を見合わせる。

「ジャンケンだな…ジャンケン…ポン!」

負けたのはヤマである。

「まあ、気を落とすなよ、ビールでも飲んで楽しくやろうぜ!」

勝った2人は気楽なものだ。
調理担当は俺。いつも通りバーナーで飯盒炊きを開始し、暗くなってきたのでガスランタンをつけた。そして宴会開始である。

「このランタンいいなぁ、ホワッと明るいこの感じが和むよな」
ジャンケンに負けたヤマも男3人野宿に気分がアガッてきた様子だ。

「俺はなキャンプには焚き火がマストだと思うわけよ。ガスランタンは合理的だが、雰囲気は絶対に焚き火が上だ。」
カメが熱弁する。

「異論はないけど、焚き木集めたり火をつけたり面倒じゃねえかよ。」

ふふふ…釣りを趣味とするカメが、釣りの際に頭につけるライトを点けて、笑いながら何処かに消えた。

残ったヤマと俺は、プロ野球ナイターを聞きつつ、バイクの話をしながら楽しくビールを飲んでいた。不意に後ろでドサッという音がして、

「どうよ!」

という声とともに、大量の流木が砂浜に集められていた。

「おっ、マジで集めてきたんか。んで、どうすんのこれ?」

まあ任せとけ、と言ってカメは流木を器用に組み上げ始めた。火つけのボロ雑誌まで拾ってきている。自分がやりたいことは徹底してやる奴だ。自分のライターを使ってあっという間に立派な焚き火ができた。

「すげぇな、才能じゃん、これ」

見事な手際に驚いたので、奮発してソーセージを2本焼いてやった。

「な?ちょっとガスランタン消してみろよ、雰囲気出るぜ。」

消してみると、確かに素晴らしい。
男3人が焚き火を真ん中に野宿しながら、野菜炒めとソーセージをつつきつつ、飯を食いビールを飲む。椎名誠の世界である。

しかし…
「打った〜!原辰徳、ホームラーーン!」
ラジオは消した方がよさそうだった…。
Posted at 2017/06/05 08:44:44 | コメント(5) | トラックバック(0) | 野宿日本一周 | 日記
2017年01月05日 イイね!

日本一周6日目:静岡から長野

日本一周6日目:静岡から長野前回までのあらすじ
浜名湖裏で転倒するも軽傷、天竜川の支流で野宿。彼女への想いは吹っ切れ、気持ちは再度日本一周へ。

====
結局降りそうで降らないまま夜は明けた。
曇ったままではあるが、グッスリ眠って爽快な気分だ。
ツーリングの途中で
「野宿では全く体力が回復しないですよね」
という人に会ったことがあるが、私は全くそうは思わない。家で寝るのと同等、は言い過ぎだが、充分に休息できる。
体力が回復しない人というのは、キチンと眠るための準備を怠っているのではないかと思う。私流のキチンと眠る準備とは、以前にも書いたのをまとめると、

1.デコボコがなく平らなところ
2.場所が斜めの場合は頭を高いほうへ
3.下に敷くロールマットはアルミ側を下に
4.北枕は避ける

こんなところか。使っている寝袋自体はホームセンターで2000円くらいで売っていた安物なので、寝具というよりは寝る場所が大事な気がする。

朝ごはんのルーティンである味噌雑炊をこなし、食べられるだけキレイに食べたら、川に降り、飯盒やフライパンをキレイに洗った。
ついでに顔も洗った。
割とキレイな川ではあるが、流石にそのまま飲めるレベルではない。ただ飯盒などは今日の料理の際には水でゆすいでから使えば問題ないレベルだ。

実は爽快な気分には訳がある。昨日の夜のうちに素っ裸で川に入り、身体や頭を洗っておいたのだ。転倒してえぐった左肘は心配だったので、川の水ににつけないように気をつけたが、非常にスッキリした。
夏の川はこういうことが出来ていい。海だと入って洗ってもベタベタになってしまうし、夏以外では寒くて川に入れない。今朝は汗も流してスッキリ走り出せる。

実はここから東京までは目と鼻の先であり1日で着いてしまう距離であるが、友人たちの予定がまだ空いていない。
となれば、最近不足気味の林道オフロード成分を混ぜ、時間を稼ぐことにしよう。
太平洋側を東に進むのをやめ、長野方面に北上することにする。
そうそう、昨夜川に入ったとはいえ、たまには広い風呂にも入りたい…。

という訳で、今日の目標は林道を走ること、広い風呂に入ること、にした。
地図を広げていつもよりルートを念入りに検討する。公共事業対策もあって、全国的にオフロードは減っている中、あえて人が来ないであろう不便な道を探すという真逆感が良い。
トコトコと走って適当な山の中に入って、あたりをつけてダートの砂利道に進入した。

割と狭い道幅だが、軽トラ一台は通れる。両脇は杉林であり、転落などの心配はない代わりに景色が良くない。薄暗い林道をひた走り、ブラインドになっている右コーナーを抜けると道に倒木が斜めに立てかかっていた。

少し驚いたが頭を振ってバイクを立てたまま、倒木の下をくぐる。
倒木が下に落ちていたら、これまた大転倒だったかもしれない。こんなところで動けなくなると、昨日の比ではない。いつ人が通りかかるか分からない中、動かないバイクの側で怪我をして待っているのはツライ。運が良いと自分でも思う。

少し調子に乗っていたと反省し、ゆっくり走っていると、舗装路に合流した。
地図と照合するが、多分の位置しか分からない。こういう時は時間を確認して、太陽の方向から方角を確認する。そろそろ正午になるので、中天にかかる太陽が作る影は北である。方向的には北上していたはずなので、北に向かう方面にハンドルを切った。
程なく「茅野」という地名が出て、方向が間違っていないことを教えてくれた。

もう1つの目的地である「大きな風呂」であるが、茅野市の向こうにある諏訪湖の湖岸に「千人風呂」という地域住民たちの福利厚生の一環で1度に1000人入れるという大きな風呂があることを地図で確認しておいた。
観光地なので、普通の銭湯と比べると割高であるが、時間には余裕があるし、話のタネに良いだろうと思い立ち寄ることにしたのだ。

程なくして千人風呂に到着した。
コンビニで買っておいた食料を食べ腹ごしらえをしてから、入館料を払って風呂に入った。

久しぶりの広い風呂は大変に気持ちが良かったが、どう考えても1000人入れるような風呂ではない。確かに広い風呂ではあるが、ここに1000人入れたら、全員立って隙間なくギュウギュウに風呂に浸かることになる。確かに風呂桶自体は1.1mの水深と深く、座って入る風呂ではないのだが。
実際には「広い」というアピールのためのものだろう。内容通り100人風呂でも充分な気はするのだが。

久しぶりに気持ちと時間に余裕があったため、いわゆる諏訪湖の付近を観光してみることにした。
こうしてみると観光地というのはやたらと土産物屋があってゴチャゴチャして見える。そして人が多過ぎるとも思う。無駄に商品単価も高い。土産物屋に売っているもので心から欲しくなるものなんてあるだろうか。
土産物屋さんに大変に失礼なそんなことを考えながら歩いていた。

実は既に15時を回っており、いつもであれば野営地を決定していなければならない時間だが、今日は野宿しない予定なのだ。
親から譲り受けた林野庁ゆかりの宿泊施設に安く泊まれる権利を使って1度、施設に泊まってみようと思う。
2食付きで6500円と通常の宿としては安いが、今回の野宿旅としては破格の単価である。
ゆっくりと用意して宿に向かった。

(タイトル写真はグーグルマップの1000人風呂)
Posted at 2017/01/08 04:37:18 | コメント(3) | トラックバック(0) | 野宿日本一周

プロフィール

「ボスに盗塁のサインとか出るわけねーだろー!!」
何シテル?   06/08 14:44
ひでエリ です。よろしくお願いします。 エリーゼを愛し、ナナちゃんを愛し、ロッテを愛し、酒、マンガを愛しています。 サーキットも走っていましたw 袖ヶ浦フ...
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2024/08/19 12:09:39
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