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2016年12月23日

C43のフロントサスペンション

C43のフロントサスペンション 981/991 系のポルシェでは、パーキングスピードレベルで大きくステアリングを切り込むとフロントのタイヤから「ボリボリ・・・」とタイヤが接地面で捩られ、引き摺られるような音と振動がします。人によってはサスペンションアームが振動するかのようなフィーリングまで感じるようです。通常のクルマではこのようなことは発生しませんが、これは所謂アッカーマン・ジオメトリーでセッティングされているためです。

アッカーマン・ジオメトリーでは、低速でスムーズにクルマを旋回させるために内側のタイヤと外側のタイヤの切れ角が異なり、内側の方がより大きく切れます。これは4輪の旋回円の中心を一致させ、内側と外側のトレッド=旋回円の中心からの距離の違い=回転半径の違いを吸収させるものです。

一方パーキングスピードを大きく超えてくるとコーナリングフォースはタイヤが全体的に微妙に横滑りしながら発生するようになり、旋回円の中心の一致はあまり大きな問題ではなくなります。ところが、アッカーマン・ジオメトリーでは転舵時にかなり大きなトーアウトが付いていることになります。そのためスピードが上がった時のステアリングの反応、フィーリングが落ちます。外乱による影響も強くなるはずです。レーシングカーでは低速時のスムーズさは全く不要なのでアッカーマン・ジオメトリーは取らず、ほぼ左右タイヤが平行に転舵するようなジオメトリー=アンチ・アッカーマンでセッティングされています。そして、981/991系のポルシェも同じくアンチ・アッカーマンでセッティングされており、そのためにパーキングスピードで「ボリボリ・・・」が出ます。

さすがポルシェ。低速時よりスポーツ走行でのフィーリングを優先させているんだな。うーむ。

とか納得していたら、実はC43もアンチ・アッカーマン・ジオメトリーなのです。C43のフロントアクスル周りは通常モデルと全く異なるジオメトリーで、静的にもトレッドが広く大きくネガティブキャンバーが付けられているのが見た目で分かります。そしてさらに大きな違いがステアリング・ジオメトリーで、通常モデルがアッカーマン・ジオメトリーなのに対してC43はアンチ・アッカーマン・ジオメトリーなのです。

C43のステアリングフィールは街中を走っている限りではそれほど路面のフィールを伝えないように感じるのですが、ペースが上がるとC200よりもフィーリングが良くなり、正確性はさらに上なのです。ネガティブキャンバーの強いサスペンションのジオメトリ、このステアリング・ジオメトリーの違いも相まってスポーツ走行時のステアリングフィールが別モノになっていると思います。

そして、さらにまだ大きな違いがあり、フロントのアップライトが全然違うのです。一目見て分かるほどC43のアップライトはゴツい。初めて見た時、ウヘーって唸ってしまいました。


C200のアップライト



明らかにゴツいC43のアップライト

ゴツいだけではなく、アンチ・ロールバー・リンクの取付点も全く違い、もう本当にコンセプトから設計まで完全に別モノと言って良いでしょう。改めて画像を確認すると、ロアアームの形状、太さも全く違いますね。


C200


フロントサスペンションは全く別モノであることがよく分かる。

そしてダンパーはビルシュタインの別体タンク付き。ダンパー自体に応力はかからないはずのダブルウィッシュボーンですが、ダンパーの径がこれまた全く異なりかなり太い。



おそらくこの辺りはC63と共有部品も多いのでしょう。雑誌やインプレで揶揄されることも多いC43ですが、こういった違いを発見するにつれC43がただの3リッター版ではないなという思いを強くするのです。
ブログ一覧 | Mercedes | 日記
Posted at 2016/12/23 09:14:29

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この記事へのコメント

2016年12月23日 9:54
四半世紀前w、日産でクルマ売ってた頃。

BMW持ってたお客が「欧州車は小回りする時内側のタイヤがナナメに倒れ込むんだよ~」
だから車格のワリに小回りするのだ、と。
日本車には無い機能だろう、と。w

なんて言ってたのを思い出しました。
コメントへの返答
2016年12月23日 11:58
色々とツッコミたくなる発言ですね。(笑)
ナナメなのはキャスターが大きいからで、それはどちらかと言えば小回りよりは直進性などのためだろうし、四半世紀前ならBMW 3シリーズのフロントがストラットなのに対してP10プリメーラやR32はマルチリンクを奢ってましたからね・・・。欧州車にはない贅沢な作りでした。小回り?何ソレ?シャシー世界一目指してんだから。てな感じですよね。それでも当時のE36 3シリーズのシャシーに総合的に勝てたかというと分かりませんが・・・

まぁでも実際のところ小回り性能が良い車は本当に扱いやすくて楽です。狭い駐車場など苦にならなくなりますからね。
2016年12月23日 10:17
こんにちは。

詳細なUPためになります、、というか、よだれが出ます(;^_^A。

私が買うためにはさらにC43(C450)は半端扱いされてほしい(中古が買えるように(;^_^A・・・)のですが、個人的には当初から(さすが)と思っていた通り、テストドライバーと設計者が自分のために作ったんじゃ、、と思うぐらい本格的見直しがされているなと思いました。

一つにはC63のキャパを持つシャシー(サス)に変更されていること。それは恐らく4WD化が一つにはあったと思います。私が推測する違いはFRと比べて
①キャスター角が多分減っている
②トルクリアクションが加減速両面でかかるためブッシュやナックル強度が違う
③パワステ(IPS)が違い、アシスト倍率高くして、レシオは下げてる?、比バリアブル化もさすがだなと。
④ダンパー容量の大幅アップ(径が太いと同じストロークでも流量は大きくなり特に微動作時の感度が高い(コストが高い(;^_^A)
というところでした。またアッカーマンについてはメルセデスは小旋回半径の代名詞みたいに切れるので、アッカーマン効果が大きいですが、AWDでCVジョイント揺動角の制約上、そこまで切れないのでパラレルリンクに近くしてるのだと思います、③とも絡む。
⑤スタビの結合をナックルに移して、レバー比を稼いで初期から利かせている。
etc

ネガキャンにして舵角大きく切ると、幅広タイヤでは(可変キングピン角の影響もあって)接地点は外輪も内輪も旋回内側方向の車体後ろ側に、(特に内輪は大きく)ズレることで、アッカーマンに実質近づくジオメトリにしてるかと思います。 いずれにしろ車体ロールが増加するような速度まで引っ張ると、そのジオメトリもタイヤのスリップも加わり、旋回半径に余り意味がないし、それよりも操舵へのセンタリング反力のフィールを重視しているのだと思います。(これらの動きはコンピュータ上でなく、テストドライバーが現実の負荷をかけて、セットしたハズ(メルセデスなら)と思うので、そのあたりもよだれの出る要因ですw。)
そして恐らくはWボールジョイントナックルを生かして、ハイスピード峠での外輪側の対地キャンバー(ロール+舵角に対し)を最優先したジオメトリでは???と勘ぐってるのですが。

CクラスはFRしか試乗したことありませんが、FRとしてはとてもフロントサスのキャパが大きい(ダウンヒルが楽しそう)とほれ込んだ経緯が有ります。しかしAWDの操舵フィールはどうしても駆動トルクによって、加減速でフィールが変わる(それを消すとインフォメーションも消える)ことから、スッキリ澄んだフィールが出ないのが残念ポイントなんですが、C43系はそれに挑戦した作りなのでは、、と期待しておりますが・・どうでしょうか?。
コメントへの返答
2016年12月23日 11:58
こんにちは。
本当に想像以上に大きく見直しされているんだな、という感じですね。色々と分析ありがとうございます。勉強になります。

①キャスター角は減ってますね。それでもまだ大きめのキャスターです。
②そうですね、剛性向上は4WD化のためにも、というのはありそうですね。C63は今のところFRのみですが、E63のように将来の4WD化を見越しているかもしれないですしね。
③ステアリングのレシオは固定なのはとても良いですね。レシオはそれほど下がってないかもしれませんが、クイック過ぎることはないですね。
④ダンパー容量は仰る通り初期応答性を狙ったものでしょうね。別体タンクまで付いているところを見ると大容量で熱ダレを防ぐというのもありそうですね。ビルシュタインということはモノチューブのダンプトロニックということになると思いますが、もう少し初期は動いて欲しい感じはあります。一方でコンフォートだと明らかにワインディングや超高速域では減衰が足りず、スポーツ以上に固定する感じです。ダンパーのセットは個人的にはもう少し詰めて欲しいところ・・・
⑤確かにレバー比を稼いでいるように見えるのですが、アップライト結合部分のブッシュが随分大きいように見えません?初期を逃しているように私には見えました・・・。つまりもっとプログレッシブな実効レートを狙っているのでは。

このシャシーは、明らかにワインディングでのハンドリング、フィーリングを重視していると思います。何しろただでさえ限界の高い素のCクラスから様々な変更で数段フロントのキャパが上がっています。そして重要なのは、素のCクラスでは限界時のバランスがしっかりアンダー傾向だったのに対し、このフロントサスのキャパ向上で相対的な限界バランスとしてリアが低くなるセッティングなんてメルセデスっぽくないですよね。それくらいコーナリングに振ってる感じがあります。操舵フィールについては、トルクリアクションも濁りもそれほど感じないのですが、残念ながらインフォメーションもそれほど残っていない、というのが正しい評価かと思います。素のCクラスよりは描写力は高いと思いますけどね。
2016年12月24日 9:37
おはようございます!
C43AMG,いい造り込みしてますねー!
こういうのを知ると、熱い気持ちがこみ上げてきますねw

991以降のポルシェ(981もそうですが、マカンなどのSUVモデルもそうだそうです)も純正で採用している非アッカーマンジオメトリーの件ですが、どうも電パと関係あるんじゃないか…
というのが私たち素人ながら友人関係でささやかれている予想です。
金属ベルトを介してボールナット機構を減速してパワーアシストを伝達する方式の電パを採用している991や981系ですが(メガーヌRSなどのコラムに直接取り付けてるタイプじゃないタイプ。BMWなども確か同じような形式だったと思われます。)そういう形式をとるだけでも、電パのデメリットが顔を出しにくい機構なのですが、さらに非アッカーマンとする事で確実な手応えも作り出しているんじゃないかなー?
と私たちは思ったんです。
久しぶりにカートに乗って(カートは完全パラレルで前輪切れるんで、非アッカーマン)そのフィーリング(手応え)を感じて、近からず遠からずで981に乗った時に似た手応えを感じて「なるほどなぁ」となったワケです。

GT3などの役付きモデルだけならスポーツ性能重視で非アッカーマンというのは納得できるんですけど、素モデルから採用するあたり「さすがポルシェ…というか、911もボクスターもスポーツカーだなぁ」なんて思っていたところ、マカンとかも採用していると聞いて「あ、ひょっとして電パだからかな…」と思うようになりましたw
コメントへの返答
2016年12月24日 20:28
こんばんは。
そうですね、こういう造り込みがされていると気持ちが入っていきますね。見れば色々と細かく違うところがあって、それが意外に乗って差が分かったりするので侮れない。(笑) 例えばトランクのリップに素にはない小さなスポイラーが付いているのですが、小さいながら結構な迎角が付いていてこれが超高速だとしっかりダウンフォースが効いたりとか。

ポルシェのステアリング・ジオメトリーの件、今まで考えませんでしたが仰る通りEPSと関係があるかもしれませんね。ポルシェのEPSはウォームギアをベルトで回すラックアシストタイプのようですね。EPSとしては相当優秀な方だと思いますが、一昔前の油圧と比べるとどうしても多少落ちますもんね。うん。本当にそうかも。しかしマカンまでアンチ・アッカーマンとは知りませんでした。結構な距離乗ったんですけど。(笑)

ちなみにラックアシストタイプは、エンジンベイのレイアウトに多少は余裕のある縦置きエンジン系=Dセグ以上ではタイロッドの前引きと合わせて組み合わせるのが割と定番ですね。メルセデスもアウディもDセグ以上はラックアシストだと思います。
2016年12月24日 12:01
こんにちは。内容がスペシャリストですね。4年経ってようやく、あの音の原因がわかりました。毎年、秋くらいからゴロゴリいいはじめて、不快だったんですよね。こわれるんではないかと思って(^^)。解消しました、ありがとうございます!
コメントへの返答
2016年12月24日 20:29
こんばんは。
スペシャリストだなんてとんでもない。知識も経験も中途半端なオタクですよ。(汗)Linpeiさんのお話は以前伺った気がしますが、ディーラーでも原因不明とか仰っていたように記憶していたので違う話かと思ってました。流石にディーラーはこの話は知ってるはずで・・・。(^_^;) でも接地面がズレるような感触があるなら、ほぼコレだと思います。
2016年12月24日 15:40
はじめまして♪
10月末からC43に乗り始めた者です。

詳細な御解説記事、とても分かり易く為になりました。
今後とも参考にさせて頂きます。
唐突なコメント、失礼しました。
コメントへの返答
2016年12月24日 20:30
初めまして。コメントありがとうございます。
10月からということは、9速になった新型でしょうかね。C43って追加モデルですし、試乗記は表面的なことしか書かれてないし、意外に情報少ないんですよね。試乗レベルだとエンジン以外の良さも分かりにくいですし。これからも気が向いたら是非お越しください。コメントもお待ちしてます。

そういえば私もハワイ好きです。ここ2年行けてませんが、来年こそは、と思ってます。大体行くのはカウアイ島かマウイ島ですね。
2016年12月25日 2:21
はじめまして.私も新古車で買った7速のC43です.
エンジン,ブレーキのお話もそうでしたが,今回も大変勉強になりました.先日ビルの駐車場に停めるとき.フルにハンドルを切って曲がったら,ゴリッとなって何か踏んだのかと思いましたが,きれいな駐車場で何も落ちていず,壊れてるのかと不安になりましたが,謎がとけました.ありがとうございます.これからもこちらで勉強させていただきます.
それにしても高速域でのコーナリングは前車C250と比べてフロントのグリップがすごいので驚いています.こんなクルマは初めてです.
コメントへの返答
2016年12月25日 6:58
初めまして。コメントありがとうございます。
上でも書きましたが、所詮中途半端なオタクの駄文ですが、これからもお越し頂ければ幸いです。

ステアリング周りから出るあの音と振動は最初は驚きますよね、きっと。メルセデス辺りだと営業も機構自体知らない人多そうですし…。

Chikuttoさんも私と同じく素のW205からC43への乗り換えなのですね。この2つのモデルの間にある大きな違いを分かって頂ける方、共有出来る方がいて嬉しいです。(笑)

それにしても本当にフロントグリップの向上幅、ハンドリングの違いは大きいですよね。メルセデスに対するドライバーズカーとしての期待値は高くなかったですし、ドライバーズカーならBMWでしょう、と思っていたのですが、C43でかなり見直しました。
2019年1月7日 19:20
Tetsuさん こんばんは(*^^*)
このブログをみん友さんに教えていただき、とても勉強になりました(*^^*)
というのも昨日C43を乗る機会がありまして、出だし、ステアリング切ったらタイヤが『カコカコカコ』みたいな、なんか当たってるような感じでびっくりして…(´ω`)
とても詳しく分かりやすく有り難かったです(*´ー`*)
コメントへの返答
2019年1月7日 19:55
こんばんは。コメントありがとうございます。

あの感じは最初は「???」となりますよね。C43は特にフロントに駆動が入るので顕著に出ますから。原因というか仕様が分かればそれで済むんでしょうけど、トラブルだと思ってしまうと大変なことになりますよね。だって直そうにもそういう仕様なんですから。(笑)

問題はディーラーの人間も良く分かってなくて説明出来ないケースがあるみたいなので、そこはどうかと思いますね・・・。
2019年11月18日 13:53
2018年のE63Sに乗っています。同じ症状で困っていました。このたび、タイヤ交換を行い症状が随分改善したので、参考までにお伝えします。ピレリのpzeroが付いていたのですが、今回交換したタイヤはミシュランのPS4Sです。265/35/20です。お役に立てれば幸いです。
コメントへの返答
2019年11月18日 15:32
こんにちは。
情報ありがとうございます。そうですか、PS4Sで改善されましたか。ミシュランは柔らかめなので感じにくいのかもしれませんね。本質的にはジオメトリーの話なので、どんなタイヤでもレベルは違えど出るはずで、PS4Sでも溝が減ったりしてトレッド面の柔軟性が下がれば出ると予測します。
因みにボリボリ鳴るのが正常なので、私自身は全く気にしておりません。(^^;; 情報ありがとうございました。

プロフィール

「@Sekiai さん 初めて見ました!こんな動きだったんですね。ツインシャシーとは知ってはいたものの、どういうことなのか全く分かっていませんでした。」
何シテル?   08/09 09:35
10年以上続けていた2輪レース活動を休止し、のんびりとバイク/クルマ生活を楽しんでます。今はやる方ではなく観る方に変わりましたが、モータースポーツは2輪・4輪問...
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