
ジャガーのF-PACE。ポルシェ・マカンの出来が非常に良く、F-PACEはそのマカンの非常に良いライバルだというので将来のC43のリプレイス候補として乗ってきました。都内のジャガー・ランドローバーのお店には何回か行ったことはあるし試乗もしているのですが、ここのお店は試乗コースが最悪で、確実に渋滞する幹線道路をせいぜい10-15分くらいしか乗せてくれないので違うお店に行ってきました。今回は高速道路も含めて1時間前後乗ることが出来ました。
さてF-PACEとマカン、X3のサイズは以下の通りです。
F-PACE : 4740x1935x1665, WB = 2875
Macan : 4680x1925x1625, WB = 2805
X3 : 4665x1880x1675, WB = 2810
こうして見るとライバル各車より数cmレベルでしか違いはなくほぼ同じ大きさ。ただしホイールベースは長いんですね。(ちなみにF-PACEのホイールベースはXEよりも40mm長い。)しかしデザインというのは不思議なもので、曲線を多用したマカンに対してボクシーなF-PACEの方が明らかに大きく見えます。実際マカンの方がキャビンを絞った造形でかつリアホイール中間くらいでルーフを切りハッチに繋げているのに対して、F-PACEの方はホイール後方までルーフを引っ張っており、室内・ラゲッジの広さとも明確にF-PACEの方が広いですね。
このF-PACEは全体の80%をXEやXFと共有しているらしいですが、ということは基本的にアルミモノコック。ただしフロアのリア後半はスチールとされています。サスペンションもアルミが多用されていますが、ジャガー曰く軽量化よりは剛性を優先したとのこと。
こうしたアルミニウムの多用で軽くなるかと思いきや、これはジャガー各車そうなんですが重いんです。(笑) F-PACEはマカンより重いですし、XEのV6は4MATICのC43より重いんです。少なくともスペック上は。マカンもC43もモノコックのメインはスチールですから、不思議なものですよね。
試乗したのは35t R-Sportという、ガソリン V6 3L スーパーチャージャー仕様。340ps / 450Nm というスペック。マカンのSと同じくらいですね。早速乗り込みます。この手のSUVは慣れないので、どういうポジションに合わせるのが適切なのかあまり分かってません。(苦笑) ランドローバーで言われるコマンドポジションじゃなさそうですし、スポーツカーほど低く座らせるものでもないでしょうし・・・。とりあえずセダン的なポジションに合わせました。メーターは驚いたことにフル液晶です。ナビもIn control pro。
従来の時代遅れのDVDナビがいきなり現代的になってました。ナビ画面は大きくて良いです。しかしメーターはナセルの形状と違って中に四角い液晶モニターを配置しているため後付け感というか最初から液晶モニターとしてデザインされたようには見えませんね。まぁ四角いからこそこうして地図を表示させても自然な感じに見えるのかもしれませんが・・・。
アウディのデザインの方が余程美しいと思いませんか。
とりあえずポジションを取ると視界良好。ステアリングも丸いし悪くありません。しかし相変わらずのロータリー式シフトノブ、そしてドライブモード切り替えのスイッチは非常に使いにくいですね。ドライブモードの切り替えは滅多に触らないという前提なんでしょうけど、私は結構切り替えるのでステアリング上に欲しいです。だからBMWのMドライブがベスト。(そこはボクスターもC43も不満。最新ポルシェのクリクリ回すのもイマイチ)
走り始めると、やはりステアリングとブレーキのタッチの自然さは素晴らしいですね。明らかにジャガーはここに気を遣っています。まずはノーマルモードでしばらく走ります。乗り心地は悪くないですが、可変ダンパーを使っているのでもっと柔らかいのかと思っていました。思ったよりボディが揺すられる印象。同店で他に試乗した人はF-PACEの方がマカンより柔らかいと言っているようですが、マカンの方が初期が動くように感じます。一方で大きくストロークするシーンでは良い感じで動き、ダンピングも効いています。しかしクルマがやっぱり重い。まぁ2トンもあるんだから当然ですが。でもこれは運転しやすい。スロットルのセッティング、ステアリングのゲイン、ブレーキのリニアさ、全てが自然。(もちろんアナログ時代のクルマほどじゃありませんが)気持ち良く走れます。ただしトルコンの甘さと車重のせいで、踏んだ時は少しラグを感じます。スーパーチャージャーなのでエンジンの方は確かにラグがないのですが、トルコンのスリップで結局ラグがある。思ったより簡単にロックアップを解除するセッティングみたいですね。
高速道路へ入ると、ビシっとした安定感が素晴らしいです。空力も悪くなさそうです。最近の4WDはC43もマカンもそうでしたがあまり4WDを感じさせませんね。F-PACEはフロントへのトルクはせいぜい10%程度のようです。ロールも極めて少なく高速コーナーでも安定しています。ワインディングは走っていないのですが、いくつか挙動を試したところ前後の荷重移動によるピッチングは結構起きます。つまりメインのスプリングはそれほど硬くなく、硬めのアンチロールバーによってロールを規制しているようですね。コーナリングでは2速、3速程度の低速コーナーから5速、6速の高速コーナーまでスロットルによる姿勢変化、旋回軌跡のコントロールがしっかり出来るタイプで、この時のリニアリティも高いです。スポーツカー的なハンドリングと言えると思います。
エンジンは340psのスーパーチャージですのでレスポンス良くトルクを出しますし、上が回らないかというと全然そんなことなく、正に大排気量NA的な特性に感じました。ただし前述したトルコンのスリップがあるので、特に低回転域ではMT+NAのような自然なレスポンスとトルクの出方ではありません。スロットルのマップの問題かもしれませんけどね。全体的にはターボながらDCTを採用するマカンの方がスロットルに対する挙動のレスポンスは優れていて自在感があるように思いました。また、マカンはボアxストロークが96.0x69.0mmと驚異的なショートストロークで、走らせても上まで回りたがる気持ち良い特性ですが、F-PACEは84.5/89.0mmとロングストロークで割とフラットな感じです。
F-PACEとマカンを走らせて何が一番違う印象かというと、それは一体感でした。F-PACEもとても良いハンドリングなのは間違いなく、フィーリングは自然でコントロール性の良さも抜群です。しかしハンドリング、ドライブトレイン、車体に感じるマス含めてマカンの方がより一体感がある。そしてチョイ乗りレベルでもマカンの方が「良いもの感」がある。F-PACEは数々の賞も取っており、海外のインプレを読んでもマカンより評価が高かったりしますが、私はマカンの方が楽しかったですね。
一方で普段使いの実用車として考えると、これはF-PACEの方が実用的でしょう。まず室内、ラゲッジともF-PACEの方が大きいです。それも微妙ではなく結構違います。それからトランスミッション。活発に走らせる時はマカンのDCTの方が良いのは間違いないのですが、街中を含めた普段使いではトルコンのスムーズさの方が好ましいでしょう。しかし普段の実用性が重要だというなら、このクラスのSUVは他にもX3、GLC、Q5などがあり、加えてアルファ・ロメオのステルヴィオも入ってきます。マカンとF-PACEは両車とも他とは次元の異なるスポーツ性を持ったクルマで、走りと実用性のどこにバランスを置くかで選択が変わりそうですね。
今の私はスポーツ性と実用性の両方が欲しいので、F-PACEかも。でもマカンの乗り味は捨て難いんだよな〜・・・。この勝負はなかなか甲乙付け難いです。
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クルマ | 日記
Posted at
2017/07/24 16:50:13