
ボクスターを12ヶ月点検に出したのですが、そのタイミングで911をお借りしました。991型の911は今までにカレラ4カブリオレとカレラSの2台ほどをお借りしてまして、インプレ(
カレラ4カブリオレ、
カレラS) も上げました。しかしマイナーチェンジ後のモデルは初めてです。
今までの2台ももちろんデモカーではあるのですが、ある意味少し特殊な仕様でした。カブリオレはかなり見た目に振った仕様で、非常に凝ったインテリアの仕様を選びPASMが付かないノーマルサスペンションに20インチ。カレラSは走りに振った仕様で、インテリアはスタンダードに近く、しかしPASMスポーツシャシー、そしてパワーキットというエンジンをGTS相当の430psにするキットが組まれた個体でした。今回の991.2は素のカレラでシャシー関係はノーマル。そして19インチでした。ただしインテリアを豪華に仕立てガラスルーフも付いており、仕様的には前述したカブリオレに似ています。これはなかなか興味深い仕様で、地味なボディカラーも含め普段使いがしやすいという素のカレラの良さを伸ばすような仕様であり、これはこれで見識かな、と思えます。
インテリアの紺+アイボリーという組み合わせが非常に素敵です。また、ピラーとルーフライニングはアルカンターラになっているのもとても良いですね。ステアリングコラムのレザーはまぁ拘りというか要らないというかw。ガラスルーフも私は好きなんですが、911を自分が買うとなったら・・・重いから選ばないかもしれませんね。それならいっそカブリオレに行ってしまいそうです。
街中から高速では、極めて快適。乗り心地も充分に良く、ターボのトルクを活かしてNA時代よりも楽に余裕を持って走れます。高速ではターボのトルクで追い越し加速はかなり良くなっていて、あっという間に200まで行きますが、とは言え素のカレラでは370psなので476psに慣れた身体にはさほど刺激的な速さは感じません。この辺はやはり少し不感症気味になってますね(汗)。また、これはC63もそうなのですが、低いギアにシフトし過ぎて回し過ぎると、トルクが落ちているので強烈なキックにはならず、4000-5000rpm辺りのトルクを使って加速する方がおそらく速いですね。このエンジンをNAっぽいと評するインプレが結構あるのですが、どう考えても全く違います。確かに明らかな頭打ち感も少なくターボラグも少ないですが、しかしNAのレスポンスからすればどうしても落ちます。例によってフェイクでタコメーターをビンビンに動かすのとw、音は確かにターボっぽい低音だけではなく回すと吠える感じもあり、かつトルクが厚いので感じにくいのかもしれませんが。だから回して楽しいエンジンかというと、やはり違います。それはやっぱりNAの勝ち。
シャシーのスタビリティも良く、本当に気楽に高速を飛ばせます。正にグランドツーリングカー。あまりに普通に乗り心地良く乗れてしまうので特別感というか非日常感があまりありません。これは素のカレラのキャラクターであり良いところでしょう。
ワインディングへ入り、伊豆スカのような高速ワインディングを流し始めると段々と真価を発揮。高いボディ剛性、旋回性、トルクの太さで、気持ち的には3−4割程度の踏み方で気持ち良く飛ばせます。この時の快適性も素晴らしく、ノーマルだと減衰が足りないのですがSPORTなら充分。無駄なシフトダウンもしないので、このSPORTで流すのが気持ち良いです。
いよいよホームコースで全開、モードはSPORT+。借り物なのでESPは流石に切れません。(汗) ブレーキングから2速へシフトダウンし荷重を残しながら鋭くターンイン、ABSが効きながらのターンインですがやはりリアは踏ん張ります。そしてかなりのロール。でも巻いていくような挙動ではなく前後バランスは綺麗です。そのままスロットルを入れていくとLSDが無いのでイン側がスピン、そのままステアを戻していくとイン側がグリップし、弱アンダーで4輪がスライドするような形で斜めに立ち上がって行きます。実はこの辺は以前乗ったスポーツシャシーと相似形で、驚きました。スポーツシャシーではここまでロールもなく、カレラSにはLSDもあったのでイン側のトラクションが使えるのでロスなく物凄い勢いで立ち上がって行くんですが、ノーマルシャシーのオープンデフではそこは違う。しかしターンインや、グリップした後の立ち上がりでのシャシーバランスはかなりの相似形。これは2速を使う低速だけでなく4速までも綺麗に相似形の挙動で、そこも素晴らしかったです。
そしてやっぱりRRはトラクションが良くかかるんですね。C63が意図的(?)にトラクションが低いので、余計に感心しますね。370ps 450Nmを2輪で余裕で受け止めてますから。イン側を掻いちゃうのは過大なロールを許すサスセットとデフの問題ですし。実はホームコースではない某所でZ34のチューンド、NISMO 380RSというのとバトルになりました。こちらが後追いで、向こうが相当速かったのと少しマージンを残していたので最終的には振り切られてしまったのですが、立ち上がりではZがリアをスライドさせているケースも多く、トラクションの差で縮まるんです。ちなみにZは完全なサーキット仕様。エンジンは吸排気だけで400ps程度らしいですが、ロールケージにフルバケ、キャリパーも交換、デフオイルクーラーまでぶら下がってました。タイヤはディレッツァZⅡと言ってたと思います。それでもトラクションは全然ノーマルの911の方が良いわけです。そしてこういう全開モードやバトルシーンでならターボラグはほぼ感じないと言って良いでしょう。かつトルクがあるのでとにかく速いです。でもカレラS+パワーキットで感じた高揚感はやっぱりないんですね。
久しぶりに相当楽しめましたし没頭出来ました。ボクスターでも楽しめるし没頭出来ますが、やっぱりスピードが一段、二段落ちますからね。素の911は普段使いを躊躇なく出来る日常性と、本気で走らせた時のパフォーマンスの高い次元での両立。そしてゆっくり走らせていてもその片鱗を実は無意識のうちに感じることが出来る。言うのは簡単ですが、これは大変なことのはずです。一方、今回のPASMシャシー+オープンデフでは本気で攻めた時にはやはり物足りないことも事実でした。かといってスポーツシャシーだとガチガチ過ぎて普段使いに辛い。911の本分としてはノーマルのPASMシャシーが良さそうですが、私的にはノーマルとスポーツシャシーの中間が欲しいですね・・・。そう、ちょうど981ボクスターのスポーツシャシー位の・・・。
それにしても・・・。3回も試乗記を続けてしまいましたが、クラウンにジムニーに911とか・・・もうメチャクチャですね、我ながらw
いつも快く貸してくださるディーラーさんと営業さんに感謝。m(_ _)m
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Porsche | 日記
Posted at
2018/08/19 11:53:47