
毎年3月はC63点検の月なのですが、毎回代車をお借りしてます。今までCLS53やS400dをお借りしましたが、今年はA45をお願いしようと思ったらA45はないということでA35をお借りすることに。
実はメルセデスのFFシリーズは初めて乗ります。Aクラスは先代、現行型ともあまり良い評価もされていなかったですし、デザインが好みじゃなかったので興味がなかったのです。とは言え将来手にすることがあるかもしれないので、ベンチマークであるゴルフとの比較の意味も含め一度は乗っておきたいな、と。
というわけでC63を預けに行くとそこにいたのは予想外のセダンw。セダンにもAMGがあったのか。セダンのAMGは45がなく35だけのようです。A35のエンジンはA250と同じM260でブーストアップ仕様ですね。スペックは306ps、400Nm、車重1590kgというところなのですが、これをあえてライバル以外を含めて比較するとこんな感じです。
R32 GT-Rがぶっちぎりで最軽量w。A35 sedanは32GT-Rと長さがほぼ同じで幅は4cm広く150kg以上も重いという。もちろんGT-Rもスペックによって違っていて17インチを履くVスペックだと1500kgとかになりますが、それにしても時代を感じますね〜。当時R32 GT-Rとか80スープラ、Z32なんてのはデカイ重いと思っていましたが、今どきのCセグはこれらより重いんですねぇ。一方、初見でコンパクトには見えなかったAクラスセダンですが、Cクラスと比較すると一回り小さいんですね。全長が短いのもそうですが、ホイールベースが11cm短いのは結構体感が違います。
今回借りたA35セダンはナビゲーション・パッケージ(オプションなの!?)、AMGアドバンスドパッケージ、スライディングルーフが組まれた総額718万円(!!)の個体です。それでもメディア向け試乗車では大抵組まれている、可変ダンパーやドライブモードセレクター、バケットシートからなるAMGパフォーマンスパッケージというオプションが組まれていません。ドライブモードセレクターはスライドを許容するモードやESPオフが入るのでちょっと残念なところ。タイヤはコンチ・スポコン6、走行距離は3,000km強です。
店を出て家に帰る道のりでいきなり低速のマナーが嫌になる。発進時の半クラも下手だし、スロットルでのコントロールがオーバーシュートするんです。巡航のハーフスロットルからほんのちょっとした加速がしたくてシフトダウンしない程度に軽く踏むと、タイムラグの後に思った以上に加速してしまう。ターボラグというのも正しくないように思えます。踏み始めからブーストはかかっているっぽいんですが、途中からブーストが急に恣意的に高まるように感じるんです。じゃあシフトダウンさせると?シフトダウンで回転が上がった後でブーストが急激に高まり、エンジンマウントが柔らかくパワートレインが揺れることもあってその相乗効果でギクシャクしてしまう場面もあります。スロットルのマッピングなのか、ターボの制御なのか、DCTの制御なのか、それとも全てなのか・・・原因は分かりません。特に30km以下が気になるのですが、全体的に低速域でのトライバビリティが良くないと感じます。もちろんスムーズにシフトや加速する時もあるのですが、たまたま出来た感がある。ポルシェってこういうところは本当に凄くて、PDK仕様のどのクルマでも極めて自然でストレスなく走れて素晴らしいです。ついでに言えばゴルフRもこの辺は素晴らしい出来です。一方、街中での足回りは明確に固めです。かなりストロークを規制するセッティングで、普通に乗るには乗り心地は結構ギリギリの線かもしれません。いずれにしても街中ではあまり良い印象はなく、これは3日間通じて変わりませんでした。
日曜日の関東は嵐だったので、街中やちょっと高速に乗る程度でしかなく、悪い印象を呟いたりしてwあまり乗り気じゃなかったのですが、一応月曜日の朝に箱根へ連れ出してきました。まず高速で印象が変わりました。中高速域ではドライバビリティが普通になります。2-3段落とすシフトダウンからの加速ではオーバーシュートしますが、それ以外は結構普通。それにC63から乗り換えても大きく不足を感じないくらいかなり速いです。また、どうやらサスセッティングは高速域に合わせているようで、超高速域でもダンピングが不足しません。直進安定性も良く、ステアリングもフィールは薄めながら剛性感が高くリニアで精度感があり、大井松田〜御殿場の高速コーナーも含め安心して走れます。しかしストロークが短く乗り心地はそこまで良くないですし、ロードノイズはかなり大きいのが高速ツアラーとしては残念なところ。ロードノイズの大きさはタイヤのせいもあると思いますが、ドア周辺からの遮音全般が甘く感じます。だからせっかく高速ツアラー向きなのに高速を長距離は私は遠慮したい感じです。それを除けば高速での印象は良いです。
高速を降りて長尾峠〜箱根スカイラインといつものルートへ向かうのですが、いやぁ〜、ワインディングは凄く良かったです。気持ち良いし楽しいクルマでした。高速でも感じた剛性が高くリニアで精度が高いステアリングに加え回頭性が良くフロントのグリップが高い。ペースを上げると減速時も含めほぼ4WDになっているようで立ち上がりのダッシュも凄い。本来スタンバイ式4WDのはずですが、フロントがスピンすることが全くありませんでした。またヨーを残してブレーキングしてそこから抜いていく時もバックトルクがかかっているように感じ、スタビリティが高いのでかなり攻める気にさせられるクルマでした。サスもバネレートやダンピングも不足はありません。もう少しストロークがあれば言うことないですが。ただDCTはパドルでシフトしていてもレブる直前で勝手にシフトアップしてしまい(MTモードが見つけられなかった)リズムが作りにくいのですが、それ以外はかなり楽しい。箱根スカイラインへ入って速度が上がっても基本的な印象は同じ。フロントの正確性、グリップ、4WDのトラクション。ただ速度が上がるとターンインや切り返しで重さを感じますね。この辺が昔のラリー・ウェポンと全然違うところ。また、ブレーキは強めのブレーキ2発でフェード、そのまま走るとフッカフカに。(汗) ABSを効かせないようなレベルで走ってもこれですから、C43の時もそうでしたが本気で攻め込んではいけないクルマのようです。。。しかしあの素晴らしいゴルフRと比べてもこのフロントの剛性感、ターンインのフィーリングは勝っていると感じます。
そんなわけで元々興味がなかったのでA35の試乗記等を読んだこともなく調べたこともなかったのですが、ワインディングで印象ががわりと変わったので帰ってきてから調べてみると意外に面白い。
A35のエンジンはA250と同じM260型ですがタービンが変更されていてツインスクロールに。レイアウトは前方排気の昔ながらの設計に見えます。エンジンルーム内を見るとあまりエンジンは傾けられておらず、かなりフロントにオーバーハングしています。それでもエキゾーストの前側には結構なスペースがあり、大きいなノーズはどうやらクラッシャブルゾーンなんですね。
エンジンはかなり右寄りに搭載され、MINIのようにドライブシャフトを等長にするような工夫はされていないようです。ストラットタワーはかなり奥にあり最近のメルセデスのお約束通りキャスターが強めに付けられているのが分かります。A35のボディシェル・シャシーは標準車と基本的に同じらしいのですが、エンジンルームにアルミパネルが追加されている他、補強ブレースが複数入れられていて主にボディ前半部分の剛性が高められているとのこと。さらに標準車のFF仕様ではリアサスはトーションビームなのですが、A35ではマルチリンクとされています。(A250も4MATICなのでマルチリンク) しかしそれだけでなく、フロントのAアームはピロボール化され、リアアクスルもリジッドマウントとか。結構手が入っているんですね。この辺は流石AMGという感じでしょうか。他メーカーでここまで手を入れるというのはあまり聞かないですね。(言わないだけかもしれませんが)
こうしてシャシーの変更内容を見ると、あのフィーリングにも納得です。C43の時もそうでしたが、A250のハイパワー版というよりはもうちょっと気合の入ったモデルということなのですね。
一方、A35で気になる点はシートとモニターです。シートは意外と思えるほどかなりだめでした。ポジションはまずまず出るのですがサイドサポートが足りない上、何しろ腰が痛くなる。ランバーサポートを色々調整したのですが最後まで合わず、30分おきにドラポジやランバーの調整を繰り返す有様。これはC200のAMGラインのシートでもなかったことですし、マツダ各車よりもだめでした。また、モニターは最近のメルセデス全部がそうですが全くセンスがないとしか言いようがないです。そもそも何故アンチグレアにしないのか??白い服で乗ってしまったためメーターに服が映り込みすこぶる見辛い。ポラライズドのサングラスをかけないといけないのか!?
そんなわけで、ワインディングでは最高でしたが、低速のストレスフルなドライバビリティ、シートの出来などトータルでは1世代前ですがゴルフR(Ⅶ)の方が上かと。価格差が150万近くもありますしね。一方で更に本気度の高いA45は相当凄いんだろうな、というのと、こういうラリー・ウェポンっぽい走りの楽しさを思い出してしまい、さらにコンパクトで軽量なGRヤリスって最高なんだろうなぁ、と遠い目になっています・・・。
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Mercedes | 日記
Posted at
2021/03/23 11:09:18