
さて、とりあえず走らせることは出来るようになったので車検に出すわけですが、考えなければいけないのはPADMの修理です。PADMはPorsche Active Drivetrain Mountの略で、磁性体を使った硬度可変のマウント。911の場合はエンジンマウントですが、ボクスターの場合はトランスミッションのマウントになります。そしてこのエラーメッセージが出ている以上、直さないことには車検に通りません。PADMを修理するか、通常のマウントに変えてしまうかどうか。これはかなり悩みました。何しろ左右とも壊れていたらそれだけで修理費は50万以上と高額な上、直してもまた割と短期間で壊れる可能性がある。Sport+にした時のボディが引き締まる感じを気に入っているものの、それこそ滅多に使わない。
10年前にオーダーする時に散々悩んで入れたスポーツクロノパッケージ。ウチのはMTでスポーツサス仕様なので、そもそもスポーツクロノを入れても変わるのはエンジン関連マッピングとPSM(スタビリティ制御)の高レベル設定、それにPADMだけ。PDK+PASM仕様とは違ってシフトプログラムは当然変わらないしダンパーも固定。それでも入れたのはスライドをさらに許容するPSM設定が欲しかったのが一番の理由ですが、PADMも欲しかったのです。オーダー当時は効果の大きさを分かっていなかったですが。それを故障したからと言ってあっさり投げ捨ててしまうのか・・・!?
ディーラーの方に相談したところ、ノーマルマウントにするのは正直アリだと。さらに硬い方が好みで乗り心地に目を瞑れるならリジカラを入れるというのも手だと。ただしその場合ディーラーでは出来ないのでどこかのショップで対応してもらうことに。一方で、PADMのマウントは単にSport+で硬くなるだけではなく、そもそもNormal状態でも結構細かく、しかも左右個別に状況に応じて制御しているので直進性などにも影響しているとのこと。(比較してないから分からなかったけどそうだったのね・・・。)
それにしても、そもそもこれほど壊れるパーツなら、対策品とかになっていないのか?聞いてみると品番は変わってるようだけど中身がどこまで変わっているかは不明。一方で実際に直してから再度壊れる事例も少なからずある、と。ただ交換したパーツ自体に保証があるので1-2年の間に再度壊れるなら無償交換らしい。また、今回片方だけが壊れていてもう片方が無事だとしても、そう遠くない将来交換していない方は壊れる可能性が高いことは覚悟しておく必要がある。そんな感じでかなり率直な意見を言って頂いたことに少し驚きましたが、ある意味安心もしました。安心というか覚悟が出来たというか。(色々とPADM関連のクレームもあるんだろうなぁ・・・)
そして、また壊れる可能性があるのは最後まで悩んだけど、せっかくなのできちんとPADMとして直すことにしました。で、診断の結果今回は左側のマウントが故障。修理+メンテ+車検の見積りの結果は、トータル88万円w。(マジか。いや覚悟はしてたけど、タイヤとバッテリー入れたら余裕で100万超えるし・・・。)
とは言え内容を見ると不当なものでも何でもありません。本来4年毎に交換が推奨されているプラグとイグニッションコイル、6年毎に交換が推奨されているドライブベルトとプーリーなどが含まれているからです。逆に言えば9年も経つのに色々と交換してこなかったため、一気にやるとこうなってしまう、ということですね。とは言え全く異音等も感じないので、ドライブベルトは点検で異常がなければ来年にでも交換することとして、プラグ&コイルは交換することにしました。他には油脂類とフィルター類の交換ですね。車検に向けた作業としてはフロントガラスのリペアと、左右のマーカー交換(ヒビ割れ)。点検の結果ドライブベルトに異常はなかったので、とりあえず良かったです。
ところでPADM、ネットで情報を検索するとかなり多くの情報がヒットしますが、PADMとして修理する例のほとんどがポルシェや中古車店による保証修理で、それ以外はノーマルのマウントに変えることがほとんど。お金を出してPADMを変える例はほとんど見ませんw。(まぁそういう人がネットをやらない、または投稿しないというだけのような気もしますが) 目に見えるものじゃないし、どこまで必要かというのも微妙なので要らないと判断する人が多いのも分かります。私はオーダー時の思い入れと効果で直すことにしましたが。。。基本的には非常に信頼性の高い981ボクスター、実際9年43,000kmで壊れたのはPADMのみです。しかし唯一ここだけは明らかな弱点ですね。
修理・車検から帰ってくるまでの間にボディカバーも新調しました。4年半使ったカバーはリアスポイラーやミラーなど角になる部分が擦り切れるような感じになっていて、寿命を迎えていました。しかししっかり保護してくれていたので、ボディ自体は9年経ったとは思えないほど綺麗です。以前のカバーより耐久性が高いし素材的に遮光性や裏起毛など安心感が高いので、同じメーカーのものを同じ仕様でオーダーしました。
そして2週間ぶりに帰ってきたボクスター。最後に色が褪せていたホイールのセンターキャップを交換しました。
走らせたら随分違います。タイヤを変えているのでまず乗り心地が劇的に向上しているのと、驚いたのはスロットルのツキが違う。今までだって失火していたような症状はなかったし、エラーも記録されていなかったようだけど確実にパーシャルから微開した時の素直さがちょっと違う。乗りやすくなってる。それにしても・・・ボクスターはこんなにも気持ち良いクルマだったんだなぁ・・・。C63のような速さも快適性もないけど、単に街中を帰るだけでも気持ち良いし交差点でスポーツカーらしさを感じる。山へ持ち込めばターボではあり得ない甲高い音を響かせ、驚くほどの運動性。まったり乗れる素のボクスターだけど、追い込めばガチスポーツカーの片鱗を味わえる。やっぱり復活させて良かった。今年はこいつでツーリングに行こう。
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Porsche | 日記
Posted at
2023/06/21 08:58:18