• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2023年09月08日

旅バイク選び最終章、「オールインワン・コンセプト」

旅バイク選び最終章、「オールインワン・コンセプト」 オールインワン・コンセプトというのは色々な分野の様々な製品で見かけます。リンスインシャンプーもそうですし、オフィスの複合機などもそうでしょう。クルマであればSUV、バイクであればアドベンチャーモデルがそれに近いでしょう。

複合機はオールインワンだからこそのデメリットはそれほど多くなさそうですが、アーミーナイフがそうであるように多くの機能を持つ代わり、性能や利便性など背反する要件の妥協の産物とも言えます。それ故にどの方面にも中途半端ということにもなりがちです。

ことバイクとなると、その重量や大きさを直接人間が身体を使ってコントロールするので、更に複雑です。例えばロングツーリングに向いたバイク、オフロードを走るバイク、サーキットでスポーツ走行するバイク…。これらには背反する要件があり、両立は難しい。結局オールインワンコンセプトなど成り立たない。我が家のGSを始めとしたアドベンチャーバイクは正にオールインワンコンセプトですが、街乗りにはデカいしスポーツ走行するには重いし、活きるのは旅のシーンだけ。だからこそ我が家にはコンパクトなスポーツバイクである890DUKE Rだったり街乗り用にADV150があったりします。

しかしここ数年、1日で700-800km、1回のツーリングで数千km走ることも珍しくなくなり、今更ながら気付いてしまったことがあるのです。

それは…

ロングツーリングでは、様々なシチュエーションをその1回のツーリングの中で経験することになる、ということ。

高速道路、街中、田舎道、路面の綺麗な高速ワインディング、苔、砂利、穴、木や葉っぱなどで荒れ放題の酷道。場合によっては大雨だったり濃霧だったりということも。

考えてみれば極めて当たり前なのですが、しかしそうなると、旅に適したアドベンチャーバイクだとしても、ツーリングの1日の中では例えば渋滞など大きさを持て余すシーンもそれなりにあるし、ワインディングではもっと軽量なバイクが良いな、と思うこともあるわけです。先日龍神スカイラインで友人のトレーサー9GTに乗って楽しさに驚いたのと同時に、R1200GSは旅バイクだからと諦めていたことがあったんだな、ということに気付き…今になって旅バイクに求めるモノが変わってきてしまった…のです。つまり

「例え長旅用だとしても、もっと楽しいバイクがイイ」

そりゃそうだ。楽しい方が良いに決まってます。だって楽しむために乗ってるんだから!でもオールラウンド性能を求めるあまり、楽しさを求めていなかった。どういうわけか楽しいバイク=疲れるというのが当たり前だと思っていたし、オールラウンドを求めるのなら楽しさは諦めるものだと思っていた・・・。だからこそGSを好んで14年も乗っていたのです。しかしこの14年の間にバイクは車体設計や電子制御が進化し、以前に比べれば楽しさと長距離快適性の両立レベルが上がっているように思います。そうとなれば、いよいよ買い替えたい。オールインワンコンセプトでありながら、走ることをもっと楽しめるバイクに。

思えばシン・旅バイク選びは本当に長いクエストでした。色々乗ってみては今の空冷GSと比較してああでもない、こうでもない…。どれも何か決め手に欠けると感じて、結局GSが究極の旅バイクなのか? もはや正解が分からなくなっていました。でもようやく評価軸の優先順位が固まった感があります。この2年の間に色々と試乗しました。KTMの1290 Super Adventure Sに始まり、Harley Davidson パン・アメリカ、ホンダ アフリカツイン、BMW R1250GS、そしてDucati ムルティストラーダ。試乗した時は主に快適性などを比較していたので、あらためて楽しさ基準で考えたらどうなるんだろう・・・。もちろん楽しければ他はどうでも良い、ということでもないので評価軸は色々あります。それを整理するために候補車をリストアップしてスコアリングしてみるとこんな感じになりました。



・デザイン:(説明するまでもないけど完全に主観です)

・走らせる楽しさ:走らせて理屈抜きで楽しいと思えるか。エンジン、シャシーを通じて一体感を感じるようなバイクか。

・長距離の快適性:エンジン、シャシーのキャラクター、空力、音や振動、ライポジ、シートの出来など総合的な快適性。

・タンデム適正:タンデムシートの出来、大きさ、空間、グラブバーの造り、エンジン特性、シャシー特性

・酷道適正:サスペンションの対応能力(主にストローク)、エンジン特性、ライポジ、車体の大きさ

・ハンドリング:一体感のある気持ちに沿った過渡特性。旋回力、敏捷性(切り返しの軽さ)など

・パワー&トルク:特にトルクはタンデムや酷道で重要。

・振動:快適性とパトカー/白バイ発見に重要

・航続距離(燃費xタンク容量):特に地方ではガソリンスタンドが減っており、週末は休みのことも多いので意外に重要。

・エルゴノミクス:ハンドルバー、シート、ステップのポジション、シートの出来、スイッチ類の使いやすさ

・装備:パニアケース、トップケースや、電子制御、サスペンション

傾向としてはフロント17インチのモデルはハンドリングが良く楽しいモデルが多く、アドベンチャー色が濃くなるフロント19インチのモデルはサスストロークが長くなるので酷道適正が良くなる感じ。一方、スコアリングすると点数は出るものの、それぞれの項目の重み付け=優先順位もあるので、単純に点数だけの比較も出来ません。例えばSuper Adventure SとSuperDukeGTは同じ点数ですが、GTはタンデム適正の点数が低く、旅バイクはタンデムも重要なのでこの時点で選外になります。



【Honda CRF1100L AfricaTwin】=Avg.3.3
オフロードと低中速を重視したバイク。エンジンはトルクは充分あるが上はパワーが頭打ち、全く面白くない。シャシーはフロントが21インチということもあってフロントが大回りする感覚で一体感に欠ける。オンロードの快速ツアラーを考えてるのでちょっと方向性が違う。

【BMW S1000XR】= Avg.3.8
エンジンは中高回転が気持ち良いし全体的にスポーツツアラーとして良い出来だけど、低速トルクの細さがタンデム適正と酷道適正に決定的に影響。個性的なシート形状もどうにも合わない。

【YAMAHA Tracer 9 GT】= Avg.3.9
サスストロークの短さが酷道適正とタンデム適正を下げる。装備はプリロード調整がこのリストの中で唯一手動。しかし軽いしシャシーセットアップ良いので、楽しさとハンドリングの点数が高い。

【BMW R1250RS】= Avg.4.0
全体として悪くはないものの、リーディングアクスルを採用したフロントのジオメトリーにより、期待していたスポーツ性がイマイチ。GSより足付きが良い以外はGSの方が良い。何故R1250Rと同じフォークにしなかったんだろう。。。



【Ducati Multistrada V4S】 = Avg.4.0
素晴らしいエンジンとハンドリング、19インチと思えない旋回性を持つ。しかしハンドルバーからタンク付近全体にかなり大きなマスを感じてバイク全体を重く感じる。燃費が悪く航続距離が短い。

【BMW R1250GS】= Avg.4.1
ハードウェアの出来を旅の道具として評価すればおそらく最良。でも走らせて楽しくないというのはGSの伝統か。人気車種なだけにシートやハンドルバーなど社外品も多く、自分に合わせて色々選べるのでエルゴノミクスは改善出来る。

【KTM 1290SuperDuke GT】= Avg.4.3
かなりの不人気車だけど、乗ると実に素晴らしいスポーツツアラー。ただタンデムをあまり考慮していない設計に思える。サスストロークも長くないので酷道適正も下げた。しかしタンデムをしない方には結構お勧めしたいモデル。

【KTM 1290SuperAdventure S】= Avg.4.3
このクラスでは例外的なほど軽快コンパクトで、フロント19インチのアドベンチャーモデルながら走る楽しさがあるバイク。ただデザインが好みではなくw、Duke GTと同じエンジンと思えないほど振動が大きいのはマイナス。

【Ducati Multistrada V4 Pikes Peak】= Avg.4.4
これは乗ったことがないので半分推測のスコア。しかし何しろカッコいいw。フロント17インチ化により、どうやらV4Sよりかなりハンドリングが軽くなったとのこと。エンジンは素晴らしいので、燃費と価格(400万超)を考えなければ最良の選択か。

そして、最終的にKTM Super Adventure Sを選びました。デザイン的にはイマイチなのですが、しかし走らせて楽しいこと、しかもタンデムや酷道でさえも楽しめそうなところが魅力でした。Multistrada Pikes Peakは最後まで悩みましたが、価格が高過ぎ。150万以上差があるとなると軽トラが買えますw。R1250GSはもうすぐモデルチェンジしてR1300GSになるのですが、リーク情報では重量や大きさは変わらない上に、突然楽しいバイクに変貌するということもないでしょうから選外にしました。

そんなわけでちょうど14年乗ったR1200GSは、北海道から鹿児島まで沖縄以外の46都道府県全てを61,000km走って次のオーナーへ託すことになりました。もっと歳を取ったらまたGSに帰ってくるかもしれませんが…

ブログ一覧 | バイク | 日記
Posted at 2023/09/08 19:47:21

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

関連記事

バイク便業務には意外と向いている ...
ねこにさけとばさん

BMW G310GS購入!
Keishiroさん

疲れ知らずのマルチツアラー ワイン ...
みやちんライダーさん

振動が少なくて気持ちいい!
houkさん

レンタバイクの旅
Gear.さん

GSの走行距離はどこまで走る?
miffy.さん

この記事へのコメント

2023年9月8日 22:58
この度はおめでとうございます♪

(^◇^)

ほんと、バイク選びは難しいですよね!
(^◇^)

採点表とても楽しく拝見させて頂きました!!

そろそろ私も違うメーカーのバイク欲しいかな…。
なんて。


私のBMWバイク.旅が主体で旅以外の時にR1250GS ADVはほぼ乗らない。なんか勿体無いです!(⌒-⌒; )

実は欲しいバイクがトライアンフのボンネビル…
か、国産W800。
いつかは、置いておきたいバイクです♪


1290楽しんでくださいね〜!!
(*^^*)
コメントへの返答
2023年9月10日 6:10
ありがとうございます。遂にGSを降りてしまいました。特に旅のバイクは選ぶのが難しいですね。まぁ私の場合は旅の仕方に問題があるような気もしますが…(^^;;

旅に特化するとやっぱり普段使いでネガもあるので、ちょっと走りに…程度だとどうしてももっと楽しいバイクに乗っちゃいますよね。

トライアンフのボンネビル、W800共良いですね。W800カフェはイマイチでしたw

趣味のバイク選び、どうされるのか楽しみに待ってます。
2023年9月9日 22:45
ご納車おめでとうございます!
このブログで白ご飯3杯イケますわ~!w

数値比較表にされたのは凄いですね、読み応えあります!結果数値がそのまま判断には繋がらないのもその通りですが、結局はすんごい僅差で群雄割拠、悩みをクリアにするはずの数値比較が、結果的には混迷を深めたんじゃないかと推測します…(笑)
僕、この一覧表を勝手に活用させて頂き、おっしゃる「項目の重み付け」として、各項目に倍率を設けて試算してみようと思いました!

R1250RSのリーディングアクスルは、兄弟車R1250Rとの比較試乗でおっしゃることを痛感したことがあります。ほんの数ミリの違いであれだけ安定(ダル)志向に振れるとは、ディメンジョンの面白さですね。

Tetsu@GS(タンデム)に対して、Siso@TRACER(昨年オフ車経験値あり)なら、酷道ならかろうじて付いていけるかもな?と思っていたのですが、もう全方位的にチギられることが確定しました…w

そして、納車直後と思われる写真の場所の雰囲気からしてヒトコト…
「慣らし運転」ってコトバ、ご存じでしょうか?www
コメントへの返答
2023年9月10日 6:40
ありがとうございます。採点表はまだ少し修正すべき点があるかもしれませんが、2年間色々なバイクに乗っての自分なりの評価です。こうやってスコアを付けると、最初は直感でスコアリングするんですが、他のバイクのスコアを見てあらためて乗った時のことを思い出して結構修正することになったんです。例えばDUCATIのエンジンは素晴らしいんですが、比較すると4気筒なだけにトルクはKTMが上だったな、とか。で、そうやってスコア自体にある程度納得すると、今度は重み付けを考えて…結局悩みますw

ディメンション/ジオメトリーは本当に重要で、面白いですね。レーシングマシンのセッティングのキモは本質的には動的ジオメトリーで、そのためのバネの選択、プリロード設定です。ダンパーなんてほぼ出来上がった料理の最後の塩加減調整くらいのもんですw しかし公道におけるセッティングはもっと複雑で難しいですね。キャラクターを左右するのに簡単に変えられないですしね。

酷道ペース…トレーサーの異様に激しいタイヤを拝見する限り、全くそんなことにはならないと思いますw SiSoさんのに比べたら私のタイヤの如何に大人しいことか…。そもそも普通は通過するだけで大変な酷道のペースをうんぬんすること自体、SiSoさんもなかなかのアタ○カですw

あの写真で地元ではない場所が分かるとは凄いですねw 慣らしってバイクに乗り手の走り方を覚えさせるんでしたよね??違いましたっけ???
2023年10月2日 11:50
色々乗った方ならではの詳しい考察ですねー❢
私はツアラーを持ったことないですが、すこし昔に二気筒ムルティストラーダとタイガーに試乗したことはあります。
短い時間ではありますが、ムルティの脚の良さ、タイガーの3気筒の感触は気に入りました。
コメントへの返答
2023年10月3日 6:31
タイガーの3気筒、とても良いですよね。本当に2気筒と4気筒の中間のフィーリングなのが面白いですし、パフォーマンス的にトルクとパワーのバランスも良く、音も良いですよね。

ただ今のタイガー1200はデザイン的にGSに似せ過ぎていて・・・候補になりませんでしたね。。。^^;

プロフィール

「@Sekiai さん 初めて見ました!こんな動きだったんですね。ツインシャシーとは知ってはいたものの、どういうことなのか全く分かっていませんでした。」
何シテル?   08/09 09:35
10年以上続けていた2輪レース活動を休止し、のんびりとバイク/クルマ生活を楽しんでます。今はやる方ではなく観る方に変わりましたが、モータースポーツは2輪・4輪問...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
1011121314 1516
1718 1920212223
24252627282930
31      

愛車一覧

ランドローバー レンジローバースポーツ ランドローバー レンジローバースポーツ
アウトドア系の趣味に使える利便性と上級サルーンのような快適性を求めてポルシェ・カイエンと ...
ポルシェ ボクスター (オープン) ポルシェ ボクスター (オープン)
求めていたのは速さではなくスポーツカーとしての動き。つまり専用シャシー。そして出来ればミ ...
KTM 1290 SUPER ADVENTURE S KTM 1290 SUPER ADVENTURE S
R1200GSからの乗り換えとなる新たな旅バイク。アドベンチャーカテゴリーの中で一番楽し ...
ホンダ CB1100EX ホンダ CB1100EX
最後の空冷4気筒。これぞ日本的なバイク。細部まで拘った惚れ惚れする美しいデザイン。クロー ...

過去のブログ

ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation