
さてレンジローバースポーツ、ようやく1,000km弱ほどを走らせたところですが、高速からワインディング、雨やちょっとした雪など様々な状況を走りました。3,000kmまでと指示されている慣らしの最中ですのでそれほど回してはいませんが、大体の印象を書いてみたいと思います。トータルでの印象は;
⚫︎素晴らしく快適な乗り心地と静粛性
⚫︎ちゃんとドライバーズカーだった
⚫︎大きさと重さは常に意識させられる
まずはとにかく滑らかな乗り心地と静粛性が印象的です。これは試乗時から分かっていたことですが、1,000km走らせてもやはり素晴らしいと言えます。とにかく初期のサスペンションの動きが良く、非常に細かく凹凸を吸収する感じ。とは言え大きなギャップではそれなりに上下動はあり、Sクラスほどのストローク感は感じません。また一発で収束するような強いダンピングでもないので、少しお釣りをもらうようなところもあります。ただそれらが全く不快ではないです。何となくその上下動の揺れと収束の仕方が予測が付くというか、違和感が無いんです。ゆっくり走らせていても非常に高いシャシー剛性を感じるのですが、それで足の動き自体が分かりやすいのかと思います。そして、これが高速域、超高速域となるとしっかりダンピングが効くようになるのにはとても驚きました。もちろんバネレートが急激に高まるようなことはなく、乗り心地は一定レベルを保った上で揺れ残りが減っていく感じ。このセッティングの両立レベルは相当なモノじゃないかと。また、シートの出来の良さも乗り心地に貢献しているのは間違いないと思います。セミアニリンは表皮が柔らかく、ふわっと受け止めてくれてストローク感があります。シートが大きいのでゆったり座ることも出来ますし、サイドやランバーなども細かく調整出来るのでタイトに座ることも出来ます。エンジンはマイルドハイブリッドのアシストが割と効いていて、街中では非常にトルクを感じます。なるほど、と思ったのはスロットルです。そもそもストロークが長い。かつマップがスローなので、頭の中にあるイメージより踏まないと加速しません。これはおそらくはオフロードでのコントロールを想定しているメーカーとしてのキャラクターのような気がしますね。ただマップ自体はリニアなので(慣らし中なので70%以上の開度でどうかは分かりませんが)途中で2次曲線的に急加速とかもないですし、違和感はないです。ZF製8HP76トランスミッションは非常にスムーズな変速なのですが、案外ギア比がワイドで強めの加速をすると結構引っ張ります。もっと低回転に張り付けるようなプログラムなのかと思っていたのでここも意外でした。もちろんスロットル開度が小さければすぐに上のギアに上げますし、クルーズではもはやBEVか、というくらい静かでスムーズです。
高速域での印象はまずは直進性の高さの素晴らしさ。ビシーっと気持ち良く真っ直ぐ走ります。意外だったのはこういったクルーズでは基本フロントにトルクを流さず完全にRWDだったことです。少し加速しようとスロットルを入れるとすぐにフロントにトルクが入るのですが、基本はRWD。これは雨でもそうでした。カイエン(マカンもですが)は常時10%程度はフロントにトルクが入っていたように記憶しており、RRSはもっとフロントを使うのだと思っていたのでこれは意外でした。気持ち的にはもうちょっとフロントにトルクを入れて安定感を出してくれても・・・と思わなくもないのですが、実際のところビシっと真っ直ぐ走るし横風にも強いんです。何故なんでしょうね。乗り心地は前述の通りダンピングが締まってくるので、常時揺すられて心許なくなるようなこともありません。非常に快適なクルーザーと言えます。これほどまでに疲労感なく快適に高速をクルーズ出来るクルマは所有したことがなく、ちょっと感動的ですらありました。エンジンは負荷をかけて回していないのですが、小さいスロットル開度では4000rpm近くまで回しています。650Nmあるので通常はトルクは充分。ディーゼルに期待する息の長い気持ち良い加速が味わえます。ただ車体が重いので、もう少し・・・例えば700Nmあれば言うことはなかったでしょうね。高速域でも圧倒的に静かなので、本当に速度感がありません。
ワインディングでは、意外でもあり想像通りでもあり、でした。結構気持ち良くコーナリングするんです。もちろん常に重さを感じますし、出来の良いハンドリングカーで良く言われる「クルマを小さく感じる」なんてことは全くなく、大きなクルマを操っている感も強いです。しかしハンドリングは繊細でかつリニア。思った以上に曲がるとか思ったより曲がらないとかがなく、これほど大きなクルマなのに狙ったラインを思い通りに走らせることが出来ます。普通に気持ち良く、ハンドリングが楽しめるとすら言えるレベルでした。ただ、それはやはり2.5tのSUVとしては、というexcuseが付きます。前述の通り常に重さも大きさも意識します。決して軽くはないマカンやCX-60でもRRSに比べたら随分軽快だな、というくらいRRSは重さを感じます。また、ポルシェに感じる限界の高さへの絶大な信頼感、接地感の高さはありません。まだ慣らしなので踏んだらどうなのかは分かりませんが、そう言う気にもならないというのが正直なところです。これはOEタイヤがオールシーズンタイヤということもあるかとは思いますが、しかしこういう点ではポルシェは本当に飛び抜けています。ただ、例えばGクラスやランクルなど、ラダーフレーム系のクルマとは比較にならないくらいハンドリングカーと言えるでしょう。そうそう、ワインディングでペースを上げるとほぼ常時4WDになります。しかも加速時だけでなく、ブレーキング時にも4WDになります。さらに、モニターを見ているとセンターデフを比較的頻繁にロック(状況に応じて可変ですが最大で75%程度)しているようです。減速時にロックをしている場合は、少しでも舵角を入れると瞬時にフリーになります。加速時は舵角に応じてロック率が変わっています。最近の4WDが全てこういうものなのか分かりませんが、かなり凝ってますね。もっと単純な仕組みでも良い気もしますが・・・
それから、ブレーキのセッティングが素晴らしいです。もちろん重いので絶対的な制動性能では軽いクルマには全く敵わない筈ですが、それでも高速域で結構な効きを見せますし、何より踏んだ先のコントロール性と初期の舐めるようなコントロールを両立しているのが素晴らしい。この辺りのセッティングは昔からドイツ御三家より上手い気がしますね、ジャガー含め。因みにキャリパーはフロントにブレンボの6Pod、ローターは19インチです。ホイールが23インチなので全然大きく見えませんが、実際はかなり巨大なローターです。慣らしだからかは分かりませんが、ワインディングを走らせると結構強めの焼ける匂いがしますw。
当然ながら良いところばかりではなく、気に入らないところもそれなりにあります。
⚫︎合成エンジン音
負荷がかかるとV8のようなパルス感のある音をスピーカーから出します。このトレンド何とかならないのでしょうかね・・・。誰が好んでいるんだろう。そのままでも充分綺麗な直6の音を出しているのに、何でわざわざ・・・
⚫︎シフトセレクターのロジック
昔から慣れ親しんだATセレクターと操作パターンはほぼ同じなのに、反射的に操作するとシフト出来ない。R→DとかD→Nなどは昔のATセレクターはレバーだけでシフト出来ましたが、RRSでは全てロック解除ボタンを押しながら操作しないといけないです。特にR→Dは、ササっと切り返したい時に前に進むハズがDにシフト出来ていなくて意図せずバックしてしまい、びっくりします。まぁ慣れの問題ではあるでしょうけど・・・。
⚫︎ACC
残念ながら制御レベルが10年以上前にデビューしたW205より下です。前車との距離をキープしようとし過ぎて加減速が多く、スロットルコントロールもそれほど上手くないので前後に揺すられます。メルセデスの場合ある程度車間が開いたり詰まったりするのは許容して、自然に加減速することを重視している感じなのですが、RRSは一生懸命キープするので疲れます。さらにレーンキープは車線センター維持が甘いのでほぼ使いものにならない上、保持力が強いので手で逆らうと疲れます。結果、レーンキープは常にOFF。最初からあのレベルを実現していたメルセデスは本当に凄いんだな、と認識しました。これは何を重視して仕上げるかという見識ですよね。ただ渋滞時に停車した後、先行車が発進すると自動的に再発進するのは便利ですね。
総じてドライバーズカーだったことがとても嬉しいところです。快適性で選んだクルマだったのでそこは多少諦めていたのですが、ポルシェほどではないにせよ充分に楽しめるクルマでした。そして、ドイツ車とは色々な意味で方向性が違うのが気に入りました。
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2025/03/21 07:55:02