
ちょうど
去年の今頃、マツダ3を試乗しました。マツダ3の印象は全体として非常に良かったものの、スロットルのセッティングだけは大いに疑問が残るものでした。マツダのことですから年次改良で色々やっているのでしょうが、どうやら先日リリースされたMX-30でも色々と改良されているらしい話を見聞きしたので試乗してみることにしました。
MX-30は去年の東京モーターショーで発表されたクルマで、基本はEVのようです。将来的にはロータリーのレンジエクステンダーも載るのだとか。従ってパッケージングもEVを前提としたもので、大径タイヤでバッテリー用に床下の厚みを稼いで上半身はクーペフォルムというクロスオーバーになっています。Dピラーをクーペらしく思い切り寝かせていますがリアのルーフ高もそれなりに取ってあります。そのスタイリングは最近のマツダのデザインキューからは少し離れてますね。あの大きなグリルがありませんし、全体的にシンプルな造形です。
横や斜め前から見るとノーズの長さが目立つ一方、ボディ下部を樹脂パーツで覆っていてボディ全体を薄く見せる手法を取っています。リアバンパーに至っては何と塗装されている部分がありませんw。また、今回の個体は3トーンというカラーリングでAピラーからCピラーが初代アウディA1のようにアーチ状にグレーとされ、ルーフ自体はブラックになっています。私はグレーの部分がテールランプ上まで被ってくるところやCピラーからルーフにかけてはメッキ加飾を合わせて4色も使われるビジーな印象なのがどうも馴染めませんが・・・。その点マツダ3のシンプルさが好みです。この印象はメインカラーがソウルレッドじゃなくセラミックだと随分違いそうですね。
さてインテリアですが、デザインが大きく進化した印象です。一言で言ってマツダらしからぬシャレオツさですw。レザーではなく上品なテキスタイルや、コルクを組み合わせる辺りは北欧をイメージさせますね。
今回の個体はHighest set Modern Confidenceという英語的にはちょっと恥ずかしいセンスの名前wのパッケージが組まれた仕様なんですが、色や素材の組み合わせが上質な雰囲気を出していてとても良いんです。しかも上質だけど高級志向という感じじゃないのが良い。
ドアトリムにはグレーのシートと同じ(?)クロスが貼られ、この辺も良い
それから操作系はセンターコンソールに液晶を2つ持たせたイマドキな感じです。ただやはりタッチパネルはクルマには絶対向いていません。シートヒーターやステアリングヒーターなど画面を触って直感的に操作出来るのは良いですが、結局走っている最中に触るのはほぼ不可能。
まぁACC使っていれば出来ますけど・・・。ついでに言えば下の画面は基本エアコンやヒーター関連だけ。それだけのためにこんな大きなスペース取る必要って・・・。これでもクラウンよりは遥かにマシですが、しかしAUDIの秀逸なデザインを見ると・・・。もしかしたらEVの場合はパワー関連の情報が下に出るのかな・・・
ドライビングポジションは近年のマツダのそれですが、アップライトに座ってしっくりくる感じです。結構すんなりしっくりくるポジションを出せました。もっともこのポジションだと乗り降りの際に頭を屈める必要がありましたけど。そしてシートがやはり良いですね。
リアヒンジのリアドアは、私はミニ・クラブマンで使っていましたが2人使用がメインであれば通常のフロントヒンジより便利です。リアシートのスペースは充分ですが、何しろ窓が小さいのでとにかく暗いです。
鉄板が見えているあたり、高級志向じゃないのが分かる。ボディカラーがセラミックなら多分気にならない
これはガラスルーフが欲しいところですが、オプションでも選べないようですね。Bピラーレスなのでルーフを開けたら強度的・剛性的に問題があるのかもしれませんね。
随分クルマの説明が長いですが、もう一つだけw。パワートレイン。現在のところ日本でリリースされるMX-30は2.0L4気筒NAガソリンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたeSKYACTIV-Gという仕様のみです。今回借りた個体はこれのFF仕様です。マイルドハイブリッドというものを舐めていたのですが、まさかこれが功を奏しているとは・・・
走り始めてすぐに驚きました。ドライバビリティの高さに。マイルドハイブリッドなんてものはそういえばスズキの一連のクルマくらいしか乗ったことがないのですが、MX-30ではスロットルの開け始めで非常に上手い具合にトルクアシストをしてくれるので、マツダ3で感じた作為的な鈍感さが全くなく、きちんとこちらが思った通りに反応します。本当に極自然に。これは気持ち良い。アシストを感じるのはOFFから踏み始めの本当の最初だけなんですが、前のクルマとの車間の調整などが非常にやりやすい。ダウンサイジングターボでもスロットルOFFからのレスポンスはここまでじゃないので、これはハイブリッドならではと言えると思います。ただし、そこから踏み込んだ際のトルクは「そういえばNAだったw」と思い出させる感じです。2L NAのパワー感というものをすっかり忘れているのですが、高速での追い越しなんかは2つ3つシフトダウンして回す感じがちょっと懐かしいw。
ブレーキはマツダ3とは少し違います。基本的には踏力でコントロールする方向性ではありますが、ストロークも使うようになってます。私はブレーキはマツダ3の方が良いと思いました。街中や高速道路などで普通に走っている分には非常にリニアなのですが、制動力をかけていった先ではリニアリティが急に失われて制動力が急激に立ち上がります。ABSが効くレベルを100とするならば、0-50くらいまでは非常にリニアですが50から上は二次曲線的に制動力が強まり、この領域では踏むのも抜くのもコントロールしづらい。もしかしたらブレーキアシスト的なセッティングなのかもしれませんが・・・。ワインディングを飛ばしていても気になりますが、思った以上に急ブレーキになってしまうので、街中でも後続車に突っ込まれそうで恐いことがありました。
乗り心地はとても良いです。街中で充分なソフトさを持ちつつ、高速域でもダンピングが効いていて乗り心地とスタビリティが上手く両立されている印象です。深めの轍などでTBAっぽさを感じる場面(リアの下回りが左右に揺れる)もなくはないですがそんなシーンは少ないです。そしてハンドリングは現代のマツダ。非常に気持ち良くワインディングを走ります。ターンインでスっとノーズが入り、荷重をリアへ移すと前後が綺麗にバランスして踏ん張ります。そこからのリニアなトルクの立ち上がりやコーナーへ向けてのシフトダウンなど、「おぉ、やっぱりNAだ!」というエンジンの気持ち良さ。これエンジン自体も芯が出ているかのように綺麗に上まで回ります。昔のホンダみたいな。基本はエコエンジンのはずですけどね。そんなわけですっかり楽しめてしまいました。
私が感じたネガは本当にブレーキの奥のセッティングくらいで、それ以外はとても良く出来ていて気持ち良く走るクルマでした。で、何故ブレーキだけマツダ3よりダメなのかと調べてみたら、、、これ回生ブレーキ付いてるんですね。一応ハイブリッドなんだからそりゃそうか。油圧と回生の協調制御をするらしいですが、これが関係しているのかもしれません。
そしてこのクルマ・・・え、この仕様で300万しない!? これは安い。走りは良くてインテリアも上質。良いじゃないですか。そんなわけで私の中でのマツダの順位はこんな感じになってます。
MX-30 > 3 > CX-30 >> CX-5 >> 6 >> 2
そう、現行マツダ車でMX-30が一番良いと思います。次の6への期待は高まるばかりですね。

Posted at 2020/11/07 13:01:20 | |
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日本車 | 日記