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Tetsu@のブログ一覧

2015年03月30日 イイね!

エス

エスようやく正式に発表されましたね。併せて試乗記も各メディアで上げられています。概ね好評…どころか、かなり絶賛な雰囲気ですね。しかも、NDロードスターよりも好評な雰囲気。


思えば、ビートが出たのはNAロードスターが出て少し後のことでした。友人がビートを買ったので乗せてもらい、いや驚きましたね。今ほどクルマ経験はなかったものの、日産でバイトをしていたのでまぁ多少は乗ってました。BNR32も含めて。当時私はNAロードスターに得意げに乗っていたのですが、ビートの何に驚いたかというとその完成度。特に剛性感溢れるブレーキとバランスの良いサス。で、ノンパワーのステアリング。エンジンは音がモロ赤帽で笑ったけど、イジるところがない! とBNR32以外で初めて思ったクルマで、とにかく下りのワインディングは最高でした。実際少しイジるだけでバランスが崩れたらしい。

今度のS660も結構完成度が高そうで、しかもNDロードスターよりも良さそう、という話に昔のロードスターとビートの図式が重なって見えるのでした。

因みにNDは期待した程の出来ではない、という感じみたいですが、ロードスターは歴代ノーマルの完成度が素晴らしかった訳じゃなくて、サイズや軽さ、レイアウトの素養で走ったクルマですよね。それで充分楽しかったし。最近マツダがリリースするクルマの出来が良いものだから期待値は上がってるけど、ロードスターの価値ってそんなもんじゃないよな。って思っています。

何れにしてもS、良さそうじゃないですか。何よりカッコ良い。物理的にはちょっと重いしエンジンの重心も高そうだけど、楽しそうな雰囲気があります。バイク並のユーティリティーだけはどうにかならないと買う気にはならないけど、乗ってみたいですね。

OEタイヤがネオバってのは気になりますが。
Posted at 2015/03/30 20:49:24 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日本車 | 日記
2015年03月25日 イイね!

自然なクルマ

自然なクルマCクラスの良さは現代の様々なテクノロジーを注いで、安全性や快適性を追及したことによるわけですが、自然なフィーリングは皆無と言って良いと思います。磨かれた上質なフィーリングを伝えるものの、やはり人工的なんですね。そういう成り立ちのクルマなのでそれはそれで納得しているのですが、一方でハイエースの自然さは素晴らしかったなぁ・・・。とあらためて思っています。

200系と呼ばれる現行のハイエース、デビューは2004年ですからもう10年以上前なんですね。現在に至るまでに、毎年のように改良を重ねていてマイナーチェンジも3回ほどあったようです。私が所有していたのは2006年式です。ハイエースは非常に細かく仕様が分かれているのですが、私のは2リッターのガソリン、Super GLという豪華(?)仕様でL:4.7m x W:1.7m x H:2m という4ナンバーサイズ。ミッションはトルコン4速でFR。車重は1.8t弱です。ちなみに最大積載量は1000kg。同じ4ナンバーでも、DXというグレードは1250kg積みとなっており、SuperGLはDXよりも最大積載量を落とすことで快適性に配慮した柔らかめのサスが設定されています。

ハイエースの素晴らしさは耐久性、品質、スペース効率、保守性などですが、その到達レベルは世界中で極めて酷使されるホンモノのグローバルカーとして世界的に見ても比較対象がないレベルだと思います。


リアシートを使える状態でリッタースポーツバイクが2台積める。

耐久性は乗用車からは考えられないレベルで、その耐久性には消耗品も含まれているのがポイントです。例えばウチのハイエース、7万km走ってエンジンオイル、ブレーキフルード、ワイパーブレード以外何も変えていませんでした。エンジンオイルだって1年に1回。ブレーキパッドもまだ半分残ってました。サス、ブッシュやボディの劣化、エンジンからの異音、ミッションのショック増大などは一切ナシ。新車よりこなれた感じこそあれ、要するに数千kmくらいから7万kmまでフィーリングにほぼ変化なし。

そういった信頼性を基に日本に限らず需要が非常に高いクルマなので、盗難率が連続1位を記録したりもするわけですが、下取りも異様に高値です。何しろ私の場合、車両本体が250万のクルマを40数万引きで購入し、5年間70,000kmを経て売却したのが140万ですから、70%近く価値が残っている計算です。趣味のクルマでこれくらい資産価値が残ったらどれほど嬉しいか・・・w。まぁ、ウチのハイエースは「バイクも積める自家用乗用車」でしたから、世の多くの「傷、汚れ、臭い上等」の酷使されているハイエースからすれば極めて程度は良かったんですけどね。

ついつい長く語っておりますが、本エントリーで伝えたかったのは走ってどうか、です。

まず、初対面でいきなり全てが分かり易く、裏切られず、自分のクルマのように信頼して走れるのが凄いところです。乗用車しか乗ったことがない方は最初はキャブオーバー車=フロントホイール上に座り、自分よりフロントホイールが後ろにあるクルマの取り回し感覚、コーナリング感覚に違和感を持つでしょうが、でもそれもすぐに慣れます。何しろスクエアそのものの車体ですから車幅感覚が分かり易い上、ミラーで全て見えます。しかも、4.7mの全長にして最小回転半径は何と5.0m。取り回し易さだけで言うなら、このクルマは見切りの悪いBセグよりよほど上なのです。パワステは油圧。ステアフィールをうんぬんするクルマではありませんし、乗用車からすればびっくりするほど中央付近の遊びが大きいです。それでも最低限必要な路面状況は伝えますし、遊びは大きめなのですがゲインの具合が丁度よく、かつオーバーシュートもしません。つまり非線形的なヨーの変化が起こりにくい。これが重要なんですね。空荷時と積載時のどちらにも対応する必要があるのはもちろんなのですが、積載時は特に荷物をケアする必要があるわけです。例えば私の場合はバイクやスペアパーツ、ツールワゴン、大量のタイヤ、発電機、テント、etc...を高く積み上げて積んでいたので、横Gを丁寧にかけ、荷崩れしないようにスムーズに走らせたいわけです。


フルに積んだ時の画像がないのが残念。こんな感じで積んでいき、荷物を天井まで積み上げる。

こんな時に自分の意思通りにヨーを作れないステアリングだと当然よろしくない。でもこれが非常にやりやすい。同じような話がスロットルにも言えます。スロットルは前モデル100系の最終型から電子制御スロットルが導入されているのですが、これがトヨタの電スロか!? と思うほど・・・というか言われなければワイヤーだと思うくらい自然です。それも、積載時の荷物のケアを考えれば当然と言えば当然です。ブレーキだけは商用車特有の遊びの大きいもので、多少慣れが必要だと思いますが、それでも積載時に丁寧なブレーキングが出来るだけのコントロール性を持っています。

つまり、荷物に極力負荷をかけないように、と考えると丁寧な運転が必要になるわけですが、そのためにはクルマの反応をドライバーが予測し、何かが起こらないように操作出来る素直さ、プレシジョン、それと過渡域での線形の連続性が必要なんですね。これってもちろんスポーツドライビングでも必要な要素ですよね。前後左右のGを如何に丸く繋げるか。

最近のトヨタを社用車やレンタカーで結構な頻度で乗っていますが、ハイエース以外でハイエースほど自然に動いてくれるクルマは残念ながらありません。ハイエースのことを考えれば「やれば出来るはずなのに」と思わずにはいられませんが、要するにそこを求められていない、もしくはやらなくても売れると判断すると、バサっと切るわけですよね、多分トヨタは。

トヨタのCMやマーケティング、製品はクルマ好きの神経を逆撫でするような出来ばかりですが、こればかりは別。トヨタが本気で作るクルマは凄い。そしてランクルやハイエースのように酷使される商用車・実用車を作らせると上手いのでしょうね。

Posted at 2015/03/25 22:39:35 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日本車 | 日記
2015年03月21日 イイね!

'15 MotoGP 開幕 2

'15 MotoGP 開幕 2さて、今回は今シーズンの展望ということで、各チームやライダー、マシンなどについてざっくばらんに書いていきたいと思います。





                                 


今シーズンのトピックは、何と言ってもスズキとアプリリアのファクトリーが復帰することだ。

スズキは、GP500時代から継続してGPへ参戦しており、MotoGPへ移行した2002年にV4エンジンのGSV-Rで参戦。2011年を最後に活動を一時休止し、2014年からの再参戦を目指すと発表した。2002年から2011年までの活動の中では、トップスピード、旋回性とも他メーカーに劣っていたのは否めず、2007年を除けば目立った成績を残せなかった。(2007年は、ウェットとなったフランスGPでMotoGP移行以来唯一の優勝を飾り、その他複数回の表彰台を獲得)

休止後、スズキは完全な新作となるMotoGPマシンの開発を進め、3シーズンのブランクを経て’15シーズンから復帰。エンジンはV4から直4となり、その名もGSX-RR。この直4エンジンはヤマハM1と同様のクロスプレーンクランクシャフトを使用していると思われ、いわゆる不等間隔爆発だ。音はもうヤマハそっくり。(笑)


どうしようもなくセンス無いカラーリングだと思うんだが、鈴菌保菌者の心は掴めるようだ。

現時点ではエンジンパワー、パワーデリバリーに課題を残すものの、一際コンパクトな車体を活かしたコーナリングマシンとなっているようで、ライダーの感触も上々の様子。

もう一方の復帰組、アプリリア。こちらは困難の船出。アプリリアは2002年から2004年にコスワース製の直3エンジンを使用したRS3(RSキューブと読む)で参戦。レギュレーション上軽量となる3気筒と、いち早くニュウマチックを採用したエンジンパワー(当時はホンダ、ヤマハよりパワーがあったと言われる)でアドバンテージを持っていたが、実際は不安定な車体と不安定な電子制御スロットル、ピーキーなパワーデリバリーで成績を残せず、特に2003年にアプリリアのファクトリーチームからMotoGPへ参戦した芳賀紀行は、なんとこのシーズンだけで28回もの転倒を記録するほどだった。こうして3年のみの参戦でMotoGPから撤退、重心をスーパーバイクへ移していった。


上のスズキと比べると、ぱっと見でクラスが違うのかと思う程大きさが違う。見るからに遅そう…


休止後、アプリリアはスーパーバイクへワークスチームを送り込み、マックス・ビアッジを擁してチャンピオンを獲得、その後もスーパーバイクでのワークス活動を継続していたが、CRTルールが出来た2012年からMotoGPへ間接的に関与、2016年にはファクトリーとしての復帰を目指すとされた。しかし、スーパーバイクがEVOクラス(※)へ移行することにより興味をMotoGPへ移し、1年早く'15シーズンからの復帰となった。

※スーパーバイク世界選手権では、参戦コストの低下、エントラントの確保を目的にCRT同様にハードルを下げたレギュレーションを設定し、これをスーパーストックEVOクラスと呼んだ。'14シーズンから通常のSBKと混走で始まったが、'15シーズンからは全車がEVOとなる。通常のSBKとSTK EVOの違いは、エンジン。SBKはカムシャフト、クランクシャフト、ピストン、コンロッドなど市販車ベースとは言えかなり改造範囲が広かったが、EVOクラスでは車体こそSBKと同等ながらエンジンはほぼストックとされる。従って市販車状態でのパワーがものを言うこととなり、かつ年間のエンジン数が7基に制限される。市販車レベルでのパワーが劣り、耐久性を犠牲にしたチューニングで年間60基は使っていたというアプリリア。他メーカーと比べてEVOマシンの戦力は劣っており、かつチューニング範囲が狭いためワークス活動の価値が相対的に低くなっていた。

MotoGPでは'12からCRTへマシンを提供したが、今シーズンの参戦にあたってはこのマシンをベースに発展させたもの=エンジンはスーパーバイクベースとなっているようで、プレシーズンテストではトップから2秒以上遅れて最下位を争う状況となっており、かなり厳しい。


その他、注目はDucati。'14にアプリリアのスーパーバイクからヘッドハンティングしたジジ・ダリーニャが開発を進めた完全な新作となるGP15が遂にデビュー。マシンは驚くほどコンパクトになり、全体的に少しホンダに似ている。最後のプレシーズンテストではハード側(ミディアム)を履いていたにも関わらずドヴィツィオーゾがトップタイム、イアンノーネも3番手タイムを記録し、レースディスタンスについてはまだ未知数ながらスピードがあることを証明した。


見違えるほどコンパクトになったGP15で、久しぶりにフロントカウルのウイングをテスト。高速でのリフト防止、アンダーステア低減を狙っていると言われるが効果は・・・?


ヤマハは長年の課題だったフルシームレス・ミッションが遂に導入される。これは要するにデュアルクラッチミッションのようなものと思われるが、クラッチ操作をせずにショックなくギアチェンジ出来る仕組みで、ブレーキングやバンク中など不安定な状況でもギアチェンジが出来る(車体に挙動を起こさない)ため有利とされてきた。昨年までは唯一ホンダだけがアップシフト側に加えてダウンシフト側でもシームレスを実現していたが、今年からヤマハも導入することとなった。昨年後半からホンダに負けないストレートスピードを見せるようになり、ダウン側のシームレス化で課題だったブレーキングが改善されると、スムーズなライディングが身上の2人のファクトリーライダーにとって、相当意味があると思われる。



ヤマハのマシンでちょっと面白いトピックはこのリアブレーキのレバー。



ロレンソのマシンに試験的に装着されたもの。フルシームレスによりスタート以外ではクラッチレバーを使用しないこと、ブレーキング時にバランスを取るために右脚を出すことを考慮してリアブレーキを左手で操作するようにしてみたというものだ。以前、右足首を痛めたミック・ドゥーハンがそれをカバーするために左手親指でブレーキを操作する「サム・レバー」を使用したことはあったが、全く別の理由でこうして左手によるリアブレーキのコントロールが試されている。

ホンダは大きなトピックはなく、昨年の通常発展型となっているようだ。ここ数年最速マシンの座をキープしているが、課題はサテライトチームとレプソルとの差が何故か大きいこと。ヤマハは比較的サテライトのTech3が上位に顔を出すことがあるが、ホンダのサテライトは低迷することが多かった。ライダーの問題かもしれないが、ハンドリングやセッティングの面でヤマハほどヴァーサタイルではないのだろう。


全体のデザイン、コンパクトさ、カラーリング・・・MotoGPマシンで1番カッコ良いと思うが、どういうわけか市販車になるとヤマハやドゥカティにデザインでは全く敵わないホンダ

一方ライダーについて。今年もシーズンを通して活躍するのは、ビッグ3と言われるマルケス、ロレンソ、ロッシに加えてダニ・ペドロサとアンドレア・ドヴィツィオーゾと思われる。マルケスはテストでもコンスタントに良いタイムを記録し、レースシミュレーションでも良いペースを刻んでおり、今年もチャンピオン最有力候補なのは間違いない。というか、基本的には誰がマルケスの連覇を止められるか、ということになると思う。



ロレンソは昨シーズンの反省も込めて体重を5キロ落として(笑)テストに臨み、心身共に充実しているようで復調してきている。マルケスへの最有力対抗馬はやはりこの男かと思う。マルケスとは対称的にマシンを振り回さない小排気量的なスムーズな乗り方が特徴で、GPライダー中随一の深いバンク角でコーナリングスピードは1番速いと言われる。



ロッシは昨シーズンの好調を維持しているようだが、1発の速さはまだ作れていない模様。ヤマハは両ライダーともまだシームレスのセッティング中ということのようだ。ロッシは昨年大きく乗り方を変えてきたが、変わったのは上半身の使い方。昔はもっとバイクの中心寄りに身体を置いていたが、今は下の写真のように積極的にイン側へ入れるような乗り方へ変わってきた。ちなみに近年のMotoGPにおけるライディングの特徴の一つは、イン側の肩を前に入れるような乗り方ではなく、胸を進行方向に平行に向けるようなフォームで、基本的な荷重のかけ方が一昔前とは異なることがよく分かる。



ペドロサは怪我などの不運が重なってきたもののセッティングが決まった時は1発の速さを持っていたが、最近低迷気味なのが少し心配。ドヴィツィオーゾは、遂にトンネルを抜けたかに見えるDucatiのGP15との相性も良いようで、コンスタントに表彰台争いに絡んでくるものと期待している。

その他の注目ライダーは、若手二人を起用したスズキ。特にアレイシ・エスパルガロは私的に一番注目しているライダー。オープン・ヤマハからの乗り換えもスムーズにいっており、ビデオを観る限りではコーナリングが非常にスムーズかつ速く、期待出来る。



待望のファクトリー入りとなったアンドレア・イアンノーネと、ホンダ入りしたカル・クラッチローの2人は希に速さを発揮するもののコンスタントではなく、ダークホース的な存在。

他にも色々と見所はあるが、何より今年は各チームの戦力が拮抗してきたことが一番面白いところ。シーズン前最後のテストとなったカタールでは1秒以内に14台が入り、これはダスティだったコンディションなど他にも理由があると思われるが、今までよりも接戦になるのは間違いない。3/29が楽しみだ。
Posted at 2015/03/21 01:24:55 | コメント(2) | トラックバック(0) | MotoGP | 日記
2015年03月18日 イイね!

'15 MotoGP 開幕 1

'15 MotoGP 開幕 1MotoGPの'15シーズンが来週開幕(3/29決勝)します。私のブログの中ではダントツでページ・ビューの少ないMotoGPネタですがw、2輪レースの布教活動の一環として今シーズンのMotoGPについて書いてみたいと思います。MotoGPは基本的にはシンプルなスプリントレースで、給油やタイヤ交換などのピットストップもありません。単純な速い者勝ち・・・なのですが、実はMotoGPクラスは細かく言えばその中でクラス分けがされているので、まずはレースを楽しむために知っておいた方が良い車両レギュレーションとその経緯について書いてみようと思います。



                    



現在のMotoGPは様々な経緯から実質的には同一クラスではなく、3クラスが混走することになっている。現在の車両規則(クラス)は経緯も含めて非常に複雑で、しかもイレギュラーケースを認めたために非常に分かりにくくなってしまった。

現在に至るまでのレギュレーションの変遷の、主な目的は以下の2点。

①ファクトリーのみならず、プライベーターが参加出来るレースとすること。
②各メーカー間での格差を減らし、レースを面白いものにすること。

2ストローク500ccで争われていたGP500に代わって2002年に4ストローク990ccでスタートしたMotoGPクラスは、ハイパワー化とタイヤグリップの飛躍的な向上に伴い、バンク角は60°を超え、最高速は340km/hを超えるまでになった。こういったマシンを速く走らせるには電子制御は欠かせず、必然的に電子制御は非常に先鋭化してしまった。本来はGP500クラスの構成=2ストローク500ccの方が市販車との関連性も薄く、技術的にも多くの2輪メーカーにとって参入障壁が高かったのだが、電子制御も含め複雑で高度な技術が必要となり、結果的にMotoGPは有力な大メーカーしか参加出来ないものとなっていた。その後、コストが増大したことやリーマンショックもあってスズキとカワサキが撤退。撤退に伴うエントリー台数の減少やレースの面白さが減ることへの対応として、2012年にCRT(クレーミング・ルール・チーム=買い取り規定あり)クラスが設定された。

MotoGPは基本的に4輪のF1のようにオリジナルのシャシーとオリジナルのエンジンで争われるレースで、そこに市販車改造による参入は許されていなかった。(実際は開始当初にヤマハのR1改という微妙なバイクはあり、議論の対象だった) しかしそれではプライベーターが参入することが難しいため、フレームビルダーによるシャシーと市販車改造のエンジンを使ったマシンのクラスを設定した。これは実際には市販車改造レースであるスーパーバイクのエンジンをビルダー製作のシャシーに載せるというのが一般的なパターンだが、アプリリアはART(Aprilia Racing Technology)という名前でシャシー+スーパーバイクエンジンを提供していた。

ところが、実際に'12シーズンのレースが始まると、ファクトリーチームとCRTとの差が大き過ぎ、レースは結局ファクトリー勢で争われてCRTはテレビに映ることも稀だったため、マシン格差を少なくすることが求められた。こうして、'14シーズンに向けてCRTを廃止し、代わってオープンカテゴリーというものが創設された。

従来のCRTとオープンカテゴリーで大きく異なるのは、市販車改造ではない純粋な市販レーサーの導入と、型落ちのファクトリーマシンが使えるようになったことだ。そのオープンカテゴリー向けマシンとしてホンダが開発したのがRCV1000Rで、要するに昔のTZやRSと同じような市販レーサー。対してヤマハは旧型のファクトリーマシンのシャシーとエンジンをプライベーターに提供するという形になった。

こうしてファクトリーチームとプライベーターのマシン格差は小さくなったが、オープンとファクトリーでレギュレーション上異なるのは主に以下の点。



ファクトリーは独自ハードウェアを動作させる(例えばシームレス・ミッションなど)ソフトウェアを自由に開発することが出来る点で有利だが、それ以外の点ではオープンの方が有利なルールだ。

'13-'14のウインターテストでは、ヤマハのオープン(旧型ファクトリー)に乗ったアレイシ・エスパルガロがいきなりファクトリー勢に割って入る快走を見せた一方、Newマシン投入となったホンダのオープン勢、ニッキー・ヘイデンと青山博一はCRT時代よりは差が縮まったものの中段以下に留まっていた。さらに、長らく上位争いから遠ざかっていたDucatiもまた、上位に顔を出せずにいた。

こうした状況で'14シーズンの開幕直前、何とDucatiのファクトリーチームはオープンカテゴリーで参戦すると発表。レギュレーション上、ファクトリーの有利な点はソフトウェアのみでそれ以外は全てオープンの方が有利であり、そしてテストにおけるアレイシ・エスパルガロの快走がそれを裏付けていた。問題だったのは純粋なファクトリーがプライベーター対象のクラスへ参戦するということと、それによりホンダ、ヤマハ勢が大きく不利になるのではという危惧があったことだった。しかも、オープンカテゴリーが不利な点はECUソフトウェアだが、この統一ECUはマニエッティ・マレリ製で、マレリはDucatiファクトリーからクルマで5分の距離にある。Ducatiはマレリと組んで統一ソフトに組み込んでもらいたい内容を反映させ、事実上統一ソフトがDucati仕様になるのではないかとまで危惧されていたのだ。

様々な議論の末、長らく低迷が続いているDucatiへの救済措置として、オープンカテゴリーでの参戦が認められた。しかし、これには成績に応じた条件が付与され、簡単に言えば上位入賞したらファクトリーオプションへ変更しなければならない、というものだ。

そういった経緯で、現在は正式なクラスとしては2つ、そしてファクトリーチームがオープンカテゴリーへ参戦する場合は条件付で許可するという微妙なことになっている。ちなみに'15シーズン、オープンカテゴリーで参戦するファクトリーはDucati に加えて今シーズンから復帰するスズキ、アプリリアの3メーカーだ。

このような、レギュレーションの公平性よりも弱者救済を優先する発想は必ずしも良いこととは思えない。同じルールの下で競うから競技なのであり、しかも観ている側にとっては同じレースを走っていながら異なるレギュレーションで走っているマシンが混走するのは、見た目がほとんど同じだけに非常に分かりにくい。


左がオープンカテゴリーのマシンRC213V-RS、右がファクトリーオプションのRC213V

若干話が逸れるが、先日開幕戦が行われたF1では相変わらずパワーユニット間の格差=特にメルセデスとルノー間が大きかったためにレッドブルが戦力の均衡化を図るようFIAに求めているとか。一足先に戦力均衡化を狙ってDucatiを救済したMotoGPだが、実際のところ、Ducatiはシーズン中にエンジンが改良出来る点を活用して開発を進めたものの、以前からエンジンより問題が大きかったシャシーの問題 ・・・・アンダーステアと、他車より大きいタイヤ磨耗・・・・ が解決出来ず、結局'14シーズンも予選やレース序盤以外で上位に顔を出すことは稀だった。とは言え、それでも以前よりは確実に僅差になって面白くなってきたのは事実なのだ。

レギュレーションの公平性とレースの均衡化についてはモータースポーツにおいては永遠の課題だろう。SuperGTやDTMなどのツーリングカーでは重量ハンディ、インディやNASCARではレース中に入れなくても良いイエローコーションを入れたりしてレース自体を面白いものにしようとしている。

本質的には弱者救済は良いこととは思えないが、やっぱり観ていて面白いレースの方が良いに決まっている。それで観客が増え、スポンサーが増えればレースも盛り上がる。「あるべき」論だけではなく、レースやカテゴリーの将来を見据えて時には柔軟性を持つことも必要なのではないかと今は考えている。


Ducati ファクトリーは、'15シーズンもオープンカテゴリーで参戦する。


ちなみにMotoGPクラスは来年'16シーズンからクラス・ルールが完全に統一される。それまでについに5ファクトリーとなった各メーカーの戦闘力が均衡化すれば良いのだが・・・

次回は今シーズンのMotoGPクラスの展望について。
Posted at 2015/03/18 12:33:05 | コメント(1) | トラックバック(0) | MotoGP | 日記
2015年03月06日 イイね!

非グローバルカー

非グローバルカー仕事柄、ヨーロッパやアメリカで随分とクルマを走らせてきました。

シリアスな会議が多く、スケジュール的にも精神的にもしんどいことが多い海外出張にあって、その土地土地でクルマを走らせるのはとても面白く、ドライブと食事は数少ない楽しみでした。

日本では見る機会すら稀なクルマや仕様を走らせるのも楽しいのですが、クルマ文化というかクルマ社会というか、交通の流れやルール、マナーを感じるだけでもその国の文化や人々のキャラクターを反映しているようで、色々と興味深いのですね。

ラウンダバウトや赤から青になる前に黄色になる信号などの環境面から、流れる速度、コミュニケーションの取り方、走っているクルマのタイプ、使われ方、汚れ方w・・・果ては後ろから隠し撮りするオービスや、対向車の速度を捕捉するパトカーまで本当に色々と面白いものです。

アメリカは、本土とは言ってもNYやLAの都市部とユタやアリゾナのような中西部の田舎では一緒くたに出来ないほど環境が全く異なるので、故に求められることも異なります。


ユタ州モニュメントバレー

しかし、全体的な特徴としてはアメリカに行ったことのない方でも想像が出来るように、広い道路とパーキング、そして厳しい取り締まりから来る低い平均速度などが特徴だと思います。こういった背景を元にアメリカ車の全体的な印象としてはクルマの大きさが大きめであること、それからアメリカ人の体格を反映してシートも大きめであること。走らせての感触としてはやはりゆったりし、レスポンスは丸く、ステアリングホイール自体も大きく、そのレシオはスローであることを感じます。ただし、ステアリングのフィードバックについてはスローなレシオの中にも各車毎に豊かなものもあり(マスタングとか)ないものもある(一連のクライスラー)感じです。


サンディエゴ市内

アメリカ車のボリュームゾーンはフォードF150やダッジラムなどのピックアップトラックと、カムリ、アコード、フォード・フュージョンなどのミッドサイズセダンですが、コンパクトクラスからラージSUVまで概ねこういった特徴を同じように持っています。

ヨーロッパは大陸側(主要国)は道路環境はほぼ同じ。非常に狭い都市部と、流れの速い郊外の道路。高速道路は概ね120-130kmくらいが制限速度で、広さやカーブの作りも日本と似ています。しかし国毎の文化や人種の違いなのか、走り方は結構違います。イタリアやフランスはほとんど制限速度を考えていないかのように速いクルマも多く、それぞれのクルマのスピードにも差があります。(特にイタリア) 一言で言えば短気なドライブ、という感じでしょうか。(タクシーで190km出されたのは未だにイタリアだけです・・・。)従ってやはりキビキビしたハンドリングが要求されるような気がします。


イタリア・アウトストラーダの料金所。"TELEPASS"というのが日本のETCと同じイメージ。これが着いていないレンタカー等は現金かカードで払う。

ドイツとスイスは驚くほど制限速度をきっちり守りますが、街中以外は制限速度自体が比較的高く、かつアウトバーンの無制限区間ではもちろん日本では考えられない高速で走るクルマもいます。アウトバーンは全てが無制限区間ではないので、200km以上で走る区間もあれば120km制限になる区間もあります。


ドイツ・アウトバーン

ドイツで驚いたのはそんな時の走り方で、200km以上で走っているクルマ達も120km制限に入るとしっかりブレーキングして120kmまで落とすのです。そんな急激に落とすと思っていなかったので最初は追突するかと思いました。また、日本と違って追い越し車線にヨロヨロ出てくるようなクルマはいない・・・というのはウソで、200km以上で走っていればそんなクルマにも遭遇します。(日本と違ってすぐにどいてくれますが) そんな状況が日常であれば、高速での安定性、空力性能や高速からのブレーキングが重要であることはすぐに分かります。

ヨーロッパの中でもイギリスとアイルランドは、都市部を除けば丘陵地帯を縦横に走るアップダウンとカーブの多い狭いワインディング(Aロード、Bロード)が特徴だと思います。


イギリス・典型的なBロード。アップダウンとブラインドが連続する。ちなみに"Aロード"、"Bロード"というのは、A3号線、B2108号線というように道路の名前を指す規格。日本でいう"国道"や"県道"のようなイメージ。

なにしろ小さなアップダウンが多く、曲がりくねっている上に草木でブラインドになっていることも多いです。また、路面も荒れていてしかも雨が多い。そうなると、走っていて何が欲しいかというと正確なハンドリングと接地感、それから乗り心地です。アンジュレーションで荷重が抜けても多少グリップが悪い状況でも安心して曲がって踏めるクルマ。だからことさらイギリスの雑誌はハンドリングやライドコンフォートの両立についてうるさいのだと思います。イギリスで人気なのはBMWやヨーロッパ・フォードですが、これらはハンドリングとライドコンフォートの両立という面で評価されているのだと思います。


Top Gearにもネタとして良く出てくる、渋滞で有名なM4。イギリスのナンバープレートは前後で色が異なり、前が白く後ろが黄色い。最初は日本のように色で規格か何かが違うのかと思って何が違うか悩んだ。


では日本は・・・?

ことさら渋滞ばかりが強調されますが、これは世界の大都市圏ではどこも似たようなものです。高速道路も、日本が遅いように思われる方がいるかもしれませんが、交通量が多い地域のペースが速いことはまずありません。なので、意外に欧米と比べても大して変わらない点も多いです。ただし、街中における信号の多さ、それによるストップ&ゴーの多さは明らかに欧米とは異なります。また、郊外の一般道路におけるペースが相対的にかなり遅いのは特徴と言えるように思います。日本では地方へ行くほど速度が落ちるのですね。例えば周りに何もない周囲が畑のような道路で視界も良い晴れた日中、40km/h程度で走るのは他の国で見たことがありません。まぁ、そういう法定速度設定なんですが・・・

そうした日本の状況に合わせたクルマというのは、結局のところ軽だったりハイブリッドだったりするのだと思ってしまうのですね。公共交通機関が整っている日本で数時間以上かけてクルマで移動をするようなケースというのは全体から見れば少なく、従って長距離・長時間を前提としたクルマ造りよりはランニングコストや「部屋」のような造り、機能が求められるのでしょう。

工業製品は昔からその土地(国)の文化や背景を表していました。しかし、グローバル化が進み、1つの製品が多くの文化圏、国へと輸出される現在、クルマという製品自体が基本的にはグローバル製品となってきています。グローバル製品にするということは、一般的には(一部の高価格帯を除けば)色々な要望を取り込み中庸を狙うということにもなりますので、文化や背景を表すことは少なくなるでしょう。一方で、アルファロメオはイタリア生産、イタリア製エンジンに拘ることを宣言(※)。その意味は、自らの国や文化をブランドとして、強みとして生かしていくのだというアピールに他ならず、それはスイス製の機械式時計(いくらハイビートにしたところで、精度はもちろんクォーツに敵わない)のように性能で競わないブランド化というビジネスモデルへの転換ということであり、非常に大きい意味を持つと思います。もちろん、イタリアンブランド化が強化されたとしても実際に作られるクルマが味気ないグローバルカーだったら意味がありませんが・・・

いずれにしても、最低限必要な性能や安全性は満たしている現代のクルマ。それを土台に自らの国や文化を製品にストレートに反映した「非グローバルカー」が増えてくると、またクルマも面白くなるのになぁ、と妄想を膨らませるのでした・・・・・。 フュージョンも悪くは無いけど、イタリアンっぽいフレンチやカリフォルニアロールみたいな鮨ばかりになったらつまらないですよね。やっぱり。


スペイン・マドリッド市内(の高速道路)

-------------------

(※)
アルファ ロメオの建て直しを図るセルジオ・マルキオンネは、アルファ ロメオはイタリア生産でイタリア製エンジンを搭載していなければならないという主旨を発言。そしてアルファ・スパイダーはロードスターの兄弟車ではなく自社開発となり、159の後継となるDセグメントセダン(ジュリア?)共々FRに戻すという。これはアルファ ロメオのプレミアムブランドへの移行を狙ったもので、シャシーはマセラッティのプラットフォームを流用するらしい。さらには傘下であるクライスラーの300Cなどともシャシーを共有することとなっているようで、ブランド化とは別にクルマの根幹は結局グローバルカーか・・・? アルファ ロメオの味はあるのか・・・?という思いもあったりします。
Posted at 2015/03/07 08:45:19 | コメント(4) | トラックバック(0) | その他 | 日記

プロフィール

「@Sekiai さん 初めて見ました!こんな動きだったんですね。ツインシャシーとは知ってはいたものの、どういうことなのか全く分かっていませんでした。」
何シテル?   08/09 09:35
10年以上続けていた2輪レース活動を休止し、のんびりとバイク/クルマ生活を楽しんでます。今はやる方ではなく観る方に変わりましたが、モータースポーツは2輪・4輪問...
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