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2019年08月11日 イイね!

1枚の写真から・・・

1枚の写真から・・・写真は今週行われているMotoGP オーストリアGPの予選で撮影されたもの。レッドブルリンクのおそらく3コーナー。この写真の何が衝撃的かって、それはフロントホイールの角度(切れ方)。

2019年型のホンダRC213Vは、昨年型と比べて大幅にパワーが上がったものの、代わりに旋回性に難を抱えた。単純に言えば曲がらなくなった。エンジンパワーを上げるため、ラムエアの吸気経路やエアボックスの拡大を行うためにフレームにまで大幅に手を入れる必要があった。その結果、去年とは異なるハンドリングとなったのだ。目的は最高速でのドゥカティに対するギャップを縮めることで、それによってブレーキングやコーナリングで無理なライディングをしなくても済むようにすること、よりソフトなタイヤを使えるようにすること(ホンダは常に一番ハードなフロントタイヤを使用してきた)、コースレイアウトによる得意・不得意の差を無くすことなど。

マルク・マルケスは今シーズン、第3戦のアメリカでトップを走りながら転倒した以外は、何と優勝か2位のみ(10戦中6勝、2位3回、DNF1回)という素晴らしい安定感で、転倒数は昨年の半分にまで減っている。(もっとも本人曰く、転倒数自体は減っているように見えるが、転倒しそうなところを奇跡的(?)にセーブしているのはそれ以上あるとのこと。)そしてチャンピオンシップポイントは現時点で2位に63ポイントを付けている。これだけを見れば今年のホンダがどれだけ素晴らしいかと思うところだが、しかし今シーズンのカル・クラッチロウは昨年ほどの活躍が出来ないでいる。旋回性に苦労しているのだ。

昨日の予選、マルケスは1'23"027というコースレコードでポールポジションを獲得したのだが、何と2位に0.434秒というとんでもない大差を付けた。2位のファビオ・クアルタラーロから11位のポル・エスパルガロまでの差が0.405秒であることを考えれば、この1−2位の差がどれだけとんでもないレベルか分かるだろう。完全に1人だけレベルが違うのだ。

ストレートが速いだけの旋回性の低いバイクでこんなことは普通出来ない。しかしクラッチロウの走りを見ても’19年型RCVの旋回性が高いとは思えないし、中上のコーナリングを見ても’18年型の方が曲がるように見える。ではどうやってこのスピードを・・・。一つは、現在のマルケスは単純に人よりバイクを寝かせている。昔では考えられないが、何と最大バンク角66°。


今年のドイツGP、ザクセンリンクの3コーナー

路面に対して24°しか起きていないw。45°以上寝かせたら物理的に転ぶんだ、なんて昭和の都市伝説wを吹っ飛ばす最新のミシュランのグリップ。でもそれだけでもない。

そこで冒頭の写真へ戻る。

このフロントホイールの切れ込み方だけを見れば、普通はそのままグリップを失って転倒する。別の言い方をすれば転倒直前の写真にしか見えない。しかし、今のマルケスはこれを「わざと」やっている。つまりバイクの旋回性が低いため、バイクを曲げるためにわざとフロントを切れ込ませて、かつ滑らせているのだ。(驚愕) 切れ込ませた瞬間はフロントからの最大の旋回力=ヨーモーメントが得られる。しかしその直後にグリップを失うことになるので、フロントを滑らせたマシンを肘と膝で支えつつ、今度はスロットルでリアをドリフトさせてスピードを維持したまま強烈な鋭角で旋回して立ち上がる・・・。

こんなことは未だかつて誰一人出来なかったし、やらなかったのだ。

1枚の写真から、史上最高のライダー、マルク・マルケスの一端が見えた。
Posted at 2019/08/11 13:00:12 | コメント(3) | トラックバック(0) | MotoGP | 日記

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「@Sekiai さん 初めて見ました!こんな動きだったんですね。ツインシャシーとは知ってはいたものの、どういうことなのか全く分かっていませんでした。」
何シテル?   08/09 09:35
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