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Tetsu@のブログ一覧

2019年12月28日 イイね!

W205

W205C200が1年7ヶ月で2.2万km、C43が1年8ヶ月で2.5万km、C63が1年9ヶ月で1.8万km、合わせてちょうど5年で6.5万km。

W205型メルセデスCクラスに乗って5年経ちました。あの衝撃を受けてからもう5年か…。最初に乗ったのは発売直後にふらりと入った近所のディーラーで。ショールームで内装の質感に驚き、ドアの軽さに驚き…。乗るつもりはなかったけど営業さんに勧められるがままに試乗。C180のアバンギャルドで、まぁ素っぴんに近い仕様ですね。街乗りしかしなかったけど、シャシーとボディの剛性、ステアリング全体の剛性、精度感、そして静粛性に衝撃を受けました。走りから室内まで手抜きを感じない(実際はあるが)質感の高さに、予算を超えてたけど買うことにしたのです。最近のドイツ車は昔と違って素っぴんに近い仕様よりもAMGなど上位モデル、スポーツ仕様の方がきちんとセッティングされていると感じることが多いのですが、今思えばあのC180の素に近い仕様もW205の真髄を充分感じることの出来るクルマでした。

C200は、W205のコンセプトを一番ストレートに具現化した仕様だったと思います。エアサスという飛び道具に、コンフォート性を持たせつつもスポーツ性を前面に出したシャシーセッティング。そのイメージを表現したエクステリア。



エンジンはザ・実用車、といった感じで面白味はなかったけど、これもまぁメルセデスらしいと言えばメルセデスらしい。街乗りでもシャシーが良いことは分かりましたが、ワインディングで走らせた時の想像以上にスポーティなハンドリングとグリップの高さにも驚きました。実際下りならかなり速いですからね。MY14(15?)の最初期モデルだったから、極めてマイナーだけど品質面で気になる点もありました。

その次のC43は、C450としてリリースされたモデルをブランド戦略の変更でC43として販売された初期のモデルでした。中途半端なブランド戦略に翻弄され、LHDしか用意されなかったこともあって当時は多分人気無かったですよね。おかげで格安で入手出来ましたw。



7速の7G世代は音の演出も派手で、特にアフターファイアはGr.A時代のラリーカーのミスファイアリングシステム並の派手さで、これは9速化、RHD導入のマイナーチェンジ時に大人しい方向にチューニングされました。やり過ぎだったんでしょうねw。クルマ自体の出来は散々書いてきたように素晴らしく、パワートレインは等間隔爆発となる60°V6ツインターボ、トルク配分固定の真性フルタイム4WD。2速発進となるトルコン7Gは、当然ですがC63のMCT-7と比べて全く普通のATとして扱え、微速のコントロールもやりやすかった。シャシーはフロントのキャパが標準モデルから上げられ、一方リアサスペンションは標準車と同じ構成だったため、意外にオーバーステア傾向があり、これに4WDを組み合わせることでスタビリティとコントロール性の絶妙なバランスを持っていました。でもブレーキは耐フェード性が低く不満でした。あとおそらく19インチ35扁平はオーバーサイズ。DUNLOPのSPORT MAXX RTも合っていなかったように思います。スタッドレスは18インチにしていましたが、その方が全体のバランスが良かったので、サマータイヤも18インチでミシュラン、コンチ、ピレリ辺りならもっと良かったんじゃないかと。

C63はやっぱりちょっと特殊なクルマでした。とにかく味の濃いクルマで、サルーンでありながら趣味性の高さがあり、エンジンの楽しさ、素晴らしさが堪らない。子供のように無闇にブリッピングをしたくなるエンジンなんて(しないけどね)、クルマでは初めてかも。(そう言えばC63の音も、後期型ではエキゾースト、アフターファイア共に大人しくなっているようですね。)

V8ターボにFR、それにトルコンを使わないクラッチ式のAT。サスペンションはフロントもリアも専用設計となりC43より限界は高いですけど、それでも476ps / 650Nmを受け止めるのは無理で、本気でバトルになると到底トラクションが足りない。でもそのアンバランスを素晴らしいV8と共に楽しむクルマ。ファミリーカーとして使える趣味車。だから趣味車としての煮詰めがやはりC43よりしっかりされてます。ブレーキの耐フェード性能も高いし、ESCのセッティングもC43ほどコンサバじゃなく、もっと本気の「走り」寄りです。以前ブログに書いたクーリングもしかり。



C63が一番距離を走っていませんが、W205の3台の中では一番所有期間が長いことになりました。早いものです。というか、C200もC43も2年乗っていないんですよね。距離はそれぞれ2万以上走ってますけど。C63が距離を走っていない理由は実はシンプルで、7月くらいから月の半分を大阪で暮らすという半分単身赴任みたいなことになっているからです。

こんな過去を振り返るようなブログですが、C63は次の3月に車検も受けて(W205で初めての車検w)長く乗るつもりです。C63は所有期間としては今度の3月でちょうど2年ですが、登録済み未使用車だったため、購入した時点で初登録から1年経っていたのです。実際のところ神奈川に住んでいるとは言え冬の足としては少し難があるのですが、カーシェアを使うことで帰省や旅行は何とかなることが分かりましたし、ランニングコストもタイヤやブレーキパッドこそ早めの交換になりますが、それ以外は思ったほどではありませんでした。ちなみにC63のメンテナンスは、通常はメンテナンスAとメンテナンスBを1年おきに繰り返すサイクルですが、それ以外の追加メンテナンスサイクルとしてはこんな感じです。

エアクリーナー・エレメント 50,000km毎
デフオイル 初回3,000km、以降50,000km毎
トランスミッションオイル及びフィルター 初回50,000km
スパークプラグ交換 75,000km毎
フューエルフィルタ交換 200,000km毎
クーラント交換 200,000km毎

冗談みたいに長いサイクルですが、最近のクルマはこんなものなんですね。よく日本はシビア・コンディションだからうんぬんという方もいらっしゃいますが、私は基本的にこのサイクルでやっていきます。海外の情報を見ていると大きな故障も少ないようで、どうやらタイヤとブレーキ関係の出費以外は普通のクルマとほとんど変わらないレベルで維持出来そうです。

次期W206はサイクルから言えば少し早く来年デビューするとのことですが、これはラインナップのCO2削減を早めることが目的でしょう。そして・・・C63については衝撃の4気筒化の話。続報がないのですが、やはりA45に積まれているM133 4気筒ターボにハイブリッドを加えて500ps、さらに4WDという線が濃厚なようです。いやもう、いくら速くてもそんなクルマに全く惹かれないんですけど。

というわけでしばらくC63です・・・
Posted at 2019/12/28 18:50:38 | コメント(3) | トラックバック(0) | Mercedes | 日記
2019年12月22日 イイね!

Jorge Lorenzo

Jorge Lorenzo真に速いライダー、5回の世界チャンピオンに輝いたホルヘ・ロレンゾが今シーズン限りで引退した。ロレンゾは2002年に15歳で125ccクラスにデビュー。2005年に250ccにステップアップし、2006年、2007年とアプリリアで世界チャンピオンを獲得し、2008年に20歳でヤマハ・ファクトリーと契約、当時絶頂期にあったヴァレンティーノ・ロッシとコンビを組むことになった。そしてMotoGPデビュー戦となる開幕戦カタールでいきなりポール・ポジションを獲得、決勝で2位に入る。鼻っ柱の強い小僧でw、そして何より速かったので、ロッシとの関係は最初から上手くいかず、両者のピットの間には衝立が立てられ、しかも今のMotoGPでは考えられないが、なんとテレメトリーやセッティングなどのデータ交換すら禁じるほどの対立だったのだ。翌2009年、ロレンゾはタイヤをBSに変更したヤマハでさらに速くなり、チャンピオン争いをしながらランキング2位、そして遂に2010年MotoGP世界チャンピオンに輝いた。2011年は怪我で3戦を欠場、他にも怪我の影響で沈んだレースも多く、ランキングは2位ながらチャンピオンのストーナーから90pt離される不本意なシーズン。そして2012年はダニ・ペドロサとチャンピオン争いをして逆転優勝、2度目の世界チャンピオンを獲得した。2013, 2014年はマルケス無双が続きwチャンピオンを取れなかったが、2015年に激しいチャンピオン争いの末、再び世界チャンピオンを獲得。実はマルク・マルケスがMotoGPクラスへ参戦してからマルケス以外で世界チャンピオンを取っているのは、この2015年のロレンゾが今のところ唯一なのだ。

そんなロレンゾはMotoGPにデビューした2008年からずっと怪我に苦しめられてきた。そして、最終的に引退を決断したのも怪我が理由だった。フレディ・スペンサー、ウェイン・レイニー、ケビン・シュワンツ・・・いずれも怪我で引退した。典型的なパターンではあるし、レーシングライダーは怪我と背中合わせだからしょうがないと言えばしょうがない。

‘80年代後半から’90年代前半くらいまでのF1のドライバー達・・・セナ、プロスト、マンセル、ピケ、ベルガー、アレジ・・・あと代表的ではないにしても個人的な好みではイヴァン・カペリや、ニコラ・ラリーニ、ジョニー・ハーバートも。遡ればジェイムズ・ハント、ニキ・ラウダ、ロニー・ピーターソン、マリオ・アンドレッティ、ジル・ヴィルニューヴ・・・単に速いとか強いとかではなく、レースでもパドックでも個性を放っていた時代があった。そして現代のMotoGPは同じようにキャラクター溢れるライダー達による最高峰のバトルだ。

ロレンゾを失うMotoGP・・・。とても寂しく思うのは、ロレンゾがマルケスを倒せる数少ないライダーであることも大きいが、もう一つがそのキャラクターだ。自分自身の中に「あるべき姿」を持ち、正直で、ストイックで、だからこそ他者を批判したりもした。深いバンク角に象徴されるコーナリングスピードの高さが真骨頂だったから、ウェットやセッティングが合わないと苦しんだり、ブレーキングが深いライダーをパッシングするのに苦労したもんだからバトルに弱いとか散々叩かれもした。確かにレースでは時に競り負ける面もあった。ロレンゾのライディングは、クリッピングまで減速を続けるというよりはターンイン時のスピードをそのまま維持していくスタイル。なのでコーナー奥まで強いトレイルブレーキングを使うタイプのライダーと比べるとバイクを起こしている進入段階でのスピードは遅いケースもあった。それは良い悪いではなくスタイルの違いではあったが、ラップタイムを目指すならまだしてもバトルでは弱点になることも少なくなかった。また、ロレンゾは高いコーナースピードを維持するために深いバンク角でコーナリングをするため、フロントタイヤに関する信頼感をとても重要視したライダーだった。そのためブリヂストンと非常に相性が良く、逆にミシュランとは相性が良くなかった。彼がMotoGPでチャンピオンを取った2010, 2012, 2015年はいずれもブリヂストン時代だ。2016年にコントロールタイヤがミシュランへ変更となり、ヤマハがM1をミシュランに合わせるのに苦労したこともありロレンゾ自身も端的に言って接地感が希薄だというミシュランのフロントフィーリングに苦しんだ。

しかし噛み合っている時のロレンゾはポールからホールショットを決め、そのまま余裕で逃げ切った。それはクラッチロウの言葉を借りれば “a guy that on his day a lot of people wouldn’t even be in the same race as”(意訳:彼がノレている日は、他のヤツらは同じレースに出ていないようなもんだった)

そう遠くない将来にロッシやクラッチロウというキャラクター溢れるライダー達も引退するだろう。正に世代交代だけど、その端緒となりそうな、それがとても寂しい。

写真は2010年。一番ホルヘがキレていた頃。

Posted at 2019/12/22 11:32:00 | コメント(1) | トラックバック(0) | MotoGP | 日記
2019年12月21日 イイね!

GRヤリス

GRヤリス数週間前からSNSでティーザーを見てはいたのですが、まさかカタログモデルになるとは・・・。

トヨタのWRC用ホモロゲーションモデル、GRヤリス。Gazoo Racing というセンスのかけらもない、クルマに全く興味がなく、思慮深さも無い人間が考えたようなブランド名からして大嫌いなんですが、もうこれをゴリ押しで行くんでしょうね。プライベートのレーシングチームが自分のチームに名付けるなら何の違和感もないですが、あれ程の大企業が “Gazoo”って・・・。なんでこのセンスを恥ずかしいと思わないのだろう。一生懸命クルマを作る開発者に同情してしまうほどですよ。

閑話休題

そのGRヤリス、2021シーズンに向けたホモロゲーションとして2500台以上は生産をするのでしょう。WRカーのレギュレーションではファミリーで年間25000台、直接的なベースモデルで2500台の生産が必要です。ファミリーというのは全てのボディ・バリエーションを指しており、直接的なベースモデルというのは参戦するマシンのボディ形状ですね。このGRヤリスはWRCチームの要請に基づいて通常モデルにラインナップされていない3ドアを採用しており、今のところGRヤリスにしか3ドアがないためこのモデル自体を2500台以上生産するということらしいです。

WRカーのレギュレーションでは、ベースエンジンのファミリーからの流用、ターボ化、駆動方式、サスペンション形式の変更まで大幅に許容されているため、Gr.Aの発展型とは言え今のWRカーは全て完全な別物ですし、市販車モデルとしてスポーツ4WDを持っていません。昔のGr.A時代・・・ランチア・デルタ、セリカ、ランサー、インプレッサ・・・のようにベースモデルでターボ4WD化しておく必要がないんですね。これによって参戦メーカーが大幅に増え、一時は7メーカーが参戦するなど活況を呈しました。

そういうわけで、どうしても別のボディ形状が欲しければそれはしょうがないとしても、スポーツ4WDまで市販する必要は全くありません。とは言え、今やマーケット的にシュリンクしている3ドアの通常モデルを持ったところで大した旨味はない、それならいっそスポーツモデルとして出した方が・・・こういうことなんでしょうかね。



経緯や背景は別としても、このGRヤリスは相当気合の入った興味深い内容ですね。コンセプトは各地のローカルラリーで勝てるクルマにすること。WRカーのコスプレではなく、勝てるだけのベースを造り込んだ、と。おそらくR5ラリーカーとしてのポテンシャルを持たせたんでしょうね。そして特に力を入れたのが軽量化だったようです。私的にはここが一番の驚きなのですが、エンジンは何と直列3気筒1.6Lターボ。既存の4気筒2.0Lターボもテストしたらしいのですが、重過ぎたとのこと。カローラには4気筒1.2Lターボが載っていますがこれも不充分だったということなんでしょうね。スペックは270ps、350Nm。1.6Lなのでかなりパワーを出している方ですね。そしてボディは専用の3ドア。リアウイングへの気流を増やすため、ルーフのリア部分が5ドアと比べて低くされていることもあり、かなりコンパクトに見えます。リアサスはトーションビームからダブルウィッシュボーンへと変更され、トレッドも大幅に拡大。ボディ側もかなりフェンダーが広げられていますね。4WDシステムは重くなることを嫌って通常のセンターデフを持たず、リアデフに電子制御のクラッチを組み込んでいるようです。(追記: 異なる情報あり)
その専用ボディですが、まだプロトなので詳細スペックが発表されていないのですが、ベースモデルのサイズから考えれば全長4m前後でコンパクトなんですが、意外にホイールベースが長く2550mm。ミッドシップの981ボクスターですら2475mmですから、全長4mにしてはかなり長い方です。因みにスペック的に近そうなアウディS1のWBは2465mm、ランエボ5で2510mm、現行スイスポは2450mm。クルクル回り回頭性が良いなんてインプレが多いですが、本当かな・・・。オーバーハングはかなり短いのでイナーシャは小さいでしょうけど

GRヤリスは完全にトヨタの社内開発で、トヨタ社内でスポーツ4WDが20年以上なかったことからノウハウが枯渇しており、開発ドライバーがスポーツ4WDを勉強するところからスタート、WRCドライバーにもチームに入らせて・・・というちょっと変わった開発プロセスを経て出てくるこのクルマ、かなり楽しみです。
Posted at 2019/12/21 12:17:53 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日本車 | 日記
2019年12月09日 イイね!

最新のクラシックエンジン

最新のクラシックエンジン印象に残ったエンジンを数回に渡って挙げてみたわけですが、こうして色々と思い出しながら考えてみると、これから先の将来、エンジンを楽しめるクルマがどれだけ出てくるだろうかとあらためて考えてしまいます。CO2規制の厳しさから電動化の流れは免れないですし、一部は完全EVとなるでしょう。一方で、エンジンによるハイパワー追求という意味では行き着くところまで来てしまっています。C63の476psですら、所々で使うことは出来ても踏み続けることは出来ない。。。電動パワートレインが今後増えていくのは間違いなく、既に出力的にも内燃機関は追い越されつつあり、しかもバッテリー技術にブレイクスルーがあればあっという間にそれが一般化します。であれば、エンジンはもうパワーを追い求めるのではなく、そろそろ味へ転換するようなことは考えられないものか。クルマという商品はバイクとは違って基本的にはより社会性が求められ、日常の足、生活の道具であり、開発費用を含めて考えればクルマ好きのボリュームだけではビジネスが成り立たない。これは何となく分かります。しかし旧車の人気が衰えないのは結局のところ面白いからであり、こうした流れへのアンチテーゼ。


そう考えるとバイクの世界は実に面白い流れがあり、最新技術で”古い”エンジンを開発しているわけです。


ハーレー・ダビッドソン Milwaukee eight

1980年代、日本車がバイクブームに乗って台頭していた頃。ハーレーは旧来の空冷45°Vツインを使い続けていたけれど、その将来に不安を持っていたようです。そこでハーレーは新型エンジンの先行開発をポルシェへ依頼。この時は60°V2, V4, V6という形で開発したものの立ち消え。それがその後レース用エンジンとして水冷60°V2になり、VR1000というAMAスーパーバイクを走るレーサーに。



このエンジンをベースに再びポルシェと市販化へ向けて共同で開発を行い、2002年にリリースされたのがV-ROD。このV-RODのエンジンは通称レボリューションエンジンと呼ばれ、VR1000用エンジンがベースとされた水冷60°V2。そしてヘッドは何とDOHC。そしてドライサンプ。こうして新世代エンジンはリリースされるわけですが、それはもう賛否両論。何しろ今までのハーレーと全く違います。低回転での鼓動(パルス)、味わいが特徴だったハーレーがDOHCで上までブン回る速いエンジンへ・・・。



何しろ当時の空冷ツインカム88エンジンは最大トルクを3000rpmで発生していたところ、レボリューションでは7000rpmで発生するような高回転型だったのです。これはこれでアリかと思いきや、ハーレーのファンは全くそうではなかった・・・。ハーレー自身もそうしたファンの反応から空冷Vツインを捨てられず、結局新世代空冷VツインとしてMilwaukee Eightを開発。しかも2018年にはV-RODシリーズをディスコン、遂に水冷化を諦めて空冷(一部モデルはヘッド水冷)へ回帰するのです。
Milwaukee Eightは以前もブログに書きましたが、最新の設計ではあるもののOHV、しかもツインカム88ではカムが2本だったものが1本へ戻されました。でもバルブは4バルブ。排気量を拡大して現在では114ci=1868ccが標準的な仕様です。このエンジンに乗ると、やはり味が重要なんだと分かります。低速でのパルス感、排気量で押し出す必要以上に太いトルク。趣味性が極めて高いバイクの世界では、結局そうした味が重要であるということなんです。しかも、昔ながらの三拍子を刻むためにハイカムを入れつつアイドリングを極端に下げたり、鼓動感を増すためのチューニングすらあるんです。


BMW R18 Concept

ハーレーのアイコンが45°Vツインなら、BMWのエンジンアイコンはフラットツインです。それはなんと1923年にBMWブランドとして生産が開始された最初のバイク、R32から採用されているのです。しかも本当に驚くことに、日本では関東大震災があった1923年、フラットツイン、シャフトドライブという現代のBMWフラットツインの基本構成が既に確立されていたのです。このR32はサイドバルブのエンジンでしたが、その後1928年にはOHVヘッドを持つR62になりました。それから1936年にR5という500ccフラットツインのエポックメイキングなモデルをリリース。



このモデルが現代のバイクへ続くダブルクレードルフレームやテレスコピックのフロントフォークを採用し、さらにはギアシフトが左手のクラッチと足によるペダル変速になった、と。(それまでは所謂ジョッキーシフト) BMWはこのR5をオマージュしたモデル5 Hommageを2016年にコンセプトモデルとして発表。これは完全にコンセプトモデルで、オリジナルのR5を大改造して作ったモデルでした。しかしこのデザインがとても魅力的で好評だったため、BMWは市販化を決定、今年6月にR18コンセプトとして発表しました。



このバイクは何とこのデザインに近い状態で2020年に市販されると発表されています。そしてこのR18に搭載されているエンジンが、完全新規開発の新しいフラットツインなのです。私が持っているR1200GSのエンジンは、空冷フラットツインのOHC4Vヘッドですが、サイドドラフト・前方排気というホリゾンタルフロー。それにクラッチは乾式シングルプレート。それが2013年にモデルチェンジされ、ヘッドのみ水冷の空水冷のDOHC4Vとなり、ダウンドラフト・下方排気のバーチカルフロー、クラッチも一般的なウェットのマルチプレートとなり一気に現代化しました。今は排気量も1250ccまで拡大され、私のモデルでは105psだったパワーも何と136psまでUPしています。しかし実は私の空冷フラットツインでさえ、まろやかな味のある回り方をするエンジンで(私自身はバルブクリアランス調整直後のパルス感がある方が好きなので、マイルドなフィーリングは大して好きではありませんがw)、これを好むオーナーがいたこともあって今はこのエンジン(ただしDOHCヘッド)はR-nineTというシリーズに搭載されています。

そしてR18。エンジンは空冷フラットツイン、そしてホリゾンタルフローに戻され、しかもプッシュロッドOHV!クラッチも乾式単板に戻されています。もはや完全に先祖返りw。しかしもちろん最新技術を投入しており、燃焼室は最新の設計、4バルブでツインプラグです。そしてポート噴射のインジェクション。クランクシャフトは鍛造。排気量は何と1800cc。BMWフラットツイン史上最大です。低回転を重視している性格なのは当然ですが、少し意外なのはボアxストが107.1 x 100.0とショートストロークで設計されていることです。ハーレーはこの辺りは拘っていて、例えば107ci(1745cc)では100.0 x 111.1、114ci(1868cc)では102.0 x 114.3とロングストロークです。因みにハーレーのチューニング部門、スクリーミングイーグルが107エンジンへの114ciボアアップキットをリリースしていますが、これはボアだけを広げて114ciにするのでストロークは111.1のまま。したがってもっと回るフィーリングだと言われています。R18でも粘り強いロングストロークのトルク特性が好まれるとは思いますが、しかしフラットツインでストロークを伸ばすことはすなわちエンジン全幅を増やすことになり、バイクとしては色々と良くない面も出てきてしまうので100mmまでに抑えたのでしょう。


クランクケースは何と左右分割で、シリンダー辺り900ccの爆発トルクを受け止めてクランクシャフトの振動を減らすためトリプルベアリング化。シリンダーにはニカジルコーティング。ピストンリングは2本のコンプレッションリングにオイルワイプ1本

このR18のエンジンはパワーは90psを4750rpmという低回転で発揮、レッドラインはたったの5750rpm。下手したらディーゼル以下ですw。そりゃシリンダーあたり900ccもあったら重くて回らないでしょうね。だからOHVでも全然OKなんでしょう。しかしトルクは158Nm!これを3000rpmで出しますし、2000-4000rpmでの加速感に拘ったとのこと。


バイクの世界でももちろん性能を追求した流れはあり、先日発表されたホンダの新型ファイアーブレードは1000ccで217ps、カワサキH2は1000ccにスーパーチャージして242ps(高速域でラム圧が効いている時)を出します。速いバイクも面白いことは面白いのですが、何しろこの速さはライダーの恐怖心に直結します。つまりクルマ以上に「開けられるライダー」が少ないはずです。怖い思いをしてまでの速さは要らない。実際はそんなライダーの方がむしろ多い。しかしつまらないエンジンも嫌だ、と。これはもう、とことん趣味の世界であり、クルマの世界とは違うのだいうのは分かっています。しかしクルマの世界でこういうのは本当に絶対に出来ないものなんだろうか・・・。もちろん一般に入手しづらいバックヤードビルダーやモーガンのような超小規模メーカーでなく、普通に買えるメーカーで。普通に考えれば無理なのは分かってます。今のクルマ造りは制約が多過ぎるし、何しろそんなマニアックなモデルはビジネスになりにくい。例えば普通のクルマの3倍の値段でゴルフより遅いとか??面白ければ私はかなりアリですが、まぁ大メーカー的にはF1参戦以上に無理な話かな・・・。

それにしてもR18は本当にシビれるほど格好良い・・・。バイク史上でも上位に入る美しさだと思うんです・・・

Posted at 2019/12/09 09:37:47 | コメント(3) | トラックバック(0) | バイク | 日記
2019年12月08日 イイね!

やっぱりエンジンが好き③

やっぱりエンジンが好き③所有は出来なかったものの、今まで乗ったクルマの中で印象的だったエンジンも挙げてみたいと思います。

日産 VR38DETT



いや〜、今まで乗った中で何が凄かったってコレ。正に衝撃でした。乗ったのはもう10年くらい前。2007年モデルで480ps/588Nmという仕様ですから、C63の476ps/650Nmと比べてパワーは同等、トルクは少し劣るというスペック。もはや10年近く前の記憶なのでM177との正確な比較はちょっと出来ないのですが、とにかく速かった。しかもレスポンスが凄く良かった。R35 GT-Rというクルマ自体がとんでもなく凄くて、現在に至っても未だにターンパイク自分史上最速のコーナリングだったので色々と美化されてるんですがw、でも911ターボと比較しても速かったという事実に納得の速さでした。フィーリングとか音とか一切無視して完全に本気で造り込んだ凄みというか、そういうのを感じられました。で結果的にメチャクチャ上まで気持ち良く回って音も良いという・・・。GT-Rのコーナリングがあまりに速いので立ち上がりでの全開加速が出来なかったのですが、(コーナリングで160超えてるので立ち上がりですぐにリミッターに当たってしまう・・・というのはフィクションです)どこから踏んでもラグなくトルクが付いてきて、しかもとんでもなく速いのになぜか恐怖心を感じず信頼して踏めるという・・・あれには感動しました。
VR38DETTの造り自体は、現在から見るとクラシックな正攻法。Vバンク内吸気でエンジン外側へ排気という通常のレイアウトで、95.5 x 88.4 というショートストローク。3.8リッターという排気量はV6としてはシリンダーが大きめになりますが、V8にしなかったのはパッケージングを考えてとのこと。トランスアクスルまで採用するくらいパッケージを重視しているので、長くなるV8を嫌ったということのようです。潤滑性を目的に部分ドライサンプ化もされています。シリンダーブロックはアルミのクローズドデッキで、シリンダーはライナーレスとしてコーティング(溶射)がされています。このエンジンの先行開発はあのコスワースに依頼していたとのことなのですが、この正攻法なスペックを見ると分かる気がします。


三菱 4G63(E38A ギャランVR-4RS、CE9A ランエボⅡ)
言わずとしれた名機、4G63。2リッターターボのベンチマーク。これもF4Rと同様に元々は実用車のエンジンでそれこそトラックにすら積まれていたという・・・。元はSOHC2バルブヘッドだったのをDOHC4バルブ化+ターボ過給。4G63が特に有名になったのはランエボに積まれてからだと思いますが、私が最初に経験したのはギャランでした。弟がAE86の次に買ったのがE38Aギャランの最終型VR-4RS(240ps)というマニアックな仕様で、ダートでもやるのかと思ったら車高調組んで峠仕様だったというw。



とにかく低速トルクの厚さが印象的でしたが、意外にも上も回ってレッドまで綺麗に回っていた印象です。ボアxストは85.0 x 88.0とこれもロングストロークだけど、これでもルノーF4Rに比べれば全然ショート。だから意外に上まで回る印象なんだと今なら思いますが、当時はとにかく速いという印象でした。その後私はBG5レガシィを買うわけですが、逆にEJ20のトルクの薄さと強烈な谷、ターボラグの大きさにショックを受けましたw。当時のEJ20は上が回ることは回るのですが、レガシィではあの排気量でA/Rの異なるターボを2つ組んでシーケンシャルツインにしていたんですが、今思えばショートストロークの基本特性は如何ともし難く、全く持ってピーキーな特性だったんです。そういうこともあって、4G63はいまだに凄いエンジンだったという印象が強いです。ただ、速いことは速いエンジンだったけど面白かったかと言われると・・・そうではなかったと思います。当時のロングストロークのターボだから弾けるように回るという感じでもないですし、音の印象が大きい気もしますけど。Gr.A仕様でもデルタやセリカと比べても一番冴えない音でしたし、そういう素性なんでしょう。その後CE9AランエボⅡにも結構乗りましたが、基本的な特性は当然同じ印象でした。
私はノーマルしか知りませんが、何しろ基本設計が70年代に遡るという鋳鉄ブロックだったので、RB26と同様にとにかく頑強でチューニングベースとして十分耐えうるポテンシャルを持っていたのも素晴らしいと思います。何しろ4G63のチューンドは400psどころか500psを超えるのすら珍しくないようですが、ボアもストロークもUPして2.4リッター化し、そこへ1.8kgf/cm2とかのブーストをかけるとか・・・。相当ブロックに余裕があるんでしょうね。(500psを超えるのは耐久性が犠牲になるようですが・・・。)ただその分重かった。ギャランは何しろ曲がらないクルマでしたが、4WD技術、シャシー設計がまだ未熟だったのもあるとは思いますが、ロングホイールベースのフロント先端に鋳鉄ブロックの重いエンジンを積んでいたのも曲がらなかった理由だと思います。エボ2で急に曲がるようになって、これはこれでかなり驚きましたが・・・



そんな感じで速いエンジンという印象だった4G63ですが、現代の2リッター4気筒ターボがとにかく技術的なレベルでかなりイってしまっているので、AMGのM133やVWのEA888(ゴルフR)と比べると前時代的な印象は否めませんね。

Posted at 2019/12/08 10:07:34 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ | 日記

プロフィール

「@Sekiai さん 初めて見ました!こんな動きだったんですね。ツインシャシーとは知ってはいたものの、どういうことなのか全く分かっていませんでした。」
何シテル?   08/09 09:35
10年以上続けていた2輪レース活動を休止し、のんびりとバイク/クルマ生活を楽しんでます。今はやる方ではなく観る方に変わりましたが、モータースポーツは2輪・4輪問...
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