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Tetsu@のブログ一覧

2025年03月21日 イイね!

Drive impression - Range Rover Sport

Drive impression - Range Rover Sportさてレンジローバースポーツ、ようやく1,000km弱ほどを走らせたところですが、高速からワインディング、雨やちょっとした雪など様々な状況を走りました。3,000kmまでと指示されている慣らしの最中ですのでそれほど回してはいませんが、大体の印象を書いてみたいと思います。トータルでの印象は;


⚫︎素晴らしく快適な乗り心地と静粛性
⚫︎ちゃんとドライバーズカーだった
⚫︎大きさと重さは常に意識させられる

まずはとにかく滑らかな乗り心地と静粛性が印象的です。これは試乗時から分かっていたことですが、1,000km走らせてもやはり素晴らしいと言えます。とにかく初期のサスペンションの動きが良く、非常に細かく凹凸を吸収する感じ。とは言え大きなギャップではそれなりに上下動はあり、Sクラスほどのストローク感は感じません。また一発で収束するような強いダンピングでもないので、少しお釣りをもらうようなところもあります。ただそれらが全く不快ではないです。何となくその上下動の揺れと収束の仕方が予測が付くというか、違和感が無いんです。ゆっくり走らせていても非常に高いシャシー剛性を感じるのですが、それで足の動き自体が分かりやすいのかと思います。そして、これが高速域、超高速域となるとしっかりダンピングが効くようになるのにはとても驚きました。もちろんバネレートが急激に高まるようなことはなく、乗り心地は一定レベルを保った上で揺れ残りが減っていく感じ。このセッティングの両立レベルは相当なモノじゃないかと。また、シートの出来の良さも乗り心地に貢献しているのは間違いないと思います。セミアニリンは表皮が柔らかく、ふわっと受け止めてくれてストローク感があります。シートが大きいのでゆったり座ることも出来ますし、サイドやランバーなども細かく調整出来るのでタイトに座ることも出来ます。エンジンはマイルドハイブリッドのアシストが割と効いていて、街中では非常にトルクを感じます。なるほど、と思ったのはスロットルです。そもそもストロークが長い。かつマップがスローなので、頭の中にあるイメージより踏まないと加速しません。これはおそらくはオフロードでのコントロールを想定しているメーカーとしてのキャラクターのような気がしますね。ただマップ自体はリニアなので(慣らし中なので70%以上の開度でどうかは分かりませんが)途中で2次曲線的に急加速とかもないですし、違和感はないです。ZF製8HP76トランスミッションは非常にスムーズな変速なのですが、案外ギア比がワイドで強めの加速をすると結構引っ張ります。もっと低回転に張り付けるようなプログラムなのかと思っていたのでここも意外でした。もちろんスロットル開度が小さければすぐに上のギアに上げますし、クルーズではもはやBEVか、というくらい静かでスムーズです。

高速域での印象はまずは直進性の高さの素晴らしさ。ビシーっと気持ち良く真っ直ぐ走ります。意外だったのはこういったクルーズでは基本フロントにトルクを流さず完全にRWDだったことです。少し加速しようとスロットルを入れるとすぐにフロントにトルクが入るのですが、基本はRWD。これは雨でもそうでした。カイエン(マカンもですが)は常時10%程度はフロントにトルクが入っていたように記憶しており、RRSはもっとフロントを使うのだと思っていたのでこれは意外でした。気持ち的にはもうちょっとフロントにトルクを入れて安定感を出してくれても・・・と思わなくもないのですが、実際のところビシっと真っ直ぐ走るし横風にも強いんです。何故なんでしょうね。乗り心地は前述の通りダンピングが締まってくるので、常時揺すられて心許なくなるようなこともありません。非常に快適なクルーザーと言えます。これほどまでに疲労感なく快適に高速をクルーズ出来るクルマは所有したことがなく、ちょっと感動的ですらありました。エンジンは負荷をかけて回していないのですが、小さいスロットル開度では4000rpm近くまで回しています。650Nmあるので通常はトルクは充分。ディーゼルに期待する息の長い気持ち良い加速が味わえます。ただ車体が重いので、もう少し・・・例えば700Nmあれば言うことはなかったでしょうね。高速域でも圧倒的に静かなので、本当に速度感がありません。

ワインディングでは、意外でもあり想像通りでもあり、でした。結構気持ち良くコーナリングするんです。もちろん常に重さを感じますし、出来の良いハンドリングカーで良く言われる「クルマを小さく感じる」なんてことは全くなく、大きなクルマを操っている感も強いです。しかしハンドリングは繊細でかつリニア。思った以上に曲がるとか思ったより曲がらないとかがなく、これほど大きなクルマなのに狙ったラインを思い通りに走らせることが出来ます。普通に気持ち良く、ハンドリングが楽しめるとすら言えるレベルでした。ただ、それはやはり2.5tのSUVとしては、というexcuseが付きます。前述の通り常に重さも大きさも意識します。決して軽くはないマカンやCX-60でもRRSに比べたら随分軽快だな、というくらいRRSは重さを感じます。また、ポルシェに感じる限界の高さへの絶大な信頼感、接地感の高さはありません。まだ慣らしなので踏んだらどうなのかは分かりませんが、そう言う気にもならないというのが正直なところです。これはOEタイヤがオールシーズンタイヤということもあるかとは思いますが、しかしこういう点ではポルシェは本当に飛び抜けています。ただ、例えばGクラスやランクルなど、ラダーフレーム系のクルマとは比較にならないくらいハンドリングカーと言えるでしょう。そうそう、ワインディングでペースを上げるとほぼ常時4WDになります。しかも加速時だけでなく、ブレーキング時にも4WDになります。さらに、モニターを見ているとセンターデフを比較的頻繁にロック(状況に応じて可変ですが最大で75%程度)しているようです。減速時にロックをしている場合は、少しでも舵角を入れると瞬時にフリーになります。加速時は舵角に応じてロック率が変わっています。最近の4WDが全てこういうものなのか分かりませんが、かなり凝ってますね。もっと単純な仕組みでも良い気もしますが・・・

それから、ブレーキのセッティングが素晴らしいです。もちろん重いので絶対的な制動性能では軽いクルマには全く敵わない筈ですが、それでも高速域で結構な効きを見せますし、何より踏んだ先のコントロール性と初期の舐めるようなコントロールを両立しているのが素晴らしい。この辺りのセッティングは昔からドイツ御三家より上手い気がしますね、ジャガー含め。因みにキャリパーはフロントにブレンボの6Pod、ローターは19インチです。ホイールが23インチなので全然大きく見えませんが、実際はかなり巨大なローターです。慣らしだからかは分かりませんが、ワインディングを走らせると結構強めの焼ける匂いがしますw。



当然ながら良いところばかりではなく、気に入らないところもそれなりにあります。

⚫︎合成エンジン音
負荷がかかるとV8のようなパルス感のある音をスピーカーから出します。このトレンド何とかならないのでしょうかね・・・。誰が好んでいるんだろう。そのままでも充分綺麗な直6の音を出しているのに、何でわざわざ・・・

⚫︎シフトセレクターのロジック
昔から慣れ親しんだATセレクターと操作パターンはほぼ同じなのに、反射的に操作するとシフト出来ない。R→DとかD→Nなどは昔のATセレクターはレバーだけでシフト出来ましたが、RRSでは全てロック解除ボタンを押しながら操作しないといけないです。特にR→Dは、ササっと切り返したい時に前に進むハズがDにシフト出来ていなくて意図せずバックしてしまい、びっくりします。まぁ慣れの問題ではあるでしょうけど・・・。

⚫︎ACC
残念ながら制御レベルが10年以上前にデビューしたW205より下です。前車との距離をキープしようとし過ぎて加減速が多く、スロットルコントロールもそれほど上手くないので前後に揺すられます。メルセデスの場合ある程度車間が開いたり詰まったりするのは許容して、自然に加減速することを重視している感じなのですが、RRSは一生懸命キープするので疲れます。さらにレーンキープは車線センター維持が甘いのでほぼ使いものにならない上、保持力が強いので手で逆らうと疲れます。結果、レーンキープは常にOFF。最初からあのレベルを実現していたメルセデスは本当に凄いんだな、と認識しました。これは何を重視して仕上げるかという見識ですよね。ただ渋滞時に停車した後、先行車が発進すると自動的に再発進するのは便利ですね。


総じてドライバーズカーだったことがとても嬉しいところです。快適性で選んだクルマだったのでそこは多少諦めていたのですが、ポルシェほどではないにせよ充分に楽しめるクルマでした。そして、ドイツ車とは色々な意味で方向性が違うのが気に入りました。
Posted at 2025/03/21 07:55:02 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記
2025年03月15日 イイね!

Design - Range Rover Sport

Design - Range Rover Sportレンジローバースポーツが先日納車されたわけですが、とにかく実にカッコよろしい。モダンラクシュリーを目指したデザインは本当に素晴らしく、こうしてブログを書きたくなるほどですw。クルマにそれほど興味が無さそうな方も含め近所の人からも大変評判が良く、これほど声をかけられたことは今までありませんでした。


「レンジローバーにしたんですか!超~カッコイイですね!」
「まぁ素敵なクルマになりましたね~」
「いや~、何になるのか楽しみにしてましたよ!イイですね〜!」




フォルムは遠くから見てもレンジローバー一族と分かり、less is more を体現する引き算の美学を感じさせます。実際にはRRSはレンジローバーと比べるとこれでもあれやこれやが追加されていてスポーツを表現しているのですが、しかしとにかくスタイリングや仕上げへの拘り、そしてセンスが素晴らしいと思います。

フロント周りはグリルやヘッドライトを薄く、凹凸を無くし、丸い面として表現しています。そしてウチの仕様ではグリルやエンブレムはサテングレー。グロスブラックもオプションで選べますが、いずれにしてもクローム仕上げは使われません。バンパーなどにはカッパーのアクセントが入りますが、これも控えめ。全体としてチリの詰め具合も凄いです。だからこういうツルンとした面の表現が活きます。





サイドウインドウ周辺はモールを廃しているのですが、凄いのはそれによって見えそうになるゴム部分を隠すためにドアパネルを覆い被せて見えなくしているところ。チリの詰め具合も含めて凄い生産精度じゃないかと。最近の上級サルーンと同様にウインドウとサッシュの段差を小さくしたフラッシュサーフェイス。ドアハンドルも格納式なので、モールが無いことと併せてかなりスッキリした印象です。ここまで来るとドアミラーがとても邪魔なくらい。



ルーフはレーザー溶接をした上でスムージングしており、ここでもモールを使っていません。アウディやVWもこうなってますが、メルセデスは少し前までSクラスでもモールを使ってました。

リア周りはヘッドライト&グリルを反復したデザイン。ルーフラインを下げてクーペ風スタイルにしていることもあって、リアウインドウは小さく後方視界は良くないのですが、デジタルインナーミラーであれば問題ありません。というか、このミラーは解像度が高くかなり明るいレンズを使っているので、昼夜を問わずとても良く見えます。ただカメラのためにルーフ上のシャークフィンが2つになってしまいます。これはアンテナ用とカメラ用なのですが、そもそもアンテナのシャークフィン自体が古臭い。ここまでディテールに拘ってるのに何故ウインドウにプリントするとかにしなかったのか…。カメラもルーフスポイラーに埋め込むとか・・・。デザイン全体として見てもここだけは謎です。



インテリアも素晴らしいです。基本的なデザインコンセプトはレンジローバーファミリーに共通のもので、特にレンジローバーとはかなり似ています。デザイン自体はシンプルで、質感がとても高いです。



クロームパーツはほとんどがダーククローム。複数の素材をとても上手く組み合わせているのが特徴で、特にドアの内張りは、スピーカーグリル表面のファブリックを延長したようなデザインになっており、レザー、ブラックウッド、ダーククロームと組み合わせています。この辺は正にセンスでしょう。



センターコンソールは物理スイッチを極端に廃したのも特徴です。デビュー当時はエアコン関連やモード切り替えのダイヤルなどは残っていたのですが、MY24でこれすら廃されました。グローブボックスはレバーというかハンドルすら廃して小さなスイッチで開けるなど、とにかくもう徹底したミニマリズムです。天井のアシストグリップもちょっと凝った作りです。

センターの大きなモニターは表面が湾曲していて反射しにくく、かなり見やすいです。ドライバー前のモニターも当然デジタルですが、こちらもフローティングデザインになっています。

カラースキームはいずれのカラーでも(ウチのはライトクラウドという白)エボニーとのデュオトーンになっていて、全体としてラクシュリー寄りではあるものの、レンジローバーとしてはスポーティな表現です。これがレンジローバーになると黒い部分はダッシュボード上部などごく一部を除いて無くなり、よりエレガントで豪華な感じになります。

実際にドライブしてどうかは次回に・・・
Posted at 2025/03/15 19:27:42 | コメント(2) | トラックバック(0) | Land Rover | 日記
2025年02月19日 イイね!

Chassis - Range Rover Sport

Chassis - Range Rover SportL461レンジローバースポーツ(RRS)のシャシーは、2022年にリリースされたL460レンジローバーと共用する新世代のMLA(Modular Longitudinal Architecture) - Flexというシャシーです。これはアルミニウムをベースに一部でスチールを使う混成シャシー。もちろんモノコックです。前モデルで使用されていたD7系のプラットフォームを刷新し、EV化まで見据えた汎用性の高いもののようです。このシャシーを使うのは今のところL460レンジローバーとこのL461 RRSだけ。現行L663ディフェンダーとL462ディスカバリーは先代レンジローバーと同じD7uというプラットフォームです。次世代モデルではMLA-Flexになるんでしょうか・・・。



このRRSのホワイトボディを見ると、バルクヘッドからフロントのサスタワー、サイドシル周り、Bピラー(特に下のサイドシル接続部分)、そしてCピラーから後ろがかなりゴツい感じがします。例えば直接のライバルとなるE3カイエンはこんな感じ。



どちらのクルマも乗った感じは非常に剛性が高く、それが乗り心地・・・つまりサスの初期の動きやダンピングの良さに直結している感じを受けます。しかし大きく設計思想が違う点があり、それはBEVを想定しているかどうかです。E3カイエンのシャシーを見るとフロアは薄く(というか普通)二重構造になっていないように見えます。その分シート高が下げられており、乗り降りもしやすくアイポイントも低いです。RRSのMLA-FlexはBEV化も見据えたシャシーでフロアが分厚く高く、その分シート高も高く(それでもL460レンジローバーより20mm低い設定)乗り降りしづらく、アイポイントも高いです。一方EV化を見据えたフロア構造だからか乗った感じではRRSの方が剛性を高く感じます。



RRSのサスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。カイエンではフロントのアッパーアームが分割されたマルチリンクとされていますが、RRSはコンベンショナルなダブルウィッシュボーンですね。RRSは全車エアサスでコイルスプリング仕様はありません。ダンパーは圧側、伸側をそれぞれ個別にコントロール出来る2wayバルブタイプ。ポルシェの最新PASMとほぼ同じですね。画像を見て感じるのはエアサスユニットが大きい=エア容量が大きいこと。2チャンバーと言われる、ソフト側とハード側が分割された構造のエアサスです。これは状況に応じてバルブが開いて2つのチャンバーが繋がったり分けられたりして、バネレートをより幅広い範囲で変化させるようです。

今回選ばなかったストーマーハンドリングパックでは、電制スタビ、リアステア、電制リアデフ+ブレーキトルクベクタリングがセットとなったオプションですが、これらは全く同じような構成がカイエンにも用意されており、シャシー構成・オプションがかなり似ているように思います。因みにBMWのX5だと電制スタビが付くのはMモデルだけですね。

RRSとカイエンを見比べると、シャシー構成や使用技術が似ていて実に面白いですね。何となく背景に同じサプライヤー、技術コンサルタントの影がチラつく気がしますが・・・。しかし両車の出自というかコンセプト、考え方の違いが表れているな、と思うのはタイヤサイズです。RRSは最大23インチ、カイエンは最大22インチという大径タイヤを履きますが、前後同サイズのRRSに対してカイエンはリアがフロントに比べて3サイズも太い設定です。両車ともに狙いがあるのでしょうが、カイエンの方がオンロードかつハイスピードでのスタビリティとハンドリングを重視しているようにも感じますね。タイヤ自体もRRSはオールシーズンタイヤが標準なのに対し、カイエンは通常のサマータイヤが標準でオールシーズンタイヤはオプションです。タイヤサイズにこういった違いがあることもあって、実際にカイエンを試乗していた際は駆動配分が結構リア寄りだったように記憶しています。それに比べRRSはフロントをより使う設定なのかな、と思います。

実際どうかは車が来てから確認ですが、色々と興味深いです。

Posted at 2025/02/19 00:42:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | Land Rover | 日記
2025年02月14日 イイね!

Ingenium Inline6 Diesel

Ingenium Inline6 Diesel私のレンジローバースポーツのパワーユニットは、インジニウムと呼ばれるエンジンシリーズの3.0L直6ディーゼル。D300と呼ばれる仕様で、300ps、650Nmというスペックです。このインジニウムというエンジンシリーズは2015年にリリースされたジャガー/ランドローバー各車に搭載されたAJ200Dという4気筒ディーゼルから始まっています。元々ジャガー/ランドローバーはフォード傘下だった時代にフォードをベースにしたエンジンを使用していて、フォードから離脱してタタ傘下に入ったことで自社開発へと転換しました。ボルボやマツダと同じですね。



インジニウムは近年のご多分に漏れずモジュラー設計のエンジンで、設計も製造もイギリス製が謳われています。ガソリン仕様とディーゼル仕様でボアxストロークを共通化(83.0mm x 92.3mm)、それ以外にも30%ほどのパーツを共有するようです。当初は4気筒のみで展開されていたインジニウムシリーズですが、当初から6気筒化は想定に入っていたようで、2019年にAJ300というガソリン仕様の6気筒がレンジローバースポーツに搭載され、その後ディーゼルのAJ300Dが追加されました。1シリンダーあたりの排気量を500ccとしたモジュラーなので、4気筒だと2.0L、6気筒だと3.0Lということになります。

この直6シリーズは結構興味深いエンジンで、技術的には最新技術が満載です。ブロックやヘッドなどはオールアルミでピストンにはスチール。軽量性にはかなり拘ったようで、同等スペックの以前のV8ディーゼルと比べ80kgも軽量化されたとのこと。圧縮比は15.5です。バルブ駆動はVVT - 可変式バルブタイミング/リフトなのですが、これがめちゃくちゃ凝った仕組みです。排気側のバルブはカムシャフトが直接駆動するのですが、吸気側のバルブはカムからの入力で油圧を発生させ、この油圧をソレノイドでコントロールして駆動しています。つまりカムシャフトは1本しかありません(驚)。





実はこれ、フィアットのマルチエアと同じです。(なので上記の2枚の画像はいずれもフィアットのマルチエアですが、基本的に同じです)マルチエアはシェフラーとフィアットで開発された後にシェフラー側へパテントが移管されたようですね。JLRはシェフラーからこれを導入しています。その一番のメリットは機械的な接触による直接駆動ではないため、タイミングやリフトなどをより自由にコントロール出来ること。因みにバルブを戻す側は普通にバルブスプリングです。その他にも低抵抗を狙ってニードルローラーカムベアリング、オフセットクランク(シリンダーの中心に対してクランクシャフトの中心が真下ではなくちょっとズレてる)、ポンプ類の制御など。また、直6なので元々の振動特性は良い筈ですが、それでもバランサーシャフトが採用されています。この辺りはコンフォート性に配慮した設計なのでしょうね。

ターボは最近では珍しいシーケンシャルツイン。6気筒のターボであれば3気筒に1つのターボを持たせるツインターボが多く、特にV6ではそれが普通です。シーケンシャルツインターボではターボを直列に並べ、排気を集合させた後で小さいターボと大きいターボに経路を分け、低回転でのレスポンスと高回転でのパワーを両立させる構成です。最近ではツインスクロール化することでシングルターボで同様の特性・性能を出すようになっているのだと思いますが、高コストながらシーケンシャルツインにした、と。JLRによればシーケンシャルにした理由は性能以外に触媒機能の最大化が謳われています。また、ターボは可変ジオメトリー(VG)ターボです。



さらにインジニウム6気筒は全てMHEV化されています。これはメルセデスと同様にベルト駆動の48Vモーター・ジェネレーターです。まぁハイブリッドって言うほどのことじゃないような気がしますが、それでも実際に乗るとアシストは感じます。

さてランドローバーと言えば、少し前までは信頼性に不安があるメーカーでした。最近では以前のような電気系やエアサスが比較的早く壊れるということは少なくなってきたようですが、このインジニウムディーゼルにはまだ信頼性について不安があるようです。一番は燃料によるエンジンオイルの希釈です。短い距離の利用が多い場合、DPFの再生が進まず部分的な再生が繰り返され、結果的にオイルパンに燃料が落ちて希釈されるようです。当然希釈されたオイルでは充分な潤滑がされず、クランクやカムなどに致命的な影響が出かねません。これについては希釈率が6.1%を超えた段階でインパネにメッセージが表示されるようなのですが、これを無視するユーザもいるんだとか・・・。通常のオイル交換のインターバルが21,000km/2年と長く設定されていることもあり、日本のように短距離の利用が多いケースではもっと早めの交換が良さそうです。まぁ、ディーゼルなんてランドローバーに限らずどこもDPFや煤の課題はありますからね。

ランドローバーは車両自体にスポーツ的要素が少なく普通のクルマ好きはあまり興味を示さないのと、ランドローバーユーザーはこんな細かい話に興味はあまり無いようであまり話題にならないのですが、技術的には結構興味深いしお金かけてるんだな、という印象です。因みに流石にイギリスでは多くのファンがおり、情報も遥かに多いですね。
Posted at 2025/02/14 10:36:57 | コメント(3) | トラックバック(0) | Land Rover | 日記
2025年02月10日 イイね!

W205 C63

W205 C63この度、少し早めにC63を手放しました。17年3月登録の登録済み未使用車で私の手元に来たのが18年3月。7年49,000kmを共にしたことになります。

今回レンスポを購入したディーラーは某中古車販売大手の経営で、下取り査定の段階で結構な金額がついていました。とは言え可能性だけは見ておきたいと思い、買取業社サイトへ依頼。3社からの回答では何と全社とも下取り価格に届かない。そこで下取り価格を伝えたところ、諦めて下りるのかと思いきや「それならきっと何かあるから是非見に行かせてくれ」とのことで見に来て頂くことに。ところが依頼から見に来て頂くまでのレンスポの商談の中で、最終的に下取りでC63を入れることを前提に数十万の値引きが提示されました。つまりC63は下取り金額+値引き額で売れなければ買取業社へ売却する意味が無くなりました。そこで3社へあらためて伝えると、1社は辞退。2社はそれでも見に来るということで、見てもらいました。そこでの評価は結構驚きでした。

●ボディ全体がかなり綺麗。良い業者が施工してるように見える。(青空駐車だし自分で磨いてますw。ボディがエッジまでつるつるなのと、モールやマフラーエンドまで綺麗だったのが良かったらしい)
●飛び石傷が多く、それなりに踏んでいると想定され、だからエンジンの調子が良さそう。
●タイヤが綺麗に減っており、コジるようなステア操作をしておらず、綺麗に荷重移動して走らせている。

上記のことから、きちんと手を入れてAMGらしく走らせているのでクルマ全体としてのコンディションに信用がおける、というものでした。単純に評価されて嬉しかったというのもありますが、そんなことまで見ているのか・・・と本当に驚きました。

一方、「あぁ、やっぱり!」一目見て言われたことが左ハンドル。実はサイトへの情報入力を誤って右ハンドルとして登録していたのです。どうやらC63に関しては左が圧倒的に少なく、マニア向けや海外需要などの関係で左の方が50万も高くつくとか。それが最初に下取りが一番高くついた要因だったようです。最終的に1社は下取り+値引き+1○万の提示をしてくれたため、ここへ売却することにしました。もう1社もクルマ全体としてはコンディションを高く評価してくれたものの、交換時期を迎えていたブレーキローターやフロントのパッドをマイナス評価としたため届かなかった。実際は去年の車検時に交換時期が近いことは分かっていたものの、1年は持ちそうだったので交換を見送った経緯があり、まだ測定していませんが今度の3月の1年点検では交換を想定していたのです。前後ローターとフロントのブレーキパッドなのでそれなりの金額になるはずです。それもあって3月前にレンスポを購入、C63を売却することにした、というのもあります。一方、登録済未使用車として格安で手元に来ているので、購入額 - 売却額の差額は7年5万km弱のAMGとしては極少だったのではないかと思います。AMGは新車からの下落が大きな車種ですし、評価自体は妥当とは言え絶対的にはかなり寂しい金額ですから。

最後にC63の評価も書いておきましょう。7年5万kmを共にした印象として、まずはとても楽しいクルマでした。最後の最後までエンジンは素晴らしく、常に楽しめました。始動で吠えるのは余計ですが抑制の効いた、しかし迫力のあるアイドリング。振動は全域でほぼなく、ワイルドなV8らしい音なのに緻密な回り方。そこから負荷をかけて回した時のとても豊かなトルクとパワー。M177搭載車としては一番軽いこともあり、476psというM177で一番低パワーの仕様ながらパワー不足を感じたことは一度もありません。スポーツ+に入れるとアンチラグシステムがかなり過激に効くので、ワインディングなど減速・加速を繰り返すような状況だとターボラグを感じさせない素晴らしいレスポンスです。(減速時間が長いと流石にアンチラグもタービンをそこまで回し続けないっぽい) シャシーはCクラス標準車よりかなり剛性が高く、それが気持ち良さと安心感に繋がっていました。一方で、サスペンションセットアップについては結構割り切った味付けでした。バネレートが高く、ストロークも短いです。そのため乗り心地ははっきり硬く、お世辞にも良いとは言えません。しかしブッシュが硬めなのでシャキっとしたフィーリングなのは良いところです。ダンパーはせっかくの可変ダンパーなのに自分で状況に応じて設定を変えないと良い感じにならないなど、ポルシェのPASMと比べるとイマイチな感じもあります。電子制御されていないメカニカルデフは極めてシンプルな効き方なので先が読みやすく、ストロークの短いリアサスを随分補っていたように思います。その他のマイナスポイントは、トランスミッションでしょう。遊星ギアを使ったATミッションにトルコンの代わりにアクチュエーター駆動の機械式クラッチという組み合わせですが、冷間時のエンゲージはガツっと繋がる不快なもので、冬場だとエンジン始動直後は何と2500rpmくらいまで回すか、10秒くらい待たないとクラッチがつながりません。2500rpmまで回してガツっと繋がれると衝撃も大きく軽くスピンするくらいです。D→R、R→Dへの切り替えなどもラグがあるのでここは本当にストレスでした。こんな感じなので雪国ではスタッドレスを履いても使えないな、と思ったので冬の帰省でも使いませんでした。暖まってしまえばトルコンと違ってダイレクトなのでとても良かったのですけどね。

それからトラブルとランニングコスト、まずトラブルは全くと言って良いほどありませんでした。一度エアコンのフラップから異音が出ましたが注油で対応、以降再発せず。なんとこれ以外はマイナートラブルすら発生しませんでした。ここまで何も無かったのはハイエース以来ですw。シャシー側も劣化したようなフィーリングはありません。消耗品もエンジン、駆動系のオイル、フィルター類、プラグなどを基本的には指定時期に交換し、バッテリー、ブレーキパッドなどは消耗したら交換しただけ。ひと昔前のチューンドカー並の性能なのに、消耗品さえ適切に交換すれば絶好調をキープ。476psのクルマが消耗品の交換だけで5万kmも何ら性能が落ちることもなく絶好調というのは、本当に凄いと思います。

次のオーナーは決まっているようなのですが、良い状態で引き継げるので(ローターとパッドは交換してくださいw)、存分に楽しんで頂きたいなと思います。


Posted at 2025/02/10 10:09:01 | コメント(1) | トラックバック(0) | Mercedes | 日記

プロフィール

「@Sekiai さん 初めて見ました!こんな動きだったんですね。ツインシャシーとは知ってはいたものの、どういうことなのか全く分かっていませんでした。」
何シテル?   08/09 09:35
10年以上続けていた2輪レース活動を休止し、のんびりとバイク/クルマ生活を楽しんでます。今はやる方ではなく観る方に変わりましたが、モータースポーツは2輪・4輪問...
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