2008年01月20日
レガシィ・ツーリングワゴンには、NAエンジンのグレードが3.0R,2.0R,2.5i,2.0iと4種類ある。NAエンジンにこだわってライバル車を挙げてみよう。
まず国産車からみていく。王者トヨタからは、アベンシスワゴン。かつてはカルディナやクラウン・エステート、マークⅡワゴン(ブリット)といった車種があったが、いまやステーションワゴンは風前の灯火である。敢えて言うなら、トヨタはステーションワゴンを2x2のシートがあれば十分な若者向けと見切ったのであろう。結果的にウィッシュのいうな7人乗りの“拡大ステーションワゴン”が売れているのは、時代の要請を反映しているのか、それとも、クルマの用途をはっきり割り切れない日本人独特の習癖のせいなのか。アベンシスワゴンにしても、4WDは1種類のみ,2LエンジンのXiグレードだけである。4WDが実質的に緊急時(後輪が滑り始めたときだけ)のみ駆動とか、エンジンのパワーの違いとか、ATしかないとか、そういったことをいろいろ考えると、どうしてもクルマはトヨタじゃないと・・・という人以外はむしろ別カテゴリのクルマと言った方がいいのかもしれない。
一方ホンダでは、アコードワゴンが健在である。といっても、グレードは3種、2.4Lと2Lのエンジンが設定され、前者にType SというFFながら200馬力をたたき出すプレミアムガソリン仕様のエンジンを搭載したモデルと、160馬力の4WD仕様のモデルがある。4WDはどうしても必要、という人だと、後者が2.5iとのガチンコ対決ということになるだろうか。駆動方式の違いにこだわらなければ、デザインの好みとか内装や価格が勝負の分かれ目ということになろうか。ただし、アコードワゴンにはMTの設定がないので絶対MTの人にとっては、選択の余地がない。
日産は、気づいたらステーションワゴンがウイングロードしかなくなっていた。かつて存在したステージア、アベニールといったライバル車は、とっくに消滅してしまった。
マツダでは、アテンザが元気いい。2.3Lと2Lのエンジンに対して5種類のグレードを用意している。4WDは2.3Lエンジンのみの設定である。ただしここでも、MTの壁というものが存在する。MTの設定があるのは2.3Lエンジン搭載車で、しかもFFだけである。4WDにこだわらない人はレガシィとアテンザで悩むだろう。しかし絶対4WDの人にとっては、レガシィ2.5iの方が燃費もいいしお買い得感も高いのではなかろうか。
こう見てくると、選択の分かれ目は大きく二つあるように思う。一つはMTをチョイスするかどうか、二つ目はパワー重視か燃費重視か、である。どうしてもMTとなれば、レガシィほど選択の幅が大きいクルマもないので、アテンザ2.4L版以外とは選びようがない。一方、ミッションはATでいいが面白いクルマとなると、4WDかFFかでまた分かれ目があり、さらに2.5Lクラスのエンジンではレガシィ・アコード・アテンザで真っ向対決、という感じであろうか。
外国車ともなると、さらにライバルは限られる。価格面を含め、レガシィと直接対決可能な外国産ステーションワゴンといえば、いまやVWのゴルフ・ヴァリアントくらいしか見あたらない。しかしヴァリアントはNAエンジンの設定が一切なく、コンフォート・グレードもスポーツ・グレードもいずれも過給を伴うエンジンである。しかも駆動方式はFFのみ。レガシィとは設計思想が全く異なるクルマと言った方がいいだろう。ただ、日常用途という面において、ゴルフ・ヴァリアントは一日の長があるというか、過給を巧みに使い、いたずらにハイパワーを求めるのではない日常用途のためのセッティングという意識が随所に見受けられるのは大いに感心する。トルコンを使わないDSGというオートマティック・トランスミッションも魅力的だ。たった1.4Lのエンジンでもここまで性能を引き出せるのか、とたいへん驚くところである。
VWには他にパサートという大容量ワゴンが、また、ボルボ・BMW・メルセデスベンツといったメジャーどころにも、ショートとワイドロングのワゴンの設定がある。ただ、VWも含め外国車のラインナップとレガシィを比べると、車の大きさや動力性能といった面でレガシィを初めとする国産ワゴンのカテゴリとはどちらも微妙にズレている気がする。強いて比べるならショートの方ということになろうが、3Lもの排気量のエンジンを積んだグレードは外国産ショートワゴンには見られないし、逆に外国産ショートワゴンだと10cm程度短いリアが微妙にカーゴの狭さを感じさせる気がする。レガシィはある意味、日本的事情に合わせた中容量ワゴンという特別なポジションを占めているのかもしれない。
Posted at 2008/01/20 23:42:12 | |
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