MTで運転する人が感じる楽しさとは何か?

2020年3月13日

マニュアルトランスミッション

よく「運転を楽しむならMT車に限る」ということが言われます。これだけAT車が増えている日本なのになぜか「運転を楽しむならMT車」と言われることが多いのです。絶対数はATが多いのにMT車のほうが楽しいと言われるのはなぜなのでしょう。MT車の楽しさとは何か?に迫ります

より強くなる「クルマを運転している」という感覚

クルマを運転すること自体が楽しいと感じる人は数多くいます。 それは最初は運転できなかったものが、練習することによって運転できるようになるから、ということがひとつ影響しています。 そしてクルマは人間では不可能な“速度”が得られ、人間では不可能な“重量物を運ぶ”ことができます。 自分ができないことができるようになるのはとても優越感があるものです。

人間は自分でできるということに楽しさを感じるものなのです。 自転車に乗っても、馬に乗っても同じでより自分で操作をする機会が多ければ多いほど、自分が操っているという感覚が楽しさを増すのです。

難しいものを操っている実感

クラッチ

AT車ではブレーキを踏んだ状態でDレンジを選び、ブレーキペダルから足を離しアクセルを踏むだけで発進できます。 一方、MT車ではクラッチ操作が必要ですし、発進時はエンジン回転を上昇させてトルクをアップさせなければなりません。 このときにエンジン回転を上昇させ過ぎればホイールスピンを起こすこともあるでしょう。つまりMT車は難しいのです。 難しいことができるようになればそれだけ満足感は増しますし、自分で操っている感覚が増します。

すべてを自分の手中に収める快感

AT車でサーキットなどを走っていると、ギリギリで3速を使いたいのに4速にシフトアップしてしまう……というようなことがあります。 MTならば、3速でレッドゾーンに入るか?入らないか?をコントロールできるのにそこをクルマ側が勝手にコントロールしてしまう。 こうしたことはAT車で不満を感じやすいことです。

またMT車にしかできない、それもクラッチペダル付きのMT車でしかできないのが、クラッチを切って駆動力を伝えないようにするという行為です。 たとえば、コーナリング中にクラッチを切れば荷重が前に移動するのでクルマがインに向きます。 すかさずクラッチをつなぐとクルマの挙動は収まります。非常に限られた状況での使用ですが、「こういうこともできるんだぞ」というのは満足感を増すものです。

そして多くの人がMTに魅力を感じているのも事実です。その証拠となるのが、AT車へのマニュアルモードの採用です。 本来、AT車はギヤチェンジという操作を必要としないことが魅力です。にも関わらずAT車へのマニュアルモードの採用は増えています。 さらに言うなら、変速ショックがないことが魅力であるCVTでさえ、変速比を分割しMTのように扱えるようにしたり、ステップ変速をしたりします。MTは人間の感覚との親和性が高いのです。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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