ソチ五輪が閉幕して、現在はソチパラリンピックが行われています。
私は、朝ドラとニュース、Eテレの子供番組しかテレビをつけないので、盛り上がっているのかどうかよく分からないのですが。
ヤフーのトップページから、選手の活躍を見に行こうと思っても、 ん? バナーがない。
オリンピックの時は、特集ページまで開設して盛り上げていたのに。
企業理念が問われますね。
ま、私は京セラファンですから、関係ないですけど。
検索して見つけたのが、msn産経ニュースのサイト。
17年前の同日、両太ももを切断する交通事故に遭いながら、アルペンスキー回転座位競技で金メダルを獲得した鈴木猛史選手の記事。
>鈴木の優勝が決まった瞬間、この日まで2種目で金メダルを獲得していた狩野亮がわがごとのように歓喜の涙を流した。
>「自分の順位なんてどうでもいいくらい猛史の優勝がうれしかった」
>鈴木は、レース後に行われたフラワーセレモニーで表彰台のてっぺんにあがった瞬間、右腕をあげ、天を仰いだ。故郷の福島県猪苗代町から駆け付けた両親に「障害者になってからも、これまで普通に育ててくれた。今はメダルをかけてあげたい」と感謝した。
17年間の本人や両親の苦しみ、葛藤、挫折、努力が、一つ一つエピソードを紹介しなくても伝わってくる。
パラリンピック選手の強さと優しさがまぶしくて、尊敬の念で胸がいっぱいになる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで、オリンピック開催中に読んだ記事で、心に残る記事があったので、紹介したいと思います。
オリンピックにも出場した選手をサポートする、中小企業や病院などを紹介している。自社の宣伝やアピールも一切しない心意気に、感動しました。
ちょっと長い記事ですが、日本人っていいなあと、きっと思えるはずです。
オリンピックでは注目されるが、普段はマイナー 冬季競技をサポートする「熱血企業」の心意気
ダイヤモンド・オンライン SPORTS セカンド・オピニオン
【第287回】 2014年2月4日 相沢光一 [スポーツライター]
ソチオリンピックの開幕が迫ってきた。
今回、日本勢にはフィギュアスケート女子の浅田真央、男子の羽生結弦、ジャンプ女子の高梨沙羅など金メダル獲得有力候補が目白押し。7日から23日までの大会期間中は日本の有力選手が出場する競技に注目が集まり、メダルが獲れたかどうかの一喜一憂が続くはずだ。
ところで、冬季五輪で行われる競技のほとんどは日本では五輪期間以外、注目されることが少ないマイナー競技である。高梨沙羅が直前に放映されたドキュメンタリー番組のインタビューで次のようなことを語っていた。
「(メディアに取材され取り上げられるのは)本当は苦手なんですけど、マイナー競技ですし、注目度を高め選手の競技環境をよくするためにも頑張って取材を受けています」
9個のメダル獲得実績を誇るジャンプ にもかかわらず選手の意識は「マイナー」
ジャンプは過去、五輪で金3、銀4、銅2の計9個のメダルを獲っている日本の得意種目だ。にもかかわらず選手には「マイナー競技」という意識があるのだ。冷静に見れば、確かにそうかもしれない。五輪直前にはメダルへの期待から競技成績が大きく報道されるようになるが、他の3シーズンはワールドカップなどで好成績を収めてもメディアの扱いは小さい。メディアの露出が少なければ広告効果は期待できず、選手を受け入れ競技活動をサポートする企業は限られてくる。高梨は世界でもトップの実力者に成長したから、化学大手のクラレと所属契約を結ぶことができたが、それまでは厳しい環境で競技を続けていただろうし、今も周囲の選手が苦労しているのを見ているのだろう。だから、こんな発言が出てくるわけだ。
高梨でさえマイナー意識から抜け出せないのだから、他の競技の選手は推して知るべしだ。所属企業はなかなか見つからず、満足なサポートも得られない状況で苦労しながら競技を続けている選手が大半なのだ。
もちろん地味な冬季競技を昔から地道にサポートしてきた企業もないわけではない。
年3シーズンは陽の当たらない競技を熱心にサポートしてきた企業は
スピードスケートでは富士急行。富士急ハイランドというレジャー施設を運営し、そこのスケートリンクが練習場に利用できるということで1968年にスケート部が創設された。「スピードスケートの富士急」が強く印象づけられるようになったのは現参議院議員で前回のバンクーバー大会、今回のソチ大会と2大会連続で五輪選手団長を務める橋本聖子氏が入社した1983年から。橋本氏は1984年のサラエボ大会から4大会連続で冬季五輪出場(夏季五輪も自転車で3回出場している)。1992年アルベールビル大会では1500mで銅メダルを獲得した。この橋本氏の活躍以後、有力選手が続々と入社し、岡崎朋美、田畑真紀、三宮恵利子ら多くの名選手を生んだ。今回も団体パシュートでメダル獲得を狙う菊池彩花と押切美沙紀がおり、富士急が輩出した冬季五輪選手は13人を数える。
富士急同様、日本電産サンキョーも長い間、日本のスピードスケートを支えてきた。電子部品などを製造する長野県下諏訪にある企業だ。社名が耳慣れないのは10年ほど前に精密小型モーターの開発・製造では世界一のシェアを誇る日本電産の子会社になったからで、それ以前は三協精機という社名だった。三協精機時代は長野大会で金・銅、ソルトレイク大会で銀の3個のメダルを獲得した清水宏保をはじめ、大菅小百合、島崎京子などが所属。今回も500mでメダルの期待がかかる加藤条治、長島圭一郎、女子団体パシュートの高木菜那が出場。トータルすると30人もの五輪選手を輩出している。会社のバックアップ体制もなかなかのもので、今大会でメダルを獲った場合、金なら2000万円、銀で1000万円、銅で600万円の報奨金を出すという。加藤と長島は名誉だけでなく、報奨金をも争って滑ることになるわけだ。
ジャンプの伊東大貴、清水礼瑠飛、渡瀬雄太が所属する雪印メグミルクのスキー部の歴史も長い。創部は戦後間もない1946年。1972年の札幌大会70m級で日本は笠谷幸生、金野昭次、青地清二が金・銀・銅独占の快挙を演じたが、青地は雪印所属だった。その後も長野大会の国別団体で金メダルを獲得したメンバー・原田雅彦、斉藤浩哉、岡部孝信ら名選手を輩出している。2002年の食品偽装事件などの不祥事で雪印は廃業に追い込まれたが、2009年、雪印メグミルクとして復活。廃業による活動休止という苦しい時期もあったが、60年以上、ジャンプ選手を地道にサポートしてきた功績は大きい。
スキー競技でよく耳にする「北野建設」 スピードスケートは病院所属の選手が目立つ
長野市に本社がある北野建設も冬季五輪選手の多くが所属する企業として知られる。スキー部の創部は1971年だが、競技で社名が出るようになったのはノルディック複合の荻原健司、次晴兄弟が入社してからだ。とくに兄の健司は2度の五輪団体優勝の他、ワールドカップでも1992年から3年連続で個人総合優勝を果たすなど大活躍。それとともに所属する北野建設の社名もアピールされた。現在、荻原健司は同社スキー部の部長。今大会に出場する所属選手には、メダル獲得が期待される複合の渡部暁斗、モーグルの上村愛子と伊藤みき、ジャンプの竹内択、ボブスレーの鈴木寛がいる。
また、冬季五輪選手が所属する大企業としてはショートトラックのトヨタ自動車があげられる。1996年リレハンメル大会から4大会連続で五輪に出場した寺尾悟をサポートした縁でショートトラックの選手を受け入れるようになり、今回も高御堂雄三、坂下里士、伊藤亜由子の3人が出場する。
しかし、こうした大企業のサポートを受けられる選手は少なく、多くの選手は聞きなじみのない企業や団体、地方の小さな会社に所属している。
スピードスケートで目立つのは病院所属の選手だ。500mと1000mでメダル獲得を狙う小平奈緒が所属するのは長野県松本市の相澤病院。小平は信州大学出身だが、所属先が見つからず、コーチだった教授が知り合いの相澤病院幹部に相談したことがきっかけで採用が決まったという。同病院にはスポーツ障害予防治療センターがあり、小平はそのスタッフという扱い。だが、実際には仕事はせず、競技に専念する日々だという。
やはり500mと1000mに出場予定の辻麻希は北海道帯広市の開西病院所属。また、3000mなど長距離種目に出場する藤村祥子は北海道河東郡音更町にある宝来中央歯科医院に所属し、院長の秘書を務めているという。どちらも地元の選手をサポートしようという院長の心意気による採用のようだ。
地域の企業が地元の選手を、 縁あって地味な競技を……
同じく長距離種目に出場する石沢志穂は北海道千歳市の運送会社トランシス所属、バンクーバー大会で銀メダルを獲得した女子団体パシュートのメンバー、田畑真紀と穂積雅子は富山の建設会社ダイチ所属。ここは富山で2000年に冬季国体が行われたことがきっかけで選手のサポートを始めたそうだ。
ショートトラックの坂爪亮介が所属するタカショーは和歌山県海南市に本社を持つガーデニング製品の開発・製造会社。同種目の女子で入賞以上を目指す酒井裕唯は社団法人・日本再生推進機構のサポートを受けている。同機構は「次代を担う人材育成活動」、「地域活性化ビジネスの創造」、「日本再生フォーラムほか各種イベントの開催」、「アジア地域を中心とした国際国流支援」などを行っている。アスリートの支援も広い意味でそうした活動に合致しているといえるのかもしれない。
冬季競技には縁のなさそうなITベンチャー企業にも、選手をサポートしているところがある。ノルディックスキー距離競技の恩田祐一が所属するアークコミュニケーションズは東京港区にあるWeb制作や人材派遣を行っている会社。ここの女性社長の趣味がクロスカントリースキーだったことから恩田と知り合い活動を支援することになったそうだ。
スケルトンの高橋弘篤と笹原友希が所属するシステックスは長野市にあるソフトウェア会社。日本におけるスケルトンのパイオニアで、3度のオリンピック出場がある越和宏が苦労の末、スポンサーになってもらったのがこの会社で、越の活躍をきっかけに2007年、日本初のスケルトンのクラブチームが創設された。そこから育ったのが高橋と笹原だ。
なでしこジャパンに続けとばかりに世界の強豪に勝つ気満々の女子アイスホッケー日本代表の選手たちは、複数のチームから選ばれているが、所属するのはどこもクラブチーム。クラブの運営費はスポンサー企業が出してくれるが、生活の面倒まで見てくれないため、誰もが職業を持ち、その合間に練習するという日々を送っている。そのスポンサー企業にも小さな会社が少なくない。
苫小牧市の製菓会社「三星ダイトーぺリグリン」の奥ゆかしさ
たとえば主将の大沢ちほが所属する三星ダイトーぺリグリン。三星といっても韓国企業ではない。「みつぼし」と読む苫小牧市にある製菓会社だ。地元で採れるハスカップという植物の実を使ったロールケーキ「よいとまけ」が看板商品。地元の学校給食のパンの製造メーカーとしても知られるという。なでしこジャパンの澤穂希らが所属するINAC神戸のスポンサーに「黒糖ドーナツ棒」で知られる熊本市の製菓メーカー・フジバンビがなっているのと同じようなものだ。そしてダイトーはやはり苫小牧市にある大東開発という不動産会社。三星もダイトーも、ともに地方の中小企業である。
驚くのは三星、大東開発ともに、公式サイトにぺリグリンというクラブチームのスポンサーをしていることがひと言も書かれていないことだ。大会が近づくにつれ普段はマイナー扱いの女子アイスホッケーにも陽が当たり始めた。その選手たちをサポートしているのは自社の良いPRになるはずなのに、欲がないというか奥ゆかしいというか、それをアピールする気配はまったくない。両社とも地元で苦労をしながらアイスホッケーを続けている選手たちの支えに少しでもなろうという心意気でサポートをしているのだろう。
そもそも冬季競技の選手は広告効果などを考えていたらサポートはできないのかもしれない。それを期待しているとすれば、メダルが有望な羽生結弦が所属するANAと高梨のクラレぐらいだろう。それ以外は世界を目指して競技に打ち込む選手たちを応援したいという気持ちだけでサポートしているわけだ。
大会が始まればメダルが獲れるかどうかという競技結果ばかりが気になりがちだが、選手たちの裏側には、それを支える気骨ある企業や団体があることも忘れてはいけない。 (了)