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midnightbluelynxのブログ一覧

2024年06月21日 イイね!

日刈

日刈 全国紙・朝日新聞が運営するニュースサイト「朝日新聞DIGITAL」の配信記事から本日付け『ミカン畑のモノレールがヒマラヤに? ネパールから岡山メーカー視察』に注目。

 建設コンサルタントの業務で、工事用モノレールに関与した経験があり、実際にニッカリを含むメーカーさんの営業・技術担当氏にもお目に掛かり、打ち合わせをしている。
 工事用モノレールの原点が、急峻な南斜面で展開されるミカン畑における管理・収穫作業の合理化にあることは、記事で説明されている通りであるが、最大積載量を3tまでとしている点は少々不適切で、ニッカリではない他メーカー製品で最大4tまで運べるモデルがある。
 加えて記事のトーンとして、農業用に用いられているモノレールを、ネパールにおける工事用として使えないか、あたかもゼロベースで検討しているかのように読めるが、弊ブログ記事で初めから「工事用モノレール」と記している通り、安定的に軌道を敷設できる(=地すべりや雪崩などの危険が無い)現場であれば、日本であろうとネパールであろうと使用可能と考えられる
 これらの点、朝日新聞の記者には認識を改めてもらうと同時に、文章の書きっぷりにも注意を求めたい。


 工事用モノレールは、急峻な地形での工事でこそ特性を発揮するため、山間部の現場での利用がメインであることは間違いないのだが、都市の現場でも使われることがある。
 江戸時代に徳川幕府によって、ほぼ人力で開削された御茶ノ水の神田川両岸は、ほぼ崖といってよい地形状況で、その縁に道路や鉄道など重要インフラが集中していることから、近年崩落防止の工事(鉄筋や束ねた鋼線を、斜面から地中に穿孔した穴に埋め込んで固定する)が進められたが、この現場の一部でも工事用モノレールが使われていた。

 読者各位には、愛媛や静岡などのミカン産地で、或いは山間部での法面工事などの現場で、ギザギザのラックが仕込まれた特徴的な細い軌道と、見上げるような勾配をものともせず上下する搬機を見掛けることがあったら、「あぁこれがモノレールね」と思い出してほしい。


 日本で開発された工事用機器が海外で活用され、現地のインフラ整備が長足に進捗することは大いに喜ばしいことである一方で、懸念もある。
 ネパールは今世紀初頭まで、王室を戴く立憲君主制を布いていて、その頃にトレッキングを愉しみに同国を旅している
 カトマンズ市内の王宮前を通り過ぎる際、トレッキングツアーのガイド氏が、王宮に向かい手を合わせて首を垂れるものの、問わず語りに「ネパールの王様は、あまり人気ないんでね」と吐露していたのが印象的だった。
 当時から毛沢東派を名乗る共産主義武装勢力が、一部地域を実効支配するなど、王制に反対する勢力の勢いが苛烈だった。もしかしたら、私をアテンドしてくれたガイド氏は共産主義者ではないまでも、少なからず反王室のイデオロギーにシンパシーを感じていたのかもしれない。

 その後2001年に王宮内で皇太子が、国王夫妻を含む王族を悉く銃殺した末に自殺するという、凄惨な事件が発生。事件当時は離宮に居て助かり、ただ一人の王位継承者となった国王の弟が即位したものの、事件の経緯が余りに不自然なことから、新国王が権力掌握を狙いクーデターを仕掛けたのではとの疑惑が流布。更には国王親族の薬物乱用や、轢き逃げ等のスキャンダルが次々露見した挙句、国民の支持を失い、ネパールは王室を廃し共和制に移行している。
 この際の混乱に乗じ、中国の影響が色濃い共産主義勢力が更に伸張し、武装闘争からは脚を洗ったものの、選挙を通じ議会の多数派を占め、ネパール政府の実権を握った。

 日本が輸出した極めて利便性が高く、かつ安全な「工事用モノレール」が、よもや中国に持ち込まれてコピーされ、自国内で利用されるのみならず、初めから自国製品であるかのようなふりをして海外に売り込むような、かつて新幹線が辿った屈辱的な事態に陥らぬよう、関係者には細心の注意を払って事業を進めてもらいたい。
関連情報URL : http://www.monorail-kk.jp/
2024年05月24日 イイね!

実機

実機 今日は昼前から、例年この時期に開催される「建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会場:幕張メッセ/会期5/22-24)に参加してきた。
 過去、参加した際の様子を記事にしているので、併せてご参照いただきたい。
 2018(平成30)年に第1回を開催して以来、2020(令和2)年の第3回がコロナ禍に因り翌年にスライドされた以外は連綿と毎年開催され続け、今年は第6回を数える。

 展示の主力は、初回から今回に至るまで、ICT化された建設機械の実機であるが、これらを用いて施工効率や品質の向上を図る施策は、当初「情報化施工」と呼ばれていた。
 その後、レーザースキャナ機能を備えたドローンやトータルステーションなど、進化した測量技術によって三次元データを迅速かつ安価に取得できるようになり、そのデータを建設機械に取り込んで自動化を推し進め、更に施工効率・品質の向上を期す施策「i-Construction」へとアップグレードしている。
 イヴェントのタイトルに「測量」が付されているのも、「i-Construction」を支える技術的基盤が、ICT建設機械だけでなく測量分野にも置かれているからである。
 現在はあらゆる産業分野で、いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が推進されている状況の下、建設業界においても安全対策(接触事故や熱中症の防止)・現場環境の改善(女性や高齢者、新規入職者の活躍)・設計や施工計画立案など、川上/川下/周辺分野にまで新しい技術の開発や製品の投入が進められており、出展企業の裾野は、開催当初からすれば大きく広がっている。

 その一方でコロナ禍に因る展示会中止があったように、このようなイヴェントに参加するための広告・宣伝費が、各社で大きく削減されてしまった影響で、展示内容が些か”ショボい”ものになってしまっていた点は否めない。
 以前であれば建設機械の実機を持ち込んでいたメーカーやレンタル会社が、パンフレットやカタログのみ配置となったり、ブース内に設置したモニターで画像を紹介するだけの展示となったりしていた。

 コロナ禍が終息し、制限なくイヴェント事が開催できるようになっても、花形だった筈の巨大なICT建設機械の実機はなかなか戻って来ず、建設現場全体を俯瞰したDXを進展させるデバイスやシステム、現場環境改善や安全性向上に資する資機材の紹介など、どちらかと言えば小ぢんまりした、ややダイナミックさに欠ける展示にシフトが進んでいた。


 ところが、今年は状況が一変。メーカー・レンタル会社・先進的な工法の施工会社ともに実機展示(汎用機だけでなく舗装機械や杭打機なども)に回帰。測量会社でも、航続距離やペイロードに余裕がある大型ドローンのみならず、ヘリコプターの実機を持ち込んで展示している社があった。
 ほぼ全てが公道走行できない(クローラ装着/サイズオーヴァー)建設機械で、会場への搬入だけでなく、撤収に際しても大変な手間を要することだろう。

 展示社には海外企業も目立ち、中国やドイツ等のメーカーが、掘削機械や公道走行不可の大型ダンプなどを実機展示し、強力にアピールしていた。
 為替の動向が海外企業には極めて不利に働いているが、舗装機械などを除き、汎用機はほぼ国産で占められている日本市場での、将来的なシェア確保を見込んでいるものと推測する。
 ただ、海外企業の参入拡大については為替の問題も然ることながら、長期的には縮小傾向が予想される日本の建設市場での勝算が見込めるものか、少なからず疑問を感じる。

 これまでの各開催回次に参加してきた中で、今回初めてと思われる展示が、中古トラック販売を手掛ける企業の出展だった。
 低床トレーラーやセルフローダーなど、建設現場で多用される車種の実車を持ち込むなど、こちらも大変力を入れていた。
 建設機械を含めても、アタッチメントのデモンストレーションに用いるベースマシンを除き、中古車両を中心に据えた展示は見たことが無い。
 新車の納車が遅れ気味な状況下で、膨大な在庫から顧客要望の仕様を探すだけでなく、顧客要望の架装を新たに施す/車両間で架装をスワップするといった対応も受け付けているとのことだった。


 建設産業における技術の最先端を垣間見たのみならず、現在の建設産業が抱える問題点、社会経済から受けている影響についても考えることができた、充実の見学を通じ、CPD3ポイントを得て幕張メッセを辞した。





2024年04月24日 イイね!

横坑

横坑 全国紙・読売新聞が運営するニュースサイト「讀賣新聞オンライン」の配信記事から『車庫がなくて東急東横線から借りている横浜・みなとみらい線、地下に「車両留置場」建設中』に注目。

 昨今、頻繁に開かれている土木の現場を一般に公開するイベントのレポート。
 インフラ整備の効果を地域住民に実感していただき、一方で整備課程におけるご不便やご迷惑(騒音・振動・交通規制等)に対する理解を得るべく、公共工事に置いてはこのようなイヴェントの実施費用が、予め工事積算に計上(「現場環境改善費」)されている。

 「現場環境改善費」は、字面の通り建設現場に従事する技術者・労働者の環境改善にも適用されるため、昨今は男女別の休憩スペースおよびトイレ、感染症対策のグッズ、そして猛暑対策(スポットクーラー・冷感グッズ・塩飴など)にも支出される。
 今年の夏は猛暑が予想され、イヴェント参加者の熱中症対策まで考慮しなければならないとすると、現行基準で算出された現場環境改善費だけでは賄いきれないかもしれない。
 それがために、一般市民がインフラ整備に触れる機会が減ってしまうのは惜しい。
 事後的でも発注者が費用の一部または全部を負担する形で、或いは発注者が旗振りをし施工業者がアシスタントする形で、イヴェント開催を続けてほしいものである。
 

 さて、讀賣新聞の記事。
 先週末のイヴェントが、今日になって報じられる事情が謎であるが、それ以外にも引っ掛かる、雑な記述がある。
 現在は列車が進入する本坑部分に至る前、「港の見える丘公園」の崖下に仮設された作業ヤードから、クエスチョンマークのような横坑を掘削している段階にある(参考情報URL参照)。
 トンネルが複雑にカーヴしているだけでなく、徐々に深くなっていく線形で、施工管理には細心の注意が必要だろう。

 この横坑を、本坑工事のための資機材を搬入する「作業用トンネル」としているが、このトンネルは換気坑として整備されているものであって、工事が竣工し換気用として機能し始めるまでの間、仮に作業用として使われているに過ぎない。
 資機材搬入が目的なら、本坑の直上から立坑を掘るのが一般的で、費用も格段に安い。敢えてコストを掛け、このようなトンネルを掘削する理由が見えてこない。

 執筆記者が、工事の目的をしっかりと理解しているなら、作業トンネルは本坑の掘削作業が終了したら換気坑として用いられる旨、記述されるべきだった。


 年度も変わり、蓄積を求められている継続研鑽(CPD)のポイントもリセットされ、またゼロから貯め直さなければならない。
 技術的な面の学習も然ることながら、一般市民にインフラ整備がどのように受け止められているのか、その肌感覚を知ることも、建設技術者の端くれとしては興味がある。
 機会があればCPD獲得を兼ねて、「みなとみらい線車両留置場整備事業」の現場を見学したい。
2024年04月14日 イイね!

保全

保全 福岡圏のJNN系地方局・RKB毎日放送)のサイト「RKBオンライン」で配信しているニュース動画から『「東洋一のつり橋」と呼ばれた橋は今・・・赤色がピンクに、重さ1キロの金属片が落下9年間大規模修繕なし「早期無料化の代償」か』に注目。

 クルマの塗装で実感されている方も多いだろうが、赤系の塗料は顔料の劣化が他の色よりも激しいため、よりきめの細かいメンテナンスを要す。
 あぁ色褪せたねぇで済めばよいが、鉄でつくられた構造体は、塗装による表面保護がなければ早々に腐食がすすみ、程なく取り返しのつかない状態に陥る。
 況してや恒常的に塩分に曝される海沿いの鋼製吊り橋など、言わずもがなである。
 
 別報道に拠れば、タイトルにある落下した金属片とは、配管を止めていたブラケットで、直接的に通行する車輛の荷重や、風や地震の影響に因る変位を受ける部分ではなかったものの、橋の劣化が着実に進んでいることは間違いがない。


 弊ブログでは以前、イタリア・ジェノバで発生した大規模な高架橋(モランディ橋)崩落事故について論じた。

 そもそも部材が細く強度に余裕がなかったことに加え、橋を支えるストランド(高強度の鋼線)がコンクリート内部に埋め込まれていて劣化状態の確認ができないという、構造的な欠陥を抱えていた。
 更にこの橋を含む高速道路が、「コンセッション方式」で民間委託され、通行料収入を原資に維持管理を任されていたが、利益確保のため手抜き管理が横行。橋に発生したひび割れから錆び汁が垂れている=内部のストランドが発錆=体積膨張で更にひび割れ拡大=更なる劣化‥…という危機的サインを見逃し、多数の死傷者が出た大事故を発生させてしまった。

 若戸大橋は民間委託こそされておらず、構造も健全度も崩落したモランディ橋とは大きく異なる(コンクリート製斜張橋)ものの、首長のスタンドプレーで健全さを維持するに足るだけの予算を確保できず、劣化が進んでいるところまでは、モランディ橋のプロセスを踏襲している。
 この先状況が改善されなければ、北九州でもジェノバの悲劇が再現されない保証はない。


 不具合が発生した後に都度修理を行うのではなく、不具合発生に先回りする「予防保全」の考え方に立って反復・継続してメンテナンスを行い、インフラの資産価値を一定水準以上に維持していく(=アセット・マネジメント)方が、インフラが棄損したことに因る社会的な影響を含めたトータルコストとしては格段に安い。

 若戸大橋の管理者は、可及的速やかに維持・管理の考え方を転換し、市民生活を支える重要なインフラ資産を高い水準で保全してもらいたい。
2024年04月12日 イイね!

撮影

撮影 全国紙・毎日新聞のニュースサイトから『朝ドラ「虎に翼」のロケ地はどこ? あさイチでも話題「裁判所は…」』に注目。

 今期の連続テレビ小説「虎に翼」の、ロケ地に関する記事。
 ドラマそのものだけでなく、建設エンジニアの端くれとして、建築にも大いなる興味を抱く身としては、非常に貴重な情報だった。

 ロケ地建物の竣工年代と、ドラマの時間軸とがほぼ合致していることも然ることながら、建物の由緒が、ヒロインのモデルとなった三淵嘉子氏が判事として実際に勤務した裁判所であるなど、話が出来過ぎていないかと思うほどに奇跡と言っていい状況である。
 演じる俳優たちも、当該建物内で撮影中は三淵判事在勤当時に想いを馳せ、その息吹や熱量を感じながら佳き演技に励むことだろう。

 ただ、一つだけ懸念がある。
 ヒロインが法律家となるべく勉学に励んだ学び舎「明律大学」は、神田駿河台の明治大学がモデルであるが、学内のシーンが連綿と名古屋で撮影されるのだとしたら、同じ「めいだい」でも「名大=名古屋大学」になってしまわないだろうか(苦笑)。


 冗談はさておき、当然東京にもロケ地は存在していて、土木寄りの建設技術者である弊ブログ投稿主が確認できたのは、何度となく登場するニコライ堂らしき寺院を背景に合成した橋梁のシーンの、旧四谷見附橋(新宿区・四ツ谷駅前から八王子市に移設。現・長池見附橋)である。
 御茶ノ水界隈で有名な橋と言えば聖橋(鉄筋コンクリートアーチ橋)が真っ先に挙げられようが、旧四谷見附橋(鋼製アーチ橋)とは構造が全く異なるので、恐らくは一つ上流のお茶の水橋をイメージしロケ地としたのだろう。同橋は昭和6年竣工で、ドラマの時間軸とピッタリ一致するが、構造は鋼製ラーメン橋でドラマの橋にはない床版と一体化した橋脚がある(参考情報URL参照)。


 ドラマのストーリーを追うことと並行して、画面を彩る戦前の名建築や土木インフラもまた、重要なキャストの一員としてお楽しみいただきたい。


プロフィール

「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
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