富士と筑波、どっちがブレーキに厳しいのか?を、自分なりに考えてみました☆
富士の国際コースは自転車でしか走った事がないので、4輪の実際のところは知らないのですが、
ゼロ理論のお坊さんが
「車は冷酷なまでに物理の法則に支配されている」とどっかのマンガで言っていたので、高校物理でも構築できる簡単なモデルで考えてみることにします(^^)。
面倒なので走行抵抗やエンジンブレーキは無視して、全てのブレーキング(フットブレーキ)では9.81m/s/sの減速加速度が働いているものとしました。
まずキジョーのクーロンの結果からいうと、
一概に判別できませんでした(o’ω’o)
観点①
筑波1000 > 筑波2000 > 富士 の順で
「走行距離1mあたりのブレーキの負担が多い」≒(?)「『1周する際にブレーキにより失われる運動エネルギーの量』/『サーキットの全長』が多い」という結論になりました(表1)。
観点②
富士の1コーナーで発生する熱エネルギーは、筑波2000の1コーナーの倍以上なので、
富士 > 筑波2000 > 筑波1000 の順で厳しい
となりまして、実際にどこのサーキットが「ブレーキに厳しいか」は判別できませんでした。
ブレーキシステムの許容温度や熱通過率(って言っていいのかな?)を考えなければならないと思いますので、引き続き調べてみたいと思います。
最も、経験豊富な方の建設的なご意見もお待ちしております。
ブレーキに対して熱流体力学や熱交換器的な解決アプローチを試みても、なかなかラジエターのお話ししか出てこないので困ったものです。
とりあえず、筑波は一般道よりもブレーキに厳しいっぽいので(爆)ロワアームにブレーキへの導風板をつけることにします(o’ω’o)
表1 富士国際コース、筑波2000、1000を走行した際にブレーキがする仕事等
※富士のコース長は正確には4563mでした。
表2 FSW,TC2000,TC1000のブレーキが必要なコーナーでのブレーキ時に発生するエネルギー
【計算手順】
①実車の走行データ(図1)、またはグランツーリスモ6の走行データ(図2)から、ブレーキペダルを3割以上踏んでいる区間の前後の速度差から、ブレーキがした仕事分のエネルギーを算出する。
② ①を、各コーナにて抽出・算出を行い、サーキットを1周する際に発生する合計のブレーキの仕事を算出する。
③ ②で得られた仕事量を、サーキットの全長で割る。
※今回は、TC2000と1000はデジスパイス、LAP+から、FSWはGT6より抽出。
トータルの熱量はそれぞれ約2乗分の差があり、TC2000の実車とGT6の速度差が誤差数%であることから、実車とGT6の誤差は十分に無視できるものとする。
【参考その1】
④等加速度運動の公式から、減速加速度を9.81[m/s/s]として、各コーナーで減速している時間と、それらを合計したもの
TBを算出する。
⑤ 各サーキットにおける④を、各サーキットのラップタイム
TLで割り、1周の間にどれだけブレーキを使っているかの比率
TB/TLを算出し、目安とする。
→今回取り上げたサーキットは、どこも全体の1割程度はブレーキを使っている事になる。その比率が大きく異なる事はない。
【参考その2】
⑥各サーキットにおける平均速度
Vaveを算出し、熱通過率に影響を及ぼす因子の大小関係を把握する。
実際はブレーキ残すじゃん、という話は計算がややこしくなるのでなかったことにします(爆
ブレーキ残す動作をなかったことにしても、トータルのブレーキ仕事量が増えるだけなので、安全率がやや高くなるので問題ない、という捉え方をしました。

図1 実際にTC2000をAE111で1分10秒824で周回した際の走行記録

図2 GT6において富士SWをAE111(ノーマル)で2分12秒304で周回した際の走行記録となんちゃって富士チャンN1仕様(Egノーマル、ドンガラ(907kg)、ディレッツァ03G(スポーツソフト))の走行記録 コース幅広すぎてラインがワカリマセンcrz
【結果と考察】
ざっくり、「ブレーキが必要な仕事」を計算してみたところ、
本当に単純な考え方をすると
1周あたりでは筑波の方がブレーキに負担がかかるらしいことがわかりました。
また、各サーキットの平均速度はブレーキに必要な仕事量と反比例のような関係にありますので、その事を考慮しても、筑波の方がブレーキに負担がかかるかもしれないという仮説が立ちました。
ちなみに、2分12秒のノーマルAE111と、1分59秒のドンガラAE111では、1mあたりの発生熱量は966Jと996Jで大差なし、でした。
1コーナーでの負担はドンガラが1585kJ、「トップスピード遅いけど結局重たいノーマル」の方が1588kJと3kJ多かったです。
しかし、
一つ重要な事を忘れています。
それは、
「各コーナーでのブレーキの仕事量が、富士はけた違いに多い」ということです(表2)。
例えば表2を見ると、TC2000は1コーナーで最も多い熱量70万ジュールが発生するのに対し、富士では1コーナーで倍以上の159万ジュール、ダンロップでも114万ジュールが発生しています。
なので、
富士では筑波よりも熱容量が多いブレーキシステムや、高温でも高い摩擦係数を維持するブレーキパッドが必要になることは当然だと思います。
結局、筑波と富士のどっちがブレーキに辛いかは、よくわかりませんでした。
経験則が一番確実で手っとり早いでしょう…
現に、富士ではブレーキローターがよく割れると聞いたり、レブスピDVDで見ましたが、筑波ではヒートクラックが入る程度で済むようですし…。
※ところで、GT6と実車の減速Gが違いすぎるのですがほぼ同じタイムが出る件については、多分GT6の前方向加速度センサのキャリブレーションができていないのだと思います(爆
※これとは別に、富士の1コーナーでフロントのブレーキディスクが何度温度上昇するか、単純な熱量計算の式から計算してみたらたったの137Kとなり、実際にみられる現象(ブレーキディスクが赤くなるほどの温度上昇)と大きく異なる結果となってしまったので、局所的な温度上昇等を考慮した式を探してみたいと思います。
※ちなみにラジエターの放熱に関しては、
発熱量 Q = KA⊿Tm …(1)
ここで、
K:熱通過率 [W/m/m/K]
A:空気側の全放熱面積 [m^2]
⊿Tm:空気と水の平均温度差[K]
らしい[1]んですが、Kは風洞実験により求めるしかないそう[1]なので、熱流体力学的な観点からブレーキの放熱理論式を出そうとしても無駄なのかな?と思ったり…
Kは風速というか質量風速と単調増加の関係にあるので、「車速が速い方が冷える」のは確かなのですが、その数値がブレーキとどれだけ違うのか…というかいくつなのか、もたしょうかオートサロンで聞いてみたいと思います。
未だにエントロピーとエンタルピーの違いを覚えていないやつ(自分)がこんな事に首を突っ込んでいいかはお察し下さい。
…という計算を、中学校か高校の夏休みの自由研究で発表したらお利口さんと先生から褒められる事でしょう。
院生ならせめてmatlabかアンシス使えよってツッコミが入りそうですね(^^;)
参考文献
[1] 自動車用ラジエータ(第2次改訂版) 社団法人 日本自動車部品工業会
…Masa-111君、制動力配分の設計は水色や黄色の教科書に載っているけど、発熱量の計算式って見た事ある?&計算して作ってた?