オイルのブログでもうちょっと書きたいことがあるので追記です。
その1
Mobil1 ESP X2 0W20 と合成油のお話
その2
0W-20オイルの比較検証 エントリー編
その3
0W-20オイルの比較検証 失敗編
その4
0W-20の作り方
その5
0W-20オイルの比較検証
その6 このブログ
エンジンオイルのプロダクトシート(PDS)を見ると40℃動粘度、100℃動粘度と共に粘度指数(VI)が記載されていると思います。
40℃と100℃の動粘度から計算していて数値が大きいほど温度による粘度変化が小さい≒良いオイルとなっています。
ベースオイルの定義でもVHVIが粘度指数120以上でPAOが140以上、GTLが145とかありすよね?
ベースオイルに粘度指数向上剤(VII)を添加することでベースオイルから粘度指数を上げることが出来ます。
一般的なオイルは150から200の範囲に収まっているのですが、中には200を超えて300越えのオイルもあります。
一見すると超ハイスペックオイルに思えるのですが、これらの高粘度指数オイルには漏れなくポリマーが添加されています。
ポリマーは温度が上がると分子構造が広がって油圧を上げる効果があります。
なので柔らかいオイルでも高温時に柔らかくなり過ぎず油膜を保持できる。
ポリマーに関してはシェルのサイトに詳しく書いてあるので
こちらを参照してください。
当然欠点もあって、シェルのサイトにも書いてありますが、せん断されてしまうとオイル内でスラッジになってしまい本来の性能が出ないしゴミにもなってしまいます。
VIが300越えのオイルは例のGRオイルシリーズにあります。

どちらもVHVI+がベースオイルで、GRエンデュランスがGRヤリスなどターボ車用。
GRサーキットはターボ車不可、GR86などが対象。
この二つのオイルは表記上の粘度同じ、価格もほとんど変わりませんが、スペックが全然違います。
粘度表記が同じなのにターボ車用とかNA用とか既に紛らわしい…

この二つのオイルは100℃の動粘度はほとんど一緒ですが、40℃の動粘度が全然違います。
GRサーキットの23.7って0W-16より柔らかいです。
0W-20自体相当柔らかいですが、その中でも突出して柔らかい。
それでいて100℃の動粘度が比較的高いのでGRサーキットは粘度指数310というバケモノオイルになっています。
この二つの違いは
メーカーの記事にも載っていますが、サーキットはポリマー入り、エンデュランスはノンポリマーとなっています。
ちなみにGRエンデュランスも他の0W-20と比較して硬い訳ではありません。
比較的硬い0W-20は例によってMobil1ですが、Mobil1だと40℃ 44.8、100℃ 8.7 粘度指数173です。
オイルの知識がそれ程無い人でもスポーツ走行を経験されている方ならオイルがヘタる感覚って判ると思います。
特にNAエンジン車に乗ってる(た)人。
私もプリメーラに乗ってた頃に色々なメーカーのオイルを試していました。
3000km待てなくて2000kmスパンで交換してたりw
3000km以下で交換したオイルはサーキット走った後に油圧が下がってしまったり、フィールが悪くなってしまうため次のオイルに交換してました。
今から15年以上前のことですが、ポリマー入りオイルは新油時のフィールが良いけど長続きしない。
ノンポリマーや耐久性の高いオイルは新油感が無くて交換時の印象がない。
ただ、長時間使っても変化が少ない。
だから私自身はポリマー入りオイルは良くないというイメージがありました。
併せて粘度指数の高いオイルは避けるようになっていました。
当時ネットでもポリマー≒悪みたいな風潮あったと思います。
粘度指数向上剤というのはポリマー以外でも成立するのですが、ポリマー程指数を上げられるものは無いようです。
ポリマー入りオイルでも一般的なオイルは200を超えないようになってます。
下の表はビリオンのサイトの数値を引用してきました。
どれも86/BRZ用のオイルですが、ベースオイルはPAOかVHVI+で富士フィルムのソフトマターというVIIを使用しているそう。
高分子なポリマーと違って分子同士が「集合」して超分子状態になってるそう。
ポリマーのような大きな分子っぽく振舞いつつ分子同士が結合している訳では無いのでせん断にも強いらしい。

そんなソフトマターを使っていても粘度指数は高く無いです。
分子結合している訳じゃないからポリマー程効果も無いのかな?
ただ、オイルとしてはまっとうな感じがします。
ビリオンが偉いのは0W-20で耐久レースは△とちゃんと記載しているところ。
粘度指数も抑えていて、PAOがベースオイルでも柔らか過ぎると。
レースで使うなら5W-30か5W-40を使えと。私なら5W-30かな?
対してGRサーキットはどうなんでしょうか?
「GRサーキット」のレビューにもサーキット走行後にヘタる、500kmでタペット音出たなど、チラホラありました。
新世代ポリマーはヘタならないのかな?と思ったら、相変わらずポリマーたっぷりオイルは直ぐヘタると。
ネットのレビューなので参考程度ですけど、思った通りではありました。
「サーキット」って名称も良くないですよね。
殆どは大絶賛のレビューですけど。。
以前のブログでもトヨタの良心が良くわからないと書きましたが、やはりトヨタに良心なんて無いのかもしれません。
GRとは言えトヨタ純正オイルなのにメーカーアプルーバル無視(NA車15000km)。
同じ粘度なのにターボ用とNAとか混乱の元ですし。(元のトヨタ純正はターボNAとも共通)
GR86買ってサーキット走る人はどちらにするべき??
ディーゼル用の0W-20 C5や0W-30 DL-1がGTLベースでハイスペックなのは単にDPFやEGR詰まりが怖かったからだけなのかも?
GTLは硫黄分とか灰分が少ないのでフィルター詰まりリスク少なく、カーボンの発生も少ないのでEGRカーボンだらけの対策にも効きそうですし。
GRスープラ専用の0W-20 C5はBMW認証オイルでベースオイルはGTLで1980円/Lと良心的な価格設定。(上のGRオイル2種は3000円/L)
そもそもGRオイルは全部これで良かったのではないか?
(LSPI非対応なので直噴ターボはダメ、のハズだけどスープラ用…)
ガソリン車用GRオイル0W-20だけで3種類。
しかも一番安いのが一番ハイスペックっぽい…
ついでにエネオスもどうしてこんなに高粘度指数オイルをリリースしたがるんでしょうか?
GRオイルはエネオス製ですが、エネオスのXプライムシリーズも高粘度指数ウリです。
街乗りならOKだと思ってる?
今時NAエンジン用オイルで5000kmスパンで交換必要なオイルってSDGsにも反するし、エンジンにも良いとは思えません。
(エンデュランスはターボ用でトヨタのターボ車って今も5000km交換?)
高粘度指数オイルが良いオイルというのならメーカーアプルーバル取って欲しい。
エネオスXプライムもACEA C3取得してる5W-40の粘度指数は180と普通。
海外向けエネオスオイルは粘度指数は180以下程度で普通のオイルです。
日本向けだけ特殊な低寿命オイル。
値段が高くて交換サイクルが早いオイルが売れればそれでOK?
ノンポリマー派でMobil1信者の偏ったブログになってますので、識者の意見をお聞きしたいです。
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