
自分でディーゼル車に乗っていないので書くか迷ったのですが、身近なところでトラブルも出てるので書くことにします。
知人がランクル300のディーゼルを購入したのですが、エ〇オスでオイル交換をしたらDPF再生間隔が50kmになってしまったそうです。
正常なら300kmくらいですから明らかに異常です。
今年購入のド新車ですからね。
ランクル300のディーゼルエンジン(F33A-FTV)は0W-20のACEA C5規格が指定エンジンオイルになっています。(写真のやつ)
エ〇オスのACEA適合オイルは5W-40のC3しかありませんので、恐らく5W-30のDL-1を入れたと想像しています。
ランクル300のユーザーマニュアルを確認するとトヨタ純正0W-20 C5が推奨ですが、ハイエースなど1GD用のトヨタ純正0W-30と5W-30のDL-1も適合となっています。
入手困難な場合はDL-1規格ならご使用いただけますとも。
店員さんは間違った作業はしていなかったのですが、そこがディーゼルエンジンオイルの怖いところです。
DL-1だから大丈夫と思わない、これ大事。
エ〇オスでダメなんだからDL-1殆どダメと思ってた方がいいですよ。
(エ〇オスがダメなんだよ!って言われそう…)
JASO DL-1規格はDPFの詰まりを防止するためにSAPSの規制値が厳しいです。
硫酸灰分(SA)が0.6mass%以下となっていて、ACEA C3やC5規格の0.8mass%に比べてワンランク厳しく、その他リン(P)、硫黄(S)、塩素も制限があります。
この規格が厳しいことからDL-1はオイル規格が厳しい!と勘違いしてしまいそうですが、実際はSAPS以外の規制が緩いオイルです。
DPF詰まりのPMの発生源は
シェルのサイトに記載がある通りで潤滑油起因のカーボンと、燃料起因のカーボンで66%を占めています。
DL-1規制値の灰分による影響は13%だけ。
灰分(金属)が詰まればDPF再生では復活しないのでそこの規制値を厳しくするのは理論的に正しいですが、大半の要因を占めるカーボンの規制は何もしてません。
DPF再生で復活するのでカーボンは焼けばいい、という発想で始まったのでしょうが、実際に乗用ディーゼルで問題になっているのは灰分よりカーボン詰まり。
ポスト新長期規制で国内乗用ディーゼルの排ガス規制はEURO5程度になっているのですが、DL-1がEURO4時代のままなので発生したカーボンはDPFやEGRに残留しているはずです。
EURO4のPM規制値は0.025g/kmに対してポスト新長期規制(≒EURO5)は0.005g/kmです。(EURO6dは0.0045g/km)
排ガスのPM量は1/5なのにエンジンオイルがそのままなのは厳しくないです?
残りの4/5がエンジンとDPF内で還流し続けることにならないのでしょうか。
DPFで焼くにしても限界があるし、実際焼けずにDPFやEGRやらインマニに残る。
DL-1の規格もポスト新長期規制に合わせてアップグレードしないとダメなのでは?
(超長距離走る商用ディーゼルはまた別の話)
なので規格を悪用してポンコツなDL-1オイルが多く流通しています。
表現が悪いですね。DL-1規格がポンコツなせいで粗悪品が流通する。同じかw
殆どがGr.II以下の鉱物油ベースなんじゃないでしょうか?(自動車メーカーのも怪しい)
GrIII(VHVI)以上を使ってないオイルが大半と想像しています。
純度の低い鉱物油は蒸発量(Noack)が多く排気やEGR側にオイルの蒸発分が還流するのでその分煤が増えますが、SAPS規制値さえ下回っていればDL-1適合してしまいます。
ACEA規格品はせん断性能などがAPI規格品より厳しいので自ずと高品質なベースオイルを選ばざるを得ません。そこに更にSAPS規制が入っている。
こちらは逆に大半がVHVI以上と想像しています。(一部怪しいのもある)
ミカドオイルのブログでも触れていますが、オイル性能が担保されているACEA C3を使った方がDL-1規格のオイルを使うよりリスクが少なそうです。(乗用ね)
SAPSの差で将来的に灰分による詰まりが発生するのはACEA C3の方が早そうですが、DL-1規格の低品質品はその前に煤でDPFが終わってるかと。
ACEA C3を使ったら灰分起因で何万kmでDPF詰まるんでしょうね?
恐らく10万とか20万kmより先だと想像しますが。
じゃないと欧州車みんなDPF詰まって騒いでるはず。
トヨタもマツダも最新乗用ディーゼルはACEA規格にシフトしているのも証左になると思います。
商用車は走行距離が全然違うので灰分自体の詰まりも無視できないと思います。
カーボン発生量も乗用よりは少ないでしょうからDH-2は規格通り入れないとダメでしょう。
(もしくはDPF付車用ACEA E規格品)
乗用ディーゼルとて、SAPS規制の無いガソリンエンジン用のAPI規格品は入れてはダメですよ。
国内メーカーがDL-1規格やDH-2をアピールするのはGr.II以下の鉱物油の消費先が無くて困ってると想像します。
国内の製油所の殆どがGr.II以下の鉱物油しか精製出来ないので、余ってる鉱物油を何とかしたい。
という下心が垣間見えます。(Gr.III VHVI の大半が輸入品)
トヨタの純正オイルは先の0W-20 C5もDL-1 0W-30も天然ガスから合成するGTLがベースオイルなのでVHVIより更に煤の問題はクリアになります。(より不純物が少ない)
ランクルやグランエース、ハイラックス後期やハイエース7型以降はトヨタ純正0W-20 C5一択、マツダなど他メーカー含めDL-1規格の車両はトヨタ純正の0W-30とかミカドオイルのようにVHVI以上を謳う製品が良いでしょう。
トヨタ純正オイルは燃料希釈と商用車利用を想定しているのか表記のイメージより硬めです。
最初硬いけど5000km持つかどうかで評価した方が良いです。
ハイエースのオイルで難民になっている方、トヨタ純正に一度戻ってみることをお勧めします。
トヨタの純正オイルはエクソンモービルから切り替わりが始まりましたが、ディーゼルオイルはエクソンモービルのままGTLベースを継続しています。
わざわざ単価の高いエクソンモービルでしかもGTLベースを継続している。この辺が答えですよね。
また、ディーゼルオイルの良否で一番判りやすいのはDPF再生間隔が長くなるかどうかでしょう。
再生間隔長ければ煤が少ない良いオイルです。
300kmと言わず500kmとかなら良いオイルかと。
新油になってスムーズになったとかで騙されないでくださいね。
新油に交換して良くなるのは当たり前、良いオイルは新油になっても変化がないオイル!
どうしてもDL-1相当のLow SAPSオイルじゃないとダメ!と言う方はACEA C4オイルがLow SAPSでDL-1の規格を上回る性能なので代替出来ます。
ACEA C4はNoackも11%以下、塩基価6以上とDL-1規格以上の性能があります。
ユニオパールのOPALJET X-TREME 5W-30はPAO+エステルベースみたいなので考えうるDL-1相当オイルで最強の性能だと思います。
エクストレイルディーゼルにもピッタリ。
まとめ
・DL-1規格品はベースオイルを疑う。鉱物油ベースは避ける。
(VHVIとかGTLベースオイルのものを選ぶ。化学合成油表記は信用しない)
・ACEA C5規格ならトヨタ純正C5 0W-20を
・DPF再生間隔が長いものは良いオイル。
関連ブログ
DH-2とアッシュフリーオイル
塩基価
【追記】
自分でディーゼルオイルの検証がしたくてボルボV60を購入しました。
VHVIとGTLで煤量の検証中ですが、GTLの方がやはりDPF再生間隔が伸びる傾向です。
VHVIベースだと100~300km間隔、GTLだと500~600km(もっと行けるけどボルボは600kmで強制再生)
VHVIでもやはりGTLより煤の発生量は多いです。
となると鉱物油ベースのDL-1だとどうなるかは想像できますね。