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2024年04月23日

塩基価

塩基価 エンジンオイルの評価値に塩基価という数値があります。
エンジンオイルのアルカリ性の度合いを示すものです。
塩基価が高い≒清浄性も高いので、良いオイルの判断基準のひとつになります。

いつも通り長文です。
私自身の教育資料なのでご了承を。
書くことで覚えるw




エンジンオイルが劣化して酸化してくると塩基価が下がってきます。(酸化する)
Caなどの清浄剤を添加して塩基価を予め上げておくのですが、灰分も増えるのでDPFやGPF搭載車両だと塩基価が高すぎるオイルも使えません。
SP品だとLSPIとの兼ね合いもあります。(CaでLSPI増える)
API品に比べてACEA品は塩基価が高いです。エンジン保護性能重視。


ACEA品がAPI品に比べて塩基価が高めなのはACEAで規定されているからです。
ACEA A3/B4 10 mgKOH/g以上
ACEA C3/C5 6.0 mgKOH/g以上

ACEA A3/B4規格品は12.5くらいあるものがあります。
規制が緩いのでCaたっぷりって感じですね。

Mobil1 0W-40 (12.5)
Valvoline Synpower 0W-40 (12.4)
SK ZIC TOP 0W-40 (12.3)
(この3つはPAO,GTLベースの純然たる化学合成油なのでおススメ)



Low SAPS(硫酸灰分0.6%mass以下)のDL-1規格品だと塩基価は概ね5未満になります。
4を切ってるものもチラホラ。
幻のMobil1 ESP Formula(DL-1適合品)は6.6あったようですが、詳細資料見つからず…
ESP Formula が直ぐ廃盤になったのは塩基価低すぎてボツにしたのかも?
DL-1優先にしたせいで他の規格の清浄性が犠牲になった。
なのでマイチェン版のESPはDL-1非対応になった。
中身が全然違うとすると納得出来ます。

キューミック DL-1 5W-30 (3.9)
ワコーズ マルチロードDL-1 (4.2)
トヨタキヤッスル ディーゼルオイル DL-1 0W-30 (5.4) ←廃番
Mobil1 ESP Formula 5W-30(6.6?)←廃番


各社DPF保護のために清浄性能を削っています。
DL-1規格はホントに良いところ無いですね。
Noack≦15%wt、硫酸灰分≦0.6%mass
Noackも5W-30なら15%も出ません。硫酸灰分だけ規制が厳しい。
Noack緩いからベースオイルは鉱物油でOK。
蒸発した鉱物油は煤となりスラッジとなりDPFやEGRが詰まる。
塩基価の下限値もありませんので清浄性は各社の良心に委ねられます。


DL-1規格はエンジン保護性能に関する規格が無いに等しい。
純正DL-1はまだしも社外DL-1オイル入れられたら最悪壊れる。
国産最新ディーゼル車がACEAに移行した理由は至極当然。
DL-2という規格もありますが、今のところメーカー指定オイルにはなってないです。
(硫酸灰分がACEA規格同様0.7~0.8%massになった)
DH-2も調べましたが長くなったので別で書きます。


ACEA C2/C3品も全体的に塩基価高めですが、10は超えないように配慮されてる模様。
塩基価が上がるとSAPSも上がるのでMid SAPS(0.8%mass以下)のオイルはそこの兼ね合いが必要みたいですね。
塩基価が各社結構バラバラ

Mobil1 5W-30 SP/C2 (9.2)
Mobil1 ESP 5W-30 SN/C3 (8.4)
Mobil Super3000 XE 5W-30 SN/C3 (8.0)
Mobil Super2000 5W-30 SP (7.5)これは非ACEA品
ユニルオパール OPALJET LONGLIFE 3 5W30(7.2)
レプソル LEADER C3 5W-40 (7.2)
MOTUL SPECIFIC 504 00 507 00 5W-30(6.8)
シェル Helix Ultra ECT C2/C3 0W-30(9.0)※実測値


SP品も載せます。
TEITO ULTIMATE 0W-20 SP (6.5)
出光 アポロステーション 0W-20 SP (7.4)
中国興産 SEAHORSE 0W-20 SP (7.5)
POLO EXTREME ULTRA 0W-20 SP (7.7)
ワコーズ プロステージS 0W-20 SP (9.85)
トヨタ モーターオイル 0W-20 SP (9.97)※実測値


トヨタ純正やワコーズは明らかに塩基価が高いです。
シェルモービルも同様。

最初にも書きましたが塩基価が高いオイル=良いオイルとは言いませんが、少なくとも安物添加剤が入っていない時点で配慮されたオイルです。
見えにくいところで手抜きしていない。



【ここから感想文】
もしかしてベースオイルの灰分の影響で塩基価を上げられないってことあるのでしょうか?
塩基価は高い程良いけど、C2/C3は灰分が0.8%mass以下の制限があるのでベースオイルで灰分が占められていると清浄材を増やせない?
DL-1とC2/C3の硫酸灰分の差は0.2%massですが、この0.2%の差で塩基価が3程度下がっています。
仮にベースオイルに灰分を0.1%程度取られていたら添加剤を増やす余地が減りますよね。

Gr.II以上の鉱物油は硫黄分0.03%以下となっていますが、GTLなど合成油はここがほぼゼロです。
この0.03%が灰分になると何%になるのか計算出来ないのではっきり言えないのですが、GTLをベースオイルに使っているオイルは塩基価が全般高いです。
ベースオイルの灰分の影響が小さいから塩基価が上げられる?
Sって手の数何本でしたっけ?硫酸イオンで6本?
ってことは硫黄分子の3倍に増えるから0.03%の硫黄分も0.09%の硫酸灰分に増える?
(鉱油に含まれる硫黄は分子とは限らないから都合の良い解釈w)

GTLを使ってるオイルが単に良い添加剤を使っているだけって可能性もありそうですが…
どなたか詳しい計算方法教えてください。


ディーゼルに関しては自信ないので言及しませんが、(たぶん同じだけど)
API SPやACEAC2/C3規格品をガソリン車で使用するなら塩基価は高い方が良いでしょう。
松 9以上
竹 8以上
梅 7以上
不買 7以下
って感じ?

塩基価が全てではありませんが、基準を作るならこんな感じ。
灰分と塩基価がベースオイルに依存するとなると益々GTL信仰が強くなります。

ACEA C2/C3品で鉱物油ベースで塩基価9を超えるようなオイルがあれば上の仮説は崩壊しますが、出光のアッシュフリーのような極端にLow-SAPSのベースオイルなら鉱物油ベースでも塩基価を上げられる可能性はあります。
アッシュフリーはNoackも低いので恐らくVHVI+相当だと思うのでGr.II以下の鉱物油は使ってないと思いますが。

5000kmで交換するから塩基価なんて大して無くてもいい。
という考えもありそうですが、清浄分散剤はパッケージ添加剤に含まれているものなので塩基価が低い≒その他の添加剤も安物と考えるのが自然です。
もしくは本来12%添加するところ8%位まで減らしているとか。

高いものはコハク酸イミドのような灰分が増えない添加剤で塩基価を増やしてますよね。


余談ですが、
AMSOILのシグネチャーシリーズはSN Plus品ですが、塩基価が12.5もあります。

これは La Taberna del Motor と言うYoutubeチャンネルから引用しています。
塩基価(TBN)がカタログ値からだいぶ剥離(12.5→9.4)していますが、これは評価法の違いですね。
カタログ値が過塩素酸法(ASTM D2896)でこの動画は塩酸法(ASTM D4379)らしい。
塩酸法の方が塩基価が低く出るようです。

とは言え中身は凄い配合です。
Ca 1276ppm はLSPI対応のオイルとしては普通ですが、Mgが1015ppmも入っています。(普通400ppm位)
あとはMoとBの添加ですね。
Caを抑えてMoとBを添加するのはトヨタのフォーミュレーションだと思いますが、AMSOILはそこにMgを更に2.5倍添加。
Caの代わりにMgで補うのは理屈では合ってますがコストはどこいった?
添加剤「全マシ」状態w

ちょっとスペック坊っぽい感じもしますがそういうオイルがあってもいいでしょう。
見えないところでケチるメーカーより余程いい。
Signature以外のOE MotorOilとかは中身普通でした。
AMSOILとて値段なりかな?

日本の代理店も決まりましたしAMSOILも試してみたいです。
Signatureシリーズメチャクチャ高いので5qt買うと2万ですが。
20qt輸入するかな…


今回塩基価を調べているうちにZnDTPやMoDTCに遭遇する機会がありましたが、あらためて見てもどちらも別に良い添加剤では無いですね。
Znに関しては必須。逆に言えば入っていて当たり前。

特にMoDTCは入ってなくてもいい。
ZnDTPも入れ過ぎはスラッジの元だしMoDTCも同様。
MoDTCはDLCコートと異常摩耗する報告もあります。

シェルやモービルがモリブデンを殆ど入れない理由はちゃんとあります。
Znは必須添加剤なので入れない訳にはいかないですが、どちらも「個体潤滑剤」です、粉。

オイルが劣化してきて本来の性能が機能しなくなった粉がオイル中を浮遊します。
それは何を意味しますか?
「何か凄そう」とか騙されませんよう。
どちらも一定量以上はただの抵抗にしかなりませんし、オイル内にゴミが増えるだけです。



【追記】
DL-1と同等のLow-SAPS規格のACEA C4を調べていたらユニオパールにこんな記載がありました。

「硫黄分がエンジン内部で硫酸化し酸化劣化の原因になると言われていますが、ACEA C4オイルは硫黄分が少ないためC2/C3と比較して酸化速度が1/6になるそうです。」

0.8%が0.6%になるだけで酸化速度が1/6?ホントに?
酸価が低いのかちゃんと調べて無かったですが、この話が正しいならLow-SAPSオイルは酸価もかなり低いはずなので塩基価がさほど高く無くてもいいってことですよね。
酸価についても後で調べてみます。
奥が深いなぁ…



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ブログ一覧 | オイル | 日記
Posted at 2024/04/23 12:23:54

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この記事へのコメント

2024年4月23日 15:20
いやぁ勉強させてもらってますw
〇コーズのセールス氏から聞いて当初からコモンレール初期のDL-1指定車にDH-2使ってます。インジェクターのトラブル(初期は多かったらしい)はあったけど触媒はノントラブル。
その他にも建機系や運送系などのコストとライフをギリギリまで攻めた油の使い方を聞くのが楽しいです。
コメントへの返答
2024年4月23日 17:44
DL-1の方がエンジンの保護性能が落ちるのでDH-2を勧めたのだと思います。
DL-1よりはマシですがDH-2も規格がボロボロなので中々難しいですね。

DH-2は次回書きます。
企業の良心に委ねられる規格ですw

プロフィール

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何シテル?   04/27 20:42
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