
ビリヤードのJapan Open2012を観戦してきました。
今年こそ、日本人プレイヤーの優勝を観たいものです。
と言うのも、もう久しく日本人プレイヤーの優勝がないのです。
今年で25回を迎えるジャパンオープンですが、2000年辺りからの結果を紐解いてみると...
2000年 優勝:川端 聡 準優勝:J.Archer 3位タイ:高橋 邦彦/利川 秋雲
2001年 優勝:逸野 暢晃 準優勝:趙 豊邦 3位タイ:所 勘治/奥村 健
2002年 優勝:F.Bustamante 準優勝:R.Souquet 3位タイ:E.Reyes/逸崎 康成
2003年 優勝:西嶋 大策 準優勝:R.Gallego 3位タイ:E.Reyes/朴 信映
2004年 優勝:夏 揮凱 準優勝:R.Luat 3位タイ:山本 久司/A.Lining
2005年 優勝:E.Reyes 準優勝:R.Luat 3位タイ:高浪 秀信/田中 雅明
2006年 優勝:A.Lining 準優勝:D.Razalan 3位タイ:山内 和彦/川端 聡
2007年 優勝:A.Pagulayan 準優勝:羅 立文 3位タイ:A.Lining/郭 柏成
2008年 優勝:D.Orcollo 準優勝:青木 亮二 3位タイ:照屋 勝司/R.Alcano
2009年 優勝:R.Gallego 準優勝:羅 立文 3位タイ:田中 雅明/A.Pagulayan
2010年 優勝F.Bustamante 準優勝:E.Reyes 3位タイ:J.De Luna/栗林 達
2011年 優勝:張 榮麟 準優勝:E.Reyes 3位タイ:川端 聡/神箸 久貴
※羅 立文選手は台湾国籍のJPBA所属選手
2003年に西嶋大策(当時アマ)選手が優勝して以来、日本人選手は優勝から遠ざかっているのです。
是が非でも、日本人選手には決勝にコマを進めて欲しい。そう言う思いが会場中を包んでいました。
この日、決勝ラウンドのBest16の対戦は、
津堅翔 - 川本比呂志
銘苅朝樹 - R.ガレゴ
大井直幸 - J.メゾン
川端聡 - 岡正武
藤本共史 - L・V.コルテッザ
R.エスキリオ - W.キアムコ
羅立文 - C.ビアド
喜島安広(アマ) - A.リニング
カタカナの名前は、全部フィリピン。
ほとんど、日本フィリピン対抗戦。(笑)
出来る限り、日本人選手の残って欲しかったが、羅選手はゲームボールでまさかのミス!
そこから捲くられ敗退。
藤本選手もビハインドからヒルヒル(フルセット)まで追いすがったが、及ばず。
大井選手も銘苅選手も敗退してしまい、Best8へ進んだのは、川端選手と、津堅選手となった。
続くBest8。
津堅翔 - R.ガレゴ
J.メゾン - 川端聡
L・V.コルテッザ - W.キアムコ
C.ビアド - A.リニング
J.メゾン選手との対戦となった川端選手は、危なげなくゲームを支配し、8-1で勝利。
津堅選手は、序盤リードされつつ、めぐってきたチャンスでイイ球を撞いていたが、
痛恨の球触りを犯してしまう。そこからガレゴ選手は隙のないプレーで津堅選手を下した。
津堅選手のプレーはかなりイイ感じで、決勝まで行けそうな雰囲気だったので、
自身のミスで負けてしまい、残念でならなかった。
準決勝
R・ガレゴ 5 - W 川端聡
W・キアムコ W - 5 C・ビアド
Best16、Best8と先行されながら、捲くり勝ちでコマを進めてきたC.ピアド選手。
捲くり捲くりで来ていた分、楽しみな存在だったが、ここで潰えてしまった。
決勝は、川端聡選手とW・キアムコ選手の対決となった。
日本人選手の決勝進出は、2009年の羅立文選手、純粋な日本人選手となると、
その前年の2008年、青木亮二選手以来となる。
こうなると、高まるのは川端選手の優勝への期待。
もう会場中が、その雰囲気になっていた。
海外の試合などを見ていると、ホーム、アウェイの差は激しく、ブーイングまで出たりするが、
日本ではみな平等に見て、いいプレーには外国人選手でも日本人選手でも関係なく
拍手が起きたりする。
日本で行われるビリヤードの試合は、そう言うもの。
しかし、この日は少々雰囲気が違った。
ブーイングこそ出ないけど、川端選手へ送られる拍手の音量が凄かった。
それだけ、川端選手の勝利に期待が高まったのだ。
バンキングの結果、ブレイク権はキアムコ選手。
そこからキアムコ選手が2ゲームを連取する。
3ゲーム目を川端選手が取り、4ゲーム目のブレイク。
「川端選手、がんばって~」
シーンをしている会場内に、黄色い声援が飛び出した。
川端選手は笑顔で応えブレイクしたが、スクラッチ。
そこから、キアムコ選手が走り、スコアはキアムコ 6-2 川端まで広がってしまう。
やはり、今年も...と川端選手の粘りの追い上げが始まる。
ブレイクがうまく決まらなかったのがツライ所だったが、それでも粘りに粘って、6-6まで追いついた。
こうなると、川端選手の勝利への期待がさらに高まる。
キアムコ選手に贈られる拍手よりも、川端選手へ贈られる拍手が、段違いに大きいのだ。
あれには、キアムコ選手もアウェイ感を感じたと思う。
キアムコ選手には申し訳ないけど、やっぱり川端選手に勝って欲しかったのだ。
6-6で迎えた、13ゲーム目のブレイクは川端選手。
しかし、どう言う訳か、どうしてもブレイクが決まらない。
キアムコへ手番が回ると、会場中がため息だ。
しかし、キアムコ選手、ここでやらかしてしまう。
7点目を決めるなんでもない配置の10番をミス!
さすがに、コレには会場中、Ustreamでも中継されていたので、全世界が驚いた。
フリーボールを得た川端選手が難なく沈めて優勝へリーチをかけた。
優勝へあと1歩まで来た14ゲーム目。ブレイクはもちろん川端選手。
1番に勢い良く当たった手玉は、完璧に台上に落ち着くが、
走っている先球に蹴られに蹴られ、ポケットに...
14ゲームはキアムコ選手が取り、ヒルヒル(フルセット)に...
獲った者勝ちとなる15ゲーム目。
キアムコのブレイクが決まったが、取り出しのボールは遠い。
キアムコは、このボールをセーフティ。
ばっちり決まって、難しい配置に。
熟考に熟考を重ねた川端選手、空クッションから当てに行ったが、ファールとなってしまう。
そこからのキアムコ選手は、残ったボールを危なげなく取り、ゲームボールの10番。
さっきのミスが思い出される、似た配置だったが、今度はしっかりと沈めて、優勝を決めた。
一方、女子。
去年の決勝でスルリとやってきた優勝のチャンスを逃して準優勝に終わった河原千尋選手と、
女王梶谷景美選手の対戦となった。
今年こそと言う意気込みで優勝を狙う河原選手。
序盤はゲームを支配して先行していく。
しかし、相手は女王梶谷選手。
梶谷選手は、過去10年、日本ランキングで3位より下に落ちたことがないと言う、まさに女王。
梶谷1-2河原から梶谷3-5河原と、追われながらも逃げる河原選手だったが、
女王の追い上げが始まり、梶谷5-5河原と並ばれる。
しかし、河原も抜かれまいと梶谷5-6河原、梶谷6-7河原と逃げる。
迎えた14ゲーム目は梶谷選手が取り、こちらもヒルヒル!
獲った者勝ちとなる15ゲーム目のブレイクは梶谷選手。
パワーのある完璧なブレイクを決めて、残った配置を淡々と落としていく。
ゲームボールの9番。
手玉が遠くなり、メカニカルブリッジでのショット。
ゲームボールがメカニカルブリッジって、凄くイヤな感じなんだけれども、
梶谷選手は慎重に9番をシュート。
2001年以来となる、自身5度目のジャパンオープンの優勝を決めた。
Best16から非常に熱い戦いが行われ、本当に素晴らしいゲームの数々でした。
今年は欧米の選手の出場がなく、少々寂しい感もあったが、決勝日まであがってくる選手はみな一流。
(ここに上がって来れなかったトッププレイヤーもたっくさんいますが、ビリヤードとはそう言うもの。
コンディションや運不運も含めてかみ合った選手が決勝日に残ってくるのです。)
その選手同士がぶつかり合うプレーは、どれだけ見ても楽しめる。
本当に素晴らしいゲーム、プレーをありがとう!と、選手全員に伝えたい気持ちだ。