
ウケが良くなくてもシリーズ化しよう(笑)。
知っているようで良く判らないこと。なんとなく常識?と思っているけど理由が知られていないこと。かつては常識だったけど、今では迷信となっていること(笑)。気が向いたらときどき書こうと思います(^_^;)。
初回は「慣らし運転」について。新型アテンザのオーナーさんたちの参考になれば幸い(笑)。
諸説ある自動車の慣らし運転。かつて生産技術が未熟であった時代、これをやらないとエンジンが本来持つ性能が出ないとか、寿命が縮むとか、様々に言われました。一方、現代の最新の生産技術、品質管理によれば、もう不要なんじゃないの?という話もあります。
しかしオーナーからすれば、折角買った大事な愛車、是非ともカタログスペック通りの性能を出して欲しい、高い性能を長く維持したい。「慣らしは不要」などと言われても、万一なんらか問題が生じた際に「やっぱり慣らし運転をしておけば良かった」と後悔はしたくない。まぁ人情でしょうね。
慣らし運転について比較的良く聞く方法は以下のようなものでしょうか。
「3000rpm以下で1,000km」や、「徐々に回転数を上げながら3,000kmとか5,000km」とか。
ウィキペディアで「慣らし運転」を調べるとこれまた諸説が記されており、ハッキリ言って「これが正解」というものは世の中に存在しません。よってオーナーが何を信じ、どうするか?ある意味、自己責任に置いて決断し、実行しなければなりません。
以下にボクが行っている慣らし運転の方法と、なぜそうしているかを紹介します。信じてまねるのも良し、他の方法と組み合わせて独自の手法を編み出すも良し、全く無視するも良しです。ご参考になれば幸甚。恐らくはこの世に存在する慣らし運転の方法においては「正解のひとつ」とは言えると自負しているので、ボクは愛車の慣らしをこの方法で行っています。
先ず、基本的な考え方は「徐々に回転数を上げてやる」ことです。その根拠はこうです。
慣らしはエンジン内の部品同士、軸と軸受けとか、シリンダーとピストンとか、金属同士が擦れ合う部分を馴染ませる、もっと言えば「磨いてあげる」ことだと捉えます。回転数を徐々に上げてやるということは、この磨く行為を「最初はゆっくり」そして「徐々に速く」ということ。最初にゆっくり擦ってあげることで、接触面はある程度、滑らかになるハズ。その磨き速度で十部滑らかになったら、磨くスピードを少し速め、更に磨く。そしてまた速度を上げる。段階的に仕上げていくイメージです。
こう書くと、多くの人に「なるほど」と納得感があると思いますが、最新のエンジンの加工精度を考えると、そもそもそんなことが必要なのか?とか、エンジンの耐久性は軽く10万キロ以上ある中で、たかだか1000kmの運転で「どんだけ磨けるのか?」など、それこそ最初の話に戻って神学論争になってしまいますから、そもそも慣らし運転に懐疑的な人はこの辺で読むのを止めましょう(笑)。
で、具体的には?ですが、最初は十分に低回転でじっくり慣らしてやってから、段階的に回転数を上げていく。最終的には最高出力の発生回転数の60~70%くらいまでで慣らしてやります。
ただ、、、これだけ読むと特に目新しいものではありませんね。特徴的だと自分でも思うのは以下の通りです。
段階的に回転数を上げていきますが、その上げた回転数を維持して走ります。それも一定距離(=時間)。どういうことかというと、
例えば先ず、2000rpmまでで100km走ります。
次に2500rpmに上げますが、この回転数をキープして100km走ります。その次は3000rpmをキープして100km。3500rpmで100km。4000rpmで100km。という具合です。
一般道で回転数を維持して走るのは無理なので、高速道路を使います。東京はこの点、首都高速の環状線が都合良く使えるのが助かります。
当然、回転数が上がれば速度も上がります。したがい全ての回転数でトップギヤを使えば速度超過は免れませんのでそれは出来ません。よって回転数を上げる場合には必然的に低いギヤを使うことになります。
アクセラSKYACTIVの場合、3000rpmでは4速を使いました。速度は90km/h弱。4000rpmになると3速で速度は80km/hちょっとになります。それぞれ100km走るので、時間にして1時間6分とか1時間15分とか掛かることになります。
で、この方法で500km走って基本的な慣らしは終わりです。後は通常使用で残り500kmを走ってディーラーに1000キロ点検に出します。
ただ、今の愛車のアクセラSKYACTIVの場合、上記の通りには出来なくて、若干の修正をして行いました。理由は主にアクセラのギヤ比に起因するのですが、具体的な方法は最後に記載します。
一般に「回転数を徐々に上げる」という慣らしの仕方を聞いていると、M/Tの場合は2000rpmでシフトアップという方法が考えられますが、A/Tの場合はクルマが勝手にシフトチェンジをしますので、アクセルの踏み加減で調整するしかなくなります。マニュアルモードがあればそれを活用できますが。
さてこのXXXX回転シフトアップですが、ボクの考える慣らし運転では全く有効でないことが判り早々に止めることにしました。
目標回転でシフトアップしていくときクルマは当然、加速していくワケですが、では一定速度で巡航するとき、貴方は何回転でエンジンを回しているでしょう?
ボクのアクセラSKYACTIVの場合、50km/hで巡航しているときA/Tのギヤは5速で回転数は1200rpmです。60km/hならギヤは6速で1200rpmです。最初の100kmは2000rpm以下で慣らしたいボクですが、一般道を普通にA/Tのオートモードで巡航している場合、エンジンは2000rpm回ってくれません(苦笑)。
2000rpmでシフトアップする場合、その回転数に届くのは加速場面だけです。
仮に100kmの一般道に2km毎に信号があり必ず停車するとしても、加速回数は50回です。
燃費に良いと言われる「ふんわりスタート」(eスタートとも言われる)が5秒で20km/hまでの加速と言われますが、これで60km/hまで加速したとすると、所要時間は15秒。この間に6速まで5回シフトアップしますが、例えばアクセラの場合だと4速2000rpmで60km/hに達してしまいますので、実際2000rpmまで回る機会は1->2速、2->3速、3->4速の3回と4速60km/hの1回。2000rpmに達したら直ぐシフトアップしてしまいますので、2000rpmで回転するのは一瞬です。仮に各ギヤ2000rpmで1秒回ったとしても、次の信号待ちまでの2kmの間でたったの4秒、平均時速60kmで2kmを走ると120秒(2分)掛かります。3000rpmにしても結果は同様です。これで
100km走ったとすると1時間40分以上掛かるわけですが、この間、4秒×50回=
3分20秒しか2000rpmではエンジンは回っていないことになります。
もうお解かりですね?
回転数に縛りを入れて「XXXXrpmでシフトアップ」という運転の仕方は、実質的にその回転数で慣らしている時間や距離は、ほとんど無いに等しいのです。ボクがわざわざ低いギヤを使い、目標回転数を維持する理由はこれです。
もし興味があれば、ギヤを固定して3000rpmとか4000rpmに回転数を上げて5分とかまとまった時間、クルマを走らせてみて下さい。普段、その回転域を如何に使っていないか?が良く判ると思います。
以上のことから今回紹介する慣らし運転の方法に行き着いたワケですが、アクセラSKYACTIVでは結局、以下のような慣らし運転をしました。
オートモードで2500rpm以下シフトアップを目安に一般道を100km
オートモードで高速道路を100km
マニュアルモードで3000rpmシフトアップ、2000rpmシフトダウンで2500rpm維持を目標に120km
マニュアルモードで4000rpmシフトアップ、2500rpmシフトダウンで3000rpm以上を維持して130km
マニュアルモードで4000rpmを維持して巡航50km
ここまでで大体500km。その後は特に回転数は意識せず500kmをオートモードで走らせて1000km点検に出すつもりが、名古屋往復の日帰りドライブで900km以上走ってしまったため、結局1500km弱での点検となりました。日帰りドライブの高速では100km、2000rpm前後の巡航が中心。一般道では2500rpmから3000rpmでのシフトアップという感じでしたね。
アクセラでなぜこうしたかというと、先ずオートモードで2000rpmシフトアップが実用上難しかったこと。交通環境に合わせて発進加速すると大体、2200rpmくらい回ることが多いため、走り始めて早々に軌道修正しました。100kmから2000rpmキープで200kmまで走ろうとしましたが、夜間の首都高でこれが意外に難しく、作戦を変更してオートモードに切り替えて100kmを走らざるを得ませんでした。この教訓から次の100kmは2000~3000rpmに回転数を縛ることとし、次は2500~4000rpmに上げることにしました。しかしこれだと400kmとなって距離が足りず、両区間の距離を少し伸ばして450kmまで走り、残りの50kmを4000rpm維持に努めて仕上げた、という感じでした。
SKYACTIV-Driveはギヤの切り方が(ボク的には)特殊で、パワーバンドやトルクバンドを維持するようなスポーツドライブ的な運転には向かないと、このとき感じましたが、それは余談です。
その他、慣らし運転中に意識している点を紹介します。
・とにかくいつにも増して丁寧な運転を心掛けます。
慣らし運転ではエンジンを中心に走り方を考えていますが、クルマはエンジンのみならずミッション等の駆動系や足周りなどもやはり、慣らしは必要です。そして何より、ドライバー自身も新しいクルマになれることが必要です。別に特別なことをする必要はないのですが、急と付く動作を極力避けて、新しいクルマがどんな性格なのか、じっくり対話するような感じで走ります。
・エンジンオイルは慣らしが終わるまで変えない。添加剤も入れない。
事の真偽は定かではありませんが、新車のエンジンには特別な添加剤を入れているという噂を聞いたことがあります。慣らし運転時のエンジンの馴染みを促進するもの?とかいう話ですが、ボクは正直なところ信用はしていません。しかしメーカーが指定する1ヵ月点検までは、工場出荷時のオイルに拘っています。理由は二つ。ひとつは下手にオイルを変更して不具合が発生した場合、原因の特定を困難にするため。二つ目は仮に上記の噂話が真実だった場合、その効能が最大限活用できるから。
添加剤は1000km点検後に入れますが、オイルは基本的にメーカー純正、もしくはディーラー推奨以外は入れません。
・慣らしは短期間で一気に終わらせます。
アクセラSKYACTIVでは一週間でした。インテグラRのときは3日だったかな?(笑)。
既に紹介の通りで、慣らし運転のためだけに500km走ります。これは自分でもやり過ぎというか、誰にも推奨出来る方法とは思っていませんが、自分の意図した状況で極力走らせたいと考えると、どうしてもコースや時間帯を定めて専念した方がいろいろな意味で効率が良いので、こうしています。
また、走るコースも極力路面がスムーズな一般道や荒れていない高速道路の路線を選ぶようにしています。
それから短期間で終わらせる意外なメリットは「エンジンの始動回数が少ない」ことです。エンジンは停止している間に中のオイルが徐々に下部のオイルパンに落ちてしまいます。当然始動しないとオイルは循環しないわけですが、この冷間始動時、ヘッド等はオイルの油膜のみが頼りとなる、エンジンにとっては非常に厳しい状況です。タクシー等が相当な距離を無事に走る一方、たまにしか使わない乗用車が短距離で不具合を起こす理由がこの、冷間始動時のダメージと言われる所以です。タクシーはほぼ一日、エンジン掛けっぱなしですからね。
最後に購入予定だったアテンザ。
これを買ったとしたら、以下のように慣らし運転をするつもりでした。
オートモードで2500rpm以下シフトアップを目安に一般道を100km、高速道路を100km
マニュアルモードで2500rpmシフトアップ、1500rpmシフトダウンで2000rpm維持を目標に125km
マニュアルモードで3000rpmシフトアップ、2000rpmシフトダウンで2500rpm以上を維持して125km
マニュアルモードで3000rpmを維持(4速約90km/h)して巡航50km
アテンザ・ディーゼルは最高出力発生回転数が4500rpmと低い一方でギヤ比が全体に高めですのでこんな感じかなー?と思っていました。まぁ誰かの参考になれば(^_^;)。