
こんばんわ。オフミが終わるとブログがだんまりになるタッチ_です(苦笑)。
先日発売になったホンダのジェイド。一見ストリームの後継に思えるこのクルマ、実は密かに注目しています(^_^;)。
このクルマが後3年早くデビューしていたら、もしかしたらボクはマツダに乗り換えることなくホンダ車を乗り継いでいたかもしれません。というのも、インテグラRの後継車を検討していた際の一時期、ストリームへの買い替えを真剣に考えた時期があって、しかしデビューからの年数などいろいろあって「次期型が出るまで待とう」と結論付けた経緯があったんですね。
SKYACTIV-DRIVEの登場前まではトランスミッションはDCTを待望していた事から、それをホンダが出してくれた上にパワートレインはハイブリッドですから、ことスペックに関してだけなら文句の付け処がありません。一方ジェイドの「多人数乗り低全高ミニバン」というヤツの価値については、当時はちょっとだけ魅力的に感じていました。まぁタイミングが合わなかった話で、今更ジェイドに食指が動くことは無いのですが、、、
ホンダはリーマンショック以前の一時期、クルマ造りというよりエンジンをはじめとする技術開発の方向性に若干の迷いがあったやに見受けられた時代がありました。そしてリーマンショックを経て技術開発の方向性を改めて定め直すと共に、事業基盤の整備を図ります。平たく言えば、北米市場頼みの一本足打法を脱却し、世界6極(北米、南米、欧州、アジア・大洋州、 中国、日本)それぞれの自立と、それに伴う商品ラインナップの刷新を図るという話。先日交代が発表された伊東社長が敷いたこの流れに於いて、日本市場では軽自動車と小型車への注力が打ち出されていて、結果的にミドル~アッパーミドルのスポーティーセダンが欲しかったボクは、新時代のホンダにしてみれば「アンタはウチの客じゃない」と宣言されてしまったよーなもので、実際問題としてボクが欲しいと思うようなクルマは長くホンダのラインナップにはなく、結局マツダに鞍替えせざるを得なかったワケです。
とはいえ、ボク個人はそうではあったものの、ホンダの側からすれば日本市場に於いて独立採算を担保するために軽自動車、小型車の領域で盤石な基盤を構築するというのは至極真っ当な経営判断です。
ホンダはマツダとは違います。「好きな人だけが買ってくれれば良い」というスタンスは取れません。全世界で150万台強を目指すマツダに対して、600万台という目標を掲げるホンダはより多くの人にクルマを買って貰わなければなりません。一部のホンダファンが熱望し、間もなくデビューするNSXやシビックTYPE R、S660などのスポーツモデルも、Nシリーズやフィット、グレイス、ヴェゼル、海外ではシティやシビック、アコード、CR-Vなどなどがバンバン売れて、初めてラインナップが可能となるのです。稀にメディアや自動車評論家などの専門家の中にも「最近、ホンダらしいスポーティーなクルマが無くなった」とか「ミニバンメーカーに成り下がった」などと批判的な意見を言う輩が居ますが、ボクに云わせれば企業経営を解かっていないガキの論理で、全く耳を傾けるに値しない意見です。ボクもホンダには"欲しい"と思わせるスポーツモデルのラインナップが欲しいと思っていますが、であれば「先ずは軽自動車や小型車、ミニバンなど数が出るモデルで魅力的なラインナップを!」と応援するのが筋です。尖がったスポーツモデルは、それらが安泰となった先にしか存在しないんですから(^-^)。
とはいえ、2012年のホンダ中期経営計画が発表されたとき、ボクが欲しいと思うようなクルマをホンダが日本市場に投入することは暫くは無い(つまりホンダに棄てられた)ことが解り、皮肉交じりに
愚痴のひとつもブログに書いたのですが、このホンダの改革に伴う車種の整理(廃止や統廃合)で、ボクと同じように現在ホンダに乗りながら、乗り換えたいラインナップが登場せずに他社に乗り換えざるを得ないホンダユーザーがどのくらい出るのか?については憂慮していました。
と、とっても長い前置きを経て、ジェイドの話(^^;。
こいつに先立って2013年の暮れにデビューした現行オデッセイと併せて、従来のエリシオン、オデッセイ、ストリーム、ステップワゴン、フリードという多人数乗りミニバンのラインナップは今後、現行オデッセイ、ジェイド、ステップワゴン、フリードという布陣に整理されることになります。
日本の機械式駐車場に収まる低全高が特徴だった先代オデッセイが一転、背高&スライドドアの現行型に切り替わったのはエリシオンとの統合を果たしがた故ですが、一方のジェイドは先代オデッセイとストリームを統合したのだと言います。その拘りは1500mmという低全高に現れています。
ホンダによれば、この多人数乗りミニバン(乗用ミニバン)という市場は右肩下がりの縮小傾向が続いていて、その低落傾向は先代オデッセイを出した後も挽回できなかったとのこと。初代オデッセイでこの分野に革命を起こし、ストリームというラインナップ拡大まで果たしたホンダですが、昨今のマーケットはステップワゴンなど「ユーティリティ系」とトヨタのアルファード等の「上級ミニバン」という、共に居住スペースの広さに価値を求めたファミリー向けに傾倒していて、低全高のセダン感覚で転がせる旧オデッセイやストリームは、もはやニッチな商品に成り下がってしまったというのです。
往々にしてこういう場合のホンダは、マーケットの縮小に伴って車種を廃止してきました。ホンダのクルマ造りは意外に個別最適で、その革新さ故に当ればヒット作として何代か続きますが、売れなくなると意外に冷淡にモデルを廃止してしまいます。ちゃんと調べたワケではありませんが、絶版となった車種を数えたら国産メーカーではダントツに多いのではないかという気がしています。オーナーの立場からすれば、気に入って乗っている愛車が絶版になって、買い替えようと思っても類似車種がラインナップに無いというのはなんとも寂しい話ですが、そういった事を案外平気でやってきたのが、かつてのホンダでした。
で、オデッセイはモデル廃止は免れたものの、低全高をバッサリと切り捨てて背高スライドドアミニバンに生まれ変わってしまいました。先代までの(例えば駐車場の問題で)低全高が必要なオーナーは、もう新型に買い替える事は出来ません。また2014年6月に販売終了となったストリームのオーナーにも、買い替えるべき新型(選択肢)が無い状態でした。
そこにジェイドです。
これはモーターファン別冊「ジェイドのすべて」を読んで初めて知ったのですが、ホンダは明確にこの縮小マーケットにある既存客135万台をなんとかするためにこのクルマを企画したと言います。ただ既存客135万台は確かに大きな数字ではあるものの、オーナー全てが買い替えてくれる保証はありませんし、マーケット自体が縮小傾向にある点は既にのべた通りです。作ったところで採算が取れるかどうかは分りません。そこでホンダは、ジェイドを先代オデッセイやストリームのような国内専用モデルとはせず、グローバルモデルとして企画するという手段に打って出ました。実際にジェイドは2012年の北京モーターショーでConcept Sとして発表され、2013年の上海モーターショーで「中国市場をメインターゲットに開発し、中国から販売を開始」とメディアが報じていたことから、ボクはてっきり中国向けの車種を日本国内向けにアレンジした(コンパクトセダンのグレイスの手法)と思っていましたが、どっこい真実は逆で日本国内で売るために中国市場も視野に入れた企画に持ち込んだということだそうです。
そう、ホンダはそこまでして、既存の135万台に乗るホンダファンを守る道を選んだことになります(^-^)。
ホンダに棄てられたボクの立場からすると、これは悔しい(゜゜)☆\バキッ
ではなくって、、、(^^;)
ホンダがこういった指向でクルマを出すというのはボクにとってはとても嬉しい驚きで、この記事の一節を読んだだけでジェイドを見る目がガラッと変わってしまいました(笑)。確かに旧オデッセイとストリーム両方の既存客の受け皿になるというのは難しい面が色々とあって、それ故に微妙な点がいくつか散見されます。
先ず旧型オデッセイに乗っていた客に"ダウングレードする"と思わせない車格が必要な一方、ストリームの客には"車格が上がったことによる価格高騰"は避けられません。その結果として、どちらの既存客からもこぼれる人たちが現れる可能性はあります。
純粋に「6人乗りの乗用ミニバンでハイブリッド専用車」として見れば、競合はプリウスαの7人乗りくらいなので価格はけっして高くは無く、むしろプリウスαより若干安めです。とはいっても旧ストリームの1.7L、1.8Lモデルのオーナーからすれば車両価格は100万円近く高い訳ですから、ハードルが高い事には違いありません。
サードシートの居住性はかなりよろしくないようで、そこだけに着目すると旧オデッセイ・オーナーには躊躇する人もいるかもしれません。実際にサードシートの利用頻度はホンダのリサーチでも非常に低いことが解っていたが故の割り切り(逆にそこの居住性が重要な顧客はステップワゴンに流れている)ですが、人間ってヤツは現状に対して「レベルを落とす」事には意外な抵抗感を覚えるものです。
こんな具合に旧オデッセイ、ストリーム・オーナーが愛車と比較すると気になる点は色々とあると思われますが、縮小傾向のマーケットに改めて打って出るホンダが掲げた「ミニバンとセダンやステーションワゴンの良さを融合させた新しいジャンル」というクロスオーバーコンセプトがどう評価されるか?
個人的にはジェイドのスタイリングには非常に好感を持っています。やっぱりホンダは、車高を低くデザインしたクルマはカッコイイ(笑)。
実車は見ていませんが、全長を多少詰めれば「新型のシビック5ドアハッチバックです」と言っても通りそうなスタイリッシュな外観は、とても6人乗りとは思えませんし、特徴となるVスライドを目いっぱい使った2列目にリムジン空間を持っているとも見えません。
ドライビングポジションをはじめとした運転感覚はセダンのソレを目指し、インテリアには上質な仕上げにかなり気を使ったようですし、乗り味も複数のメディアが一様に上質と評価しています。この「パッと見、そうは見えないけれども実は、、、」というのはホンダらしい(笑)。
パワートレインの1.5L i-DCDはメディアの試乗記によれば力不足は無いようです。ヴェゼルより更に200kg近く重たい車重から「ホンマかいな!?」と思わないでもないのですが、追って新型ステップワゴンにも搭載される1.5L VTECターボの搭載もあるようです。これの価格がハイブリッドより低めに設定されるようなら、多少はストリーム・オーナーにも買い易いラインナップが追加になるかもしれません。
ちなみにこの1.5Lターボの最大トルクが260Nmと「2.4Lガソリンエンジン並み」って説明されていますが、どこかで聞いたことのあるフレーズですね(苦笑)。
ってな具合で、縮小傾向が鮮明なマーケットに敢えて戦略的に投入されたジェイド。ホンダが「見捨てなかった顧客」にどれだけ響くか注目しています(^_^;)。
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2015/03/13 17:43:37