
東京モーターショー2015の雑感にカコつけてのお題です。
実はTMS2015には足を運んだものの、各社のブースは元より主要サプライヤーのブースもほとんど見なかったボク(^^;)。
というワケで書けるネタも非常に限られるのですが、書かねばならんだろうというのがこのお題。
ボクの予想に反して、RX-VISIONはSKYACTIV-Rという次世代ロータリーの搭載と併せて、マツダが「将来実現したい夢のクルマ」と表明されました。
この決意表明には拍手を送りたいと強く思ってはいるものの、RX-VISIONのスタイリングを見た直後のボクの心情は、実は極めて複雑(^^;)。
純粋にこのデザインが魂動デザインの将来を暗示するという点には異論無く、またRX-VISION自身も極めて美しいデザインで、前田デザイン本部長率いるマツダ・デザイン陣の今回の仕事ぶりにも全く文句の付け処は無いのですが、これがロータリー搭載車の将来像と言われてしまうと、そうは単純かつ無邪気に喜べない(苦笑)。
SKYACTIV-Rの開発成功を願って止まないボクではありますが、マツダ自身も認めている通りコレが環境性能でレシプロエンジンに並ぶ・或いは凌駕することは極めて困難です。口の悪い言い方をすれば「世間から後ろ指を指されない程度」まで持っていくのが精一杯という話。
そんなロータリーエンジンを、新しいスポーツカーはどうして搭載(採用)するのか?
この命題に対する論理的な回答がつまり、RX存続の拠り所になるとボクは考えているんです。
コレはFLAT6さんなら全面的に賛同頂けるハナシでしょう(^^;)
それはかつて初代RX-7(SA22)が誕生した際に見出され、そしてRX-8でも検討されたコンセプト。
環境性能で劣るロータリーの、レシプロに対する優位性はそのコンパクトさにあり、ロータリー搭載車はその優位性を最大限に活かすことによって存在意義が見出せる、という話ですね。
ロータリーの優位性をスポーツカーの性能面に於いてはフロントミドシップによる良好な重量バランスとヨー慣性モーメントの低減に活かし、更にはクルマ自体のパッケージングに活かしつつ、同等出力を得られるレシプロエンジンでは絶対に実現できないスタイル(デザイン)を与えることによって、初めてそのクルマはロータリー搭載の合理性
(ロータリーエンジン無くしてこのクルマは創れない)を獲得します。
逆に言えば、同じようなデザイン、パッケージング、パフォーマンスのクルマがレシプロエンジンで実現出来てしまったら、もうそこにロータリーエンジン採用の必然性は無いワケで、それはイコール、ロータリーエンジンが存続する理由も失われることになります。
この心配があるが故に、ボク
(と恐らくFLAT6さん)はRX-VISIONのスタイリングを手放しで喜べんのです(^_^;)。
なにしろ以上で述べた要件は、最新マツダの魂動デザインと極めて相性が悪い(苦笑)。
TMS2015開幕前にボクはロータリーに関して2本ほどブログを書きましたが、その後書かなかった3本目の話題が正にコレで、SKYACTIV-Rの開発が上手い事いったとしても、搭載される新しいRXが一体どんなクルマになるのか?特にそのデザイン(スタイリング)をどうするのか?否、どんなスタイリングにすべきか?について、自分の中で答えが出てなかったために書けなかったんですね(^^;)。
ちょっと時間を巻き戻して、RX-VISIONを見なかったフリwをしてボクが抱えていた懸念をツラツラと書いてみます。
新しいRXもマツダ車である以上、そのスタイリングは魂動デザインであるべきです。
ところが魂動デザインの基本的なスタイリングは、ロングノーズ・スモールキャビンのまるでFR車のようなプロポーションです。これは前田デザイン本部長がその原型(御神体かw)であるシナリで示したものですが、その意図するところは生命感の表現。命を持たない鉄の塊が「あたかも命を宿した生命体のように見える」ために編み出したデザイン手法です。
しかもコレが偶然か意図的か判りませんが、SKYACTIV技術とシッカリ結び付いています(^^;)。
魂動以前のマツダ車をはじめ、多くの他社FF車との大きな違いであり今のマツダ車の特徴なのが、フロントアクスルを前に出し、Aピラーを後ろに引いたFRのようなプロポーションなのはご承知の通りですが、これがSKYACTIV-Gの特徴であると同時に非常に嵩張るw4-2-1排気系をボンネットに収めるとことを可能とすると同時に、フロントタイヤが前に出ることによってドライバーに正対するペダルレイアウトを可能にするなど、第6世代商品群の肝となる特徴の成立と、見事に整合しています。
そう、ただ単に「FRのようにカッコよく見せる」ためだけのデザインじゃないんですね(^.^)b。
しかも魂動のデザインコンセプトが「クルマに命を宿す」ですから実に巧妙というか秀悦な話です。
生命の姿とは、与えられた環境(命題)を生き抜くために最適な形に進化(変化)して現在に至ります。
至極当り前の事実ですが、今のマツダ車のスタイリングは、純レシプロエンジンで環境性能と走る歓びを両立させるという命題に対してSKYACTIV技術を得て、あたかも自然とそういう姿形に変化(進化)した、といえるようなストーリー性があるんです。そう、まるで生き物が進化したのように。。。(^.^)b
最新マツダ車の魅力は「SKYACTIV技術」と「魂動デザイン」であると言われますが、実はこの二つは切っても切れない関係にあって、二つセットで今の第六世代マツダ車の魅力を形成しているんですね(^.^)b。
と・こ・ろ・が、、、d(^.^;)
小さなロータリーエンジンをフロントに収めるために長いボンネットは必要ありません。多くのハイパワーレシプロエンジンをフロントに搭載しようとすれば、自ずとボンネットは長くならざるを得ずミッドシップリア駆動のスポーツカーのようなスタイリングには絶対に出来ません。
しかしロータリーエンジンのコンパクトさがあれば、フロントミッドにエンジンを搭載しつつフロントノーズを短く・低く出来ます。同時にミッドシップリア駆動のようにドライバーの背後にエンジンを積むワケではありませんから、+2のシートやトランクなどのユーティリティスペースの確保が可能です。
以上のような「リア・ミドシップスポーツカーのようなスタイリングをフロントエンジン・リアドライブで可能とする」ことが、コンパクトなロータリーを活かしレシプロエンジンでは絶対に真似できないパッケージングとスタイリングで、実際にマツダもかつてRX-01というコンセプトカーをこのロジックで創ってはいるのですが、、、、
ところがこのスタイリング、魂動デザインの文法とは対極なんですょ。。。<(^_^;)>ウーン
という感じで、ロータリーのコンパクトネスを活かすFRパッケージングと魂動デザインが相容れないというこの難題にボク自身なりの解が見出せなかったが故に、RX復活がイメージ出来なかったり、マツダがどうしようとしているのか予想が出来なかったりしたワケです。
なので実際に現れたRX-VISIONの姿に、少なからず驚きと戸惑いがあったのは当然です(^_^;)。
どうやら前田デザイン本部長は、ボクのようなロータリーヲタが懸念する以上のような話を百も承知で敢えてこのデザインを作ったようです。
参考:
【東京モーターショー15】「引き算のデザインに命を宿す」…マツダ 前田デザイン本部長 インタビュー(response.jp)
参考:
【東京モーターショー15】「次世代に向けて覚悟を決めた」…マツダ 前田デザイン本部長インタビュー(response.jp)
ボクが待望しつつも、しかし絶対に出ないと半ば諦めている3ローター以上のNAロータリーエンジンですが、その理由は既に述べた通りで、エンジン長が長い3ローター以上となると、もはや唯一かもしれないレシプロエンジンに対するコンパクトネスというメリットを捨ててしまうことになるからなんです。3ローターで2ローターの1.5倍の出力を得る代償として、レシプロの直四より全長が長くなってしまっては、もうメリットはエンジンの全高が低いくらいしか無くなってしまいます。
しかしRX-VISIONの長いノーズは、3ローターどころか4ローターエンジンすら余裕で飲み込みそうな勢い(^^;)。
という具合で、前田デザイン本部長率いるマツダ・デザイン陣は再びボクの予想を超える
凄いデザインをRX-VISIONに与えたワケです。それはまるで「RXのデザイン、かくあるべし」という
既成概念をSKYACTIV技術よろしく
ブレイクスルーしたかのよう(苦笑)。
その効果は如何に?と言えば、もし数年後にこのスタイリングの延長線上でRXがデビューしたら、果たしてボクは欲しいと思うか?
欲しいです(苦笑)。
何も考えずに目を瞑ってハンコをついちゃうくらい欲しいです(^_^;)。
ロータリーエンジン採用の合理性?それがどうした?(爆)
ってな具合に「次期RXのデザインってコレでホントにイイのかよ?」というボクの頭の中の既成概念はRX-VISIONのデザインによって、木端微塵に破壊されてしまいました。
これを見て下さい。

言うまでも無くRX-VISIONのサイドビューですが、続いてこちら。

メルセデスのAMG GTです。これはV8エンジンをフロントに搭載するFRスポーツカーですが、
ご覧の通りでV8のレシプロエンジンであってもこのように似たプロポーションのクルマはデザインできてしまいます。しかし、、、
だからナニ?何か問題でも?(爆)
RX-VISIONはハリボテのデザインコンセプトですから、市販されているAMG GTと比較するのは不公平ってもんですが、それでもこの
カッコ良ければ全てが許されるって勢いのRX-VISIONの
破壊力には、いやはや参りましたm(_"_)m
ということで、SKYACTIV Gen2に続いて楽しみが増えましたとさ(^-^;)。