
少し前になりますが、マツダが
C/Dセグメントの車種を後輪駆動にすることを検討しているという報道がメディアに流れました。
ちなみにこの報道を受けて実に多くの人が「次期アテンザがFR化」と書いていたんですが、もし本当にマツダがそれをやるとしても、FR化されるアテンザは次期型(第7世代)ではなく
次々期型(第8世代)からだと思いますょ(^^;)。
これが本当に実現するか?その方が本当に良いと言えるのか?色々と思ったことがあるのでツラツラ書いてみます。
このC/Dセグメント以上の車種を後輪駆動にすること、これのハードルは主にメーカーであるマツダ側にあります。単にクルマ(プロトタイプ)を開発するだけならどこのメーカーだって可能でしょうが、現状FF専業とも云える生産体制を敷いているメーカーが新たにFR車を量産するとなれば、その設備投資は
普通なら膨大なモノとなる筈です。その資金がそもそも賄えるか?という、マーケティングでも技術力でもなんでもない、先ずは会社の懐具合がどうなのか?というのが最初にして最大のハードルです。
ところがマツダは例の「モノ造り革新」の取り組みによって、このハードルをブレイクスルー出来ちゃう公算があるようです(^o^;)。実際に後輪駆動のロードスターを量産している実態もありますし、今の工場でFF/FRの混流生産が可能となれば、設備投資に必要な資金というハードルは非常に低くなります。
では、マツダが自社のC/Dセグメント車種をFR化するメリットが本当にあるのか?という点。
ちなみに該当車種はSKYACTIV-BODYのカバー範囲から考えるとアクセラ、CX-5、アテンザ、CX-9ですが、これらにもしかしたら今仕込中wのプレマシー、そしてKOERUの市販版も加わることになります。
極めて単純に○×を付けるとすると
アテンザ:◎
CX-9:○
CX-5:△
KOERU市販車:△
アクセラ:×
プレマシー:×
という感じでしょうか。こうして眺めると結構、微妙ですね(^_^;)。
今まで通りC/Dセグメント向けSKYACTIV-BODYを
一本化する前提でFR化を図るとすると意外に微妙で、FF用・FR用と二種類用意出来るならデメリットは無くなりますが、当然お金は掛かります(^_^;)。マツダの台所事情はボクにはわからないので何とも言えませんが、じゃぁ個別の車種がそれぞれFR化して何が嬉しいのか嬉しくないのか?これを十分に吟味しなければ、FR化一本なのか?FF・FR二本立てが良いのか?あとは掛かるお金のバランス(費用対効果)を見ないと判断が出来ません(^^;)。
アテンザ:◎
これはもうメリットしかありませんね(笑)。
以前ブログで少し触れましたが、アテンザが属するDセグメントではジャガーやアルファロメオがそうした通りで、このセグメントで戦うためには「後輪駆動であること」が、もはや参加資格であるかのようです(^^;)。
CX-9:○
もう直ぐ新型が出る、、、というかまだ出てないCX-9ですが、これの次期型(苦笑)がFRベースになるのは、まぁOKでしょうね。新型がFF/AWDなのかAWDオンリーなのかはまだハッキリしませんが、FRベースとすれば二駆/四駆のラインナップが可能でしょうし、このサイズのクルマならキャビンスペースにも問題無く、むしろメリットがあるかもしれません。ただ、FFベースのAWDが作れる以上、FRベースにせねばならない、ということはありませんが(^^;)。
CX-5:△
KOERU市販車:△
この2車種は微妙です。云わば「ベースシャシーをFR化しても良い/しなくても良い」という感じ(苦笑)。
CX-5は現状FF/AWDというラインナップですが、これがFR/AWDに変わると思えばメリットがあるようにも見えます(というか思いたいですw)が、この手のSUVの2輪駆動の駆動輪が前か後ろか?に関してメリットかデメリットかは意外に微妙。四輪駆動になればもう、FFベースだろうがFRベースだろうが「どっちでもイイ」でしょうし(^^;)。
アクセラ:×
Cセグメントでは唯一BMWが後輪駆動を市販していますが、そのBMWも2シリーズではFF化していますし次期1シリーズもFF化する可能性は極めて高い。駆け抜ける喜びのBMWですらFF化を画策する中で、次々期アクセラをFR化するとなれば「正気か?w」と云われかねません(苦笑)。現実問題としてCセグメントの大半がFFベースである点と、唯一のFRであるBMW 1シリーズが必ずしも大人気というワケでは無い以上、アクセラをFR化することのメリットは薄いと言わざるを得ません。
プレマシー:×
これをFR化したら恐らくデメリットの方が遥かに大きいでしょうね(苦笑)。
そもそも多人数乗りミニバンというこのカテゴリーが本来的にユーティリティ重視で、走りの質感などが売りになり難いワケですから。
以上のように並べてみると、マツダがFR車に回帰するのはアテンザ、CXー9、CX-5、KOERUの市販版の次期型wの四車種。アクセラをまぁどちらでも良いと仮にしたとしても、プレマシーをFRシャシーベースにするのはあまり上手くなく、となると
・C/Dセグメント向けFRシャシー
・Cセグメント向けFFシャシー
の二本立てがよろしいように、ボクには見えます。
それでは改めてFR化を推進した場合のマツダのメリットは?に着目すると、これはもうロードスターを代表とする人馬一体の乗り味なワケですが、現在FFベースでもそれを実現している中で、FR化することによって何が嬉しいのか?これはもう「更なるレベルアップ(質感の向上)」以外には無いワケですが、これに掛かる費用と効果をどう見るか?は、なかなか悩ましいですね(^_^;)。
一方でこんなのもあります。
このRX-VISIONはハリボテwですが、2020年頃を目途にマツダは
市販化したいと思っています。
これは流石にFRシャシーとなるでしょうが、これ単独で採算に乗せるのはかなり厳しいハズ。一方でNDロードスターのシャシーを流用するのはクラスが違うのであまり上手い考えとは言い難い気がします。
しかしRX-VISIONは出したい!
となれば、コレとアテンザなどの他車種をなんらかの形で"抱き合わせ"られれば開発効率も上がる筈。
どーせ作るFR版SKYACTIVボディ&シャシーなんだからさ!と思い切れば、ベースとなるボディやシャシーを共用(流用)できるラインナップは何なんだ?という逆方向からの視点が生まれます。
そうするとFR化のメリットが薄いと思われるのがアクセラと言うのは実に好都合で、マツダのラインナップ中の最量販車ですからFF版SKYACTIVボディ&シャシーの採算計画は比較的立てやすい。
後はCX-5とKOERU市販版の次期型をFF/FRのどちらに寄せるか?ですが、仮にKOERU市販版(CX-4?)をFFベース、CX-5をFRベースと分けてしまえば一見同じように見える両車の差別化が鮮明になる上、FF/FR双方の採算計画は更に立てやすくなって、C/Dセグメント向けにFR版、FF版という二種類を持つこともなんとなく「出来そうじゃない?」という気がしてきます(笑)。
最後にこんなメリットも。
ボクは以前、この駆動輪が「前か後ろか?」という議論に関連して二本ほどブログを書いています。
FF専業メーカーが超えなければならない壁
なんでFFじゃダメなのか?
もし第8世代以降のアテンザがFRに回帰してくれたら、こんなつまらない議論をする必要がそもそも無くなる(爆)、というのは意外なメリットかな?と思います。
さてどーなるでしょうね?(^_^;)
恐らく第7世代のアテンザが登場するのが2017年前後とすると、第8世代は2022年です。
ボクが還暦を迎える2年前という事になるんですが、楽しみに待ちたいと思います。
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マツダ | 日記
Posted at
2015/12/10 20:38:46