
ボクはトヨタが嫌いです(爆)。
タイトルに釣られてこのブログを開いた人にはなんともアレな書き出しですが(^_^;)、、、
試しに"トヨタ"というキーワードでボクのブログ内を検索して貰うと判りますが、何かの拍子でトヨタに言及する際に、別にわざわざ宣言する必要もないのに必ずというほど「嫌い」と言及しているくらい、ボクはトヨタのクルマが嫌いでした。
それには勿論、
ボクなりの理由があるのですが、運転免許を取る以前からもう30年以上に渡ってそうであった上に、基本的には頑固な性格なので、ボクの人生に於いてはトヨタ車を好きになることも、トヨタのクルマを買うことも無いだろうという半ば確信を持って生きてきました。
大体、ずっと嫌いと言い続けて来た手前、今更「やっぱり好きになったので買っちゃいました」とは、とても
みっともなくて言えません(爆)。
そんな、、、ボクがですょ。d(・_・)
昨今の、そして今後のトヨタ車はちょっと面白いかも?と言い出したら、そらぁ一大事です(爆)。
キッカケはこのインタビュー記事なのですが、
日経BP:
第347回 トヨタ・豊田章男社長スーパーインタビュー (その1)
ボクは前述の通り、もう偏見に凝り固まっている?というくらいトヨタ嫌いを明言する一方で、豊田章男社長の掲げる「もっと良いクルマ造り」の掛け声には大いに賛同し、個人的には応援してきました。
しかしその心情とは矛盾するのですが、いくら豊田社長が頑張っても、ボクがトヨタを好きになるほどの変化は望むべくもないだろうと思っていたんですねf^_^;)。
それはけっして豊田社長の実力を見くびっていたとか、どーせ掛け声だけで終わるだろうとか、そういった次元の考えではありません。
本質的にトヨタのような大企業が方向転換をするのは、とてつもなく難しいから、なのです。
日産でカルロス・ゴーン社長は短期間で業績をV字回復させた実績はありますが、そこには企業存亡の危機という背景がありましたし、外資という或る種の外圧もありました。
一方トヨタですが、会社業績ではリーマンショック時に一度赤字になったものの、それ以外は概ね順調であり、経営改革が必要とされるような危機的状況にはほど遠いです。
しかも、そのような背景にあって彼が掲げた「もっと良いクルマ造り」というのは業績(定量)目標ではなくどちらかといえば定性課題であり、企業文化や企業理念、哲学にまつわる領域です。つまり何をもって達成したのか?なぜ未達なのかが非常に計りにくいモノであるという点。
豊田氏は創業家の直系なので、彼が掲げた目標に表立って反目する勢力は少ないでしょうが、トヨタが、というより大企業の大組織が長年に渡って構築してきた防衛本能が、そう簡単に改革などは許さないだろう、とまぁそう考えていたワケです。
と・こ・ろ・が、、、(・_・)b
彼(豊田社長)は、その
とんでもなく難しいことをどうやら成し遂げつつあるのでは?と、日経の一連のインタビュー記事を読んで感じたのでした。
こら、認識を改めなければならんかもしれん、とね(^_^;)。
そして彼がどうやって会社を変えようとしたのか?そのエピソードが紹介した記事で語られているのですが、不覚にもこの
「命を賭けてクルマに乗っている」というフレーズに、改めて軽い感動を覚えてしまいました(^_^;)。
社長が自ら命がけでクルマに乗っていると言及したところで、実態を知らない人には大した感銘を与えないかもしれません。ボクも豊田社長が自らレースに出場していること自体は知っていましたが、改めてそれがどんなに凄いことなのか?については認識が甘かったと言っていいでしょうA^_^;)。
天下の大企業の社長が自らレースに出る。表面的に捉えれば「本業を疎かにして趣味に興じているバ○社長」と見えても仕方ありません。実際に社内でも「あいつはいったい何をやってるんだ」という非難の声ばかりだったと言います。
しかし豊田社長曰く、自らステアリングを握ってレースにまで出た理由は「エンジニアと(対等に)話をするためのツールが欲しかった」というのです。
この考え方にはグッと来ましたね(^^;)。
文系出身の彼が理系のエンジニアの専門分野で議論をすれば、如何に立場が社長であっても勝てないことは容易に想像できます。しかし個々の専門分野という局地戦ではなく、一台のクルマとして出来上がった商品を総合的に評価するテストドライバーとして一定水準を超えるレベルにあれば、エンジニアはその声を無視することは難しいでしょう。豊田社長は「これしか(手が)無かったと思います」と語っていらっしゃいますが、正にその通りだと思います。
しかし口で言うのは簡単ですが、実際に成し遂げるとのはとんでもなく難しいことです(*_*)。
お立場上、トレーニングの時間を作るのとて簡単では無いでしょうし、そもそもレースに出ること自体が命の危険を伴うワケですから、社内を説得することひとつとっても容易では無かったはずです。「命を懸ける」と言葉にするのは誰でも出来ますが、本当に身を持ってそれを実践することは、凡人には不可能です。
だって一歩間違ったら死んじゃうんですょ(^^;
しかしその結果が徐々に変化として現れ始めていると、ボクはインタビューを読んで確信しました。
前述した組織改革の難しさの本質は、変化を嫌う人の心に根差しています。大組織というのはそれだけ多くの人が集うワケですから、その壁は人の数だけ強固になる道理です。逆に言えば、組織が変わるということは、そこに属する人、一人ひとりの心が変わらなければ無理なのです。
そう豊田社長は、自らが命を賭けることによって、彼の言葉が社員一人ひとりの心に響くようにしたのでしょう。
普通のw、まともな人間なら、命賭けの相手の言葉を受け止めれば、なんらか心が動くものです。しかもその彼の言葉がテストドライバーという専門職の業域に於いて相当なレベルであれば、無視することは困難です。社長という立場を超えて、です。
少し前の記事ですが、トヨタの或る社員が語ったエピソードも記事になっていました。
【第335回】 トヨタ86GRMN(開発者編・その2) P4:「
章男社長は、テストドライバーとして大変なレベルです」
あまりに出来過ぎで提灯記事か?と思われるかもしれませんが(苦笑)、ボクはインタビューに答えている多田氏の言葉に嘘は無いと思いました。そして豊田社長の目配せは86GRMNという特別なクルマなら納得もいったとこの記事を読んだ当時は思っていたのですが、トヨタが開発する全車種で大同小異の事が起こっているとしたら、これはとんでもないことだぞ!っとA^_^;)。
かつてクラウンがピンクになったり、アニメキャラの"専用機"と称するオーリスが出たり、といった動きを見るにつけ「豊田社長が掲げる『もっと良いクルマ』って、
そーゆーことではないでしょう(T_T)」と半ば憐みを持って見ていましたが、もしボクの目から見ても"良いクルマ"が次々と出てくるような事態になったら、その影響は計り知れません(苦笑)。
一部のクルマ好きに熱い支持を得ているマツダやスバルといった規模のメーカーにも影響は及ぶでしょうが、恐らくもっとも影響を受けるメーカーはホンダでしょう。特に日本市場では。
幸いというか、マツダやスバルはその販売規模から或る程度ターゲットを絞り込んでいる上にその規模自体が大きくないので、影響は限定的になると予想するのですが、ホンダはそうはいかないんじゃないかな?っと。
例えばですが、具体的な例を挙げるともうすぐデビューするC-HR。コンパクトSUVでホンダのヴェゼル、マツダのCX-3と競合するクルマですが、その尖がったスタイルは明らかに万人受けを狙っていません。そしてかつて日産のジュークがバカ売れした事実の通りで、この手のクルマは個性的なスタイリングが市場ニーズに嵌るとヒットに繋がります。スタイリングは好みの問題もあって、やはりスタイリングを売りにするCX-3への影響も皆無ではないでしょうが、日本市場向けに1.2Lターボのガソリンとハイブリッドをラインナップする関係から、ホンダのヴェゼルにとっては脅威の筈。もしかしたら顧客をガッツリ持って行かれるかもしれません。
また別の例ですが、レクサスの上級ラグジュアリークーペであるLC500。V8ガソリンとV6NA+ハイブリッドの2ドア・4シータークーペですからホンダの新型NSXとは直接競合はしないように見えますが、もしコレに
新開発のV6ターボ+ハイブリッドが載って"LC-F"なんてのが出てきてしまうと、どうなるか?(^_^;)
そしてもし!来年のルマンでトヨタが念願の初優勝を飾れば、WECマシンTS050のイメージを後ろ盾にしたレクサスのフラッグシップスポーツとなって、新型NSXには強力なライバルとなるでしょう。
元々日本では販売量が少ない新型NSX(年間100台?)がイキナリ売れなくなるとは思いませんが、既に2~3年待ちと言われる行列に並ぶか?レクサスにしちゃうか?熱狂的なホンダファンでなければ鞍替えしちゃう可能性は十分にあります(^_^;)。
米国ではレクサスとアキュラのブランド力の差は・・・ですからw、相当に厳しくなるでしょうね。
ってな具合に、量販車、少量生産車、双方に於いてボクのようなヲタクなクルマ好きさえも唸らせるよーな「もっと良いクルマ」がトヨタから次々に生み出されてくるようになれば、ニッチなマーケットに絞り込んで個性で勝負している他メーカーは辛い。「それでもウチを選んで貰える」というブランドの確立が急務となるワケですが、こと日本市場にのみ着目すると、スバルはほぼ安泰、マツダはもうひと息という感じに思えますが、正直ホンダはヤバそうです(苦笑)。