
マツダが人馬一体と呼ぶ初代ロードスターの乗り味を全ラインナップに展開した経緯を「
過去」、その乗り味の特徴と我々ドライバーに与える印象について「
現在」と銘打ってブログを2本書きました。
その乗り味は自動車の進化(高性能化)の歴史に照らせばとても独特であるが故に非常に
解り難いし
宣伝もし難い(苦笑)。
前回ブログでボクも相当に気を遣いましたが、丁寧に説明しないと「性能が低い」「運転が難しい」と、簡単に誤解されてしまうからです(^_^;)。
「上手くないと魅力を引き出せない」のはどんな道具でもそうで、マツダ車の人馬一体もその魅力を余すことなく引き出すためには然るべきドライビングスキルは必要ですが、だからといって初心者やアベレージドライバーに全く価値が無いかと言えば、そんなことはありません。初心者は初心者なり、ベテランにはベテランなりに味わえる魅力があります。
一方で
課題のひとつに
乗り心地があって、これは第6世代商品が出た初期の頃からずっと改善され続けてきました。実例ではアテンザとCX-3はメディアでも紹介されたので明らかです。
マツダが考える理想の乗り味を出そうとすると、どーしても
乗り心地に粗さが出てしまう。それを丸めようとすると、
理想の乗り味が濁ってしまう、みたいな。
マツダの
SKYACTIVの大きな特徴は
二律背反のブレイクスルー(エンジンの高出力化と省燃費化とか、ボディの高剛性化と軽量化とか、操安性の安定性と俊敏性、など)の実現でしたが、人馬一体に関しては、どーも一筋縄ではいかなかった模様です。
その根本原因をボクは、マツダが会社(組織)を上げて人馬一体の理想の追求に動き出したのが2012年、つまり実際のSKYACTIV技術をフル搭載した商品が市場に投入開始された時期から始まったからだと考えています。
2010年の11月に行われた「
マツダ、次世代技術「SKYACTIV」説明会」の発表内容を見ると、人馬一体という説明がほとんど登場しません。またクルマの乗り味を決める要となるSKYACTIVシャシー、そして土台となSKYACTIVボディの説明でも
SKYACTIVボディ:剛性の大幅向上、世界トップクラスの衝突安全性能、軽量化に主眼を置いて開発
SKYACTIVシャシー:中低速域の軽快感と高速安定性の両立 と 中低速域の軽快感と乗り心地の両立
といった具合です。
エンジンについては人見氏が「理想の燃焼のための7つの制御因子」を掲げて、その最適化に向けてハードウェアをどう設計するのか?という説明をしたのとは対照的に、ボディやシャシーについては「
何を目指して」「
何のために」が実は
語られていません。
それはつまり当時、「人馬一体はマツダが全社を挙げて追及していく理想である」という点では生煮えで、2012年に社内に作った「人馬一体部会」などの動きを皮切りに、「走りながら考える」ことをせざるを得なかったのだろうと推察しています。
そして細かな経緯わかりませんが、どーもどこかのタイミングで
そもそも論から考え直したようです。つまり「人馬一体」という言葉が意味する
「人」と「馬(車)」が一体になるとは、理論的にどういう状態なのか?
オーナーであるボクの見解ですが、
第6世代商品に於ける人馬一体は、少なくとも
ドライバー(人)とクルマ(馬)は別々の存在で、しかし心を通い合わせ、阿吽の呼吸で、ドライバーの意図にクルマが正確に反応して(応えて)くれて、その結果として
ドライバーが一体感を味わえる(一体であるように感じる)、というモノでした。現実にはクルマは馬では無いので意思は無いのですが、
ドライバーがクルマを意のままに操る歓びを得てフローになるwというもの。
ところがマツダが改めて考えた
究極の人馬一体とは、トライバー(人)とクルマ(馬)が、人間の感覚として一体になった感じがするに留まらない、
本当に一体になる事では無いのか?という考えに至ったようです。
その考え方と、それを具現化した次世代のマツダ車がどうなるのか?
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第2世代SKYACTIVシャシープロトタイプに緊急試乗
・
新型アクセラの驚愕すべき出来
・
マツダの新型アクセラ、失敗できない世界戦略
ボクが良く引用させて貰う
池田直渡氏の記事ですが、彼はメーカーの説明を咀嚼して彼なりの言葉で丁寧な説明を行う点で、とても高い品質の記事を提供する日本では珍しいwライターです。
2年前のコンセプトと試作車に大きな感銘を受け、間もなく登場する市販車の試乗記でも絶賛していますが、こうして並べて順に読むと、
まるで提灯記事にも見えますね(笑)。
しかし彼の「褒め過ぎ」とも思える記事の信憑性がどうなのか?という疑問は、他のライターの試乗記の書きっぷりを見ると、どーも単なる提灯記事では無さそうに思えてきます(笑)。
・
マツダ3はゴルフを完全に超えた。力不足のエンジンは日本仕様に期待(河口まなぶ)
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【マツダ 3 海外試乗】日本車の弱さ払拭、世界のライバルと対峙してもかなりのレベルに(桂伸一)
・
新型「Mazda3」の海外ファーストインプレッション(松田秀士)
・
【海外試乗記】マツダ3ハッチバック(FF/6MT)/マツダ3セダン(FF/6AT)(石井昌道)
・
ついに初試乗! 新型マツダ3は有言実行の仕上がりだった【Mazda3 海外試乗記/インプレッション】(山本シンヤ)
そのデザイン(次世代魂動デザインのスタイリング)や内装の質感の高さ、格段に向上したらしい静粛性もあるようですが、一連のブログのテーマである
乗り心地、そして
乗り味についても絶賛の記事がほとんどです。ホントかよ!?というくらい(笑)。そして多くのライターが「欧州車を超えた?」と言及しています。
これはつまり、2015年に
マツダの藤原副社長が予言した
「(独車など)できあがったクルマだけを追いかけても越えられないけれど、もっと人間自体を、つまり”クルマに乗る人間”を研究し、日本人としての理想を追求していけば、どこかで…彼らが遅れたところで、彼らを抜けるかもしれないと思いついた。」
が、正に
現実のモノになろうとしているのでは?と思わせます。
前回ブログで述べた通り、現在の第6世代マツダ車の人馬一体もレベルとしてはけっして低くなく、軽快で意のままに走り運転が楽しい乗り味があります。しかし一方で盤石の安定感はなく繊細な、華奢な印象を与えたり、運転次第でドライバーに「恐い」と思わせるような挙動もあります。快適性という意味での乗り心地には厳しい評価もありました。
しかし新型Mazda3の試乗記には、安定性も乗り心地に関してもネガティブな評価は全くありません。これは単なるご祝儀か?(笑) しかしもしかしたら
何らかのブレイクスルーが起こって
ジャンプアップした可能性が十分にあります。
その評価は今後、実車が市場に出て走りはじめなければわかりません。ボクも現実に乗ったわけではないので実際のところはわかりません。
ただ現時点のボクの予想としては、
現行マツダ車のオーナーが試乗すると、どこがどう良くなったのか
最初は良くわからないと推察しています(苦笑)。理由は極めて単純明快で、今の第6世代マツダ車も結構なレベルに達していて、かつ最新のマツダ車も進化の方向性が変わっていないからです。
例えて云うなら、普段からコシヒカリの新米を食べつけている人は、最高級の魚沼産コシヒカリを出されてもあんまり感動しないでしょ?(笑)
これが普段、安い標準価格米しか食べて無い人であれば違いはとっても判り易いと思いますが、、、(^_^;)
そして、最高級の魚沼産コシヒカリを堪能した直後にいつもの新米コシヒカリを食せば違いは明確になります。そういう違いではないかな~、と。
だから現行マツダ車オーナーは、目に見える内装の質感などはわかっても、こと乗り味についてはどこがどう変わったのか、恐らく最初は良くわからない人が多いのではないかと思います。
しかしもし1~2時間とかまとまった試乗の機会があれば、終わって自分の愛車に戻った時に「あれ?ウチの愛車ってこんなだったっけ?」と色々な粗さに気付かされるような気がします。そこで初めて「最新型は凄く良くなっている」ことを実感するのではないかな?(^_^;
今、
マツダ車のオーナーで無い人たちにどのような印象を与えるのかはボクもとても楽しみです。「運転がし易い」「思い通りに走らせられる」と感じるとは思いますが、それは或る意味当たり前の事なので、当たり前過ぎて何も印象に残らない、となるか?
また一部の人たちに馴染まない乗り心地(快適性)や、ドライバーが感じる安定性という点でどんな印象を与えるか?
楽しみですね(^-^)。
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マツダ | 日記
Posted at
2019/03/01 12:51:20