
なぜ、SKYACTIVになるとマツダ車は安く作れるようになるのか?
リクエストを頂いて出来るだけ簡単に解り易く、、、に努めた結果、時間が掛かってしまいました。申し訳なしm(_"_)m
先ず、クルマを安く作る試みは何もマツダだけではなく世界の各社で様々な取り組みが行われている。
最近のニュースでは日産の「CMF(コモン・モジュール・ファミリー)」、VWの「MQB」と呼ばれる新型プラットホーム(車台)など。
各社のどの取り組みも、市場の多様化するニーズ(平たく言えば様々なタイプの車)に対して、如何に短い開発期間で効率良く開発し、低コストで生産するか?という課題に対する解決策である。
多品種少量生産で如何に利益を出すか?という話でもある訳だが、ところで、、、
そもそも一般に良く言われる「量産効果」って、一体どういうことだかご存知です?(^_^;)
コレ、ポイントなので後で説明します。
さて、マツダの良い製品を安く早く作る取り組みは「モノ造り革新」と呼ばれ、SKYACTIVテクノロジーと合せて新世代のマツダ商品を生み出す両輪となっている。SKYACTIVテクノロジーはだんだん知名度も上がっているようだが、モノ造り革新とは何か?
これは「コモンアーキテクチャ構想」と「フレキシブル生産構想」から成る。
前者は商品を開発する部分、後者は商品を生産する部分を革新する取り組み。
SKYACTIVの一連のエンジン、ミッション、ボディ、シャシーは当たり前だが第一世代となるが、CX-5を皮切りに2015年までに発売する商品群(例の8車種)は第6世代商品群と呼んでいるらしい。
これらをマツダでは一括で企画した。そしてその構造を統一化した。部品ではなく構造である。これを「コモン・アーキテクチャ構想」と呼ぶ。専門的には「キャリブレーションを共通化した」という事らしい。
我々素人が理解し易い概念は"相似形"。
各車種により多様化する部分(ホイールベースやトレッド、エンジンのサイズ等)に自由度を持たせる一方で、クルマとしての基本、SKYACTIVの基本性能を成す部分など、全ての車種で共通する構造を定めた。
これにより、各車種はそれぞれの特徴や競争力となる部分のみを個別に開発すれば良くなる。
従来、全ての車種を一から開発していれば100×8=800である。
コモン・アーキテクチャ部分が仮に40あったとすれば、40+60×8=520となり、35%の削減となる。マツダの経営方針では開発効率化の目標を30%以上としているので、こんなイメージだろう。
次に「フレキシブル生産構想」だが、前述のコモン・アーキテクチャによる構造は共通ながらサイズや特徴の異なる多品種の商品群を共通の生産ラインで組み立てる取り組みである。
詳細は当然、企業秘密だからボクなどが全てを知る由も無いが、例えばエンジンであればその設計と、組み立てラインの双方にポイントがあるらしい。
現在、市販済みのSKYACTIV-G 1.3と2.0、そしてSKYACTIV-D 2.2。この三機種は同じ生産ラインで組み立てが可能ということだ。1.3と2.0はボアピッチが異なる。Gはガソリン、Dはディーゼルである。こいうった混成ラインは日本の他のメーカーでもなかなか出来ないらしい。
さて、ここで話を「量産効果」に戻す。
例え話で説明するので解って頂ければ幸甚だが、質問があればコメントで、或いは「サッパリ解らん」というクレームもコメントでお願いします(^_^;)。
工場を分譲マンションに例える。生産ラインは分譲する部屋だと思って欲しい。
貴方がその一部屋に住み、毎日働きに出るとしよう。つまり貴方は生産ラインから造り出される商品だ。
貴方が稼いだお金が商品が売れた代金、つまり売上であるが、貴方は部屋に住んで毎日働きに行く必要がある以上、食事も必要なら水道光熱費も掛かる。まぁ商品の材料費であったり、工場が稼動する電気代や人件費などが必要ということ。
これに加えて、貴方は稼いだお金からマンションのローンを払わなければならない。
お給料からこういった費用が全て引かれていって、残った可処分所得がまぁ、メーカーにとっての利益ということになる。
さてマンションローンが10万となれば、貴方の稼ぎは当然、10万円以上が必要である。
ところが、貴方の他に奥様が同居して働きに出てくれたらどうなるだろうか?奥様の稼ぎ(売上)はともかく、少なくともマンションローンは貴方が5万、奥様が5万、負担すれば済むことになる。
これが「ひとつの生産ラインで複数の車種を組み立てる」効果である。
これが出来ないと、奥様は同じマンションに住みながら別の部屋が必要となる。当然、マンションローンは貴方と同じ10万円を奥様単独の稼ぎで賄わなければならない。
つまり沢山作る"量産効果"というのはこの「マンションのローン」に相当する、商品ひとつ当り
の負担が減ることを指す。商品を作るための材料費、加工費は商品毎に掛かるが、それ以外の費用を分散することが"量産効果"である。
この「マンションのローン」改め"それ以外の費用"とは何か?商品(クルマ)の開発費用だ。
我々ユーザーは、開発が完了することを「新型車が出来上がること、形になること」と思いがちだが、メーカーにとっては違う。その商品を生産する準備が整うこと。これは工場の生産ラインが出来上がって商品がラインオフ出来るようになる状態を指す。
例え話に戻れば、マンションが出来上がって住めるようになることだ。
だが、そこに住むためには当然、それを作った費用を支払わなければならない。
我々は当然、日々稼いだお金からローンを支払うが、メーカーは開発に掛かった費用(=商品がラインオフできるような状態になるまでに掛かった費用)を商品を販売することによって回収する。
さて、、、ここで話は終わらない(^_^;)
「沢山作れば安くなる。じゃぁバンバン作ってどんどん安くすりゃイイじゃん」
と思った貴方。口に出したら恥をかきますから(苦笑)、黙って先を読みましょう。
例え話に戻って、じゃぁってんで貴方と奥様に加えてお子さん二人にも働きに出てもらいましょう!と考えたとする。二人が四人になればローンの負担は一人2万5千円である。ひとりで働くより7万5千円負担が減ることになる。
働く時間を短くして稼ぎを7万5千円下げても問題は無くなる。→商品の価格を下げること
働く時間をそのままにして従来通り稼ぐ→より大きな利益を得る
二人を四人にしてより商品の価格を下げることも、価格はそのままで利益を高めるのも、どちらを選ぶかは自由である。但し、、、
四人のお仕事が確実にあれば、の話だ(^_^;)。
仮にひとり当たりの稼ぎを減らしたとする。四人で働きに出るのだが、お子さん二人に仕事がなかったら2万5千円×2=5万円分、マンションローンを払えなくなってしまう。滞納である。
これは、作った商品は市場で売れて初めてメーカーは収入を得る、この原則を忘れてはならないことを言っている。
市場の需要を無視して沢山作った商品が売れなかったら、メーカーは途端に窮地に陥る。
ただ沢山作りゃイイってワケにはいかないのだ。
つまりクルマのような大量生産商品は販売計画が大変重要。販売=生産であり、市場でさばき切れない数を作ってはならない。そしてその販売数を見極め、一台当たりに開発に掛かった費用を按分し開発費用を回収する。
工場は常に適切な稼働率でクルマを作り続け、そのクルマが適切なタイミングで売れることが必要なのだ。
これはメーカーが発表した販売計画(CX-5の月間販売目標1000台というもの)通りに工場が車を生産し、その台数が市場でキッチリ売れて、初めてメーカーは思惑通りに事業を進んでいることになる。
CX-5は月間1000台の販売目標。ガソリンとディーゼルの比率は50:50が計画であった。
フタを開けたら受注比率は27:73だった。
これを例え話に当てはめてみる。
SKYACTIV-GとDが別々の生産ラインで生産されていたとすると、マンションの部屋がふたつ必要ということ。計画は50:50だから両者とも同数の生産量(お仕事量=稼ぎ)であった。
ところが初期需要は27:73。
これはガソリンはお仕事が半分ちょっとしかない。当然お給料が減る。
一方ディーゼルはお仕事が1.5倍弱。一生懸命残業しないといけない状況。
部屋が分かれている場合、二部屋のマンションローンを払うためにディーゼルさんは残業手当てを必死で稼がねばならず、一方ガソリンさんは毎日午後半休状態である。
ディーゼルさんがバンバン残業代を稼いでくれている内はイイが、願わくばガソリンさんにもキチンと働いてもらいたいのは言うまでも無い。もしディーゼルさんのお仕事が2倍、3倍にでもなろうものなら、その内、過労で身体を壊すかも。。。(苦笑)
二人がもしもひとつの部屋に同居(生産ラインがひとつ)であれば、ガソリンさんの生産余力をディーゼルさんの生産に充てて、常に二人分の適正なお仕事を行える状況になる。
マツダのモノ造り革新におけるフレキシブル生産構想は、こういった商品の需要変動、人気の偏りを吸収し、工場を常に最適に稼動させることを可能にする。
そしてコモン・アーキテクチャ構想により開発を効率化しコストを下げることで、そもそも回収コストが少なくなるので、SKYACTIVテクノロジーと言う最新の技術を使った商品にも関わらず、価格競争力の高い値付けで市場に投入することが可能となっている。
以上、長くなってしまったが少し乱暴な例え(^^;)を交えて、マツダのモノ造り革新について解説してみた。
もしマツダの関係者で、ボクの書いている内容に間違いや不適切な例えが見つかったら、遠慮なく指摘して欲しいm(_"_)m。
嘘は書いていないつもりだが、解り易く例え話にすると、必ずしも正確でない点があることはご容赦頂きたい。