
クルマという製品は面白いところがあると思う。
ボディのタイプ(セダン、クーペ、ワゴン、ハッチバック等)やサイズ(排気量、ボディサイズ等)や価格といった選択基準の他に、クルマの構成部品であるエンジンや、駆動方式などといったモノが時に製品選定の重要なポイントとなることがある。
ボクはクルマのメカニズムに非常に興味があったことで、エンジンや駆動方式というものがかなりの割合で拘りのポイントとなった。ところが、改めて着目すると、このエンジンというパーツや駆動方式というものは、意外にメーカーのクルマ作りの拘りポイントと一致する。
メルセデスやBMW、ジャガーといった欧州高級車メーカーは後輪駆動、VWなどの大衆車メーカーは前輪駆動。日本でもトップメーカーのトヨタは後輪駆動にはじまり、小型、中型車をある時点から前輪駆動に転換した。一方、大衆車メーカーのホンダは一貫して前輪駆動を推進している。
ということは、エンジンや駆動方式になんらか拘りを持ったクルマ選びをしようとすると、自ずと自動車メーカーの拘りに引っ張られて選択が絞り込まれるということが考えられる。実際、ボクのクルマ選びはそうだった。エンジンと駆動方式。ボクの拘りは振り返ってみると結果的にエンジンに重きが置かれていたのだ。
初めて買ったクルマはマツダのRX-7(FC3S)、13Bロータリーターボの後輪駆動だ。フロントミッドシップの後輪駆動というのがマツダのロータリースポーツの公式だから、ロータリーを選ぶことがそのまま後輪駆動を選ぶこととなった。しかし2台目として買い替えようとしていた新型RX-7(FD3S)が20BロータリーのNAでなかったことから、ボクはロータリーを降りてレシプロエンジンに乗り換えてしまった。
この場合は、エンジンへの拘りから「選択しなかった」という展開だが。
次の愛車のホンダ・プレリュード(BB1)は前輪駆動。実はこのとき、ロータリーを手放すことを決めたときに次の愛車として考えたのは四輪駆動だった。当時WRCがグループBからグループAへと転換し、ハイスピード4WDが奔りの時期。しかし結局、四輪駆動にしなかった理由はスカイライン(R32)やセリカ(ST185)がターボエンジンであったことであり、自然吸気に拘った結果、ターボエンジンを嫌って四輪駆動を選択しなかったのだ。
当時はエンジンと駆動方式と、拘りの優先順位はどちらか?などと明確に意識はしていなかった。だがこうして振り返ってみるとエンジンの優先順位が高かったことが明らかになる。結果、その後もVTECエンジンに拘るが故に、多少の不本意を抱えながら前輪駆動に乗り続けることとなったが、そのお陰で、TYPE Rという凄いクルマに出会うことが出来たのだから、人生何が起こるか判らない(笑)。
結果的にVTECエンジンに拘った故に四輪駆動を遠ざけて現在に至るのだが、改めてボクが四輪駆動の何に魅かれたのか?ここ数日、頭を整理しはじめている。
非常に勉強になるブログをFLAT6さんに書いて頂いたことが刺激となったこともそうだし、力作を拝読させて頂いたことに対する礼として、やはり"お返しをしたい"との想いもある。ただ、、、
それは次回までお待ち頂くとして(笑)、今日、記しておきたいのはメーカーの拘りについて(^_^;)。
ホンダは大衆車メーカーで前輪駆動に拘る。BMWは後輪駆動に拘るメーカー。両社ともエンジン技術には定評のあるメーカーだが、なぜ両社は同じような素晴らしいエンジンを作るにも関わらず、一方はFF、他方はFRと駆動方式では対極に位置するのか。なぜこのようなことが起こるのか?
そこにはやはり、メーカーの拘り、哲学があるとしか解釈のしようがないのだが、そうだとするとそれはそれで製品を買うユーザーとしては悩ましい。クルマが好きな多くの知人から「ホンダエンジンを積んだ後輪駆動に乗ってみたい」という話を聞くのは一度や二度ではない。それは1999年に発売となったS2000で実現したワケだが、それ以前には適わぬ夢物語だったのだ。その答えはやはり、ホンダのクルマ作りの哲学を理解しなければ答えは見つからない。もっともそのお陰で、FF TYPE Rのような"突然変異"が生まれたのだが。
また、ボクは極最近マツダのアテンザを購入しようとしたが、旧型や今年前半に発売したCX-5にあった四輪駆動モデルがラインナップに無かったために、購入を保留した。「なぜアテンザにAWDが無いのか?」この答えも、マツダにその哲学を聞かなければ答えは見い出せないだろう。
ボクがAWDに拘った理由は
以前にブログに書いた通りでSKYACTIV-Dの強力なトルクに必要十分なトラクションを得るにはAWD化が必須であるとの認識からだ。また、
マツダがCDセグメントでライバルに伍していくためにはAWDが必要であろうという見解は、自動車史に学んだ結論だ。
ホンダのVTECを選んだときには、駆動方式には妥協(苦笑)したのに、今回マツダのSKYACTIV-Dを選ぶときに、どうして前輪駆動で妥協が出来ないのか?これも改めて考えてみた。それはやはりボクの拘りであり哲学としか云いようがない。42.8kgmの最大トルクに前二輪では、ボクには十分とは考えられない。世間のほとんどの人はそんなことは考えず、実際不足する場面は極めて限定的なことも判っている。様々な電子制御が不測の事態を回避するように出来ていることも理解している。それでもボクには譲れない。それを譲るならSKYACTIV-Dを止め、SKYACTIV-G2.5にするしかない、というのがボクの拘りだ。人生折り返しを過ぎて10年弱、もう妥協は出来難い(苦笑)。
しかし、なぜ前輪駆動専業メーカーは前輪駆動に拘り、四輪駆動化を拒むのか?ホンダもSH-AWDという素晴らしい四輪駆動システムを持ちながら、頑なに塔載車種を限定している。レジェンドに積んでも、その後に発売したインスパイアやアコードには積まなかった。現行アコードにSH-AWDが載ったら買っていたかもしれないのに。。。
一方、メルセデスやBMWなどの後輪駆動メーカーは昨今、Cセグメント以下のクラスに前輪駆動モデルで進出しているが、彼らは四輪駆動化に躊躇はない。メルセデスは発売前のAクラス、CLAクラスの高性能モデルには四輪駆動を用意すると公式にアナウンスしている。
BMWも同様の動きをするのではないか?とは容易に想像が出来る。
ホンダやマツダがDセグメント以上のクラスにすら前輪駆動に拘るのも、メルセデスがCセグメント以下であってもモデルによっては後輪でも駆動しようとするのも、どちらも各社の哲学がそうさせるのだろう。
メーカーが独自の哲学、拘りによって駆動方式を選別するのであれば、ボクもボクの拘りにしたがい、クルマと云うよりメーカーを選別することになる。
ではボクは一体、四輪駆動のどこに拘っているのか?FLAT6さんのブログを参考に、メーカーの哲学や拘りを想像しつつ、次回のブログで整理しようと思う。
つづく
Posted at 2012/12/18 02:23:07 | |
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