
インテRを1996年に購入してから2009年8月で丁度13年。
次もホンダにしたいと思い、期待のクルマが登場するのを待っていたのは事実である。
ところが、この13年、買い替えても良いと思うクルマはついに現れなかった。
この間、タイプRはEK9、DC5、EP3、FD2、FN2と5車種がデビューしているワケだが、これらには全く食指が動かなかった。
だって、今乗っているクルマと何も変わらんから。
最高のエンジン、固められた足、軽量化された車体、最高に楽しい操縦性、クラスを超えた速さ。もちろん代を重ねる毎に性能は上がっているが、DC5以降、エンジンの進化は限られており、速さはもっぱらタイヤに負うところが大きいことはバレバレである。
実際、4ドアのFD2の購入は少し真面目に考えた。足が流石に硬すぎるため、ホンダアクセスの減衰力調整式を導入する案である。
しかしこれについては、妻の強固な反対にあい頓挫した。

妻曰く「シビックにグレードダウンは嫌だ」であり「これはシビックじゃない」である。
妻はクルマ音痴であり、特に強い主張もない。DB8を”ファミリーカー”として購入したことについては未だに「騙された(>_<)」とネタにされてるが、基本的には車種の選択はボクに一任してくれていた。
その妻をして、強固に反対というから驚きであったのだが、我々の世代にとって、やはりシビックはハッチバックのイメージなのだ。
そして、今のクルマがインテグラであり、シビックより上位クラスであったことが、この場合は仇となる。
FD2に至り、排気量は2Lとなり実質的にクラスが上がっている。
しかし、そんなことは妻には関係ないのだ。
「なんでシビックがセダンなんだ?」
「こんなのシビックじゃない!」
「なんで新しいクルマなのにグレードダウンしなければならないのか?」
もう取り付く縞も無かった。
それではEP3、FN2はどうか?こいつらはハッチバックである。
欧州仕様ということで日本仕様とは趣きを若干、異にしており、これはコレでアリだと思っていた。
グレードダウンのハナシは丁寧な説明をするとして、FN2についてはお伺いを立てたが、ドアが2枚というのがネックとなった。なんせファミリーカーである。

「ファミリーカーが2枚ドアなど論外!」
と、問答無用で却下である。思えばBB1では不便だから、とDB8にした訳で、再び2ドアに戻るなど有り得ない。道理である。
その他のクルマはどうか?
こんなのが2005年のモーターショーに出ていた。

スポーツ4コンセプト。4ドア4シーター。SH-AWD塔載。
結局、日の目を見なかったが、もしデビューしていたら絶対に買っていただろう。ミッションがDCTにはなり得なかったろうが、SH-AWDには大変興味があったのだ。
ちなみに、2005年のモーターショーには三菱コンセプトX、つまりランエボXが同様に公開されていたが、こちらは2007年にデビューしている。
クルマではないが、2006年に
進化型VTECエンジンも発表している。
記事によれば、3年以内(つまり2009年9月までに)市販予定だとか。これもお蔵入りである。
更に1年後の2007年9月には
新世代ディーゼルエンジンのi-DTECである。
これも記事によれば2009年度デビュー予定とあったが、これもお蔵入り。
2009年にインサイトを検討の末、却下となったが、今年2011年、新型シビックにはリチウムイオンバッテリーを塔載してデビューすると聞いていた。
これが良い出来なら・・・と考えていたら、日本国内には未発売となる。
おまけに、デビュー早々こんな
ケチまでついた。
更に
こんな報道までされてしまう。無様である。
ホント、少なくともこの5年、ホンダはナニをやってるんだろう?というのが振り返っての正直な感想である。
言いたいことは他にもある。
ウチのファミリーカーの定義は4ドアで大人が5人であるから、ホンダのラインナップでは当然、アコードやシビックがターゲットになるわけだ。
で、現行のアコードであるが、目指したのは
すべてにおいて上質なんだそうな。それで欧州の御三家(メルセデス、BMW、アウディかな?)に挑むと言う。
日本には入ってこない新型欧州シビック。エンジニアの拘りポイントは
静粛性などのNVH性能なんだそうな。
ホンダの売りは「クラス最強」じゃなかったのか?
パワーでも燃費性能でも何でもイイ。
・F1最強に象徴される、同一クラスなら誰にも負けないエンジン、
・或いはCVCCでマスキー法をクリアしたような革新的な技術力
ではなかったか?
DOHC-VTECだって、リッター100psを達成してテンロクで160ps。これは当時の2Lの馬力である。
革新的なエンジンでクラスで敵なしに留まらず、2Lクラス並みの出力と同時に1.6Lの経済性を実現。
今で言うところの「ダウンサイジング」の先駆けである。
これらこそが、
ホンダならではの”強み”ではなかったか?
ウチのクルマは上質です。といってアコードを売るのか?売れるのか?欧州で。
ウチのクルマは静かです。といってシビックを売るのか?売れるのか?欧州で。
日本じゃ無理だろうな。
上質なクルマが欲しくてアコード?
静かなクルマが欲しくてシビック?
有り得んでしょ。
F1でエンジンサプライヤーではあったが、コンストラクタータイトルを取った日本メーカーはホンダだけである。「F1で勝つ技術力がウチにはある」って言えるのはホンダだけ。
これ、マーケティングの専門用語で「独自資源」と言う。
そう、過去の栄光というのは商売をする上で極めて有効な経営資源なわけだ。
それを使えない/使いこなせないというのもどうしたものか?
まぁ、最後の第三期F1挑戦は挫折と撤退であるから、現時点ではこの売り文句は確かに使いにくい。
それにしても、である。
そのF1での体たらく、2007年以降の新開発エンジンを次々とお蔵入りさせたこと、ホンダの技術力、開発力に陰りが見えるのでは?と心配せざるを得ない。
事実、日本市場においてもハッキリ言って「小さくて安くて便利な道具」クルマしか売れていない。
それはそれで重要だし大切なことだけれど、ホンダが掲げるMM思想を体現した素晴らしい成果だとは思うけれども、それだけでイイんでしたっけ?と思わずにはいられない。
伊東社長をはじめとしたホンダの経営陣がここ1~2年、危機感を持っていると言う。
それがボクが抱く心配と同一のものかはわからないが、リップサービスがやや過剰に見える一方で具体的な成果が製品になって一向に現れないので、ユーザーとしては大変フラストレーションが溜まるのだ。
極めつけは最近、ホンダの経営陣がマスコミと定期的な会合を持っているようだが、そこでの発言である。
技研のトップが雑誌の取材時に「DCTの市販化は?」と問われ、「出して売れるなら出しますよ」とか答えたそうな。
こら、
暫らくはダメだな、と思った。
消費者が「欲しい」と思う商品を企画、開発するのがメーカーの勤めでしょ。
欲しがる人が居れば、なんて考えてたら、マーケットをリードするような革新的な商品なんか絶対に作れない。少なくともマーケットクリエイト型の商品や潜在需要を喚起するような商品は。
まぁ、日本のAT市場の動向なども考えず、無邪気に業界ウケの良いDCTの市販化について聞いてきた雑誌記者に対して、
「あんた、DCT、DCTって言うけどさ。実際、日本の市場でDCTの需要がどのくらいあるか知ってる?DCTを塔載したクルマが市場にどのくらい訴求できると思ってる?実際、DCTを自社開発したらどのくらいの数を売らないとPayしないかわかっとるんかい?」
なんてぇ思いで半分ムッとして答えたんだろうというのは想像に難くないのだが、こっちも感情を持った人間である。
技研トップの発言としては、ガッカリしたことは否めない。
こんな保守的なヤツが頭なら、しばらくホンダ車は期待薄だろうなぁ。
何しろ、クルマは半年やそこらでは出来上がらないのだから。
てな感じで、今年の8月までは「次もホンダに乗りたい」と考えていたが、想いがコト切れてしまった。
とは言ってもこのときには買い替えるクルマがまだ見つからず、仕方なしに車検を通し、あと2年の間に次のクルマを決める、決まらなかったら2年後にインテRは廃車して、玩具車1台で暫らくしのごうと決めた次第。
ディーラーの営業さんにも「ホンダから次のクルマを買えそうにないや。ゴメンね。」と謝った。
営業さんも、申し訳なさそうにしていたけど、インサイトもフィットもシャトルも、みんな安くて便利な道具ではあるけれど、楽しさイマイチだからね。
それが主目的なクルマじゃないからしょーがないけど。