
昨年(2011年)の10月中旬、アクセラSKYACTIVに試乗した後、ちょっとした事をキッカケにゴルフの試乗に行った。
最新の7速DSGを体感するためだったのだが、ボクにとっては複雑な印象だったので、備忘録として記載しておく。
なんせ、DSGの登場を期に「次に買うならツインクラッチ!」と決めてた身だ。なぜVWゴルフに食指が動かなかったかは既にブログに書いた通り。
結局、DCT搭載車にはしなかったものの、そのときはまだ最終決断の前であり、SKYACTIV-Driveに決めるにしても、一応、元祖のDSGの最新モデルには、チョイ乗りでもしておいた方が後悔もないかな?と思ってのことだった。
VWのショールームは自宅とマツダディーラーの丁度中間辺りにある。
思い立ってお店に行くと、どうもモデル入れ替えの時期、Premium Editionの入荷待ち状態で試乗車が無いという。
そら困ったなぁ、、、と思案していたら、1.4ツインチャージャーのゴルフ・バリアントならあるという。
とりあえず適当な理由をつけて(笑)、それに試乗させてもらうことにした。
確認したいのはもちろん7速DSGなのだが、ポイントは「極低速でのギクシャク感」。
この更に数年前に先代のゴルフに乗っていたのだが、このときもそのギクシャク感は体感出来ず。
今回は意を決してのリベンジ(笑)である。
お店を出ると、その発進性のマナーの良さといったら、まるでトルコンATのよう。
で、そのDSGの印象の前に感じたことが、なんか凄く高級車に乗っている感。
別に内装が豪勢とか、足回りがフワフワとかいった、直接的な印象ではない。クルマから受ける印象がとってもコンフォートなのだ。
当時の家族車や玩具車が、いってみれば「地ベタにゴザ敷いて座ってる」感じだとすると、「分厚いクッション」の上に腰掛けているような。
VWって、こんな高級車然としたキャラクターだったっけ?っと、ちょっと面食らう。
話をDSGに戻す。
これはトルコンATか?と感じるほどの洗練を確認するも、何度か発進、停止を繰り返すと、やはりブレーキペダルのリリースと共に乾式単板クラッチを半クラッチにしている、硬い板を滑らせている感触をかすかに感じ取ることが出来る。M/Tに乗っている自分には馴染みの感触ながら、自らクラッチペダルを操作せず、クルマが勝手にやってくれる様は異質ではある。
しかしそれも一瞬であり、速度が上がると思うともう1速にエンゲージ。後は例のシフトショックは皆無なまま、トントンとギアを上げていく。
1.4Lツインチャージャーは、これまたボクには異質なエンジンだった。自然吸気では絶対、こんなトルクの出方はしない。しかしターボ特有のトルクの上乗せ感もない。なにかとっても不思議なフィールである。そう言えば、ボクはスーパーチャージドエンジンには乗った経験がなかった。この感覚はスーパーチャージャーか?いずれにしても、とても1.4Lとは思えない力感が頼もしくも心地良い。
で、肝心のギクシャク感であるが、やはり体感できなかった。
セールスマンを助手席に乗せていながら、我ながら相当な意地悪アクセルワークもやった。でもダメ。最新の7速DSGは最後まで良好なマナーに終始し、ボクの仕打ちを跳ね返してみせた。
セールスマンさん曰く、数年前のモデルでは、特にパーキングスピードでの違和感を訴えるお客様が多かったらしい。擬似クリープも弱く、アクセルをどうしても踏まないといけない微低速域で、トルコンATに及ばなかったと。毎年改良を続けて、最近になってそういった声もほとんど聴かなくなったとか。今ではトルコンATと思い込むお客も居るんだそうな。
成る程、そうかもしれないな、と素直に納得。
ということで、DSGの弱点を体感すること適わず、マナーの良さを再確認したのではあるが、ミッションの出来としては必ずしも印象が良くなく、複雑な気持ちで試乗を終えた。
正直、う~んと唸ってしまったのだ。詳細に記そう。
VWのDSGはシフトポジションがインパネに常時、表示される。オートモードでも。
試乗車にはシフトスイッチがなく、フロアのレバーでシフトを行うのだが、マニュアル操作を試すのは少し先。先ずはオートモードで幹線道路と、駅前の繁華街を低速で走らせてもらった。
7速あるが、速度が60km/hを超えないと7速には入らない。一方、1速は相当にローギヤのようで、半クラの制御はミニマム。シフトショックも皆無。とってもスムーズであり非の打ちどころは無いように思えるのだが、このとき「なんか以前の印象と違うなぁ」と感じてしまう自分がいた。
以前に乗ったDSGは、トルコンATとは明らかに異なるダイレクト感とショックの無い変速のコンビネーションが、如何にも新世代のミッションという雰囲気を醸し出していたと記憶していた。
数年前だし一度きりだし、記憶が美化されたか?とも思わないでもない。
でも今、転がしている最新のDSGは、洗練されあまりにスムーズであるが故に”ダイレクト感”という単語が思い浮かぶフィーリングを感じないのだ。
更にショッキングだったのが、
6速で流れに乗っていたときに、前走車が車線を空けたために前が開けた。何気にアクセルを軽く踏み増すと、DSGはシフトショック皆無で5速にシフトダウンし加速を始めた。そして巡航に戻るとまた静かに6速にシフトアップ。そのマナーの良いことといったら・・・
アクセルを踏みます→5速にシフトダウン=回転上昇
→加速→アクセルを戻す=巡航→6速へシフトアップ=回転ダウン
あまりにスムーズなそれはまるで
アクセルを踏みます→トルコンがスリップ=回転上昇
→加速→アクセルを戻す=巡航→トルコンスリップ解消=回転ダウン
という、トルコンATの振る舞いと、なんら変わりがないではないか!?(*_*)
いや、DSGの振る舞いは悪く無い。巧みな制御だし合理的な動きだろう。
「この動きが気に入らないのなら、どーすれば良いのさ?」と問われても、ボクに回答はない。
なんも悪くはないのだが、ボクが夢にまで見た理想のATが、洗練を重ねていった結果としてボクの忌み嫌うATに近づいていったのだ。
これに複雑な想いを抱かずにいられようか。
この後、マツダのディーラーに行き、あらためてアクセラに試乗もさせてもらったのは言うまでも無い。間を置かずに乗り比べることで、両車の違いはより鮮明になるからだ。
ただ、このときに明確になった両車の違いは、ミッションよりもクルマの印象だった。
アクセラはゴルフ・ヴァリアントの「分厚いクッション」に比べて、明らかにその厚みは半分以下である。しかし「地ベタに」ということもない。その”座布団の厚み”がボクには丁度良いと感じさせた。スポーツカーではないけれど、普通のクルマともチト違う。乗り心地は快適ながら、締まるべきところは締まっている、みたいな。
で、肝心のSKYACTIV-Driveの改めての印象は
「数年前に乗ったDSG(のダイレクト感やメリハリの印象)は、確かこんな感じだったよーな・・・?」
ってな感じでした(^_^;)。
そう考えてしまうと、「これって洗練が足りないってことか?」とか、これまた複雑な思いを抱いてしまうのだが、とにもかくにもその日の結論は、やっぱりボクにはゴルフよりアクセラの方が良さそうだ、色々な面で、ということだった。
DSGの印象は、某掲示板に投稿することを考慮しつつの試乗だったのだが、以上のようなモノであったため、投稿するのは止めた。
「最新のDSGはトルコンATのよう、SKYACTIV-Driveは数年前のDSGのよう」などと投稿したら、物議を醸し出して炎上必至である(苦笑)。
ボクはそう感じたんだから仕方がないのだが、こんなおっかないインプレは公共のBBSにはとても書けないので、自分のブログにコッソリ投稿(爆)。