
第二回の副題
「MT需要はどこに?」
少し間が空いてしまってスミマセンm(_"_)m。
今週、仕事が超ハードだったもので。。。(汗)
ユーザーである我々が商品の需要が「どこに?」と探すのは本末転倒なのだが、メーカーがMTのラインナップを次々と消滅させている現状を理解するには、MTの需要が果たしてあるのか?ここに想いを馳せてみるのには意味がある。
事実、ボク自身はこのブログを書くために思いを巡らせた結果、思わぬ需要を発見した(-_-)v。
これは後に述べる。
MTに限らず商品、コンパクト、ハッチバック、SUV、スポーツカー、それぞれの商品にはターゲット顧客がある。いわゆる「商品を買ってくれるお客様像」である。
ここで重要なのは、このお客様像はある程度抽象的であり、かつ一定量の塊が必要であること。しかし量の大小は極端でなければ問題は無い。
大き過ぎると顧客を絞りきれていない、つまり特徴が無いため結局、誰にもアピールしない危険がある。
小さ過ぎると、そもそもビジネスとして価値が無いということになる。
そして一定量の塊とは、クルマの場合はモデルライフの中でコンスタントに売れることを意味する。
MTに関して言えば、既に10年前に新車販売の5%まで減少しているが、絶対量としての5%が良いとかダメとかいう話ではない。メーカーが考える販売計画上の数字に対して、多いか少ないか、これが少なくとも提供側であるメーカーにとっての「是か非か」である。
メーカーとて馬鹿ではない。MT需要が比較的高いスポーツカー等であれば当然、3割、4割の販売比率を見込むであろうが、そうでない車種であれば、旧モデルの販売実績や傾向から、作り手の論理としての適切な比率で販売計画(生産計画)を立てる。それが可能であれば車種全体の5%なんていうことも有り得るだろう。
仮に「10台に1台はMTが売れる。」或いは「20台に1台はMTが売れる。」と考えたのなら、そのモデルライフの4年とか5年の間、ほぼ毎月10台に1台or20台に1台、MTが売れてくれないとメーカーは困るのだ。
じゃぁその10台1台/20台に1台の割合で買ってくれるお客さん、これってどんな人?
というのが需要である。そんなお客を見つけられるか?だ。
最近話題のマツダのCX-5。SKYACTIV-MT塔載車が日本国内向けには提供されていないが、仮にラインナップされるとしたら、どんなお客さんが買うのだろう。
マツダのニュースリリースによれば、CX-5は30代から40代を中心にデザイン、走行性能や燃費性能の高さ、積載能力の高さが評価されているという。
メーカーは当たり前だが、商品の発売前にこういった点を魅力とすべく企画、開発を行う。
仮にマツダが「30代から40代でSUVならではの積載性能に加えて、高い走行性能と燃費性能を求め、個性的なデザインで自己表現したい人」をターゲットに据えていたのなら、その狙い通りの顧客に支持されている、ということになるワケだ。
では、CX-5にMT需要があるのか?
残念ながら、ボクには需要が見つけられなかった(^^;)。
「CX-5にMT需要は存在しない」と宣言しているのではないので、くれぐれも誤解のないように。
ボクなりに様々視点や発想を変えて考えてみたが、見つからなかったということ。
SUVというカテゴリーからヘビーデューティーな用途を求めるユーザーの存在を否定はしないが、そもそも昨今のこのカテゴリーの需要はライトユーザーが多数と聞く。シティユース中心ということ。
そんな話を聞くと、MTを欲しがるユーザー像が余計にイメージ出来ない。
発想を変えて、日産のエクストレイルの実績を紐解いてみる。
2007年の現行型がデビューした当初2ヶ月の受注状況。このときディーゼルはラインナップされていない。月間販売計画2000台に対し2ヶ月の初期受注が10,000台。MT比率は3.3%。
2008年9月にクリーンディーゼル(MTのみ)を発売。月間販売計画100台に対し1ヶ月の初期受注が1,000台。
2010年に7月にマイナーチェンジしてクリーンディーゼルにATを設定。1ヶ月の初期受注8,902台、内クリーンディーゼル3,066台、MT比率はディーゼル車の9%というから270台以上はあったようだ。エクストレイル全体に対しては3%ということになる。
これらの数字から日産はどうもエクストレイルのMT販売比率を5%(100/2000台)と計画していたと見て取れるが、実績としては3%だった、と見える。もちろん初期受注の状況のみに着目しており、累計の数字ではない。ただ、初期受注でこの状態であれば、時間経過と共に受注が落ち着いてきた後のMT車の販売について5%キープは相当に厳しいように見える。
そして、これらの数字を眺めてみて、台数ベースでは「意外に売れてるじゃん?」と一瞬思ったものの、販売比率、予実差異という視点で見ると、やはりメーカーの思惑(月間販売目標の5%)程には需要が無いとしか見えない。しかも、このエクストレイルのMTを買った人たちがどんな人なのかもイメージ出来なかった。
MTの需要は無いワケではない。しかしその比率は5%以下。
これは日本の新車市場全体のMT比率に近いように見えるが、実際はMT比率の高いクルマとの合算した結果であるから、個別車種でMT車になんらか魅力(売り)がない車種は、更に低いということが想像できる。日産エクストレイルの販売計画から「メーカーの考える採算ラインが販売全体の5%」だとすると、ラインナップする意味が無い/ラインナップするだけ非効率(車種毎の採算の足を引っ張る)ということかもしれない。
しかし逆に、もし5%以上の需要さえ見込めれば、ラインナップする意味も価値もあることになる。
どこかにMT需要は無いのか?
視点を変えて、
前回紹介した視点で考えてみた。買い替えと新規購入、である。
そして見つけた。非常に
面白いデータである。
毎年、新規に免許証を取得する人は実に140万人以上いる。そしてその約半分がAT限定免許である。
この数字、貴方はどう見るだろうか?
免許取得者の半分
もAT限定なのか? と見るか その逆か?
ボクは後者である。これらの初心者は当たり前だがこれからクルマを買う
新規購入者である。もちろん免許を取得した年に買うとは限らないし、数年の内に必ず買うとも限らない。
しかし、新規に免許を取得し近い将来新規購入をするかもしれない人が毎年140万人というレベルで発生し、その約半分がAT限定ではなく、あえてMTに乗れる限定無しの免許を取得しているのだ。
なぜ?新車販売の95%以上がAT車なのに。AT限定免許にすれば免許取得の費用負担も若干軽くなるのに。あえて限定無しのMT車が運転出来る免許を2人に1人が取得している。理由はもちろん彼らに聞かなければ判らない。
新車販売におけるMT比率が5%以下にも関わらず、初心者のMT比率は50%という大きなギャップ。
仮に70万人という塊が全員MT車を買えば、400万台という新車販売市場全体において、15%を大きく越えるレベルである。5%以下というMTの現状に照らせば、非常に大きな潜在需要ということになる。
彼ら初心者はいわば新規参入者であり、大半が新規購入という購買行動を取る可能性がある。
(実家のクルマを譲り受け、将来的にそれを買い替える、という人も居ようが)
もし、彼らが素直にというか自然にMT車の購入に動けば、新車販売におけるMT比率の傾向を変える可能性があるのだ。
眠くなったので、次回に続く。。。(ぉぃぉぃ)