
昨日マツダが発表した衝撃の第二世代SKYACTIVガソリンエンジン、SKYACTIV-Xですが、
ニュースリリース以上の情報は秋の東京モーターショーまで得られないと思いきや、発表会資料が存在することを読者wが
昨日のブログのコメントで教えてくれて、無事に入手することができました。
もげ.さん、
anm6さん、ありがとうございましたm(_"_)m
プレゼン資料は投影用で解説などの文章が記載されていないので、絵を見て想像wするしかなかったのですが、今日になって
発表会の様子を紹介するメディアも出てきて、SKYACTIV-Xの概要を大分、理解することが出来ました。
SKYACTIV-X、こりゃ
とんでもないエンジンですねぇ(*^^*)
マツダの長期ビジョンも話題が盛り沢山なのですが、今回はSKYACTIV-Xに絞って話題は二つ。
①世界中の自動車メーカーが「難しい!」と実現できなかったHCCIを、マツダはどうやって実現したのか?そのブレイクスルーの方法。
②マツダが実現したSPCCI方式によるエンジンの性能は如何に?
①は多分にボクの個人的な興味ですが、技術的な興味や知識の薄い人にはそもそも何が凄いのかが解らない(苦笑)でしょうから、まぁ読み飛ばしてくれてもイイですょ。
上記で紹介した記事に藤原大明・・・w、専務執行役員の解説が載っていますからそちらを読んで頂くとして、ボクが注目していたのはCI(圧縮着火)の制御方法と可能範囲。何しろガソリンの混合気を圧縮して着火するのって常にノッキングを起こさせるようなもので制御が難しいと専門家は口を揃えてきました。どのメーカーでも研究段階ではHCCIを実現出来ていたのでしょうが、自動車のエンジンは様々な状況で色々な使われ方をします。特定の運転状況でのみHCCIが成立するだけでは全く使い物にならないワケですが、負荷状況やら燃料性状が異なる様々な地域など、想定し得るあらゆる状況下で完全に燃焼を制御出来なければ商品になりません。正にここがHCCIエンジンの実用化を阻んできた壁なのですが、マツダはどうやってブレークスルーしたのか?
その具体的な制御方法が
『SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition/火花点火制御圧縮着火)』
と命名され、紹介されました。
なんと
スパークプラグの火花も制御因子のひとつとして利用することにしたようです(^_^;)。
昨日、今日の間で既に誤解が広がっているwようですが、SPCCIではCI(圧縮着火)を制御するためにプラグの火花を使う、つまり燃焼方式はCIでもプラグから火花は飛ばしているって話(^_^;)。
こう書くと技術音痴wな人はきっと「なんだよ、圧縮着火とか言いながらインチキかよ!?」と食いついて来そうですが、そういうア〇な輩はもう放っておきましょう(笑)。
藤原大明神wの説明を引用すれば、
「スパークプラグを有する構造となることを逆手に取り、『スパークプラグを圧縮着火(CI)の制御因子、コントロール手段として活用する』という考えにより、一部の冷間時をのぞくほぼ全域で圧縮着火(CI)燃焼の実現を可能にしています」
具体的には
「スパークプラグの点火による膨張火炎球が、まさに第2のピストン(エアピストン)のように燃焼室内の混合気を追加圧縮し、圧縮着火(CI)に必要な環境を実現しています。」
ということで、シリンダー内でCI(圧縮着火)が生じる
環境に整える最後の一手として点火プラグを用いると言っています。そしてこの点火プラグによる制御というのは長年培われてきた制御技術であり、これを応用することによって
「このスパークプラグの点火時期を制御することで、圧縮着火(CI)を拡大し、またSI火花点火燃焼との切り替えをスムーズにでき、完全に制御された圧縮着火(CI)、火花点火(SI)を実現することができました。」
と説明されています。制御の難しかったCI(圧縮着火)を制御可能にした上で、その成立範囲も拡大し、更にはCIが成立不能な条件でのSI(火花点火)燃焼への切り替えもまでもシームレスに実現と、正にブレークスルーですね(^-^)。
で、これらのブレイクスルーによって成立条件が狭いと言われていた圧縮着火領域がどれだけ増えたかというと、、、、
凄いですょね、これって(^_^;)。
グラフには正確な数字の記載がありませんが、横軸のひと目盛を1000rpmと仮定すると、4000rpm以下であれば軽負荷から高負荷までCI燃焼で運転できることになります。乗用車の利用では4000rpm以上回すのは稀ですから、マツダが「ほぼ全域で」というのも眉唾ではなさそう(笑)。これ、ライバルメーカーのエンジニアが見たら
目が点になってるんじゃないでしょーか?A^_^;)
今回の発表で点火プラグを制御因子に組み入れたことに加え、EGRの利用は勿論、
CI成立領域の拡大にオゾンを使うのが有効という研究結果もありましたが、全ての努力が遂に実を結んだってところでしょうか。
因みにですが、このCI(圧縮着火)を制御するためにプラグの火花を使う方法は、
以前のブログでも紹介しましたが、
MAHLEというエンジニアリング会社(?)のJet Ignitionと似ています。
このJet Ignitionの技術は現在のF1エンジンに応用されているらしく、F1界隈では「セミHCCI」とか呼ばれているのですが、Jet IgnitionもSPCCIも点火プラグを制御因子として活用しているという共通点があるのは面白いですね。
加えて
昨日のブログで疑問に思った
エア供給機能についても謎が解けました(笑)。具体的な構造はまだ判りませんが、点火プラグのみならず、CI成立条件を完全に制御するためでしょう、資料には
高応答・エア供給機とありますので、一般にはスーパーチャージャに分類される機構と推察できます。少なくともターボチャージャを使った過給機構ではなさそうですね。
さて、続いて②です。
マツダが世界中の自動車メーカーに先駆けてCI(圧縮着火)方式のエンジンの実用化に漕ぎ着けたというのは、
ファンにとっては大変嬉しいニュースなワケですが、
ユーザーにとってはこのエンジンが
どのような価値(性能)を提供してくれるのか?が何よりも重要です。
解り易い指標で言えば第一世代SKYACITV-Gに比べて
燃費性能で20%向上とか、
トルクが全域で10%以上、最大30%向上とかありますが、もし本当ならwこれも
凄いことです(笑)。
実はボクがずっと注目していた点は燃費ではなくCIによってエンジンが発する
トルクがいかばかりなものか?という点。
ボクの愛機でもある第一世代のSKYACTIV-Gは、軽負荷時の燃費向上策としてバルブ制御によるミラーサイクル運転をします。しかしこの時のトルクがさほど大きくないことから、ちょっとした負荷の上昇でオットーサイクルに切り替わってしまうため、燃費向上効果が限定的という弱点がありました。特にBLアクセラに初搭載されたSKYACTIV-G2.0とSKYACTIV-DRIVEの組み合わせでは、時速60kmというピンポイントで微妙に燃費に美味しい領域から外れてしまい、なかなか燃費が伸びなかったというのはボクの実体験としてあります。なのでこの領域を上手に外してあげる(具体的には速度を少し上げてエンジン回転数をちょっと上げる)と、平気で1~2割ほども燃費が向上したのですが、この件をマツダが知ってか知らずか、BMアクセラがデビューした際には最終減速比を下げるという手を打って解決を図っています。
こういった経緯もあって過去にSKYACTIV-DRIVEの課題と称してブログも二本ばかり書いたのですが(
其の一、
其の二)、SKYACTIV-Gが第二世代に進化した際に、果たして同様の課題があるのかないのか?軽負荷時にHCCIを実現して燃費を高めるといっても、その運転状態でのトルクが小さければドライバーはアクセルを踏み過ぎてしまうため、軽負荷から中負荷以上に移行してHCCIからSIに切り替わってしまうのではないか?
プラグの火花が伝播して混合気が燃えるSI燃焼に対して、CI燃焼は混合気全体が一斉に一瞬で燃えるため、より大きなトルクが出るのでは?と予想はしていました。しかしながらCI燃焼時の空燃比は理想空燃比(15弱)に対して倍の30にすると、シリンダー容量が変わらなければガソリンの量が半分になる理屈です。SI燃焼よりCI燃焼の方がトルクが大きいといっても、そもそもエネルギーの源となる燃料が半分になってしまったら、相殺されてトルクが増えないことも考えられます。
また、マツダの人見さんが
雑誌のインタビューで「混合気を理想空燃比の倍まで薄くすればトルクは半分になるから排気量を倍にする」という趣旨でアップサイジングを提唱していたこともあり、非常に気になっていた次第。
しかしながらこればっかりはいくら気にしても製品が登場しなければどーなるのか判りません(^_^;)。
で、蓋を開けてみたら?ですが、CI燃焼でスーパーリーンバーンの筈なのに、
全域で10%以上のトルクアップというのだから驚きです。エンジン技術者が理想の燃焼方式というのも頷ける話ですね。少ない燃料にも関わらずプラグ点火方式よりもトルクが出て、しかもNOxがほとんど生じないとは正にイイこと尽くめです(^_^)。しかも、、、

この燃費の良い領域(目玉)の広さはどーしたことでしょう(苦笑)。
ボクは
かつて書いたブログで現状6速のSKYACTIV-DRIVEの更なる多段化を提唱しましたが、それは上記の通り第一世代SKYACTIV-Gの性能を6速では引き出し切れていないのでは?という疑念があったからです。
別に多ければ偉い!みたいなスペックオタクな発言ではありませんょww
しかしこのチャートが示す性能が本当なら、別に6速のままでもイーじゃん?とさえ言えます(苦笑)。
マツダはこの新型エンジンに対して、
SKYACTIV-Xという新たな名前を与えました。
しかしこのロードマップが示す通り、

これはガソリンエンジンであるSKYACTIV-Gの第二世代です。
本来ならSKYACTIV-G2と命名するのがもっとも自然だった筈。
更に言えば、このチャートは「ガソリンもディーゼルも理想の内燃機関を追求していくと、将来的には同じになる(ひとつに収れんする)」ことを示しているので、SKYACTIVが第三世代に進化したときにSKYACTIV-Xなる新しい名前が付く方が自然だと、ボクは思っていました。
しかしマツダがこのタイミングで新たな名前を与えた真意は恐らく、出来上がった第二世代SKYACTIVガソリンエンジンが、このチャートを作成した2010年より以前の
マツダ自身の想定を遥かに超える良いエンジンに仕上がったから、ではないかと予想しています。
単に燃費性能を追求したエンジンではありません。追求したのはあくまでも効率であって、結果として燃費性能を大幅に高めながら、しかし動力性能も同時に高めています。これは画期的と言って良いでしょう。
ということで、このエンジンが次期アテンザに載るのを待って公約通りに愛車を取り換えることは確定しました(笑)。願わくば、このSKYACTIV-Xが3L超の直六となってボンネットに縦置きで収まり、後輪を駆動するクルマになることを祈るばかりです(^_^;)。