
緊急事態宣言が発出されて3週間目に入っていますが、当初の目論見である5月6日に解除となるのか?多くの人が興味があるところだと思います。
ボク個人はハッキリ言って5月6日に解除になろうが、更に延びようがあまり影響がないのですが、休業されている飲食店はじめ、なんとか5月6日まで必死に延命を図っている人たちが大勢います。既に職を失って困っている人たちも大勢います。そんな人たちのためには、一刻も早く通常の経済活動が出来る状態に戻るのが望ましいに違いないのですが、、、
5月6日に緊急事態宣言が解除になるかどうかは我々国民全員が政府の掲げる
「人と人との接触8割削減」を達成して①、結果として
感染者の発生が抑えられること②が条件となります。
残念ながら日本でやっている「自粛要請」という緩~いやり方では、平日5割前後、休日7割強の接触削減が限界のようです。
8割削減が未達であれば政府の思惑通りに事は進まず、
5月6日に緊急事態宣言の解除は出来ないという結果に至る理屈です。
いきなり結論を書いてしまいましたが、未だにこの
理屈はマスコミ関係者はじめ国民に広く共有されているとは言い難く、自粛要請に一生懸命協力している人、協力したくても思い通りにならない人、ハナから「無理」と非協力的な人、様々です。

このオジサンみたいな人が大勢居て、
このまま感染拡大が続けば、経済活動を強制停止させられるかも?、という想像力が働かない
頭の悪い人はゼロにはなりません。
じゃぁ、5月6日が無理ならいつまでなのか…の前に、
我々は今現在、一体どこまで来ているのか?
物事は何でもそうですが、スタート地点があって、ゴール地点がわかって、今現在どこまで来ているのか、がわからなければ、いつゴールに辿り着くのかも、あとどの位、頑張ればよいかも、何もわかりません。
じゃぁ振り返ってみると、先ずは政府が示しメディアで報じられたのがコレ。

コレについて、恐らく良く解っていない人、或いは解った気になっている人、色々居ると思っています。
解っているつもりの人は是非、以下の設問に自分が答えられるか自問自答してみて下さい。
問1)このグラフの「0日」は、日本では具体的に何月何日ですか?
問2)このグラフの「対策」の〇印は20日目となっていますが、本日はこの日の前ですか?もうこの日を過ぎていますか?
こんな絵では役に立たないので、このグラフが想定しているであろう値を特定してグラフを作ってみました。こんな感じ。

ね?似ているでしょ?(笑)
じゃぁこのグラフの「0日」は一体いつなのか?緊急事態宣言発出の4月7日?
そう考えるのが理論上は素直なのですが、感染者数の実績に照らし合わせると、そうではありませんでした。
具体的にはこうなりそうです。
4月8日のブログに掲載したグラフで示した通り、小池都知事が「ロックダウン」という言葉を発したのが3月23日。
その前日の3月22日を0日と設定すると、
その20日後が丁度4月11日となって、
感染者数が一旦ピークになった日と重なります。
つまり政府の緊急事態宣言は4月7日でしたが、
国民の多くが「(発出が)遅い」と感じたのは然りで、
大多数の国民(特に東京都民)は、小池都知事のロックダウン発言、或いは「感染拡大の重大局面」と発せられた辺りが
実質的な緊急事態宣言と認識していて、個々人が出来る対策(外出自粛など)に動いていたことになります。
だから政府の動きは国民より2週間遅かったワケ。
ホントか?wってんで、じゃぁ
実際の感染者数をこのグラフに重ねてみます。

ほら、
なかなか説得力があるでしょ?(笑)。
考慮すべき点が2点あります。
①「接触8割減」とビックデータの移動データの減少量はイコールではない
これは良く考えれば当たり前の話ですが、例えば外出したとしても「クルマで移動していて一回も車外に出ない」なら、人との接触はゼロです。また徒歩で外出したとしても、人混みを避け誰とも話さず公共交通機関も使わなければ、外出をしていても他の人と接触しない行動が出来る場合もあるでしょう。
つまり
「ビックデータ等の移動データの削減」と「人と人との接触の削減」は必ずしもイコールではないということ。
要は、自分も含めて誰が感染しているか判らない状態で、他人にうつさない/他人からうつされない方法が「人と接触しない」ことであって、家から出なければ他人と交わりようがないから「家に居よう」なのですが、外出イコール他人との接触アリとは、実は一概には言えないんです。
だから、ビックデータなどの分析だけでは「接触8割削減」を判断できないのですが、逆に言えば、人の移動データが8割減ではなくても
人と人との接触は狙い通りに減っている可能性はあるということ。
②感染者数は「発症者」+「PCR検査を受けた濃厚接触者」であって、全感染者の氷山の一角でしかない
これも再三、言われていますが、今の検査方針の上で発表される感染者数は、実際の感染者数の全てではありません。感染症対策は「検査」と「隔離」というのが世界的な常識で、
出来るだけPCR検査をしないという日本のやり方には国内外から批判があります。
4月6日のブログで書いた通り、
少なくとも3月下旬以前までで見ればこのやり方は合理的だったと思いますが、今後はPCR検査の増加は不可避です。これについては後述します。
この2点を踏まえて改めてグラフを眺めて見ると、
以下の事が言えると思います。
1. 政府の緊急事態宣言を待たずに、小池都知事の発信を受けて、東京都民に限らず多くの国民が感染防止の意識を持ち、その効果が4月12日以降の感染者数に反映されている。
2. 3月下旬を境に上記の行動変容が起こったが、効果は直ぐには現れずおおよそ2週間のタイムラグが生じるため、感染者数は4月11日まで感染爆発の軌跡に近い形で増加を続けた。
3. 4月11日をピークとして、その後の感染者数が減少に転じたことから、
小池都知事の「ロックダウン」「感染爆発の重大局面」という発信と、それを受け止めた国民の行動によって、結果的に日本の感染爆発を寸前で食い止めたことがわかる。
小池都知事の発言は短期的には買い占めなどの混乱をもたらしたとの批判があるが、
当時の政府の「緊急事態宣言を発する状況にない」との見解は明らかに誤りだった。
小池都知事以外にも、吉村大阪府知事の「連休中の移動自粛要請」といった発信などは、結果論ではあるが
大金星であった。
4. ビックデータによる人の移動データに拠れば、感染拡大以前に対して
概ね平日で5割、休日で7割の移動量減少となっているが、現状のレベルで西浦教授のシミュレーションに対して
概ね「接触65%削減」以上「接触80%削減」未満の効果があるように見える。
5. 現状の「自粛要請」レベルでは現状より
更に人との接触を減らすのは
難しい。しかしながら緊急事態宣言の発出後の国民の接触削減努力の成果が出るのが今後1週間半で、一日の感染者数は引き続きゆっくり減少すると期待できる。
6. 以上の通り、
連日マスコミが「感染の拡大が止まりません」と報じているのは完全に間違っている。しかしながら感染者の拡大ペースが落ちていても、外出自粛などの行動を
緩めてはダメで、今の行動を
維持、或いは更なる自粛を続けていって、全国で20人未満、東京都だけなら一桁になるまで
このペースを維持しなければならない。
7. 全国の一日の感染者数は上手く行けば
5月6日時点で150~200名の間くらいに落ち着く可能性(希望)はあるが、
緊急事態宣言は解除できず延長となる。
8. 緊急事態宣言の延長後の2週間は、GW改めステイホーム週間の効果で更に感染者数の減少は進むが、それでも全国で一日100名が精一杯と思われる。
ニュースなどで自粛要請にも関わらず外出を続ける人たちが報道されていますが、恐らくそういった報道から連想されるよりも遥かに多くの人が自主隔離の努力を続けていると考えられます。
しかし残念ながら、やっている人たちは本当に「これ以上、減らせってどないせぇっちゅうねん!?」状態で、これ以上を求めても無理だと思われます。
そうするともう要請から更に踏み込んで文字通りのロックダウンをして、小売りも物流も全部止めるしかないでしょう。
その手が取れないなら別の手を考えなければなりません。
ここで
PCR検査に話が戻りますが、ウイルスは人が人に広めているワケなので、早い話が
感染者が他人と接触する機会を無くすことが出来れば、感染の拡大は止められて、非感染者は別に外出自粛も何も必要はないのです。
だから今後は、発症者とその濃厚接触者に限定せず
政府の公約通り一日20,000件のPCR検査を5月初旬から継続的に実施して、陽性の人を片っ端から隔離施設に入れていくことが
実行出来れば、
感染者数は短期的に増加して見えますが、その後は今の外出自粛レベルのままでも感染を終息に向かわせることが出来ると思います。
しかしながら一日20,000件、25日で五十万件というとこれまでの検査方法とは連続性が失われるため、全国レベルで日に20件以下の陽性者数まで落ち着くまで、何日掛かるかはボクにはまだ予想が出来ません。今の時点では恐らく、6月初頭に「このままのペースで感染者数が減少すれば、6月末には緊急事態宣言が解除出来るかも?」となるのがベストケースではないかと思います。
最後に東京の状況。

全国版と同じやり方で作ったグラフですが、5月6日時点の一日の感染者数は50~100人の間くらいがイイところでしょうね。

感染者数の減少は続いていますが、日に10名未満になるには今のままの外出自粛をまだ一ケ月以上は続けないとイケないでしょうし、その間に今の死亡者数と同じくらいの方が亡くなる(つまり倍になる)でしょう。
その中のひとりには、なりたくないものです。