(1)、
(2)で今のマツダの特徴的なクルマ造りのコンセプトと、その方向性に至る経緯を紹介しましたが、マツダ車の特徴(魅力)はもちろんそれだけではありません。デザイン(スタイリング、インテリア)や質感、静粛性とオーディオなど、独特な乗り味以外にもマツダを選んで頂けるような努力がなされています。
そして、その乗り味に一見、解り難い独特の魅力を据えられるのは、そもそもマツダは
全自動車市場の2%のシェアが取れれば良いという戦略目標が明確だからです。別に「ライバル全てを圧倒して世界一に」なんて考えてない、100人に2人に選ばれ続ければ良いから採れる戦術です。
さていよいよ本題(^_^;)。
ボクはSKYACTIV第1世代のオーナーで、愛車のSKYACTIV-G2,5が良くも悪くも基準になります。加えてセミSKYと呼ばれるBLアクセラのSKYACTIV-G2.0に始まって、初期型GJアテンザのG2.5、2015年の商品改良後のG2.5と推移している点、更に
色々と経緯(^^;があって、他の車種も結構、運転する機会があることも前置きしておきます。
第7世代のMAZDA3は今のマツダの最先端の魅力が詰め込まれるのは当然で、それは乗り味に留まらず、スタイリング、インテリア、静粛性、オーディオ等、
今後のマツダ車はコレが基準となって、今後更にレベルアップしていくと考えて良いでしょう。
で、ここで取り上げるのは
乗り味。主査は「4人乗りのロードスターを作る」くらいの勢いで、
ハンドルを握ったときのエモーショナルな部分を大切に開発したと言います。
先ず
ハンドリング。
実はアテンザオーナーのボクをして、先代のBMアクセラのハンドリングはアテンザ比でクイックに感じていました。ハンドルを切ったときのノーズの入り方が自分のイメージより少しだけ大きく(ヨーレートのゲインが少し高く)「クイッ!」という感じにターンインしていきました。それはけっして不快ではなくむしろ心地良いものはあるのですがで、そこがアテンザとアクセラとの個性の違いという理解でした。
ところがMAZDA3は、先代アクセラでボクが感じた「クイッ!」がありません。それは
ボクにとっては自然な動きに感じられて、とても好感が持てました。
ただ、これはアテンザオーナーのボクだからそう思ったかもしれず、先代アクセラのオーナーだったらその「クイッ!」が無くなっちゃったワケだから「ハンドリングがダルに(鈍く)なった」と感じる人も居るでしょうね(^_^;)。
次に
エンジン
SKYACTIV-XのAT、MTそれぞれ試乗コース+αで乗ったのですが、愛車のSKYACTIV-G2.5に比べると、タウンスピードでジワリ、
アクセルを踏み加えたときのツキ(レスポンス)が鈍いと感じました。
マツダは、アクセル操作とエンジンがレスポンスするのに
0.2~0.3秒のラグを作ることによって、ドライバーが
より自然に感じることに気付いて、BMアクセラ以降そのチューニングをしていると理解しています。
新型マツダアクセラの走りの良さは、アテンザよりむしろ上と感じたワケは?(clicccar)
【マツダのクルマづくり~人馬一体編~】“あうんの呼吸”(ZOOM-ZOOM BLOG)
ボクはくしくも、この制御が入る前のGJアテンザから、恐らくこの制御が組み込まれたGJアテンザと乗り継いだ(両方ともエンジンは同じG2.5)ことになるのですが、
乗り替えの前後で特に違和感(反応の遅れ)は感じませんでした。
ところが最新のSKYACTV-XのAT車に乗ったとき「反応が鈍い」と感じちゃったワケですよ。A^_^;)
それはまるで「この0.3秒のタメを0.5秒にした」かのような印象で、アクセルを踏んでも「反応しない」「反応が遅れる」と感じさせるものでした。
実際に0.3秒を0.5秒にしたのかは勿論、解りませんょ(^^;。
「反応しているが、躍度が小さい」とか「排気量が小さくトルクが細いからそう感じさせるだけ」とか、ATの制御プログラムがアテンザ25Sほどアグレッシブじゃないとか、様々考えられて、これは是非マツダのエンジニアに疑問をぶつけてみたいと考えているのですが、、、
ボクがなぜ「0.3秒が0.5秒になったのかも」と疑念を抱いたかというと、愛車以外に旧型のアクセラはじめ、様々な第六世代のマツダ車を運転する機会があって、当然非力なデミオ13Sやアクセラ15S、20Sといったトルクの小さいエンジンに乗った経験が何度もあって、このアクセルを踏み込んだ際の「トルクが細い」と「レスポンスが鈍い」の違いは、ボクなりの理解があるからです。
特にSKYACTIV-Xは排気量が2Lと500cc少ないながら、高応答エア・サプライ(スーパーチャージャー)が付いていてSPCCI(圧縮着火)なので、全負荷時ならともかく、市街地の日常走行といったシチュエーションでの日常的な中間加速(緩加速)域では、G2.5に遜色なく、否むしろ最新型エンジンなんだから、G2.5を上回る自由自在なアクセルレスポンスがあるものと期待していたくらいです。
ところが結果的に、この期待は大きく裏切られたことになります。
この後、SKYACTIV-XのMT車に乗る機会を得て、エンジンの素性に関する理解が深まって、アクセルレスポンスが鈍い・アクセルワークに付いてこないと感じさせる要因にSKYACTIV-Driveの制御が少なからず影響していることは判ったのですが、その影響がないMTに於いてもやはり、G2.5よりもレスポンスが鈍いエンジン、という評価は覆りませんでした。
蛇足ですが、この試乗の後にMAZDA3 20SのAT車に改めて試乗してみたいと思いましたね。SKYACTIV-G2.0はBLアクセラに乗っていた頃にボクにとってはやや非力という最終評価でしたが、BMアクセラに載ったときに最終減速比が見直され、お友達のクルマに乗らせて貰っても、少なくとも市街地や峠で不満を感じたことは無かったので。残念ながらまだその機会はないのですが、、、
そして以上の体験を経て改めて振り返ると、X登場前のMAZDA3の試乗記などで、20SやXDに対して多くのライターが「エンジンがイマイチ」「レスポンスがイマイチ」と書いていたことが思い出されました。
これ、非常に面白い反応(印象)だと思うのですょ(^_^;)。
ハンドリングとエンジンレスポンス。どちらも旧型(第6世代商品であり第1世代SKYACTIV)より穏やかな方向にシフトしたように個人的には感じました。そして
ハンドリングに関しては個人的に
好印象で、
エンジンレスポンスについては
悪印象と、ボクには効果が真逆に出ましたからね。
もしかしたら乗り換えてしまえば、その内慣れて不満は感じなくなってしまうのかもしれませんが、ここでネックになるのが価格です。詳しくは別途書こうと思いますが、例えば予算が400万あったとして今のマツダのカタログを見ると
MAZDA3 SEDAN X L-Package (2WD) \3,380,463
MAZDA3 SEDAN X L-Package (4WD) \3,616,963
MAZDA6 SEDAN 25S L-Package (2WD) \3,635,500 (いずれも税込)
です。価格はほぼ拮抗していて内装の質感、静粛性も遜色なく、オーディオについてはMAZDA3の方が完全に上です。ハンドリングも同等ですが、エンジンはMAZDA6の方が上で、MAZDA3の
Xの明らかな優位点は燃費くらいです(苦笑)。
そもそもマツダは、SKYACTIV-Xは理想の内燃機関を目指したSKYACIVエンジンの第2STEPであって、燃費が良い事だけを目指したモノではないと丸本CEOも明言しています。インタビューで「
走らないけど燃費がいいというのはまったく許せない」と言い放っているワケで、ボクもその辺の事情はよーく理解しているファンだと自負しています。
そのボクをして、今の愛車と新型MAZDA3を比べたら、
丸本CEOが「まったく許せない」と仰る状況なワケですょ。A^_^;)
これで「(走らないけど)燃費は良いしスタイルも内装もオーディオも良いからまぁイイか」と買い替えられるかというと、マツダファンとして
それは出来ない(苦笑)。
SKYACTIV-Xだけではありません。
グループのメンバーには
第6世代から第7世代に買い替えた人が何人も居るんですが、その中でSKYACTIV-G1.5のMTからSKYACTIV-D1.8のAT(CX-30)に乗り換えた人が2人居ます。
busakuクン(
ロードスター)と
cknrtzさん(
アクセラセダン)。
お二人とも
Be a driver.なオフミに買い替え以前から参加してくれていて、コロナ禍で自粛生活に入る前に行われた今年の開幕戦(
関東、
関西)の成績を、昨年の開幕戦と比較してみます。順位は相対的なモノなので、G-Bowlアプリのコーナー平均点で比べてみると
2019(0.2G) -> 2020(0.2G)
busaku 9.60 -> 9.28
cknrtz 9.37 -> 9.55
2019(0.3G) -> 2020(0.3G)
busaku 9.51 -> 9.15
cknrtz 9.35 -> 9.22
車種もエンジンもミッションも変わっているので何かを一概には言えませんが(^_^;)、二人に共通する意見は「アクセル踏んでも加速しない」です(苦笑)。
これは加速度の小さい0.2Gではまだマシですが、0.3G条件にするとアクセル踏んだ瞬間に思い通りに躍度が立ち上がって来ないため、G-Bowlアプリの採点機能における加速点(2点)の取りこぼしが起こります。これに加えてなぜかi-DMスコア5.0点が取り難くなるという問題もあって二人とも苦戦している次第です。
G1.5(MT)からD1.8(AT)という違いはあれど、競技ではどちらも2速で20~25km/h前後からの加速という場面で、ここで「思い通りに加速してくれない」というワケですょ(^^;)。
ボクも何回か運転させて貰いましたが、旋回中に早めにアクセルをパーシャルで開けて立ち上がりに備え、ラグを考慮して早めにアクセルを開けていかないと本当にクルマが前に進みませんでした。
busakuクンなんか対策のために左足ブレーキまで練習したそうでA^_^;)
これが
ワィンディングなど速度域がもう少し高くなればそこそこレスポンスするようにはなるのですが、そもそも第6世代時代のD1.8、或いはD1.5で同じような話があったかというと、ちょっと記憶にないのですょ。D1.5なんてデミオのオーナーさんが大勢居ますからね(^_^;)。
というワケで第6世代から第7世代に乗り替えたら、以前は出来たことが出来なくなった(難しくなった)というのは事実であって、これは良くある「新型になったらXXになった気がする」みたいな
エー加減なw印象ではなく、
然るべきスキルがあるオーナーが類似の条件で走って、走行ログを取って言っている話なので、遥かに説得力がある(故のマツダにとっては重たい)意見だと思うんですけど、、、(^_^;)

で、
なんでこんなになってるの?という疑問。
マツダは人馬一体の追及に於いて、人間の研究をかなり真面目にやっていて、紹介した「0.3秒の反応遅れ」もその結果から導き出されているとボクは理解しています。つまりボクが鈍いと感じるアクセルレスポンスも「これがXの限界でこれ以上の性能が出ない」ワケではなく「ドライバーの意のままを追求すると、このセッティングがベスト」という結論の元にチューニングされたと推察しています。つまり「わざと」「あえて」そうしているのでは?と勘ぐっているワケです(^_^;)。
しかし、それは理論的には理想なのかもしれないけど、現実にボクは「鈍い」と感じているし、XDの低速域でのアクセルレスポンスは明らかに悪いし、山本シンヤ氏は「後味が薄い」と評したり、なんてことが起こっているんです。
こうなると、果たして本当にそれがマツダの目指す理想なのか?その理想を突き詰めていけば目指す世界に辿り着けるのか?なんて疑問が出てくるワケですょ。
ただこれは、他社や昔のマツダ車のようにちょっと踏んでドーンと出るような、そういう味付けを求めているわけではありません。
昨年の日経ビジネスで藤原副社長が「そういうモードを付けるか」みたいな不穏当な発言をしていましたが、、、
藤:ええ。マツダに対してお客様には、「お前らはこうじゃないか」という思いがある。踏めばドーンと来る。ドーンとしたトルクがあって、ちょんと軽く踏むだけで首がカクンと後ろに持っていかれるような加速感を期待されている。でも今回のマツダ3はそうではありません。踏めばスーッときれいに出ていくように仕上げられています。それで「いいクルマなんだけど、ちょっとね」と言われてしまうのではないかと思っています。
いや、世の中にはそう言っている人たちは居るでしょうが、ボクが言っているのは全然違いますから。
F:新しいマツダ3も、強く踏めばそれなりに加速はするのですか?
藤:もちろんアクセルペダルを強く踏めば強く加速するし、ゆっくり踏めばゆっくり出るようにしてあります。
いや、
強く踏んでも期待通りに出ないし、
全く加速しない場面もあるって話なんで(苦笑)。
藤:でもみなさんは軽く踏んだだけでブンと出ることに慣れきっておられるので。今回はあまりにもきれいな優等生的に造ってしまった。そこは反省点です。
ボクはそこが反省点じゃないと思っているから、わざわざこうしてブログに書いているんですねぇ(^_^;)。
藤:踏めば踏むだけ走るというふうに考え方を変えてきて、「人間重視」で造り込んできました。ですからそこは我々が正しいと思っています。
ホントか?(苦笑)
今の仕上りが本当に正しいとすれば、もはや旧世代のSKYACTIV-G2.5(気筒休止なし)で、意のままのアクセルワークを体現していると思っているボクの感覚はどこかおかしい(マツダの掲げる理想とは乖離がある)のか。
もうこうなると、
マツダのエンジニアを捕まえて話を聞かないと解りません(^_^;)。
で、思うワケですね。d(-_-)
マツダは説明が全く足りてない、と。
(1)、
(2)で紹介した通り、マツダは他の大多数の自動車メーカーのような、極普通の「速いのが偉い」「デカいのが偉い」「燃費が良い方が偉い」というわざわざ説明しなくても解る価値観とは、少し異なる価値観を主軸に据えています。
それは
(2)で書いたように非常に解り難いモノなので、丁寧な説明が必要なのですが、それをしていません。
そしてボクのようなファンであっても「あれ?」なんて疑問があったとしても、メーカー側からの様々な発信は
・一般の人たちはXXなのが好きだし、そういう方が解り易い
・しかしこの仕上りが、我々が目指している理想
です。
そういう態度、姿勢で、今後も大丈夫なんでしょうか?(^_^;)
何しろ新型のマツダ車の価格は上がり続けてますし、今後出すLargeモデルは更に上げると言っていますから。
