
緊急事態宣言の延長後、出口戦略とか第2派の備えとか、PCR検査がどうしたこうした、などの様々な議論が巻き起こっていますが、なんでこんな事になっているのか、ボクの見解をこのタイミングで備忘録として書いておきます。
根本的な問題だと思うこと
4月7日に緊急事態宣言を発したとき、政府には
そうする理由と目論見があった筈です。
なぜ緊急事態宣言をしなければならないのか?
それは「感染者の増加が感染爆発しそうになっていたから」でしょうが、より具体的に、例えば「X日間で感染者累計ば倍になり、その間隔が徐々に短くなっている」とかね。
なぜ8割の接触削減を1ヶ月続けるのか?
「人同士の接触を8割削減すれば1ヶ月後に感染拡大を終息させられる」として、これも何か
具体的な目指す絵姿があった筈です。感染者数が何人以下とか、直近1週間の感染者数が2週間前の感染者数より少ないとか。
これらは言葉を変えれば
「開始条件」であり
「終了条件」ですが、少なくとも緊急事態宣言を発出する直前、
この2つは明確にあった筈なのですが、
それが公開されず国民に共有されていません。
新しい感染症ですから、科学に裏打ちされた項目や、美しい数字が当時はなかったかもしれません。何しろ未知のウイルスであり、わからないことが多かったから。
百歩譲って、当時は明確化出来なくても致し方ない、としましょう。
しかし緊急事態宣言が出てから当初の解除期日まで
1ヶ月もあったんですょ。
1ヶ月もあれば、その間に
色々なことが解ったでしょうし、5月6日にどのような状況になれば解除できそうだ、という
落し処を探す時間は十分にあった筈です。
つまり、
本来は緊急事態宣言を発出する時点で定めておくべき解除条件が実は存在しなかった点が問題の根源であり、例え後追いでも
この1ヶ月の間にその条件を明確化できなかったのも問題です。
これは
専門家会議の怠慢と言わざるを得ません。
彼らは専門家として政治に助言する立場ですから、緊急事態宣言を出す/解除するという政策の決定権は持ちません。しかし政府に対して
解除して良い条件、解除してはダメな状況を提言することは彼らの役割(ミッション)です。
そもそも「人との接触8割削減」を提言し、政府が採用したワケです。

しかしソレは飽くまでも理論(理屈・仮説)であって、実際に(現実に)思惑通りに事が進むとは限りません。8割削減が出来ない場合も有り得ますし、理論通りに感染者が減らないなど、様々な想定外や見込み違いが有り得るのが理論と現実の関係です。
つまり専門家会議が緊急事態宣言下の1ヶ月で
必ずやらなければならなかったことは
『人との接触を8割削減すれば、感染者の拡大が終息する』という仮説の検証
でした。実際に人同士の接触は何割削減され、感染者数はどのように減ったのか?

コレ(理論)に対して
実際にどうだったのか?を検証し、報告する義務が彼らにはあった筈なのです。
ボクの感覚では、緊急事態宣言後の2週目以降、人の移動量は平日で5割強、休日で8割強は減ったものの、最初の2週間はそこまでは行きませんでした。
しかも人の移動量と人と人との接触量は必ずしもイコールではありません。
結局、緊急事態宣言下の1ヶ月間を均すと、人同士の接触は何割減って、感染者数はどう減ったのか?当初の理論の通りだったのか少し違ったのか?これは全くに示されませんでした。これをボクは
専門家会議の怠慢だと思います。

ボクが独自に作ったグラフではこうです。
もし先に述べたボクの感覚論が正しければ、この1ヶ月の人の
移動量の減少幅は
5割減程度です。人同士の接触減は解りません。
しかしグラフを見ると、
人同士の接触減が
65%減以上80%減未満の効果が出ているように見えます。
現実には人同士の接触は何割減って、このシミュレーションは正しかったのか?
別に、間違っていたらバカヤロー、と言いたいワケではありません。
この仮説検証の結果が、緊急事態宣言の延長期間にも、宣言解除後の生活様式にも大きな影響を与えますよね?
実際に
この1ヶ月の日本国民の努力(協力)は素晴らしかったと思います。
世界的に見ても、強制力を伴わない要請という形を採って、感染者数を減少させられた国も、死者数をここまでのレベルに抑えられた国も
日本だけです。
先ず
仮説があり、
1ヶ月の検証期間があり、行動変容は十分でなかったかもしれませんが
然るべき結果が出たワケだから、真っ当な
仮説検証を行っていれば、日本では「何割の人同士の接触削減が可能」とか「それによってどの位の期間でどのような減少のカーブで感染者数を減らせる」という相関関係は明らかに出来た筈です。
政府は相変わらず「接触8割削減」を連発し、5月6日以降「緩みがある」なんて発言も出ていますが、もう
感覚論とか根性論でモノ申すのは止めましょうよ。
実際に、人同士の接触を8割以上削減出来た人、減らしたくても減らせなかった人、減らすことを求められなかった人(食品小売り、物流関係者)、減らす気がなかった人(パチンコ屋に行っちゃう人とか)、と協力の度合はマチマチでした。
しかし
これが現実なのです。
相変わらず精神論で「
国民全員、一律8割減らして下さい」と、実現不可能なことを要求することは
全く現実的ではないです。
逆に言えば、仮説検証が明らかになっていれば、今後についても的を射た議論が出来た筈だと思います。
もし
専門家会議が
・この1ヶ月間で人同士の接触は平均的にX割減った
・人同士の接触がX割減ると、どのような減少カーブで感染者数が減るか相関はこうである
・以上の事実から、このままの人同士の削減を続けると何日で感染者数はXX人レベルになる筈だ
という仮説検証を明らかにした上で、それを受けた
政府が
・専門家会議の仮説検証に基づき、1日の感染者数がXX人以下を目指して緊急事態宣言期間をXX日間延長する
という説明をしていたら、多くの国民が状況を理解は出来たと思いますが、そうではないから「5月末にまた延長になるんじゃないの?」と不安になるワケですよ。
現実問題として不毛な議論をしている暇は無くて、
議論すべきことは他に沢山あります。
先ず、解除条件は何も感染者数だけではありません。そもそも
緊急事態宣言の目的は感染者数を減らすことの他に、都道府県知事に強力な権限を与えて、
感染者の受け入れ体制を整えさせることでした。これがちゃんと出来ているかがひとつ。そしてこの1ヶ月間の経験から、
医療崩壊を起こさないためのポイントも明らかにする必要がありました。単純な患者数と病床数の関係に留まらず、
・円滑な受け入れ(入院)が可能なのは、一日の感染者が何人までなのか
・感染経路を追えるのは、一日の感染者が何人までなのか
・一日の感染者の中で、傾向として無症状・軽症者と、中等症以上の割合とか
などです。当然、都道府県毎に具体的な数字は異なりますが、逆に言えば都道府県毎に一日の感染者数が「XX人以下」になれば解除が可能、「XX人以上」になれば再宣言のボーダーラインになります。こう云われれば誰でも「なるほど」と思うでしょう。
そして相変わらず議論が紛糾している
PCR検査について。
ボクはかなり早い段階で
日本がPCR検査数を絞っていたことは正解だったという見解でしたが、この1ヶ月で状況の変化と共に、色々なことが解ってきました。
最近は韓国などに倣って兎に角、
出来るだけ多くの国民にPCR検査を受けさせるべきだ、と強硬に主張する人も要るようですが、
ボクはそうは思いません。しかしながら緊急事態宣言下でありながら、
PCR検査を受けたくても受けられなかった、そしてそのために命を落としたかもしれない方々が居た状況、
これは絶対に解消しなければなりません。症状があろうがなかろうが、ご本人が希望し、医師が「絶対に不要」と断じない限り、敏速にPCR検査が受けられる体制には持って行くべきだと考えます。そのためにキャパを増やすことは必要だと思います。
しかし、、、
全ての国民にPCR検査を受けさせることが、何がしかの解決に繋がるとは思えません。したがって「出来るだけ多くのPCR検査を」と主張する連中が、ボクには
馬鹿に見えます。
理由の一つ目
もし「全国民が毎朝一斉にPCR検査をして、その場で結果が判る」のであれば、全国民を対象にやる価値があるでしょう。しかしこれは
不可能です。
昨日検査して今日、陰性と判定された人が、3日後に感染することだってあるでしょう。どんなに検査数を増やしても、
無症感染者を全て明らかにして隔離することが不可能なのは、残念ながら韓国が証明してくれました。新規の感染者数をあれだけ少なく抑え込めていたのに、たった一人の感染者があっという間に数十人に感染を広げてしまうのがこの感染症の恐さですが、彼は一体いつどこで誰から感染したでしょう?
いずれにしても、感染を広げる
無症感染者という存在が居て、彼らを
全て見つけ出すことは困難という他国の事例が既にあるのだから、膨大な時間とコストを掛けて「出来るだけ広く多くの人にPCR検査を」という考え方は、費用対効果という観点から言っても全くの
無駄な努力だと言えます。
理由の二つ目
仮にPCR検査をいくら拡大しても無症感染者を全て見つけ出すことが不可能だとすれば、
検査の目的を再定義する必要があります。
感染者を特定する目的は飽くまで「
適切な治療を行い患者を死亡に至らしめない」とすれば、
検査対象は症状が出た人に限定されます。しかし感染を広げる可能性がある
無症感染者は野放しになりますね。
それで良いのか?
ではなくて、、、(^_^;)
一定数の無症感染者が市中には存在し、彼らを全て補足することは不可能ながら、しかし
いつまでも外出自粛で行動の自由も、経済活動を止めているワケにもいかないのだから、
一定数の無症感染者が野放し状態である前提で、どのように国民の自由な行動を確保し、経済活動を再開させれば、感染者数を一定レベル以下に留められるのか?この
具体的な方法に関する議論を始めなければ、いつまで経っても緊急事態宣言状態から抜け出せません。
仮に政府が緊急事態宣言を解除しても、国民が感染拡大を恐れて萎縮しては経済活動はままなりませんし、解除に伴って無邪気な行動を取られて再び感染拡大が始まったら、また緊急事態宣言状態に逆戻りです。
この議論がTVを見ていても具体的、かつ有意義に行われているとは言い難いです。で、眺めているとPCR検査拡大論者は「
PCR検査数が少な過ぎる」ことを理由に
思考停止しているように見えます。
それじゃぁ何も前には進まんでしょ(^_^;)。
日曜日のフジテレビの
討論番組に田中修治氏(OWNDAYS 社長)が出ていて
極めて真っ当な主張をされていたのが印象的でしたが、彼と他の出演者の違いが何なのか?といえば、それは実際にビジネスをやる当事者か否か、だと思いました。
田中氏の主張は
・緊急事態宣言は延長されたが5月6日以降、一部の店舗は営業を再開せざるをえなかった
・今、もっとも大事なのは「感染拡大を防ぐこと」だが、店舗再開のガイドラインはおろか、何がリスクなのかが何も示されていない
・このままでは休業を続けられない店舗が無対策で営業を再開し、感染が再拡大するリスクがある
といった感じでした。全くその通りだと思います。
国は業種業態毎のガイドラインを作って公開する心積もりのようですが、その前に
ガイドラインの前提となる情報・事実を先ず公表すべきです。そうすれば田中氏のような賢い・かつ現場感覚のある経営者なら、リスクの高い事は避け、リスクが最小化するようなルールを自分で作れるでしょうし、もし業態によってリスク回避が困難であれば、営業再開を断念する判断も出来るでしょう。
つまり問題は営業を再開したとかしないとか、ガイドラインがあるとかないとかではなく、
国民がどうすれば良いかを考える材料すら提供されないことなのです。
例えばコレ。

10代以下の感染者数は、全体から見れば著しく低いです。これは学校を早々に休業して行動の自粛を強いてきたからでしょうが、子供たちの学業再開は大きな問題になっています。果たして
10代以下の若者、子供たちの感染リスクは高いのでしょうか低いのでしょうか?
緊急事態宣言下でも、スーパーをはじめとした小売り店は営業を続けてきました。多くの人が買い物に出掛けて3密になると問題視もされましたが、実際問題として
スーパーで感染した客、或いは従業員は居たのでしょうか?
GW前、そしてGW明け後も平日は人の移動が増えます。これはデータにもハッキリ表れていますが、テレワークが出来ない業種や会社の人たちは通勤せざるを得ません。
通勤経路の電車の中で感染した人はこれまで一体何人居たのでしょうか?
厚生労働省がLINEを使って行った聞き取り調査では、接客を伴う職業の発熱の割合が他の業種に比べて著しく高い、ということが解ったそうです。ということは逆に言えば、
接客を伴わない業種・業態での感染者はどの位、居たのでしょうか?
休業要請に応じなかったパチンコ屋と、そこに通う客がTVでも取り上げられ度々問題視されてきましたが、
実際にパチンコ屋で従業員、客を問わず感染者は何人出たのでしょうか?
こういった疑問の答えは全て、専門家の見解でも何でもない事実(Fact)ですが、
こういった情報は何も公開されていません。公開されなければ我々国民は何も
判断が出来ません。
判断材料が無いんだから。
緊急事態宣言を発出する前の4月初旬は何も解らなかったため「3密を避ける」というルールに基づいて、怪しい所を一斉に全部閉めさせたのは仕方がありません。しかしもう1ヶ月経ったワケだから、解ったことがある筈です。勿論全てではなく、依然として解らないこともあるでしょうが。
それらの「何が解って」「何は未だに解らないのか」が何も示されず、何が「リスクが高く」何が「リスクが低い」のかを判断する材料もなく
ただ闇雲に「引き続き接触8割削減」ってどうなの?と、ボクは思っているワケ(^_^;)。