日本には
フィルターを介してしか、情報が伝わらないのでピンと来ないかもしれないけれど、欧州の幾つかのメーカーはただ今大ピンチの真っ只中。多分、想像しづらいレベルで危機感あります。
例えばPSA、つまりプジョー・シトロエングループだ。
最近元気ないな、プジョーと思っってたら案の定、次々工場を閉鎖する話が・・・
ええっ?でも、208の出来もいいし、207や308てっ結構売れてなかったっけ?と思うかもしれないけれど、
207って実は売られた直後に『全く儲けがない車だ』という話が内部からもれてきていた車でもあった。
とりあえず、メーカーの存在感を誇示するために「赤字覚悟でやってます」という車って実は結構存在します。レクサスLFAもそうだし、初代プリウスなんかもそう。
最新型ヴィッツやアクアなんかも、車本体には儲けが殆どないという話もある。
(その後のメンテやサービス、アクセサリーあるいはメーカーオプションは儲かるのだろうけど…)
そう、「最近のプジョーは決して悪くない。508はドイツ車と比べたってひけをとらない」と、絶賛していた日本のモータージャーナリストもいた。
だが、売れていない。
ドイツ風味に染まったフランス車に乗るくらいならドイツ車に乗るか、
もっと味がなくてもそこそこの値段で、そこそこのスペックのフォードやヒュンダイでいいよと思うプジョーユーザーが増えたからだ。
その挙句、プジョーはオペルとの合併を画策しつつ、フランス政府からの援助金で食いつなごうとしている。
オペルは欧州では売れている実力派だし、政府が助けてくれるなら大丈夫だよね。
とか言うコメントを日本のジャーナリストが書きそうだけど《笑》(例外はドイツ在住のKさん)、僕はそんなに簡単な問題だと思わない。
オペルは日本では売れませんでした。
何故か?
そこそこまともな車を作るんだけど、「感性に訴えかける魅力が希薄だから」だと思う。
日本は自動車大国なのでいくらなんでも、「ただドイツ製だから」という理由だけのそんな車は売れません。国産の車も日本市場のニーズに合わせてよく作られてもいるので。だから、日本では売れなかった。
じゃあ、何で欧州では売れているの?と聞かれそうだけど、
それはズバリそこそこまともな上に安いから。こっちだとオペルはトヨタやホンダよりも安いイメージです。つまりドイツブランドの廉価メーカー。
最近、欧州ナンバーワンの売れ行きを誇るフォードフィエスタにも同じことがいえます。
そこそこ装備が充実していて他車よりかなり安い。僕は歴代のフィエスタをレンタカーで試しましたが、自分で保有したいと思ったことはありません。なぜなら、
自分の美的センス(一応美美術も専門です)に訴えかける部分が希薄だし、ファントゥドライブも感じられないからです。
(まあ、この会社がそこを訴求していないのは明白だけど)
熱烈な欧州フォードファンのエンスーってのを欧州で見たこともないし。
そうそう、表の業績では上
位であるフォードも、メイン工場の一つであったゲントを閉鎖して、C-MAX増産の話も流れるようです。安くした分、完全に自転車操業になっています。
プジョーが頼みの綱にしている社会主義的政策の実現を謳うフランス政府の実情も厳しく、実は大会社の面倒をみる余裕は殆どありません。この国はギリシャ以上の公務員大国でおまけに超福祉国家でもあります。
欧州の殆どでエコ減税が終わった後も、それぞれのメーカーが自腹で大バーゲンで車の放出セールをやっていると言うのに、売り上げはどんどん息切れしてきています。
少しずつ、欧州全体に暗雲が立ち込めています。
それでも、ポルシェやフェラーリは販売記録を毎年更新し続け、急成長。
勿論、これも新興国の成金が生まれている間の話ですが…
なんか、今回かなり暗い話を書いてしまったけれど、
情報がいつも後追いで正しく伝わってないなと思うことも多いし、それで損する人も結構いるよなあと感じたりするのでたまには上辺のイメージ論ではなく、現地事情に密着した真実が伝えられてもいいかな、と。
これからの欧州はますます本格的プレミアム・コンパクトや質実剛健で車を使い倒すような車好きと、ただの実用品と割り切って「そこそこ車」を買う購買層の二極化が進み、メーカーの淘汰が進みそうです。
悲しいのだけれど、サーブが没したあともまだまだメーカーは消えていきそう。
プジョーは「ドイツ味」を目指す必要はなかったのになあ。僕はちなみに208はあんまり…
意味もなく小さいハンドルが総てを象徴しているなあ・・・
ピニンのデザイン際立つ306cc辺りは素敵だったのに、と思うのは僕だけですかね。
シトロエンは近年よくなってるのに誠に残念。
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Posted at
2012/10/28 08:11:37