今日 所沢まで その咆哮を聞きに行ってきました。栄二十一型(ハ一一五) 複列14気筒と 言えばピンとくる方も多いであろう名機中の名機 零戦五二型 生で栄の咆哮を聞けるのは おそらく これで最後になると思う。始動は ゴツゴツとした堅さと漲る力の中で目醒めていった。数度のストール。 響きわたるバックファイア。吐き出された白煙。数秒の間を置いての再始動。滑らかに始動した栄は 重たげな音で暖気を続けていく。暖まるに従って 徐々に音が変わっていくゴツゴツとした荒さが消え 滑らかな14気筒がまるで呼吸でもするように安定した回転を続けていく。生きている。 いまでも生きている。その昔 若い飛行士たちは この音に包まれて出撃していった。そして この音の中で 絶命していった。たくましく 哀しい咆哮に聞こえた。ストールし 黒煙や白煙を吹き 命ごと途絶えていく音に包まれバックファイヤの音の中 彼らはなにを思ったのであろうか。滑らかに回転を続け 基地にたどり着いた者は なにを思いこの音を聞いていたのであろうか。今日我々が聞いていたように 基地で彼らを迎えた者たちは この音になにも思ったのであろうか。。約10分の運転の後 静かにエンジンを止めた零戦は。。。言葉にできなかった。 今でも 言葉がみつからない。戦後 アメリカで整備され続け 今回 所沢に戻ってきた零戦。ポスターには 零戦来日! とあった。 なぜか 悔しかった。この零戦は 命を乗せて飛び そして その命と共に散り 敵の手によって整備され 帰国の日をまっていたのではないのだろうか。散っていった命と共に 再び日本の土を踏みしめる日をまっていたのではないのだろうか。飛ばしてやりたかった。 平和ボケと言われるほどに平和な空を自由に駆け回らせてやりたかった。 そして 兵器として飛んでいたのだ ということを ボケにボケた日本人の目に焼付けさせてやりたかった。栄二一型のバックファイヤは 今の平和ボケした我々に カツを入れているような気がした。。 これは 兵器なのだ。。。と。逞しく哀しい音が直前まであられの降っていたのがウソのように晴れ渡った空に吸い込まれていった。日本の空気はうまかったか?