
アテンザワゴンの試乗のあとは、CX-5の試乗。
先程最新のフォレスターに試乗したばかりなので、比較がしやすい。
試乗とは絶対評価ではなく、何かしらのリファレンスとの比較で印象を持つもの。乗り慣れてないSUVに乗った直後なので、よりはっきり分かるだろう。
外観はパネルの繋ぎ、プレス面の仕上がりがいい。原価が安いクルマなんだろうけど、安く見せないようになっている。その点はアテンザも同様。
インテリアの雰囲気はアテンザと同じ。ステアリングも、インパネも、エアコン吹き出し口も、各ボタンやインタフェースの位置も同じ。同じコンセプトでデザインされている。
一時期のホンダもこんなだった。座った景色が高級車も下のグレードもあまり変わらない、ハンドルが全部同じだ、などとネガに言う人もいたけど、正しいマンマシンインタフェースデザインはそんなにないはず。メーカーで似たような物になって当然と思う。ファミリーフェイスと同じ。
座ると自然と足の先にペダルがあり、ステアリングに正対する。手を伸ばせばステアリングがある。シードのホールドはタイトではないが、姿勢は綺麗に保てる。
座れば自然とポジションが決まり、体のどこかにストレスが掛からないのがマツダ流。これはフロントホイールハウスが干渉しない位置までトゥボードを下げて、アップライトに座るようにパッケージしないと、前席が後方にずれ込んでリアシートが狭くなってしまうのだけど、CX-5のようなパッケージならリアシートは犠牲にならない。
走り出すと、足の動きにまったく嫌な感じがない。安定していて、挙動が大変素直。ギャップのいなしはアテンザよりもよく、かといってフワフワしたような感触はない。しっかりと、まっすぐに走り、自然とロールして曲がり、急激なノーズダイブやピッチングもなく停まる。
思っているような動きをしない、いつも何かクルマの挙動を気に触るフォレスターと比べて、雲梯の差。非常に自然で、素直で、運転しやすい。それは乗り心地がいいという言葉に置き換えられる。
逆に言えば、乗り味にキャラクター性がない。そんなものが必要かどうかはあるが、運転して印象に残らないかもしれない。しかしそれは素晴らしいことだと思う。
タイヤからの音としてのノイズと、手に伝わる振動も、フォレスターより少なく感じた。
リアフロアのドラミングは感じられず、この点でもフォレスターよりも落ち着きはある。その代わりに、全体的な室内の静寂性はフォレスターのほうが上ではないかと思う。
強めに曲がったりしていないのでコーナーは分からないが、タイヤの接地感はよいし、思った以上にロールすることもない。切り足さなくても戻さなくてもいいハンドリング。
この点でもフォレスターのSUV的な曖昧な感じとは異なる。
営業マンはGベクタリングコントロールのせいじゃないですかね、と言ってたけど、そうだとしたらどこで介入されたのかまったく分からないチューニングだと思う。
ボディのがっしり感は、フォレスターに及ばない。あちらの方がA、Bピラー根本付近ががっしりしている気がする。
CX-5は全般的に剛性感や静寂性などに関わるコストが、フォレスターよりも掛けてないんだと思う。
過剰にコストを掛けないようにギリギリのバランスをとった、という感じ。その点でフォレスターは、ちょっと格上の車格に感じる。
エンジンのフィーリング、トルク感はまったく問題ない。速くはないが遅くはない。
アテンザもそうだが、気筒休止システムがあるようだが、全然わからない。試乗コース程度では止まってなかったかもしれないけど。
さて、結論。
フォレスターとCX-5を並べ、これから500kmを運転すると言われたらCX-5を選ぶ。迷うことなく。
運転しやすく、嫌な部分がない。素直な乗り味。多分疲れないし、踏めると思う。
いいクルマだと思います。特に特徴はないし、自慢できるところもないかもしれないから、愛着がわかないかもしれない。でも道具としてはとてもいいクルマだと思います。
マツダの2台に乗ったのだが、ちょうどいいタイミングで読んだ本とサイトについて、話は続く・・・。多分。多分ね。
追記:
アテンザ、CX-5に乗った後、自分のクルマに乗ったところ、車高の低さ、シートの座り心地、ハンドリングなどから安定感と接地感が良く、挙動がやさしくて乗りやすい。
フロントの車高を下げていることによるネガはあるが、そもそも足回りの素性がいいクルマなんだと思う。
静寂性はやっぱり最新モデルには劣るが、元ががっしりしているボディに防振処理と防音処理を加えているため、部分的には負けていないフィーリングがある。十分に良いクルマだな。
ガラスからの音の侵入と、内装の立て付けの悪さからくるノイズはNGだけど。
2018/08/21追記:
清水和夫さんのダイナミックセーフティテスト、CX-5編を見つけた。
これを見れば足、操縦安定性の出来がよくわかります。特にウェット旋回。
ダブルレーンチェンジ
ウェット旋回
Posted at 2018/08/20 23:09:56 | |
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試乗記 | 日記