2020年02月12日
近所のホンダにて。
インサイトは国産車で一番気になっていた車。
昨今のホンダ車、特にハイブリッドなどの、普通のエンジン車じゃない車の仕上がりがとてもいい。そんなホンダの普通のセダンスタイルの車として、もっともお手頃価格と思われるインサイト。その出来栄えが気になるところ。
以下、箇条書き。
殊更に燃費スペシャルにしていないのが、各部の設計を見ていると汲み取れる。
フロントホイールハウスはエアロカーテンになっていないし、CR-Zのようなホイールアーチの後方側開口部の、気流を抜けやすくするような丸みを帯びた形状もない。
エンジンルーム内の空気は、アンダーカバーを長めにすることで、バルクヘッド側から下に流す構造。ボンネット側やフロントフェンダーには、特にコストを掛けてまでの空力的工夫は見られない。
リアスポイラーはダウンフォース向上ではなく、ドラッグ低減を狙ってトランクリッドを延長するような形状になっている。リアの絞り込みもスムース。
全体として、お金の掛からない範囲で、賢く手堅く空気抵抗低減を目指しているようだ。
走りについて。
エンジンは、モーターのトルクとレスポンスを上乗せして、ツキのいいターボのような加速をする。モーター音、回生音が静かで、よくできたターボ車みたい。
モーターだけの走行範囲は狭く、ほとんどエンジンが回ってる感じのセッティングだが、たぶんそういうフィーリングになるようにしてるだけで、うまくモーターを制御しているのだと思う。
総じてエンジンのトルク感、加速、レスポンスは、とても良い。素晴らしい。文句ない。
ハンドリングは、低速では舵角多め、速度が上がってくると少なめになる、バリアブルレシオステアリングな構造。だが、それに違和感はない。だから普通の速度域では結構スポーティな感じ。
シートがセダンにしては低く、路面が近い。ハンドリングとエンジンレスポンスと合わせて、非常にスポーティな印象を受ける。
シート自体は乗っていて何も違和感がなかった。ホールド性はまあまあ、座り心地も悪い感じはしない。
しかしリアシートに座ると、天井が低く、シートも低く、サイドも倒れ込んでいるから、頭のまわりと視界はあんまり気持ち良くない。足元は問題ないが、リアの居住性は犠牲になっている。
この車、セダンが欲しい人はSUVに流れたので、スポーツカーが欲しい人向けに作られている気がする。
トランクは、クッソ広い。何を乗せるんだ?ってくらい広い。
気になったところ。
終始気になったのが、案外うるさいこと。エンジン音ではなく、周りの音が結構入ってくること。「あれ?こんなに外の音が聞こえる車、久しぶりでは?」って思ったくらい。
アイドリングストップするから、信号で停車中に余計に外の車の走行音、喧噪が入ってきて、うっとおしく感じた。多分ガラスが薄いのと、室内の吸音材が少ないと思う。
後で自分のSVXに乗ったが、こっちのほうが全然静かで安らげた。
もう1つ気になったのが、サス。
タイヤは215/50-16という良心的なサイズだったのに、街中の路面のうねりやギャップで、結構上物が揺さぶられる。この感じも今どきの車としては珍しい。
疑問に思ったところ。というより、致命的に思ったところ。
ブレーキアシストが30km/h以下は効かないらしい。だから渋滞での徐行中は、ぶつかるそうだ。
ただしクルーズコントロールをONにすれば止まるらしい。クルーズONのときだけ、オプションでレーンキープボタンと、車間キープボタンがONにできるらしい。なんで同時にONにならないのかっていうと、それがお客様要望らしい。
何キロだろうが、特に渋滞で徐行中などは停止すべきだし、レーンキープと車間キープを分けなくてもいいと思う。
むしろ、クルコン関係なく、車間キープはONにしたら効いて欲しい。
どうも制御系が、あって欲しいもの、実用的なものとは異なる印象を受けた。
こちらの期待している効果と、システムの仕様が異なる感じ。それも、誤解と危険性を伴う感じで、よくないと思う。
総じて、エンジンとハンドリングは良いが、意外とうるさく、セダンらしいくつろげる感じが薄くて、リアシートの居住性が悪くて、スポーティを狙いすぎているのではないかと思った。
このご時世、セダンがスポーツカーのジャンルというのは解るが、ちょっと大きいボディサイズも含めて、もう少ししっかりとセダンであって欲しいと思った。
点数をつけるならば、ホンダならクラリティPHV、アコードハイブリッドの下になる。75点、ってところかな。残念だ。
Posted at 2020/06/11 12:56:22 | |
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