さて、曲がるにあたり、車の重心の立場になると、フロントタイヤとリアタイヤの横力の合力に支配される。
副読本の頭文字Dも横力に前後力を加えて、ストーリーが綴られている。
2)車の向きを変える話。
走ってる時は、水の上を漂い、タイヤの出す前後左右の力で動いていると思ってくださいな。
なんか、地面にタイヤがくっついてる感覚が、この後の話の邪魔になります。
フロントタイヤの横力の出し入れは感覚的に分かると思います。ハンドル切る、戻すですね。
ハンドルを切るとフロントタイヤに力が出て、車は内側に向くヨーが発生し、向きを変えて回転半径を小さくします。
ハンドルを戻すとフロントタイヤの力が減り、車は外側に向くヨーが発生し、向きを変えて回転半径を大きくします。
ところで、リアタイヤはどうなるのか?
車の向きを変えて、進行方向に対してタイヤを内側に向けて力を出すわけである。
だけどフロントタイヤの様に自在に角度をつけられないので、進行方向に対して車の向きを変えて使うわけである。
車の車体の進行方向とタイヤの向きの差(スリップ角)がハンドルになる。
一方、車の向きを自在に変える訳に行かない。
想像して欲しい、宙づりにした車の向きを変えることを。
車体の回転モーメントの影響を受けるわけである。
操縦安定性がいいクルマ程、スリップ角が小さくてもタイヤに横力が発生する。
教科書によると、0.3Gのスリップ角は1.3度。 私の計算でRS4で0.9度。 これで、リアタイヤ2輪で227kgfを発生させなければならない。
リアの横力をしっかり出すためには、可動部の塊りのサスの関節とサスのボディーの取り付け部とをしっかり作らないといけない。
ト○タのように、操安で人は死なない、クレームは来ないという社訓を元に、ブッシュを乗り心地、騒音、耐久性に振ったのでは、サスがプラプラでスリップ角が付かないと、横力が出ない。
サスの剛性は高く、で、振動は防ぐ。
いいクルマはここにカネを掛けている。
欧州御三家が揃って、フロントストラット、リアダブルウィッシュボーン/マルチリンクを採用するのは、伊達や酔狂ではなくて、物理なのである。
先の例で、コーナリングで追いハンドルを切る。
フロントタイヤは横力が出る。 車は内側を向く。
そしてリアタイヤの横力が出るまで、どんどん車が向きを変える。
最悪リアタイヤの横力が遅れて、足りないと、車がさらに内を向いてスピンに至る。
スピンモードに入ると、プロのGT500レーサーでも、お釣りを貰って立て直せない。
そのままスピンした方がマシかもなんだが、ジムカーナでもやり慣れてないと普通の人では逆ハン切って、お釣りを貰って、発散してお終いです。
で、無事リアタイヤが力を出すと何が起きるか? 車の向きを外に向ける方向に力が発生して、ヨーが収まるのである。
その結果、車の向きは変わらない=曲がりにくい=アンダーステアとなるわけで。
ということで、
アンダーステア:リアタイヤの横力が出易い車 (SR4)
どんどんヨーが消えます。
オーバーステア:リアタイヤの横力が出難い車 (EUNOS100)
どんどん頭がコーナー内側に入っていきます。
ニュートラルステア:フロントタイヤの出す横力とリアタイヤの横力がバランスの良い車
ただ、オーバーステアと言っても、基本的にファイナルアンダーステアにチューニングしてあるので、ハンドリングの傾向みたいなイメージです。
といいつつ、アンダーステアはやっぱり曲がらないのが実感です。(どっちやねん(笑))
交差点でEUNOS100の挙動とRS4の挙動は全然違います。 分かりやすい。
EUNOS100は鼻先がすいすいコーナーに入る。 向きを変えながら交差点に入り、後輪にスリップ角が付く頃には90度向きが変わってて、さっさとハンドルを戻して(=カウンターを当ててる)、はい直進みたいな交差点のコーナリング。
とっても走り(曲がり)易い。
一方RS4はハンドルをどんどん切らないと、後輪にスリップ角が付く端からヨーを消してしまう。
車の応答の良さで判断した交差点入口のヨーが、どんどん消えて行ってしまう。
狭い交差点出口では、おっとっとと、待ってる車に当たってしまうと、追いハンドルが要る。
直進性と曲がり易さが裏腹になっている。
FF車とFR車に乗っていれば、納得できると思うのだが、なかなかそんな奇特な人は居ない(笑)。
公道では、オーバーステアの車が扱いやすい。
結構オーバーステアなEUNOS100とドアンダーステアのRS4を乗り継いだ私の感想。
さて、これが高速道でのコーナリングやレーンチェンジになるとどうなるかは次回。
Posted at 2020/08/13 20:16:17 | |
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5番勝負 | 日記