乗って参りました!サーキットでエボXに!
第3回目となるドライビングアカデミーはわざわざ北海道で開催してくれ、開催場所の白老カーランドに行って来ました。
実は参加費も少々かかるのとメット&グローブを用意しなくてはならなかったので(今まで持ってなかったのが自分でも意外だったのだけど。笑)何だか面倒でそれほど乗り気ではなかった…。
それでもまあ多数の応募の中から選ばれたのだし、貴重な経験となるはずだから家族サービスを我慢してもらって参加となった。
当日のメニューは中谷明彦講師による車両の運動力学から使用するエボXの特性などの座学に始まり中谷講師の先導の下、メインコース走行が午前と午後。
ドリフトコースにも使われてるというミニコースで三菱自動車・実験評価ドライバー2名の指導の下、エボXのS-AWCの各モードの特性の差を学習。
最後に中谷明彦講師ほかラリースト・田口勝彦講師のドライビングによる同乗走行。
さてまず早朝8時に集合し、受付時におおよその自分のドライビングレベルを申告。
「速い」(サーキット走行経験者)・「普通」・「ゆっくり」というレベル分け。
そこで僕はサーキット走行経験もそれ程無く、又、速い車で飛ばすというのはGT-Rを降りて以来でブランクがあって多少ビビってた事と、そして何より他の参加者の方達の車や持って来てる有名ブランドの高そうなメット&グローブを見ると、どう見ても本気モードであると思われた為ゆっくりさんで申告。
まあこれは当然でしょう。他の方に迷惑かけたくないんでね。
ちなみに僕はモベっちで登場(笑)
しかも参加費は前もって支払ったものの、アカデミー当日に別の予定も入りそうな気配だったので、参加するかどうか直前まで迷った為に急場しのぎのドン・キホーテで買ったなんちゃってメット&レーシンググローブと完全にナメた参加者でした(爆)
それでは午前のメインコースでの1本目。
ここでは基本的な機能習得。
SSTのノーマルモードから始まりスポーツモード、スーパースポーツモードへと操作し、マニュアルでの操作も体感。
各モードの差を明確に習得出来ましたね。
やはり3種のモードを用意した意図がしっかり理解出来ました。
ま、こまかい事は置いといて数年ぶりに走ったサーキットは楽しい!
ホームストレートは安全を考慮して最終コーナーからスタート地点までは60km/hの走行となるも、そこから1コーナーまでは全開で、そこは流石ランエボ!150km/hにもなる。以前にアコードで最終から全開で走ってもメーター読み190km/hに届くかどうか(と言うかリミッターが効いてないから180km/h手前かな?)だったのでランエボの速さが光る結果でしょうね。
ゆっくりさんクラスを考慮してか中谷講師は各ブレーキングを早めに取るものの、僕のドライブではかなり突っ込んで160km/hに届く勢いだった。
それでも車に余裕がある事と公道ではなくクローズドサーキットなので安心、安心。
ここで確認出来たのはやはりサーキットではS-スポーツモードが一番合ってると言う事。
パワーバンドに乗せた高回転モードと言うべきで、ここまで上手にギアをセレクトしてくれると特別なシチュエーションでも無ければあえてマニュアルセレクトしなくとも充分でしょう。
そしてもうひとつAYCがサーキットでは本当に明確な動作が感じ取れた。
何しろ今までの経験からスロットルペダルをこれ以上踏むと外にはらむというポイントから更にリアタイヤの駆動力を持ってヨーを発生させるという動作が本当に良く効いてる。
以前にもAYC搭載車には乗った事はあるのだが、さすがに今回はサーキット走行というだけあって存分に味わえた。
次にメインコースよりスピードレンジの低いミニコースでASC、AYCの効果をより簡単に試す走行を4本。
ノーマルモードASC/ON~スポーツモードASC/ON~スポーツモードASC/OFF~3本目と同様のセットで思いっきりアタック。
各1周ずつして戻り、実験評価ドラーバー両氏より走りのアドバイスを貰いながら次のアタックとなる。
まず1本目。
ノーマルモードは一般道などの通常走行のプログラミングなので、全開走行におけるギアセレクトは少々かったるい。
更にASCによるスロットル制御も介入してるので余計に吹け上がりが遅い。これはまあドライビングが雑だって事なんでしょうねぇ(笑)
次に2本目のスポーツモードに。
こちらはギアセレクトは元気になるものの、それでも先に体験したS-スポーツほど高回転を維持しないので全開走行にはまだ合うセットではなく、これはやはりワインディングを流すセットなのでしょう。
しかもまだASCがONの状態なのでスロットルやブレーキでの車両制御は入る。
ここでアドバイス受けた事はブレーキを奥まで突っ込み過ぎで結果的に出口の踏み込みが遅れてるそうな。
「タイヤのグリップの摩擦円をもう少し上手く使える様にブレーキを少し早めに踏んでみてください。」と。
3本目のASC/OFFモード。
2本目にアドバイスを受けた突っ込みを我慢してあえて意図的に出口で踏み込む。
すると入り口では多少物足りないものの(笑)AYCが効いてリアが回り込む。
ただASCをカット状態なのとかなり強めに踏んで勢いが付いたのか次のコーナーに向けてブレーキを当てるとリアからスライド気味で若干カウンターを当てる修正が必要で外にはらんで行ってしまう。
ASCカットによりスロットルのレスポンスは良くなったが、逆にドライビングの粗が目立つ格好となったのも事実(汗)
まあ、公道ではなかなか出来ないのであえて強引さを出しての結果なので気にしない、気にしない。
ここで貰ったアドバイスは「ちょっと元気に行きましたね。外に行きそうになりましたもんね(笑)ASCの効果がおわかり頂けたと思います。」
最後に4本目。
「AYC・ASCの効果を理解された上で最後の一本は思いっきり行ってみてください!」と言う事なので、ブレーキを注意しつつ思い切って行く。
やっとこ姿勢を乱す手前を維持しつつ各クリップを取れる走行となった。
走り終え車を降りた所で最後のアドバイスを貰う。
実験評価ドライバー(以下、実):お疲れ様でした。いかがでした?以前にモータースポーツなんかやってらっしゃいました?
僕:いえ。でも速い車は好きで乗ってたんです。
実:ブレーキは少し突っ込む感じですけど、全ラップでステアの切り方は摩擦円を上手く使う感じでブレーキを使いながらじわ~っと切れてますよ。なかなかああいう風に切れる方っていらっしゃらないんです。修正も当てられてましたしお上手ですよ!
僕:ホントですか!?ありがとうございます。ブレーキはめちゃくちゃ効くんでどこまでも行ける気がして…(笑)
とまあこんな感じの褒め言葉を頂き、正直嬉しかったっす(笑)
それから午後のメインコースの2本目の走行。
2本目は1本目より多少ペースを上げた走行となり、最終的にはASCカットでの走行で、あくまで自分の技量の範囲、自己責任で付いて来いと。
それでもゆっくりさんを意識してなのか自分としてはもっとペースを上げて行って欲しい気もしたが…。
恐らく中谷講師の6~7割のペースなのだろうが、その程度だといくら突っ込み過ぎの感のある僕とはいえブレーキングポイントが手前で確実にあまり気味。
さらにもう少し踏み込んで行けるポイントもペースを緩めるせいで詰まってしまったのが残念。
まあそれでも僕の後続は付いて来れなかったようなので悪いペースではなかったでしょう。
ここでは本当にASCの効果が改めて実感出来た。
意識して突っ込むとブレーキを駆使して向きを変えてくれるし、中~高速コーナーなんかではブレーキを当ててリアがブレークしそうなのを抑えてくれる。
最終的にはASCカットで周回する訳だが、同じドライビングをすると特にスピードの高いコーナーで如実に違いが出る。
僕のドライビングレベルでも前輪に荷重を与える為のブレーキを当てると中谷講師お得意のゼロカウンター状態に持ち込める。
これは僕なんかよりももっと次元の高いスキルのドライバーであれば存分に楽しめる事と思う。
僕のレベルでも時にはリアを出して弱カウンターを当てつつ出口へ向けて全開という気分だけは中谷気分を味わえたのだから(笑)
ま、それもこれもタイヤを含め車両側に十分なスタビリティが確保されてるからとも言える。
ただ中谷講師も言っていたが、一般道や低μ路ではどんなスキルのドライバーであっても絶対ASCはカットしないよう提案しておく。
そして最後に同乗走行。
僕は田口講師と同乗させて頂いた。
たった1周のみと言うのが残念だったが、やはり競技でメシを食べてる人のドライビングはひと味違った。
僕の考える以上に奥までブレーキを鋭く突っ込み、しかし素早く向きを変え、スロットルペダルを踏み込むポイントも確実にワンテンポ速い。
恐らく感覚的にだが僕のレベルだとこの短いコースで2~3秒はチギられるだろう。いや、もっとかな…(笑)
またまた長い感想文となったが、結果的には参加して正解だった。
サーキット走行は安全で全く怖くなく、本当に楽しい。もちろん車に助けられた部分が少なくないと思うが。
エボXの理解も深められ有意義な一日でした。ただ、ゆっくりさんで申告したのは唯一の後悔。
他の参加者の走りを見ても僕よりゆっくりの方が少なくなかったから。
みんなの車やメットなどの装備品や佇まいなど完全に見た目で負けてしまった(笑)
それからせっかくエボをより深く味わったのだから改めて印象を。
以前に一般試乗で感想を書いたが、サーキット走行を経ても概ね変わらずってとこでしょうか。
全てのデバイスの調和も優れ、確実に歴代エボから脱皮して大人へ成長を遂げたと思う。
今や和製スポーツ車として抜群のパフォーマンスを誇る車でしょう。
乗った事はないので想像の範囲ではあるが、恐らく日産GT-Rよりも完成度は上でしょう。
でも、いささか荒々しさも多少は残り、特にタイヤに関しては完全に尖ったスペックでしょう。
まるでサーキットスペックのようでSヤイヤとは言わないまでも一般的なスポーツラジアルとは一線を画し、トレッドパターンからもよりSタイヤの方向へと向けた仕様で、発熱させれば強力なグリップを発生。
逆にこんなスペックでは低温時の性能やウェット性能はいくらスタビリティの高い完成度を誇るエボであっても僕を含めドライバーのスキルがビギナー程度の方が過って飛ばすようだと不安が残る。
やはりそういう細かな点もしっかり配慮した車であって欲しい。
もう既にサーキットラップの争いから脱皮出来る程の車に成長出来たのだから。
それでも足の追従性は上々で、サーキット走行では逆にしなやかさも上々。
ただ残念なのは以前にも感じたが、フロントの足回りから操舵系の剛性感というかしっかり感が足りない。
ここは是非とも改善して欲しい。
この辺は実験評価ドライバー氏に聞いてみれば良かったな…。
多少の疑問点を持ちつつも個人的にあの嫌いな歴代ランエボがこういう成長をしてくれた事に感激。
相変わらず僕の好みの車ではないのだが、最近の国産高性能車では満点に近い。
これから運動性能の高い車を購入を考えてる方には完全に一押し。
そんな高評価しつつ好みではないのは、次元の高い車ではあっても楽しい車とは少々言い難い。
あくまで個人的な好みの範疇ではあるが完成されすぎ感を感じてしまう。
でも確実にこの車にハマる層はいると思うし、称賛に値する車になったと言えよう。
これから更に上を目指し、例えばBMWのMシリーズに肩を並べるには排気量拡大とモアパワーを望みたい。
4B12をベースとしてかつてのGDIの技術を駆使して洗練させて欲しいと思う。
現状では少々パワー不足感があると個人的には感じた。
あと決して小さくは無いターボラグをもっと改善して欲しいな。
ブログにはあえて載せてないが、インプレッサSTIにも試乗した事があり、その時に感じたのは、イベント途中の話の中で中谷氏も言っていたが、今までライバルとされていたインプレッサとは既に次元の異なる車へと成長したのだから(別にインプが悪いと言う事ではなく目指す方向性の違いでしょう。)より上の完成度の狙って欲しいと最後に願って終わる事としよう。