◇空気抵抗値と損失馬力の比較考察◇
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今回、GT2ミラーへ変える狙い。
① サイドの視界確保(死角の縮小)
② 軽量化
③ 風切り音の低下
④ 空気抵抗の低減
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■■サイドの視界確保■■
社外シートレールで着座位置を下げた結果、
交差点で、特に“右折”する時、
ドアミラーに横断歩道がすっぽり入り、
歩行者が全く見えなくなりました(笑)
『ドアミラー、邪魔っ!』
何度そう思ったか。
夜間走行時は特に恐ろしいので、
『人いないかなぁ…』
と徐行していました。
安全で良いことなんですが(笑)
『ん~、もどかしいっ!』
そこで、そのドアミラーの死角を少しでも減らしたい!
というのがこのGT2ミラー装着の最大の理由です。
効果はと言うと。
かなりドアミラーが小さくなってくれたのと、
ステーがとても細いおかげで、
死角が激減し、安心して街乗りできます。
しかし思っていたよりサイズが大きかったですね。
確かに小さくはなっているのですが、
どこかの軽自動車の純正で付いてそうなサイズです。
F1タイプのもっと小型GTミラーにすれば良かったかなぁ…。
逆にいえば、
ミラーに映る“後方”の視界性は、
純正と比べてほとんど落ちていないので、
良いと言えばよいのですが。
何が心配って、
楽しみにしていた、
空気抵抗の低減面で効果が出るか、
ちょっと不安…。
■■デザイン■■
デザインは好きですね。
実物を見ると写真よりも、
素直にかっこいい。
空力的に機能美な良い感じの形してます。
ただ、カーボン調は3流の造りです(笑)
もっと何とかなっただろう的な仕上がりです。
遠めからはいいけど、
寄って見ると、
思いのほか、ダサい。
なので、皆さんにお奨めしたいのは、
カラーは『ブラック』で注文して、
そのまま装着して、渋くキメるか。
自分で質の高いカーボン調シートを張るか。
ボディ同色に塗ったほうがいいです。
これを付けている、みんカラ先輩方によると、
色あせるみたいなんで、
そしたらボディ同色にしようかなぁ。
■■軽量化■■
純正ミラーは、1190g。
両側合わせて、2380g。
角度調整が電動式のミラーは重いんですよね。
GT2ミラーは、350g。
ん~、軽い!
両側合わせて、700g。
-1680gの軽量化です。
もともとドアミラーは重心より高い位置にあるのと、
端っこに付いているものなので、
この軽量化は対遠心力に効果的です。
体感は…、まぁ難しいですね(笑)
でも軽量フェチの方には、たまらないですよね。
■■空気抵抗■■
さて、これが、メインと言っちゃぁ、メインです。
今回は、この空気抵抗に関する考察がなかなか面白いものになったので載せたいと思います。
長文です(笑)。
なので、興味がある方だけ読んでください。
遊び半分。本気半分です。
素人なので、つきつめた計算はしていません。
間違いがあれば、大目に見ていただくか、訂正を教えてください。
さて、オープンカーに乗っている方は、
この空気抵抗を感じることがあると思いますが、普通その機会はありません。
日常生活では、乗り物でとなると、チャリンコに乗っている時ぐらいでしょうかね。
しかし知らないところで、車は常に空気抵抗と猛烈な格闘をしてます。
ドアミラーは、ボディに比べれば小さいパーツとはいえ、
気流に対して突起物として取り付けられますし、
後方に大きな剥離領域が存在する形状を有してます。
このため、ドアミラーは自動車の『抗力』(抵抗)を増加させ、
高速走行時には風切り音が発生します。
空気抵抗を少なくするには、
抵抗を受ける面積を減らす(前方投影面積を減らす)。
気流を上手く受け流す形にする(空気抵抗係数(CD) を減らす)。
そのどちらかが有効です。
空気抵抗が少ないと、
駆動力のロスが減り、同じ条件ならばより少ない燃料で走ることができます。
同じエンジンであれば、より速度を出すこともできます。
GT2ミラーのように小型のアフターパーツは、それを狙っているわけです。
空気抵抗と、特にそれによる騒音の発生に関して、
ドアミラーというのは考慮すべき箇所で、
空力騒音に関してはドライバーに部品が近いがゆえに、顕著です。
しかも、0.5mmの段差でも、騒音発生の原因になります。マジな話。
ですから自動車メーカーもドアミラーのデザインと加工精度には、
モデルチェンジのたびに、開発段階から力を割き、
騒音の出にくい、抵抗の少ない造形へと試行錯誤して洗練させてきます。
とは言いましても、
正直なところミラーを変えたところで、
「そんなに変わらないだろ~」
と思っていました。
…が、計算すると面白い結果が出ました。
空気抵抗は下の式で定義されます。
D= Cd × 1/2 × p × uの2乗×A
D:空気抵抗(N)
Cd:抵抗係数(無次元)
p:空気の密度(kg/㎥)
u:流体と車との相対速度(m/s)
A:全面投影面積(㎡)
この式に実際の値を代入していくわけですが、
下記の条件下での数字上の仮定とします。
■ボディと干渉した空気は考えないこととする。
ドアミラー単体でのもの。
■無風。
■晴れた日。
■平地。
■空気の密度は四季によって違うが、ここでは一律1.1Kgf/㎥とする。
■純正ミラーは『立方体』形状。
GT2ミラーは『半球』形状としてのCd値を設定する。よって、
純正ミラー… 1.1。
(実際は完全な立方体ではないのですが、わかりやすくするため、この一般値にします。)
GT2ミラー… 0.4。
(実際は半球よりもCd値的に優れた形状をしているのですが、
半球がいちばん近いと思われるため、この値にします。)
※ちなみにイルカは0.06です。すげぇ~。
■ステー部を含めた純正ミラーの『前面投影面積』は大体の実寸値のとおり下記の値とする。
ミラー部分…0.2m(横)×0.13m(たて)= 0.026㎡
ステー部分…0.04m(横)×0.05m(たて)= 0.002㎡
0.026+0.002= 0.028
0.028×2(ミラー2個分)= 0.056㎡
■GT2ミラーの前面投影面積は大体の実寸値のとおり下記の値とする。
ミラー部分…0.125m(上辺)+0.17m(下辺)×0.085(たて)÷2= 0.0125㎡
(台形型)
ステー部分はほぼ面積がないので0とする。
0.0125×2(ミラー2個分)= 0.025㎡
■時速は、下記の理由により、その数値に設定。
●60km/h走行時……街中の最高速度。
●100 km/h走行時…高速道路の最高速度。
●180 km/h走行時…リミッタ―作動速度。
●230 km/h走行時…DC/DBインテのサーキットでの最高速度として仮設定。(実際はもっと出るかも)
●300 km/h走行時…F1スピードレンジでの考察のため。
時速を秒速に直す必要があるので…。
60 km/h= 16.7m/s
100 km/h= 27.8 m/s
180 km/h= 50m/s
230 km/h= 63.9 m/s
300 km/h= 83.3 m/s
★さて、代入の例でございます。(例:純正ミラーで60km/h時)
1.1×1/2×1.1×278.89(16.7の2乗の値)×0.056= 9.448N
――さて、
面倒くさい途中の計算は省いて、
結果だけを見てみましょう(笑)
空気抵抗値のNだけではイメージしにくいので、
別に『損失馬力』も算出してみました。
■■■
純正ミラーの場合■■■
―『空気抵抗』―
※ 1kgf=9.8N
※()内はkgfの値。
●60km/h走行時…… 9.448N (0.96kgf)
●100 km/h走行時… 26.184N (2.68kgf)
●180 km/h走行時… 84.7N (8.64kgf)
●230 km/h走行時… 138.34N (14.12kgf)
●300 km/h走行時… 235.088N (23.98kgf)
―『損失馬力』―
※()内は左右ミラーにおける損失の値。
●60km/h走行時…… 0.107馬力 (0.214馬力)
●100 km/h走行時… 0.495馬力 (0.99馬力)
●180 km/h走行時… 2.881馬力 (5.762馬力)
●230 km/h走行時… 6.013馬力 (12.026馬力)
●300 km/h走行時… 13.322馬力 (26.644馬力)
……純正ドアミラーの、この結果、面白いですね~。
『抵抗』という点では、
100km/hで約3kgf分の抵抗が車にかかり、
車の運動の足を“引っ張る”わけです。
3kgって何気に結構重いですよね。
180km/hでは約9kgf!
これを物理的に乱暴に例えると、
お米10kgの1袋分にちかいです!
ということは…、
またもや少し乱暴に考えると、
せっかくボンネットをCFRPなどの軽量タイプに交換しても、
180km/h付近では、純正ドアミラーの抵抗で、
簡単にチャラになってしまう計算になってしまいます。
ちょっと力の見方が違うかな?
まぁいいや。
『馬力』ということでは、
100 km/hでは1馬力の損失です。
230 km/hでは12馬力も損失しています。
タイプRの吸排気パーツは新品購入だとけっこう高額ですが、
頑張って買って吸排気パーツ交換して、
アップした馬力も…。
この純正ドアミラーの存在によって、
230 km/hでは帳消しにされてしまいます(笑)
300 km/hにおいては、約27馬力も!
まぁ、普通のインテRちゃんでは、
こんなに速度は出せないですが。
ただし!
これは“無風”状態での話です。
強風や台風の時など、
特に正面から向かい風が吹いている日は、
さらに抵抗が増え、損失馬力も増すでしょう。
ちなみに、損失を『仕事率(W)』で考えると、1馬力=約735Wなので…。
300km/hでは、50Wの電球を392個つけられるエネルギーを損失してます。
ん~…イメージわかない。
小さな商店街の道路を左右で196個づつ1m間隔で配置すれば、
200mちかく通りを照らせる損失エネルギーです。
100km/hでは約1馬力の損失なんで、
50Wの電球が14個は付きます。
はい、話がそれましたね(笑)
要するに、
ドアミラーとはいえ、
大きな空気抵抗、
大きな損失馬力、
つまり駆動力のロスになりうるわけです。
チューニングパーツとして、
なめてはいけないパーツだったんですね~。
さてさて、GT2ミラーはどうでしょうか。
■■■
GT2ミラーの場合■■■
―『空気抵抗』―
●60km/h走行時…… 1.534N (0.157kgf)
●100 km/h走行時… 4.25N (0.434kgf)
●180 km/h走行時… 13.75N (1.403kgf)
●230 km/h走行時… 22.458N (2.292kgf)
●300 km/h走行時… 38.164N (3.894kgf)
―『損失馬力』―
●60km/h走行時…… 0.0349馬力 (0.0698馬力)
●100 km/h走行時… 0.161馬力 (0.322馬力)
●180 km/h走行時… 0.935馬力 (1.87馬力)
●230 km/h走行時… 1.952馬力 (3.904馬力)
●300 km/h走行時… 4.325馬力 (8.65馬力)
……おぉ~。だいぶ効果があるようです。
純正ミラー比で、
空気抵抗は、“ 83.8% ”の低減。
損失馬力は、“ 67.5% ”低減されています。
ん~。
すごい。
『抵抗』という点では、
純正と比べると、純正では100km/hですでに約3kgf分あった抵抗が、
GT2ミラーでは、300km/hでようやく約3kgf分の抵抗がかかります。
なかなかいいぞぉ。
『馬力』ということでは、
180 km/hで1馬力の損失しかありません。
つまるところ、日本の交通事情では、
ドアミラーによる損失馬力は、
限りなく0に近くなったということですね。
足を引っ張る存在ではなくなりました。
その損失をまたもや仕事率(W)で考えてみましょう(笑)。
300km/hでは、50Wの電球を127個つけられるエネルギーを損失してます。
純正は300km/hで392個だったので、50w電球265個分もエコです!
なんとこのGT2ミラーは
地球にやさしいパーツでもあったのです(笑)。
ただし300km/h走行時ですが。
だからそんなにスピード出ないって。
物理に詳しい人が見たら、がっかりしそうな考察だなぁ(苦)
■■“結論”■■
やはり、
純正ミラーよりも、GT2ミラーのほうが、
空気抵抗面で優れていることが計算上実証されました。
たかがミラー。
されどミラー。
その交換効果は侮りがたしです。
ただ、この効果が“体感”できるか?
という話になると、
よほどの高速域でないと分からないでしょう。
はっきり言って、
街乗りでは、まずこのパーツ交換による恩恵にはわずかしか、あずかれません(笑)
高速道路で…どうかな?
って、ところでしょうか。
180 km/h走行時には純正比で約『7kgf』も抵抗が減りますから。
ただ、人様の迷惑になるのと、覆面P様にお世話になるのでヤメましょう。
ただ、高速時の“風切り音”は、かなり減ります。
気になる人には良いかも。
空域抵抗の減少による燃費の向上?
最高速度のアップ?
いやいや。
このパーツが活躍する舞台はサーキットですね。はい。
街乗りではいまいちでも、
検証のとおり、
サーキットなら、間違いなく『見えない』効果が期待できます。
230km/h出せるところなら、
9~10馬力も損失が減ります。
逆にいえば、ドアミラーの交換だけで、
その速度領域では9~10馬力UPするということです。
立派な空力パーツ!
と言ってもいいのではないでしょうか。
さらに。
後方視界の縮小さえ気にしなければ、
と言っても、そんなに悪くはならないのですが。
またデザインで好みに問題がなければ、エアロミラーより、
前面投影面積が小さく、Cd値の低い『GT』タイプのミラー交換のほうが、
運動性能への貢献効果が高いかもしれません。
先に触れましたが、
このGT2ミラーは、一般的なGTタイプのミラーよりも少し大きいです。
なのでS2000オーナーさんなどがよく付けておられる市販GTミラーは、
このGT2ミラーより空力効率がさらに良いと思われます。
さらに上を求める方は、F1タイプのGTミラーをお求めください。
■■
おまけ■■
ここまで読まれて、
まだ、イメージがわかない方は、
ドアミラーのサイズに近い前面投影面積を持つ、
『手のひら』を実験に使ってください。
やりかたとしては、
走行中に窓を開けて、
指を閉じた状態の手のひらを出して、
手のひらの壁ってみてください。
100km/hでは、けっこうな抵抗を感じると思いますよ~。
下記にその数字的データを記載しておきますね~。
■■■
手のひらを窓から出した場合(笑)■■■
(一般的な男の人の手のサイズでの前面投影面積……0.2m×0.09m=0.018㎡)
―『
空気抵抗』―
●60km/h走行時…… 3.037N (0.31kgf)
●100 km/h走行時… 8.416N (0.86kgf)
●180 km/h走行時… 1.852N (2.78kgf)
●230 km/h走行時… 3.866N (4.54kgf)
●300 km/h走行時… 8.564N (7.71kgf)
―『
損失馬力』―
●60km/h走行時…… 0.069馬力
●100 km/h走行時… 0.318馬力
●180 km/h走行時… 1.852馬力
●230 km/h走行時… 3.866馬力
●300 km/h走行時… 8.564馬力
手のひらが片手分しかないのに、
GT2ミラー2個分と数値が変わらないのは、Cd値が原因です。
手のひらは、1.1。
空気抵抗的に不利な形状のため。
GT2ミラーは、0.4だからです。
空気抵抗的に有利な形状のためだからですね。
しかし、おもしろい!
もしF1ドライバーが、
300 km/h走行時に手のひらをコックピットから外に出したら、
それだけで、約8馬力失われる(笑)!
厚めのレーシンググローブをしているから、
実際にはもうちっと上かも。