
今年最後の試乗車は1ヶ月ほど前から決めていました。
メルセデスのフラッグシップ、Sクラスです。
これほどの高額車なのにカーオブザイヤーの10ベストに選ばれた理由を知るのが一番大きな目的です。
また、私は現在セダン欲しい病に罹っているので、ちょっと本気で検討している車種でもあります。
最初にSクラスのカタログスペックを紹介します。
全長5120mm(longの場合5250mm)×全幅1900mm×全高1495mm。
車重は2050kg~2250㎏。
主なグレードは
・S400ハイブリッド 3.5L V6(306ps/37.7kgm)+モーター(27ps/25.5kgm) 右 1090万円
・S550ロング 4.7L V8ツインターボ(455ps/71.5kgm) 右/左 1535万円
・S63AMGロング 5.5L V8ツインターボ(585ps/91.8kgm) 右 2340万円
・S65AMGロング 6.0L V12ツインターボ(630ps/102.0kgm) 左 3200万円
ミッションは全て7速AT(S63はスピードシフトMCT、S65はスピードシフト)。
大きさも価格もさすがSクラス。
Eクラスと乗り比べができるとのことで、まずはE350から乗ることにしました。
私はフェイスリフト後のEクラスは、E250とE63AMG Sに乗ったことがあります。
E250は出足が鈍く、また回した時のエンジンの雑味が気になり、あまり印象は良くありませんでした。
それほど期待せずに乗ったのですが、3.5LのV6エンジンが素晴らしく、これこそメルセデスの水準だとちょっと感動。
そう言えば1年以上前にCLSシューティングブレークの試乗をし、エンジンのレスポンスや官能性の高さに感動しましたが、そのエンジンも同じ3.5Lでした。
これは良いエンジンですね。
しかも前車追従クルーズコントロールの出来の良さは、他メーカーの同じようなシステムと比べても頭一つ抜けていると感じました。
走りが良いと外観もカッコ良く思えて来ますし、内装の質感も高く感じます。
いよいよ本日の主役のSクラス。
本当はS400ハイブリッドが良かったのですが、近くに試乗車の用意が無いので、S550ロングになりました。
とにかく大きなボディに圧倒されます。
ロングボディなので全長は5mを軽く超えていますし。
あまり印象の良くなかったフロントマスクですが、これだけのボディに組み合わさると威風堂々とした威厳が感じられます。
特にライトを点けると、LEDが効果的に光ってより迫力が増します。
リアは誰が見てもSクラスと分かるようなコンサバなものです。
Sクラスを求める人の多くはそんなに冒険したデザインも求めないでしょうから、キープコンセプトは正しい判断なのでしょう。
内装を見てあまりの質感の高さに驚きます。
Eクラスも悪くないと思いましたが、ちょっと次元が違いました。
ナビの画面も大きく解像度も高い。
メーター類も視認性が高い。
エンジンをかけると青く光るのがまた良い演出です。
しかもこの色は変えられるのです。
後部座席に座ると足元の広さに感動します。
変に背もたれを寝かせることはせず、ちゃんとした姿勢を保てるのもまた好印象。
シートの座り心地は最高で、私が今までに座ったことがある後部座席で最も良いと思ったベントレー・フライングスパーに匹敵するかも。
ただしトランクは予想を遥かに超える狭さで、Eクラスのセダンにも遠く及びません。
しかもトランクスルー機能も付いていないので、使い勝手は悪いでしょう。
シートに身を委ねると後部座席と同じく極上の座り心地です。
ただしヘッドレストが前にせり出していて、かなり邪魔に感じます。
最適なドライビングポジションにしづらく、ふんぞり返る姿勢にならざるを得ません。
もしかしたら位置をもっと後ろに出来るのかも知れませんが、営業の人もやり方が分かりませんでした。
Sクラスに乗っている人はよく偉そうな態度で運転していますが、仕方が無かったのですね。
試乗車は左ハンドルだったこともあり、かなり右フロントに気を使いました。
クワトロポルテなどと比べても決して見切りは良いとは言えません。
乗り心地は快適そのもので、路面が荒れていても不快な振動を殆どキャビンに伝えないのは見事の一言です。
高級ソファに身を委ねる重厚感を感じます。
ステアリングは予想よりも軽いですが、フィールは濃厚でとても自然。
最高出力455psものハイパフォーマンスカーですが、アクセルを踏み込んでもそこまで爆発的な加速を見せるわけではありません。
至って自然にどこまでも加速を続けるといった印象。
スポーツモードだとアクセルレスポンスが変わり、ノーマルモードに比べてある速度に到達するまでの時間は短くなりますが、その本質は変わりません。
周りに誰もいない状態で軽く急ブレーキをしましたが、効きは素晴らしいのに本当に滑らか。
乗り心地も加速感も減速も全て角が取れています。
本当に完成度の高い車ですね。
高級車をつくり続けているメルセデスの伝統を見せつけられた気がします。
フロアマットやコーティングなどの必要オプションを盛り込んで、S400ハイブリッドで乗り出し1370万円、S550ロングで1640万円程も掛かります。
良いモノを手に入れようとすればそれだけの対価が必要なのですね。