(写真は山口宇部空港に展示してあったDJデミオ)
プリウスを倒せる車は、DJデミオ+スカイアクティブディーゼルしかない。
それがプリウスの助手席で往復6時間の下道ドライブをして感じたことだった。
プリウスは言わずと知れた非常に優れた燃費車です。
ストップアンドゴーや渋滞が多い日本に特化した車とも言えるでしょう。
ガソリンエンジンでは効率の悪い領域をモーターアシストで回避してしまうことでガソリン車の弱点を克服しています。
かなり急峻な山道を含む片道130kmの走行でも25km/L~30km/Lほどの燃費が得られていました。(ただしインフォメーションパネルの表示値なので1~2割の誤差は含まれると思われますが。)
この燃費に追随できる車はガソリン車ではありません。実燃費で20オーバーはやはりプリウスしかないでしょう。
アクアやフィットハイブリッドもありますが多少の走りの余裕まで持たせるとなると1800ccエンジンを積むプリウスの天下なのではないでしょうか。プリウスがハイブリッドカーのベストパッケージングなのではないかと思います。
プリウスの車としての出来ですが、車に特にこだわりのない人が乗った場合ネガとは思わない仕上がりは十分にあると感じました。
まず動力性能。まさに必要十分という感じ。NA2500ccクラスを謳っているようですがフル加速して貰ったときの力感はNA2000ccぐらい。モーターアシストで出だしのトルクに余裕があるし通常使用で不満が出ることはないでしょう。
他にはいかにも見切った質感のインパネ、
かなり薄い鉄板のドア(軽量化&コストカット、側面衝突安全性は大丈夫か?)、
Cセグメントとしてはかなり低い遮音性(ただし基本的にエンジンは静か)、
先進的なシステムの割にインフォメーションパネルは単色液晶(コストカット)、
長時間では腰が痛くなる硬いシート、ロールを抑えるために高めのバネレート、
カローラフィールダーと同じフィーリングの動きの渋いダンパー。
しかしこれは実際はそこまで問題視されていないと思います。
そうすると残るのは圧倒的な燃費性能です。強い訴求力となってユーザーにインパクトを与え、結果として売れる。もちろん室内のこまごまとした収納空間の用意などトヨタ流の細かい気配りも感じられました。
乗ってみてプリウスが沢山売れる理由が良く分かりました。プリウスは燃費性能特化の”レーシングカー”だったのです。
近頃めっきりと走りの面ではここまでエッジの効いたスペシャルカーを出してくれないトヨタに複雑な思いもありますが(86はスバルが作っているので私的に除外させて頂きます悪しからず)
売れる車には容赦なく企業力を注ぎ込むトヨタの底力を感じました。燃費面でここまでやられたら多少のことは黙るしかないな、と思いました。売るために必要のない所はスッパリと見切り、商品力を向上させるために全力を注ぐ。実に潔い車なのです。
もしプリウスの実燃費が20km/L程度ならガソリンのダウンサイジングターボでもそこそこ戦えるでしょう。しかし実燃費で25km/Lとなるともはやガソリンエンジンでは追随が困難ではないかと思います。
まさに日本における燃費車の王座に君臨するのがプリウスだと言えるでしょう。
対抗するために残る一つの手段はダウンサイジングディーゼルターボ。すなわち日本においてはスカイアクティブディーゼル1.5Dが唯一の選択肢になると思います。
走りにおいては185mmとトルクを考えるとやや細いタイヤ設定、Bセグメントのパッケージングの限界とコストからリアサスペンションがトーションビーム、同じくコスト面からであろうリアブレーキがドラム式であることなど若干の気になる点はありますが、燃費で張り合えさえすればプリウスの走りの素質は決して高くはありません。カタログ燃費26.4km/L(6AT・2WD)で燃料が安価な軽油ということも考えれば実燃費で五分で分ければ車両自体の魅力で勝てる可能性があると思います。デザイン、内装質感、動力性能などです。
Bセグメントでレシオカバレッジが6にも迫る6ATを採用したこともドライバビリティの面で大きくプリウスを突き放し得ると思います。CVTでもDCTでもなくATを磨くという選択肢はマツダ流で実におもしろいと思います。(マツダの企業状況を考えるとそれしかなかったとも言えるようですが)
DJデミオを始めに見たときに、今までのスカイアクティブデザインで最も優れていると直感しました。厳ついけれど愛嬌もあるフロントマスクと洒脱なリア、サイドビューの造形も美しい。フォルクスワーゲンポロと堂々と渡り合うことが出来ると思います。NDロードスターのヘッドライトももう少しDJデミオ寄りなら良かったのにと思いました。(DJデミオがカーオブザイヤーも受賞しましたね。)
少し気が早いですがアクセラ1.5XDの登場が待たれます。やはり”本戦”はCセグメントで争われるべきでしょう。BセグメントとCセグメントのパッケージングの差を超えて比較するのには車両自体に求められている物の違いもあり限界があります。(タイトルを否定してしまった)
またプリウスも来年6月に出るとされる次期型では60kgの軽量化とリアサスペンションのマルチリンク化という情報があり、走りの面でも強化されることが間違いありません。良い意味でのデッドヒートが見られそうです。
Posted at 2014/10/13 23:57:42 | |
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