
ゴルフに挑戦するオーリス120Tの実力と装備は如何なものか
発売前の今だからこそ想像を織り交ぜて好き勝手に書いてみたいと思います。

エンジンはカタログ馬力でVWを上回るが肝心の燃費が負けている
燃費にこだわり抜いてきたトヨタとしては”らしくない”異例のアプローチだ
前々から登場が予測されており本ブログでも何度か触れてきた
新型1200cc直列4気筒水冷IC直噴ターボ「8NR-FTS」
ついに登場です。
カタログ値として
116ps/18.9kfg・mのスペックを示します
VWのCセグメント、Golfの1200ccターボエンジンCJZ型が
105ps/17.8kfg・m
ということでこの部分だけで見ればスペックは上回っています
ただし最大トルク発生トルクはトヨタが1500rpm、VWが1400rpm
ということでVWの方がより低い回転数から発生させていることにも注目です
より低い回転数から過給を開始しMAXトルクを発生するVWエンジンの方が
ダウンサイジングターボエンジンとしては優れていると思います
兄貴分の8AR-FTSにも言えることですが
後発のトヨタはこの部分で先行組にまだ追いついてないと見ています。
また、圧縮比10.0を1つの売り文句のようにしているようですが
CJZの圧縮比は10.5です。(つまり技術的に負けている)
この部分でも進化の余地がありそうです。
あのトヨタが燃費で先行者に負けている車を出した?
VWのCJZ(ゴルフ7)の燃費が
21.0km/L
それに対してトヨタの8NR-FTSは20km/Lにも満たない
19.4km/L
肝心の燃費性能で8%も劣っている。なんだかとってもトヨタらしくない。
19.4km/Lの数値は
ゴルフ7HL(1400ccターボ)にすら負けています。
最新のベストカー誌にもオーリス120Tの記事があり燃費についてはゴルフには負けているがミニONE、プジョー308には勝っていると書いてあります。
しかし世界のトヨタが出す車なのだからやはりVWの数値に勝たなくてはいけないと自分は思います。
変速機がCVTだ
CVTとダウンサイジングターボエンジンのマッチング、
どんなものに仕上がっているか興味津々です
急峻にトルクが立ち上がりそこそこ広いパワーバンドを持ったダウンサイジングターボは伝達効率に特化したダブルクラッチトランスミッション(DCT)の方が適しており
CVTの良さは生かしきれない、のが今回の燃費差の結果ではないでしょうか?
自分もトヨタのCVTは現行ハリアー(2000ccNA)やカローラ―フィールダー(1500cc)で運転しましたが
フィーリングは余り良いものではありませんでした。願わくば改善されていることを望みますが如何なものでしょうか?
走りの良さはどうか?
結論から言えば絶対的な走りの良さではゴルフに及ぶまい、と思っています
画期的なプラットフォーム開発手法MQBによってもたらされた低コストにも関わらずクラスを超えた鉄壁のシャシー性能を持ったGolf。
あたかもレーシングカーのような電光石火のシフトチェンジとダイレクトな加速フィーリングを持った7速DCT
「DSG」
CVTの到底及ぶ所ではありません。
ただし、日常の何気ないシチュエーションでのコンティニュアスはCVTが勝ち得るでしょう。(トヨタはしばしば電制スロットルに変な味付けをしますのでそれさえなければ、ですが。)
また120Tの足回りはフロントストラット、リア
ダブルウィッシュボーンを採用しています。ゴルフは低グレードでは
トレーリングアームなのでこの点はオーリスが優位な点だと言えます。
装備・価格はどうか?
”120T”はオーリスシリーズの中で一番高い
2,590,037円。
対してGolf7の一番下位グレードは
2,640,000円。
ほぼ同価格となっています。
しかしながら落とし穴があり、120Tは標準では
下位グレードと同じ195/65R15のスチールホイール装備です。
アルミホイールにするためには追加で122,040円を払わなければなりません。
(オプションを装着するとは225/45R17)
燃費はより有利な195/65R15で測定されているはずなのでトヨタは良い取りをしていると言えます。タイヤの銘柄は不明ですが、燃費スペシャルな銘柄がチョイスされていることが想像されます。
今時新車に鉄ホイールというのはあまりみたことがありません。しかもトヨタとしてはこの120Tをプレミアムモデルと位置付けているのですから「皆オプションはつけるよね?」ということでしょうか。
このオプションをつけると合計
2,712,077円となりゴルフの下位グレードと値段が逆転してしまいます。
何としてでも「オーリス120Tはゴルフより安い」を演出するためにこうなったと見ます。トヨタらしい手法ではありますが実際に購入を検討される際は騙されないようにご注意下さい。
クルーズコントロールの機能は天と地の差
ゴルフに装着可能な
ACC(アダプティブクルーズコントロール)は全車速追従レーダークルーズコントロールであり、つまり30km~160kmまで前走車をミリ波レーダーで車間を保って追従します。
オーリス側のは単なるクルーズコントロールなので任意の速度を設定してその速度を保つというものです。(全車速追従式の記述はどこにも見当たらない)
この
2つの機能の間には天と地の差があります。
実際に使用すると分かりますが疲労度の軽減度合が全く異なるからです。高速道路を巡航する際だけでなく渋滞時でも使えるACCが今時の最新装備です。どうせ新車を買うのならこちらを強くお勧めします。
トヨタも重い腰をあげ、ようやく廉価車にも衝突軽減ブレーキの採用に踏み切ったことは大変評価できますがまだまだ実際の機能面では追いついていないことが分かります。(ちなみにスバルのアイサイトは全車速追従式です。)
まとめ
環境に対する取り組みなど企業としてのトヨタは好きで、敬意すら抱いている自分ですが、出てくる車に対しては「う~ん」と思うことも少なくありません。
しかしながら今回、国産で初めて本格的なダウンサイジングターボ(少なくとも最先端を行くVWに匹敵するスペック)を出してくれたことは大変喜ばしいことです。
今回、初めて小排気量ダウンサイジングターボを出すわけですから、後追いの立場なのは至極当然のことです。今後熟成を含めて王者ゴルフを脅かすような性能を持った車を出してくれることを期待しております。
しかしまあ1200ccをプレミアムグレードに、というのはトヨタらしいですが少し欲張りすぎなような気もします。何しろゴルフには本丸の1400ccエンジン
CPT型が控えているのですから。
<参考動画>