

ゴルフ7Rを含む「大試乗会!」というチラシが入っていたので担当営業さんに電話して試乗させて貰って来ました。
良い機会だったのでGTIもお願いして乗せて貰いました。
おそらく県内のディーラー別店舗から借りているであろうRはさすがに一人では乗せて貰えず(笑)担当さんと一緒に乗車。
乗ってすぐに分かったのはステアリングフィールが非常に良いこと。ハイラインでは若干の違和感が残ると書きましたが、Rではそんなことは全然ありません。カッチリとした手ごたえ、自然なフィーリングがドライバーズカーとしての高い質感を誇っています。やっぱりステアリングは油圧が良いなぁとか思いつつインパネに目をやると青いメーター指針がこの車がゴルフRなんだなと思わせてくれます。ハンドルはこの手の車としては好印象な重めです。
足回りはより引き締められていますがストロークが十分な上ダンパーの減衰力もしっかりと立ち上がり「さもゴルフRの足回り」といった風情。路面の凹凸のいなし方がレガシィより大分上。
何より特筆すべきはエンジン音。サウンドジェネレーターによりまるでボクサーターボのような音を奏でます。(しかも排気干渉がある頃のw)
内心「余計な事しないでよ~」と苦笑してしまいましたがこの価格帯の車を購入するオーナーの所有欲を充足するためには仕方のない仕掛けだったのでしょうか。願わくば素のCJX型エンジンの声を聴きたかったですが標準ではこの子供だましのギミックをキャンセルする方法はないとのこと。営業さん曰くサウンドジェネレーターがないとエンジンが静かすぎるとのこと。
”技術による先進”を謳い車のエモーショナルな部分を削ぎ落とす代わりにありったけの技術を投入して超ハイレベルでバランスさせたゴルフ7ハイラインを生み出したVW/AUDIがここに来て”官能性”を後付するとは何とも言えない皮肉を感じます。やっぱり車(少なくともドライバーズカー)にはエモーショナルな部分は必要という何よりの証左でしょう。
かなり限定されたシーンでしかありませんが加速を試みた所EJ20ターボ以上の鋭さを持っていました。トルクの立ち上がりの鋭さでCJXが上回ります。やはりDCTのトランスミッションのダイレクト感が印象的です。回転フィールはシャープというよりは怒涛の勢いという感じ。サウンドジェネレーターに印象が左右されているかもしれません(笑)
ゼロ発進加速はDCTの弱点か若干のもたつきがありました。(これはGTIも同じ。ハイラインではあまり感じなかったがエンジンのトルクが増えるごとにこの傾向は増していると思います)
車体の剛性感はハイラインの時点で相当の高いポテンシャルがありますが、Rはそれ以上あるように感じられました。重量が増している分ボディが補強されているのでしょう。車の動きがどっしりしています。
この車はそれなりの速度域まで持っていかないとエンジン含めちゃんと評価することはできないと思います。日本の公道では難しいかも。とにかく物凄い安定感だけはひしひしと伝わって来ました。このゴルフRに関しては車の動きを十分に確かめられなかったので消化不良な文章となってしまい申し訳ありません。曲りを見たかった。
自分がゴルフ7Rに対して気になることは普通のゴルフと外見を共有するが故にヒエラルキー的にはそれほど高くないことです。高速の右車線を走ったときに顕著になるでしょう。言ってしまうとパッと見ゴルフなので舐められちゃうと思います。良い車なんですけどね。
ちなみにそのディーラーでは年に1~2台しか売れないと言っていました。
選ばれし者しか手にしない・できない孤高の車、ゴルフR。
Rのお尻。そうはいっても4本出しマフラーは迫力あるなぁ。
あとこれはAudi S3にも言えることですが前輪駆動力が常に後輪駆動力を上回る横置きエンジン用ハルデックスAWDなのも自分的には気になるポイント。後輪駆動力が前輪駆動力を上回ることの出来るAWDが絶対条件です。ここは絶対的な速さより操る気持ち良さを優先しているポイントです。自分の運転したい車にはドライバーの意志と共鳴するような気持ち良さが必要だと思うからです。前で引き摺るAWDではどうもこれが得られない。
GTIフロントマスク。伝統の赤ラインがピリリと辛い。
次にGTI試乗。今度は一人で行って来てもらって良いですよと有り難い言葉を頂いたのでいつものコースへ。
この車を一言で表現すれば
「よく躾けられたじゃじゃ馬」
前輪駆動に220ps、35.7kg・mの大パワー。しかし普段使いでは全くネガを見せません。奢られた225/45R17タイヤのキャパシティ設定が絶妙です。曲りもトルクベクタリングの恩恵かステアリングを切るとスッと内へ車が入っていきます。
軽量なこともあり非常に強力なホットハッチだと感じました。ゴルフハイラインではトルクベクタリングはあくまでも安全のためのセッティングでしたがGTIからは走りの為にしつらえられているなと良く分かりました。
低速ギアのフルスロットルではTCS/ESCが働くとともに若干の駆動輪空転が見られました。またアクセルフルスロットルでタイヤが強烈に前を向きたがる感じ、チラリとじゃじゃ馬が顔を覗かせます。アンジュレーションのついた路面でジャンプするような格好になって駆動輪のトラクションが抜けてしまうとフワっとしてちょっと怖いですが一瞬でリカバリーするし車体姿勢が乱れるようなことはありません。相当にポテンシャルは高いです。
GTIの方がフロントの赤ラインという分かりやすい外観上のアイコンがある分こっちの方が”より分かりやすい”車かも、と思いました。
伝統のGTI専用シート
GTIセンターパネル。カーボンシート貼りです。
液晶画面がハイラインより小さいのはどうなんだろう。
ゴルフ7ハイラインは車の持つエモーショナルな部分を極限まで削ぎ落とし、VW/Audiの持つあらゆる技術が注ぎ込まれ非常に高い次元でオーガナイズされた「最善の実用車」です。高い動力性能・安全性・環境性能を持っておりケチのつけようがありません。またCPT型1.4L直噴ターボは気筒休止やコースティングまで備えた世界第一線級の傑作エンジンです。燃費はもちろん動力性能も世界中の1600ccまでのどの量産過給エンジンにも引けを取りません。
対してGTIはFFの元祖VWの意地か誇りか2WDにはパワーオーバーに思える220ps/35.7kg・mの最新ダウンサイジングターボをFFで駆動し高次元にしつらえられたホットハッチでした。正直ここまでネガを見せないものなのかと思いました。
ただハイラインとは違って巧妙に隠匿されたじゃじゃ馬を見つけ出して向き合うというエモーショナルな車の楽しみがあると思います。かといって乗り心地が犠牲になってる訳でもハンドリングがぎこちないわけでもなく流石VWという感想を得ました。この車でワインディングを走ったら楽しいんだろうな~。
GTIのインパネ。赤ステッチと速度計がちょこっと違うだけであまりハイラインと違いがない。
余談ですがホンダの新シビックタイプR、2L直噴ターボはこのGTIとガチンコしないといけない訳ですが、値段帯、ブランド力、デザインアイコン、伝統、車体の完成度、どれを取ってみてもかなーり手ごわい相手ですね。ホンダの答えが今から楽しみです。
きっとGT-Rと同じベクトル、ニュルのノルドシュライフェのタイム、つまり”速さ”で答えるのだと思いますが。
Posted at 2014/09/24 00:22:09 | |
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