
エンジンオイルって拘りが無ければ、指定の純正オイルかおまかせ品を入れれば良いが、変に拘り出すと選択に困ってしまう。自分はBRZの油温計が110℃以上、120℃位を指すのを見てから右往左往し、0W-20をやめ40番系へその後HKSのSC搭載で5W-40の縛りがついた。SCと同時にオイルクーラーを取付けたら油温は110℃までは上がらなくなった。真夏の渋滞で一瞬105℃まで上がった程度である。
BRZは一体何を入れれば良いのか迷いましたが、温度管理が出来ている現在は0W-20を使用している。
十数年前、以前スバルDの工場長をやってたおっちゃんに、「最近0W20ってのが出回り始めたけど、5W30指定の車に0W20入れたらどうなの?。」と聞いたことがあった。そのころ乗っていたのはレガシィワゴンBP3.0R、エンジンはEZ30だった。おっちゃんは「ディーラとしては指定油以外は入れないけど、前のインプ(GDB)EJ20はダメだけど、毎日、全開走行をするんじゃなければ入れてみたら、自己責任でね。サーキット行ったり、全開走行するなら、恒温高剪断粘度が最低3以上、理想は3.5以上のオイルを入れた方が良い。」と言われた記憶が今でも残っている。
正直、当時は恒温高剪断粘度ってのがわからなかったが、時をかさねれば知恵もつく、高温高せん断粘度が3.5mPa・s以上の規格が40番だからxW-40を入れときゃ無難、30番(XW-30)は2.9mPa・s以上が規格なんだが、製品データシートよりHTHS viscosity at 150°が3mPa・s以上をスポーツ車は選んだ方が良いってことだった。
今になって思うには日本の法定速度を守ってエコ運転していれば、S208へ0W-20入れても壊れない。

画像はSAE J300の表だが、HTHS at 150℃って数年前までは製品データシートに記載されていたのに、最近はMOTULぐらいしか見かけなくなった。一昔は5W-30グレードにもHTHS@150℃が3.5と記載された製品はいくつかあったが、今では16番が>=2.3、20番が>=2.6、30番が>=2.9・・・(後は表を参照)となってしまった。
話をBRZへ戻すと、BRZは工場出荷時は0W-20が入っているわけだが、130℃で油膜は切れないのか?、焼き付かなければ柔らかい方が燃費も吹き上がりも良いのはわかる。エンジンの精度が上がってHTHS@150℃の閾値が下がったとメーカーが言ってくれれば安心なのだが、Dの営業も解説はしてくれない。「心配なら番手を上げましょうか。」ぐらいのアドバイスが返ってくるだけである。だから正月に知識をつけた。オイルメーカーも最近は製品データは伏せるし、それなら高温高せん断粘度も計算しちゃえってこと。しかし、高温高せん断粘度は試験データによる値で計算で出したものではない。
動粘度(mm2/s)×密度=粘度(mPa・s)が求められる。
@150℃の粘度と密度を変換するには、日本フローコントロール社からダウンロードできるんです。但し、@150℃の粘度が高温高せん断粘度と同じではないのは承知の上で計算してみました。

それと表中にも記載があるけど、密度が範囲外となる場合もあり誤差が含まれる。よって@150℃の密度×粘度×90%の値を製品データと比較してみるとなかなか面白い値となって、参考には出来るかなって思った。
ここで最近使用したX PRIME 0W-20と製品データシートにviscosity at 150°が記載されていたMOTULを下記に記載する。また密度の記載が無い物は平均的な0.845で計算した。結果は、
ENEOS X PRIME 0W-20
公称値>=2.6に対し計算値=2.65
MOTUL SPECIFIC 508 00 509 00 0W-20
公称値=2.5に対し計算値=2.46
MOTUL 300V POWER RACING 5W-30
公称値=3.5に対し計算値=3.28
MOTUL 8100 X-CLEAN EFE 5W-30
公称値=3.5に対し計算値=3.56
MOTUL 8100 ECO-CLEAN+ 5W-30
公称値=3.2に対し計算値=3.03
Mobil Mobil1 0W-20
公称値=2.7に対し計算値=2.68
Gulf ARROW GT20 0W-20
公称値=2.8に対し計算値=2.97
Gulf ARROW GT30 0W-30
公称値=3.1に対し計算値=3.34 などなど、まんざらでもない値に感じる。
ついでにENEOS X PRIME 0W-20が140℃条件でHTHSを算出すると
動粘度@140℃=4.33、@140℃=0.7707(@15℃=0.845として)となる。
よって4.33×0.7707×90%=3.00、@130℃だと4.90×0.7766×90%=3.42。
でもノーマル時に入れてたOILはトヨタキャッスル SN PLUS GF-5 0w-20、これのHTHSat140℃=3.16。X PRIMEより数値が上だから大事無いと言うことで、
まあ、ノーマルBRZの油温ピークが120℃までなら0W-20でも油膜切れは大丈夫だったと勝手に解釈しときましょ。
これを踏まえ、自分の解釈で選定条件はHTHS at 150℃=3.0以上と、昨日の粘度よりハチミツを錬るのは避けて、冷動粘度@-10℃=660mm^2/s以下でオイルを選んでみた。検討した約100種中で条件をクリアしたオイルが5種類あった。
銘柄を発表する前に最近使ったオイルの@-10℃の動粘度とHTHS at 150℃を記載する。
最近のお気に入りENEOS X PRIME 0W-20は
動粘度@-10℃=208、HTHS at 150℃公称値>=2.6に対して計算値=2.65
粘度指数が高いので2.9ぐらいはあると思っていたが大した事なかった。
CAINZ MOTOR OIL 0W-20(三和化成)
動粘度@-10℃=687、HTHS at 150℃公称値>=2.6に対して計算値=2.57
Castrol GTX ULTRACLEAN 5W-40
動粘度@-10℃=987、HTHS at 150℃公称値>=3.5に対して計算値=4.09
安価でも油膜切れは大丈夫でコスパ良いかも、987なら燃費悪化も微少だな。
Mobil Mobil 1 0W-40
動粘度@-10℃=1061、HTHS at 150℃公称値=3.6に対して計算値=3.82
悪くはないが単価を考えると1980円のGTX ULTRACLEANでもOKな感じ。
SUBARU(Castrol) SLX Professional SM 5W-40
動粘度@-10℃=1543、HTHS at 150℃公称値=3.75に対して計算値=4.02
冷蔵庫のハチミツとは言えないがメイプルシロップを撹拌してた感じ?、ノーマルBRZの冬時季に通勤燃費が悪化したのはこの粘度が原因だったかもね。
さて、自分の好みに残った5種は
ENEOS X PRIME 5W-30、粘度指数236
動粘度@-10℃=348、HTHS at 150℃計算値=3.13
Gulf ARROW GT30 0W-30、粘度指数208
動粘度@-10℃=553、HTHS at 150℃計算値=3.34
SUBARU MOTOR OIL ECO SM 0W-20、粘度指数195
動粘度@-10℃=650、HTHS at 150℃計算値=3.20
TOYOTA GR Touring 0W-30、粘度指数308
動粘度@-10℃=187、HTHS at 150℃計算値=3.56
TOYOTA GR Touring 5W-40、粘度指数=289
動粘度@-10℃=341、HTHS at 150℃計算値=5.26
選択肢に残ったのは比較的粘度指数が高い5/100種でした。
その中でもGRはやっぱりすごい5W-40のグレードで残りました。0W-30もHTHS at 150℃=3.56なら油膜切れは大丈夫そうだ。
S208の法定点検にはTOYOTA GR Touringを用意しましょ。
GRとは逆に驚いたのがSUBARU MOTOR OIL ECO SM 0W-20、@40℃と100℃の動粘度を調べた時に、「何でこんなに硬くてECOなんじゃ。」と思ってました。SAEの分類表見ても0W-30に分類されると思うが、見方を変えるとECOに相応しいオイルです。
自分が求める低温特性は真冬の始動からシャパシャバで、やる気満々なオイルは5/100種でしたが、まあ、スポーツ走行を意識しなけれは選択肢はグーンと増えるし、@-10℃の動粘度条件を緩和しても選択肢は倍増します。BRZには当面は油膜切れしそうなENEOS X PRIME 0W-20を無くなるまでは使います。参考まで。
追記、
粘度別@0℃の動粘度がシャパシャバランキング
40番部門
1位 TOYOTA GR Touring 5W-40 =217 (@-10℃=341)
2位 出光 apollostation oil premium 5W-40 =453 (@-10℃=871)
3位 Gulf ARROW GT40 5W-40 =461 (@-10℃=865)
4位 Castrol EDGE A3/B4 5W-40 =489 (@-10℃=987)
5位 Mobil mobil1 0W-40 =530 (@-10℃=1061)
30番部門
1位 TOYOTA GR Touring 0W-30 =122 (@-10℃=187)
2位 ENEOS X PRIME 5W-30 =200 (@-10℃=348)
3位 Gulf ARROW GT30 0W-30 =280 (@-10℃=553)
4位 MOTUL NISMO COMPETITION =328 (@-10℃=768)
5位 MOTUL 8100 ECO-CLEAN =371 (@-10℃=739)
20番部門
1位 TOYOTA GR Circuit 0W-20 =84 (@-10℃=129)
2位 ENEOS X PRIME 0W-20 =125 (@-10℃=208)
3位 出光 apollostation oil premium 0W-20 =130 (@-10℃=217)
4位 HONDA ULTRA LEO 0W-20 =162 (@-10℃=283)
5位 TOYOTA キャッスル SN PLUS GF-5 08880-126** =182 (@-10℃=321)
※SAE粘度分類の0W-、5W-って自分の地域では-25℃以下にはならないので意味は成しませんね。
20番以下オイル部門、HTHS at 150℃(計算値)ランキング
1位 SUBARU MOTOR OIL ECO SM 0W-20 =3.20
2位 TOYOTA GR Circuit Ⅵ=335 0W-20 =2.98
3位 Gulf ARROW GT20 =2.97
4位 HONDA ULTRA Green 0W-16 =2.79
5位 TOYOTA キャッスル SN PLUS GF-5 08880-126** =2.77
※1位は30番でも通用しそうだ、何故か4位のウルトラが0W-16だって、ほんまかいな。